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2005年7月25日
多治見市教育委員長 柴田 満里子 殿
多治見市教育長 岡田 幸三 殿
多治見市教育委員 各 位 殿
要請書
多治見市の子どもたちの教育に対する皆様方の日ごろのご努力に、敬意を表します。
今年は来年度から公立中学校で使用する教科書を選定する年にあたり、皆様方におかれましても最良の教科書を採択するよう調査を続けておられることと思います。先般は市役所で調査対象となる教科書を市民の閲覧に供され、市民の意見も集めておられたことは、先回の教科書選定時同様大変良いことで、是非選定の参考にしていただきたいと思います。
全国的には、扶桑社の公民と歴史の教科書が大変大きな話題となっており、私たちも強い関心を持たざるを得ません。上記教科書閲覧においても、扶桑社の教科書と他社の教科書との違いに注目して検討してきました。扶桑社の公民教科書は、自衛隊の海外派兵の写真をグラビアページの真っ先に掲げたり、日本と諸隣国との間の領土問題をことさら排外主義的に取り上げ、また国防の義務を強調するなど、紛争への武力解決に対する肯定的な姿勢に貫かれ、多くの問題点があります。また全体として現憲法を軽んじるばかりか、改憲を示唆する姿勢が現れており、民主主義国家における教科書として極めて不適当であると言わざるを得ません。扶桑社の歴史教科書の最も大きな問題点は、太平洋戦争を大東亜戦争と呼んでいることに象徴的に表われているように、アジアの民衆に多大な被害を与えた日本によるアジア侵略を正当化し、加害の事実を伝えていないことです。扶桑社版教科書の執筆者の多くが所属する「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」と略します)は、日本の子どもたちが自国を誇れるような教科書を、と言いますが、自分に都合の悪い事実を隠してつくられる誇りなど、砂上の楼閣に等しいことは明らかです。加害の事実を潔く認め謝罪して初めて、アジア諸国との真の友好が可能になり、対等の関係として本当の誇りを持つことができるのです。子供たちには真実を学ぶ権利があります。扶桑社の歴史教科書は、子どもたちに誤った判断をさせる教科書であり、近隣諸国との紛争を助長させる最も不適切な教科書と言うべきです。
また、扶桑社と「つくる会」は、自分たちの教科書採択が有利になるように、他者を誹謗・中傷する文書を大量に配布し、さらに、検定申請本(いわゆる白表紙本)を教育関係者に配布するという公正取引委員会が禁じている不法行為を行い、何度も文部科学省に注意を受けています。このようななりふり構わぬ不法行為を行う扶桑社と「つくる会」は教育に携わる資格に欠けており、そのような執筆者・発行者の教科書は、排除されるべきと考えます。
以上、私たちは、内容においても、執筆者・発行者の非倫理性からいっても、扶桑社の教科書は教科書として不適切であると考え、したがって、貴委員会がこれら教科書を決して採択されないことを要請します。
要請者13名氏名住所連記 連絡先:寺尾光身 平野町4-81-53
E-メール:teraoter@mint.ocn.ne.jp