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可児市の電子投票。選挙無効など問題 2005年3月から

選挙無効の判例のまとめを要約したページ

可児市・市選管決定取消請求
          判例の要点のみ一覧

◆《判例−1》
「公職選挙法205条1項にいわゆる選挙無効の要件としての『選挙の規定に違反することがあるとき』とは,主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき,又は直接そのような明文の規定がなくとも選挙法の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指すものである」(最高裁昭和27年(オ)第601号同年12月4日第一小法廷判決、最高裁昭和51年(行ツ)第49号同年9月30日第一小法廷判決)。

◆《判例−2》
「選挙管理の任にある機関以外の者の行為であっても,選挙の管理執行に密接に関連する事務を行う者が,選挙地域内の選挙人全般の自由な判断による投票を妨げ,選挙の自由公正の原則を著しく阻害したと認められるものである場合には,『選挙の規定に違反することがあるとき』に当たると解するのが相当である。」(選挙無効確認請求事件/最高裁判所第一小法廷/平成14年7月30日判決/平成14(行ヒ)95号)

◆《判例−3》
「本件選挙に無効原因が存することは上述のとおりであり、その無効原因が存しなかつたとすれば、選挙の結果につきあるいは異つた結果を生じたかも知れないことは、前記伝達文書の伝達を受けた選挙人の員数、得票数、得票差、有権者数に照し明白であるから、『選挙の結果に異動を及ぼすおそれ』があるものといわなければならない。・・・そして公職選挙法第二〇九条によれば、選挙管理委員会は、当選無効の訴願の提起があつた場合においても、訴願人の主張すると否とを問わず、第二〇五条第一項に該当する事由があるものと認めるときは、必ず選挙無効の裁決をしなければならない」(当選無効請求訴訟事件/大阪高等裁判所昭和30年9月29日判決/昭和30年(ナ)第5号)

◆《判例−4》
「選挙争訟における争の目的となるものは、特定の選挙区、開票区、または投票区における集合的行為(選挙期日の指定、選挙人名簿の確定、候補者の届出、投票用紙の調整、各選挙人の投票及その管理、投票の結果の審査、当選人の決定等多数の行為を包括する集合的行為を指す)としての選挙の全体の効力であり、選挙が全体として法律上の効力を保持しうるかどうか、換言すれば選挙の管理執行の手続が適法にして且選挙が自由公正に行われたものであるかどうかが争われるものである。
 選挙無効原因の一要件としての公職選挙法第二〇五条第一項に所謂選挙の規定に違反するとは所謂選挙の管理執行の手続に関する法規の明文に違反する場合のみならず、明文はなくとも選挙の自由公正な施行を著しく阻害する場合をも指すものと解せられている(昭和二七、一二、四最高裁判所判決)。又右無効原因の他の要件としての同法条に所謂選挙の結果に異動を及ぼす虞ある場合とは、もしその選挙規定違反がなかつたならば、選挙の結果につきあるいは異つた結果を生じたかも知れぬと思量せられる場合を謂うのであつて必ずしも選挙の結果に異動を及ぼすことの確実であることを要しない趣旨であると解せられている。
 而して投票又は開票の管理執行の事務に従事する選管委員会職員が右管理執行事務に従事中選挙の管理執行の規定に違反して不正行為をなした場合においてそれらの投票数が算定出来ない場合には特に之等の投票の効力、投票の概算数等の観点から明かに選挙の結果に異動を及ぼす虞なしと認められない限りは選挙の結果に異動を及ぼす虞あるものと解するを相当とする。
 次に公職選挙法第二〇五条に所謂選挙の一部無効とは特定の選挙区全体に関する場合のみならず特定の選挙区内に数個の開票区又は投票区が設定せられている場合に一個又は数個の投票区若くは開票区における投票又は開票等の所謂集合的行為としての選挙全体の効力の無効である場合をも含むものと解せられる。」(徳島市議会議員選挙無効等事件/高松高等裁判所昭和31年6月14日判決/昭和30年(ナ)第5号,昭和30年(ナ)第6号,昭和30年(ナ)第7号)

◆《判例−5》
「選挙の規定違反があり選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、当該選挙の全部または一部を無効とすべきことは公職選挙法二〇五条の規定するところである。 前記原判決の認定にかかる本件選挙に際しての投票の不正混入及び抜き取りが選挙の規定に違反することはいうまでもない。
 選挙事務従事者のかかる悪質の規定違反は選挙の公正について一般選挙人に対し甚しい疑惑をいだかせるものであつて、選挙の自由公正及び選挙制度の信用保持の上からもかかる選挙の結果を維持することは許されるべきではない。
 もとより、その混入抜取数が確定でき結果に異動を及ぼす虞がないことの明白な場合は格別、本件の場合のようにその数も確定できない場合においては本件選挙を無効とするよりほかはないのである。」(判例−5の上告審/最高裁判所第3小法廷昭和33年4月15日判決/昭和31年(オ)第843号)

◆《判例−6》
「選挙の公明性は、はじめに投票が真正の選挙人の自由且つ公正な意思に従つてなされることによつて確保されるのであるから、真正の選挙人を選別するための手続である選挙人と選挙人名簿との対照確認が厳正に行われるように配慮することは、信を選挙につなぐためにも、選挙の管理執行機関としてゆるがせにできない事項であるといわなければならない。してみるとこの点に関する選挙法規はこれを厳格に解釈すべきであつて、かりそめにも便宜に堕するが如きことは許されないものと解するのが相当である。
 ・・・このような市委員会の規定違反は選挙の自由公正に対する一般選挙人の疑惑を避けることができず選挙制度に対する信用を阻害することは免れないので、かくてなされた選挙の結果を維持することは本来許されないものといわなければならないが、更にかゝる規定違反にもかゝわらず選挙の結果に異動を及ぼす虞がないことが明かであれば格別、むしろかゝる規定違反からして少くともさきにあげた中島輝光名義の投票をなすに至らしめたものとも推察できるし、しかも本件選挙における最下位当選人と次点者二名の得票数がともに同数であることに着眼すれば、右違法は選挙の結果に異動を及ぼす具体的可能性があるものといわなければならない。
 しかして本件は一二投票所中の一投票所に生起したものではあるが、さきに記したように全市が一開票区となつている以上、一の違法を他と区別するによしないので、本件選挙は結局その全部を無効とせざるをえない。」(選挙無効裁決取消請求事件/福岡高等裁判所宮崎支部昭和33年9月11日判決/昭和32年(ナ)第2号)

◆《判例−7》
「開票に際し、投票箱の中から不成規の紙片一一八枚(内一一七枚現存)が発見され、右紙片は選挙人により投票所において投票箱の中に投入されたと思われること、形状、紙質からみると、右紙片投入行為に組織的集団的な計画性が認められる。そうすると右事実は本件選挙の管理執行機関において選挙の管理執行に関する規定に違反したということはできないとしても、少くとも選挙の事務処理に適正を欠き、選挙の自由と公正が阻害され、そのため選挙の結果につき選挙人において多大の疑惑の念を生ぜしめる結果となつたといわねばならない。
 本件選挙は、選挙の管理執行に関する規定に違反し、選挙の管理執行機関において選挙事務処理に適正を欠き、選挙の結果につき選挙人に多大の疑惑の念をいだかせ、選挙の自由と公正の理念が全体的に阻害されたと認められるから、本件選挙はこれを無効とした被告の裁決は正当であり、これが取消を求める原告の本訴請求は失当である。」
(町議会議員選挙の効力に関する訴願裁決取消請求事件/仙台高等裁判所秋田支部昭和37年2月28日判決/昭和34年(ナ)第3号)

◆《判例−8》
「本件選挙の投票数は一、一〇六六票で投票者数は投票録を基礎とする場合は一、一〇三九人となり過剰票が二十七票存在し、投票用紙使用枚数は一、一〇四〇枚であることは当事者間に争がない。
・・・・然らば右認定事実は投票用紙の管理更に選挙の管理執行が著しく厳正を欠き選挙の管理執行の規定に違反するものであることが明白である。
 右各選挙法違反の事実につき原告等は何れも投票の瑕疵であつてその投票数を確定し得べく所謂潜在無効投票として扱へば足り選挙無効の事由ではないと主張するが、詐欺投票を故意に看過したり、過剰投票を生じた所以を解明できないのは何れも町選挙管理委員会の事務を行う係員が選挙の管理執行に当り甚しい違法を行つたか又はその違法行為に基因するもので、右違法は選挙の公正に対し著しく疑惑を抱かせるものであつてしかも本件選挙の開票所が一ケ所であることは選挙全部の結果に異動を及ぼす可能性は十分である。
 かゝる選挙は公職選挙法第二百五条に則り全部無効とすることが選挙の自由公正を理念とする法の精神に照して当然である。」(町会議員選挙無効裁決取消請求事件/広島高等裁判所昭和31年9月27日判決/昭和31年(ナ)第1号)

◆《判例−9》
「同法は選挙の効力に関して選挙人又は候補者に広く異議申立の権能を認めており、その異議申立につき市町村選挙管理委員会の為した決定に不服ある選挙人又は候補者は所定期間内に都道府県の選挙管理委員会に訴願をなし得るのであつて、直接不利益を被るべき候補者に限定すべきでないのは勿論、異議申立をなした者たることも要しないものと解するのが相当であるから、被告のなした本件裁決には、原告等主張のような違法な点はない。」
「本件における右氏名掲示の脱落が選挙の結果に異動を及ぼす虞れがあるか何うかの点について考えてみるのに、・・・前田の氏名の掲示の脱落がなかつたとすれば、候補者の得票に多少の異動を来たしたであろうことは想像に難くないのみならず、本件選挙における最下位当選者の得票は八九二票で、最高位落選者の得票は八七六票であり、その差僅かに一六票にすぎないことは本件当事者間に争いのないところであるから、右前田の氏名掲示の脱落は、結局選挙結果に異動を及ぼす虞れありとの結論に達せざるを得ない。
 氏名掲示の脱落が選挙の結果に異動を及ぼす虞が全くないものとは断定し難いのである。従つて本件選挙の第七開票区の選挙は無効と認むるの外ない。」
(市会議員選挙無効裁決取消請求事件/福岡高等裁判所昭和30年1月26日判決/昭和29年(ナ)第1号)

◆《判例−10》
「開票区内の各投票所および開票所における選挙事務従事者の不正行為ならびにその不正行為の故意の看過が選挙の結果に異動を及ぼす虞のあるものに当たる」(選挙無効決定取消請求事件/福岡高等裁判所昭和35年11月21日判決/昭和34年(ナ)第2号)

◆《判例−11》
「・・・・而して法第六六条第二項によれば、開票管理者(本件選挙にありては選挙長)は、開票立会人(本選挙にありては選挙立会人)とともに、当該選挙における各投票所の投票を開票区ごとに混同して投票を点検しなければならない旨規定し、法第六七条によれば、投票の効力は開票立会人の意見を聴き開票管理者が決定しなければならない旨を規定している。そして右各法条の趣旨とするところは、開票事務が公正に執行せらるゝことを担保するに出でたものであつて、若し開票事務が右各法条に違反して執行された場合に於ては、右開票事務は公正に執行されたことの担保を失い、選挙の公正を害しその結果に異動を生ずる虞あるものといわねばならない。
 ところで、叙上認定の事実に徴すると、選挙長及び選挙立会人は、本件選挙の開票手続に於て、その投票の大部分について之を点検せず且つ投票中有効投票の大部分及び無効投票の一部については選挙長は選挙立会人の意見を聴くことなくその効力を決定したものというべく、右は正に前示各法条に違反したものであり、右違反は本件選挙の投票の大部分についてなされた効力の決定が公正に行われたことを保証し難く選挙の結果に異動を及ぼす虞あることは容易に推測し得るところであるから、本件選挙を無効たらしめるべき原因と解し得るのである。」
(裁決取消請求事件/福岡高等裁判所昭和32年7月31日判決/昭和30年(ナ)第4号)


          以 上