県営北方住宅建設費一部差止住民監査請求書

第1 請求の要旨


1 県営住宅は公営住宅法(以下、法という)で「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を提供すること」を目的として建設される。県の条例も同旨である。よっ て、通常程度の住宅の確保が本旨であって、居住性及び経済性が最も重視される。通常 の建設費、仕様におさえて、建設戸数増、一戸当床面積増とすべきである。
2 しかし知事は、県営北方住宅中北ブロックの建替えに際して、約110億円の工事費を想定、01年8月28日に基本設計を委託した。「(既建設の南ブロックについて) 素材の使い方、建築技術における新しい技法を提案」、「中北ブロックでは、南ブロッ クでの経験をさらに3次元的、立体的に発展させた方法を提案」としている。
  このような建設計画は、法、条例の趣旨・目的を著しく逸脱している。
3 南ブロック住宅入居者のアンケートは極めて不評であったが、中北ブロックの設計に際して、これを無視している。
4 磯崎新氏がかかわった熊本県営保田窪団地の失敗を生かしていない。
5 県第8期住宅計画を作成していないままの基本設計は法6条違反である。
6 「家賃は、近傍同種の住宅の家賃以下」(法第16条)だから、建設費用等も周辺の民間の実態との乖離は許されない。
7 自治体の原則(地自法第2条12、14、16項、地財法4条1項)にも違反する。 8 計画床面積は46523u、想定本体工事費は66.7万円/坪とみれる。
9 一方、民間分譲マンションの本体工事費の相場は45万円/坪程度である。
10 本体工事費に関して、民間相場を超える額が知事や設計者らの趣味等に因る浪費的支出というべきである。このままでは、違法かつ回復し難い県の損害が生ずる
11 民間相場を超える「21.7万円/坪」、即ち30億円を差止める。
12 本体工事費が110億円でない場合、45万円/坪を超える額の支出を差止める。 13 基本設計に関して、00年の調査業務委託、01年の基本設計委託契約は、違法で無効である。見積書も徴収していないのは、会計規則に違反する。
14 無効な契約に県費を支出することは許されないから、基本設計委託契約額である1億1550万円の支出をしてはならない。
15 住宅課職員が計画文書等の存在を秘匿し続けたことで、本件請求が遅れ、契約が締結された。実質的には基本設計によって本体工事費が決まるから、緊急に差止る必要  がある。
16 よって@基本設計委託契約の違法及び無効確認と改善措置、A基本設計委託料1億1550万円の支出差止、B現計画本体工事費の30億円の支出差止、C本体工事費  が110億円でない場合は45万円/坪を超える額の支出差止、以上の勧告を求める。

第2 請求者 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク 寺町知正 他10名


 以上、法第242条第1項により、事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
                              2001年11月9日岐阜県監査委員 各位

          別紙事実証明書目録


第1号証◆01年3月26日/「基本設計の設計者選定方針について」 
第2号証◆01年6月19日/「プロポーザル選定委員会議事概要」
第3号証◆01年5月25日/「基盤整備部会」資料概要
第4号証◆01年7月 6日/「基盤整備部会」候補者の推薦
第5号証◆01年5月   /プロポーザル実施要領書
第6号証◆01年8月28日/基本設計の「委託業務契約書」
第7号証◆   同    /契約書添付の基本設計業務委託仕様書
第8号証◆   同    /     同      委託設計書
第9号証◆   同    /     同      基本計画
第10号証◆01年8月16日/補助金交付申請書の1
第11号証◆01年8月16日/補助金交付申請書の2(図面、面積按分等)
第12号証◆01年8月16日/補助金交付申請書の3(地盤調査)
第13号証◆01年8月16日/補助金交付申請書の4(特定公共賃貸住宅分)                                         以 上