県議会関連情報非公開処分取消訴訟の経過

         2001/7/22
             くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
                      事務局 寺町知正 
    TEL・FAX 0581−22−4989
                   ケイタイ 090−1827−0949

◆99年7月12日(月)に岐阜地裁に提訴
◆被告は岐阜県知事・岐阜県教育委員会教育長の二機関
◆原告は県民ネットワークの運営委員の10名
◆岐阜地裁平成11年(行ウ)13号 
《氏名等非公開処分取消請求事件》(民事一部)
◆00年7月19日地裁判決

◇00年8月1日付け県側が控訴。住民は1月16日付け附帯控訴
◇名古屋高裁民事4部 平成12年(行コ)39号、平成13年(行コ)3号
◇弁論期日 11月2日、1月16日、2月13日、3月22日、5月17日
◇01年7月26日高裁判決

◆《経過》
 岐阜県は情報公開条例を施行して7年目になります。しかし、当初より条例に反して、需用費・食糧費や旅費に関する文書において、当事者や参加者など関係者の氏名等あるいは請求書などに記載された店名や担当者、口座名などを非公開として来ました。公務員氏名については一部条例改正しましたが、改正施行日以前に作成した文書は、現在でも従前の黒塗りのままで、本質的には、非常に後退した情報公開状況です。 内容は「条例制定(95年)以後の毎年の文書に関して、需用費・食糧費や旅費に関する文書の、当事者や参加者など関係者の氏名等あるいは請求書などに債権者情報」を非公開とした処分の取消を求める行政訴訟です。
 これは、98年7月21日提訴した(岐阜地裁平成10年(行ウ)13号)《県議会食糧費・旅費支出金返還請求事件》【97年度、県議会常任委員会に関係した宴会等の食糧費(約800万円)とその二重払い】【視察の旅費(約1700万円)】【会期中会議日でない日に登庁しただけで支給した旅費(約1500万円)】の返還(合計約4000万円)などを求めた住民訴訟の内容を基礎づける文書の墨ぬりをなくす、つまり宴会、宿泊等をした飲食店、旅館、ホテルに関する情報や、参加者名等を明らかにさせる、ということでもあります。
 さらに、現在、岐阜県の職員は、公開請求を受けたき、公開非公開の判断に当たっては、個々の非公開理由への該当性の検討のほかに、文書の作成・取得時期によって、4つの段階に分けて検討する必要があり、大変繁雑な作業を強いられています。これは、当初からの条例の解釈を誤って運用し続け、しかも溯っては運用改正しないという頑なな岐阜県の姿勢に原因があります。この訴訟は、その整理をする、という目的もあります。今回の処分が取り消されれば、今後の一般的な公開文書は墨塗りがほとんどなくなるでしょう。

◆《訴訟の争点》
※職員・県議・民間人の氏名等を個人情報(1号)として、どう評価するか
※県に物品や会場等を提供した債権者に関する情報(4号)をどう判断するか
※県の条例や運用の改正による公開度合いの変更をどう評価するか

《非公開部分と理由=県側の主張》

◎《本件非公開処分の存在》
 99年5月17日請求の
 【県議会と執行部の懇親会(6委員会×6回/年)】
 【視察(6委員会×3回/年)】
 【視察時の宴会(6委員会×4泊/年)】
 【視察時の昼の会議・懇談】
に関する旅費や食糧費」に関する文書。
 これに対して、同年5月26日付けで、一部を非公開とする知事や教育委員会の処分がされた。
(類似処分が多数だから、6委員会のうち、企画経済委員会と文教・警察委員会分のみ提訴した)

◎(非公開部分)《出席者名簿中の職名及び氏名欄》
◆出席者名簿中の職名及び氏名欄には、懇談会の相手方(県議や他の自治体職員等)及び懇談会に出席した県職員に関する情報が記載されており、これを公開することにより、特定の個人が識別され、又は識別され得るため(第1号に該当)。個人情報は原則非公開である。

◎(非公開部分)懇談に参加した私立学校職員の職氏名
◆特定の個人が識別される(第1号に該当)。個人情報は原則非公開である。

◎(非公開部分)債権者に関する情報
◆債権者に関する情報には、債権者及び債権者に係る住所、店名、印影、口座番号等の情報が記載されており、これらは債権者の内部管理に関する情報であり、これらを公開すると、債権者の営業の実態、取り引きの状況が明らかとなり、当該債権者の競争上の地位その他正当な利益が損なわれるため(第4号に該当)。

◎(非公開部分)公開請求された同行職員の旅費以外の情報。
        同行職員の旅費とそれ以外の旅費とが合算された情報。
◆同行職員の旅費以外の情報及び旅費が合算して関係書類が作成されているため、これらを併せて公開すると、全て公開請求の旅費であると混同されるため。

《住民の主張》
◆ 第1号(個人情報)への非該当性
 第1号は、「個人に関する情報」であって、かつ、「個人が識別できるもの」を非公開の対象としている。本件非公開部分はいずれも、公的な活動に関するものだから「個人に関する情報」に該当しない。

◆ 第4号(事業活動情報)への非該当性
 債権者及び債権者に係る住所、店名、印影、口座番号等の情報は、通常の取引において公になっている情報であり、およそ「競争上の地位その他正当な利益が損なわれる」類いの情報などではあり得ない。
 (控訴審で)仮に本文に該当しても、但し書きに該当するから、公開すべき。

◆ 合算情報の非公開の違法性
 右情報を非公開とすることを正当化する根拠条文が示されていない以上、違法である。他との混同のおそれについては公開手続きの際、実施機関において請求者に対して説明すればよいだけのことである。

《地裁判決》
  債権者の印影、口座番号は非公開で適法。その他の情報の非公開は違法で取消。
 公開請求以外の情報、合算情報については公開義務はないから、非公開でもよい。
 訴訟費用は、県が9、原告住民が1の負担とする。