岐阜地方裁判所民事部御中
                         2001年11月26日

原告 証拠説明書(1)



    原  告 別 処 雅 樹 外18名
被  告 岐阜市長浅野勇  外2名

市長選挙違反職員給与返還請求事件



 ※甲第2〜28号証については、原告らが本件住民監査請求で提出した事実証明と全く同じであり、当該事実証明説明書の記述も本証拠説明書と全く同記述である。新聞記事中の特に関連深いところの一部を摘示して説明した。

◆甲第1号証(原本あり)
 9月19日付けの住民監査請求に対する監査委員の結果通知書

◆甲第2号証(原本あり)
 01年2月14日/岐阜新聞/市長選に関して、市職員の地位利用による選挙運動の容疑での課長の逮捕の記事/「昨年の長野県知事選・・が記憶に新しい。岐阜市はその教訓を生かせず」とされ、紹介者カードも例示されている。

◆甲第3号証(原本あり)
◎01年2月15日/読売新聞/「先月(1月)15日の役員会・・・応援を要請。茶封筒に入った紹介者カード100枚も渡された」 

◎01年3月7日/岐阜新聞/「今年1月21日の市長選告示前後ごろ、市役所内で部下の職員に対して、紹介者カードを渡して氏名などを記入するよう依頼」
◆甲第4号証(原本あり)
◎01年3月11日/毎日新聞/「市役所ぐるみの公職選挙法違反の疑い」

◎01年3月11日/中日新聞/「市役所内には、上意下達のままにカード配布が万延」「8年前の選挙。公用車でチラシも配ったし、なんでもやった」「4年前、市長室長が後援会入会用紙を配った」「職員たちの記入したカードは先月13日、後援会事務所から押収された。参考人として聴取を受けた職員たちは」

◆甲第5号証(原本あり)
◎01年3月14日/岐阜新聞/「千枚ほど持ち込まれ」「名前などが記入されたカードは職員から後援会事務所に届けられた」

◆甲第6号証(原本あり)
◎01年3月15日/読売新聞/「“上意下達”で配布、記入させられていた」「違反行為が当然のように行われていた」「カードは、幹部職員が一般職員に渡し、職員が知人や同級生を紹介者として記入。一般職員らの事情聴取でも」「勤務時間中に庁舎内で、次長から十数枚渡された。それを数人の部下に配って、記入してもらった。記入したカードは、次長自ら回収した」

◎01年3月13日/毎日新聞/「カードの配布が半ば慣例化し、職員の感覚がマヒしていた」「カードは8年前も4年前も今回以上だった」「職員が、積極的に市庁舎内外で票集め」

◆甲第7号証(原本あり)
◎01年3月18日/岐阜新聞/「命令を受けたのでなく、自主的にカードを配った」「市役所内で約千枚のカードが配られた」

◎01年3月18日/読売新聞/「幹部が今木課長の所から戻ってくる際、紹介者カードを持っていた」

◆甲第8号証(原本あり)
◎01年3月27日/岐阜新聞/「事務助役の加藤学氏は同日までに辞職願いを提出。収入役も辞任の意向」

◎01年3月27日/読売新聞/「監督不行届で、責任をとって」

◆甲第9号証(原本あり)
◎01年3月28日/毎日新聞/「逮捕された今木容疑者や加藤助役が県警に相談」「カードの違法性を認識しながらも、庁舎内の違法な運動をエスカレートさせていった」「岐阜中署を訪れたのは、告示日前の1月上旬。」

◎01年3月29日/朝日新聞/「仕えている市長を応援するのは自然なスタイル」

◆甲第10号証(原本あり)
◎01年3月31日/朝日新聞/「(罰金)命令などによると、神戸次長は告示前の1月15日から18日と、告示後の22日の8回にわたって、幹部ら7人に紹介者カードを配り、とりまとめを依頼」「市施設に郵送で送って電話で念押ししたり」「市の出先機関には書類の運送に使う“公的”な便でも送られた」「電話でよびだされ、次長席まで紹介者カードを取りに来た幹部も」「幹部は、残りを部下に配った、回収するたびに神戸次長の席に届けた」「部下の一人は、この幹部から、2枚受け取った。閉庁時間ごろだった」「別の職員は机に腰掛けた課長が紹介者カードをもてあそんでいるのを見て『少しお手伝いしましょうか』と4、5枚もらった」「施設長の机のに紹介者カードが5枚置いてあるのをみた」
◆甲第11号証(原本あり)
◎01年4月4日/中日新聞/「危険なカード認識」「市役所内でのカード配布を黙認。幹部を集めた会議で、職員の動員など選挙運動を指示した」

◆甲第12号証(原本あり)
◎01年4月4日/岐阜新聞/「室長の地位を利用し、職員による選挙運動を指示。公の組織のはずの市役所は市長室を中心に、現職を守る“集票マシーン”の役割を果たした」、市役所内の投票依頼の流れも図示されている。

◆甲第13号証(原本あり)
◎01年4月4日/中日新聞/「2ケ月にわたる捜査」「県警はこれまでに記入済みのカード約1万枚を押収。うち約千枚は市職員が記入、市長室では職員約50人のうち30人近くが上司からカードを受け取ったことが分かっている」「市役所内で部長級の職員を集め、決起集会などへの動員を指示」

◎01年4月3日/朝日新聞/「紹介者カードは、市長室を中心に配られていた」「市長室長は約4300人の職員の労務対策、人事などを把握してまとめる役職」


◆甲第14号証(原本あり)
◎01年4月5日/岐阜新聞/「県警の捜査本部が家宅捜査で押収した資料で、事件を裏付ける動かぬ証拠となったのが紹介者カード。押収した約1万枚のち、市役所に関係するものが約千枚にも上る。カードには記入した本人の名前が書かれ、だれを紹介したのか一目瞭然。事情聴取を受けた職員らは捜査員からカードを見せられ『言い逃れできなかった』。県警は一枚一枚をパソコンに入力し、カードの流れと多くの職員から事情を聞き」「4年前の市長選でも、紹介者カードが庁内に置かれ、県警は当時の幹部職員2人を呼び、警告を出していた。カードは市役所内では半ば慣例化していた」「勤務時間中、庁舎内で当たり前のように行われたカードの受け渡し。職員らの行為を捜査陣が見逃すことはなかった」

◆甲第15号証(原本あり)
◎01年4月5日/中日新聞/「カードは、庁内の業務連絡文書と同じように、職名の序列に沿って下へと渡されていたことが、捜査本部の調べで分かった」として、市長室内の紹介者カードの流れが図示されている。

◎01年4月5日/毎日新聞/「選挙違反の事例を研究する勉強会が、告示前に市庁舎内で市幹部を集めて開かれ、浅野市長も出席していた」「捜査2課も把握しており、幹部らが違法性を十分認識しながら違反行為を」「この勉強会は、昨年11月下旬に開かれた。庁内会議の一つとして計画され、幹部約20人が出席」「講師役として市選管の事務局長が・・約1時間にわたり説明した」「部長たちは、各部でも同じように勉強会を行うように指示され、それぞれの部で勉強会が開らかれた」「捜査2課は、各部の職員までも違反の事例を認識した上で、紹介者カードの配布などに関与していることから、今回の違反は悪質なケースとみており」

◆甲第16号証(原本あり)
◎01年4月7日/朝日新聞/「市長室に約1000枚の紹介者カードが持ち込まれた」「告示前の1月上旬、助役とともに中署を訪れ紹介者カードの配布など選挙活動の相談をしていた」

◎01年4月6日/毎日新聞/「課内の自分の座席の後ろにある紙袋に入れておき、職員が勝手に持っていった形をとっていた」「幹部職員は、秘書課でカードをもらい、自分の職場に持ち帰った。このカードが末端の職員にまで配布されていた」「カードは、コピーを含め1000枚以上にのぼる」

◆甲第17号証(原本あり)
◎01年4月24日/岐阜新聞/「市税務部でも上司から部下の職員へ渡っていた」「職務上の地位を利用して次長に手渡し、各課長、部下職員へと次々と百枚以上のカードが流れ、同部のほとんどの職員に行き渡った」

◎01年4月25日/岐阜新聞/「各部とも上司から部下に次々と流れる形で、ほぼ全体にカードが行き渡った」

◆甲第18号証(原本あり)
◎01年4月26日/中日新聞/「庁内に配った紹介者カードは総計約1千枚。県警は、約10の部局でカードが配られたことを解明していた。」「刑事処分は『部下に対する地位利用の状況、配布に対する積極性やカードの量など』(岐阜地検)で分かれた。『例えば部下が自分で部長にカードを受け取りに来た場合、部長が地位を利用したとは立証できない』と」「これまでどおり、職員組合もカードを配れば、一緒に紛れて分からないと思った。決起大会への動員などと同じように組合活動を隠れみのにできるはずだった。しかし、岐阜市職員労働組合連合会は、内部の意見対立によってカードの配布もしなかった」

◆甲第19号証(原本あり)
◎01年5月3日/朝日新聞/「県警は連日、市幹部から採用1年目の職員までを、捜査本部などに呼び出した。市職員約200人から聴取。各自が記入したカードを特定するとともに、配布された経緯などを詳細に聴き取った」「自分が記入したカードを示され、うそは通用しなかった」「3月中旬以降、事件の舞台は市中枢部へと移った」

◆甲第20号証(原本あり)
◎01年5月2日/新聞/「今後は、まず三役を交えた聞き取り中心の内部調査を行い」「全職員を対象にリポートの提出を求めた」

◎01年5月8日/岐阜新聞/「職員関与を調べる庁内の内部調査対象が百人規模になる」「助役は内部調査を15日まで連日行い、特別委に報告原案を提出することで」

◆甲第21号証(原本あり)
◎01年5月16日/岐阜新聞/「助役が内部調査の中間報告を行った。調査が全部署にまたがり、管理職を中心に200人程度になる。」「両助役ら市幹部5人が聴き取りで行い、14日現在で180人以上が対象。内容は、組織的な紹介者カードの配布・・・上司の指示の有無を含む。既にこれらの行為を複数の部署で確認している」「具体的な調査結果は、プライバシーや事件の公判にかかわる部分は、非公開とする」

◎01年5月16日/読売新聞/「中間報告は、管理職以上の職員に対する聞き取り調査の内容が示された。既に185人から」

◎01年5月16日/毎日新聞/「内部調査は助役ら5人で行っており、14日までに180人を越える」

◎01年5月16日/中日新聞/「助役ら幹部5人が紹介者カードの流れ」

◎01年5月16日/朝日新聞/「助役らによる聞き取り調査は14日までに、この春の退職者を含めて管理職など180人に及んだ」

◆甲第22号証(原本あり)
◎01年5月30日/中日新聞/「調査は、今月8日から24日にかけて、助役ら5人が、主幹以上の240人から面談形式で聞き取りをした。その結果、紹介者カードが流れたのは21部署のうち13部に、関係した職員は計290人(カードをもらったが捨てた人を含む)に上った。さらに、紹介者カードを部下、または同僚に渡したと認めた職員は計69人。内訳は部長級9人、次長級25人、課長級23人、主幹級7人、補佐級5人だった。」

◎01年5月30日/中日新聞/「同市は、選挙活動をした市幹部は約360人のうち約100人を数える、との内部調査結果を発表した。これを受け、同市は、不正な選挙活動にかかわったとして市幹部計82人を処分する」「紹介者カードを部下や同僚に渡したと認めた職員は69人に達する」

◆甲第23号証(原本あり)
◎01年5月30日/読売新聞/「同市が29日公表した内部調査の結果、市役所では290人に現職の市長の紹介者カードが流れ、うち69人が部下や同僚にカードを手渡していた」「内部調査は、職員240人から聞き取りし・・49人が出陣式の日程を部下に教えていた」

◆甲第24号証(原本あり)
◎01年6月23日/中日新聞/「停職中の3人を除く79人のカット総額は101万8684円。処分は、減給、戒告、文書訓告、口頭訓告、厳重注意の5段階。ポーナスは処分に応じて勤勉手当から5〜1%ずつカット。額は一人当たり4千円台から3万円弱」「市長の報酬を今月から6ケ月間、50%カット。」

◎01年6月23日/毎日新聞/「職員が紹介者カードなどに費やした時間の給与のカットについて、『減額しない』と実施しない方針を明らかにした」

◎01年6月20日/読売新聞/「残る79人の職員には、勤勉手当のみ数%ずつ減額する」

◎01年6月23日/読売新聞/「ボーナスを減額」

◎01年6月20日/毎日新聞/「市長自身は6月から減額2分の1、6ケ月とする」

◆甲第25号証(原本あり)
◎01年5月29日/読売新聞/「罪状認否で『間違いありません』と起訴事実を認めた。」「前市長の時代から『ぐるみ選挙』の土壌が培われていた」「93年1月の市長選挙。紹介者カードが職員個々の机の上に堂々と置かれて」、「97年1月の市長選挙。後援会入会申込書を職員に配布、会費も受け取っていたため、捜査当局から警告を受けていた」

◎01年5月29日/朝日新聞/「1月11日、市長応接室に臨時部長会議を招集。『負けさせるわけにはいかない』とげきを飛ばした。出陣式への出席・・を依頼した」

◆甲第26号証(原本あり)
◎01年5月29日/岐阜新聞/「昨年12月中旬、臨時部長会議を招集して応援要請。」

◆甲第27号証(原本あり)
◎01年5月29日/岐阜新聞/冒頭陳述要旨。「(1月)22日月曜日。秘書課長が『市長室にはカードは配っていませんがどうしましょうか』と言い、他の部にも配っておきながら、市長室に配っていないのはまずいと思った。」「同日午前10時ころ、課長会議を開いた。席上、『皆さんにカードを渡す。それを市長室の職員にも配ってほしい』と指示した」「同日昼ころ、自席において、『これ、頼む。各課の人数に応じて渡してくれ』と言いながら紹介者カードの入った封筒を手渡した」

◆甲第28号証(原本あり)
◎01年6月23日/中日新聞/「証人として、元同市市長室長が『市長室長が職員に指示しなくても、市役所の慣例で職員は自主的に運動をしたと思う』と被告を擁護した」

◎01年6月23日/岐阜新聞/「告示前後の16日から23日ごろにかけて、・・と共謀。市役所庁舎内なとで各部と市長室の幹部職員に紹介者カードを配るなどして、とりまとめを依頼した」

◎01年6月23日/朝日新聞/「被告側は『職員の選挙運動は市役所の慣例だった』との主張を繰り返した」「江口前室長は、『江口さんがしなくても職員は選挙運動をやりましたか』との問いに、はっきりと『はい』と返答」

◆甲第29号証(写し)
 岐阜市訓令乙第6号(平成13年4月24日)/選挙違反事件に係る職員懲戒審査特別委員会規程/岐阜市長は、否定することのできない選挙違反事件の事実関係を認識しているからこそ、個別職員に関する委員会を設けたのである。

◆甲第30号証(写し)
 前記の委員の任命内申。弁護士会や民間法人に委員の推薦を依頼したとおり、事実関係の認識を前提に対社会的に協力を求めたのである。

◆甲第31号証(写し)
 市政記者クラブに記者発表資料として市が配布し公表した内部調査の概要。紹介者カードが流れた部署として13部290人であることを報告している。動員依頼等もある。岐阜市は個別具体的に職員の関与を認識しているのは明白である。
◆甲第32号証(写し)
 処分の概要。少なくても、処分対象者については、選挙違反行為及びこれへの関与が明確に認識されていることは、疑いない。

◆甲第33号証の1(写し)/ 7月2日付け原告らの申し入れ書。

◆甲第33号証の2(原本あり)/ 8月20日付け市の回答書。

◆甲第34号証の1、2(写し) 情報公開された市職員の休暇整理簿。職、氏名、勤務していない日、その他の情報が明らかにされている。

◆甲第35号証の1〜4(写し) 離籍簿。職員が所属部署の自席を離れるときかつ出張手当等のつかない市内近郊の場合の記録をすると定められている帳簿。押印、職氏名、用務内容や行先、車の公私種別、時間等。5分単位。

◆甲第36号証の1、2(写し) 公用車運転の記録。各種情報。5分単位。    以 上