北方住宅居住者アンケート集計委託費返還請求書


第1 請求の要旨


1 岐阜県は、96年から00年にかけて、県営北方住宅南ブロック(430戸)を建設した(第1号証)。続いて、中北ブロックの建替(620戸)に着手した。

2 00年度、「新しい居住様式のあり方について、『ハイタウン北方』の成果や最新住宅事情を交えて討議する」ことを企画、01年3月22日、ハイタウン北方国際シンポジウムを開催した。当該企画は、民間業者に委託された(第2号証)。 業務仕様書(第3号証)にも、委託事業費積算内訳(第4号証)にも居住者アンケートはなく、見積書も同様で(第5号証)、雑費は5万円である。

3 県は、シンポジウムに使う目的で南ブロックのアンケートを実施するため、職員らがアンケートを作成した。1月の冒頭に「中ブロックの建替計画に資するとともに、シンポジウムに活用するため」「締めきり 1月31日」と明示して、配布した(第6号証)。居住者アンケートはごく簡易な調査項目であり、4頁ずつで、4棟ごとに質問が少しずつ異なる(第7号証)。

4 シンポ委託は、他の業務の一部変更があり修正された。この際に、「雑費 アンケート作成・集計アルバイト費他 10万円」として追加され(第8号証)、事業報告も同様である(第9号証)から、アンケート経費は5万円である。そもそも、当該事業者には居住者アンケート等を立案・集計する能力はない(第10号証)。

5 01年7月、請求人らが集計結果を公開請求したところ、たった4枚だった(第10号証)。本件請求人らは、「居住者の声を次の建て替えに生かすには、集計しなければ反映しようがない」、と厳しく問うた。

6 調査の専門家は、この集計結果について「これは『集計』したものではない」という。
7 アンケート結果は、結局、前記シンポでは、「当日開会前にメモとして司会者に『まとめ』(第11号証)を一組渡した」だけ、という。アンケートの回答が極めて不評だったから放置した、と考えるのが合理的である。

8 中北ブロックの基本設計委託は8月28日に磯崎新アトリエらと随意契約され(第12号証)、委託仕様書の中で、アンケート集計が明示されている(第13号証)。
 この事情について、県は、「アンケートを反映するように指摘されたので、委託にいれた。今から、どの程度反映できるかは不明」という。
 即ち、シンポ委託業務で集計しなかったのは明らかである。

9 請求人は、監査委員に対して、シンポ委託業務の中では何ら居住者アンケートの作成・集計がなされておらず、事実行為のないことに対して県費を支出することは許されないから、住宅課長もしくは不当利得者に5万円を返還をすべきことの勧告を求める。

第2 請求者 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク 寺町知正 他10名


 以上、法第242条第1項により、事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
                            2001年11月9日
岐阜県監査委員 各位

          別紙事実証明書目録


第1号証/00年3月30日の南ブロック完成の記者発表レジメ
第2号証/00年11月1日付け、シンポジウム委託業務契約書(案)
第3号証/同業務仕様書
第4号証/同委託事業費積算内訳
第5号証/00年11月1日付け、事業者の見積書。雑費は5万円である。
第6号証/「入居者のみなさまへ」とする1月の冒頭にアンケートの鏡文書
第7号証/アンケートはごく簡易な調査項目。4頁ずつ。棟ごと。
第8号証/2月21日付け、見積書。「雑費 アンケート・・・・・10万円」
第9号証/4月16日付け、請求書。同上。
第10号証/当該事業者の適性(専門分野)故に随意契約して良いとの契約審査会調書
第11号証/「集計結果」であるとして公開された文書、4枚。
第12号証/8月28日付け、中北ブロックの基本設計委託契約書。
第13号証/同業務委託仕様書。アンケート集計が明示されている。      以 上