北方住宅再生・活用計画策定委託費
500万円返還住民監査請求書



第1 請求の要旨
1 県営住宅は公営住宅法・条例に拘束され、居住性及び経済性が優先する。

2 県は、県営北方住宅建替計画立案を法令に反して随契し、4月2日に磯崎新アトリエに500万円を支出した(1号)。

3 委託要領は「入居者の高齢化、建替からストック活用へ方針変化等により再度調査検討」(2号)、「住まいや建替に対する意向の変化」「調査結果分析し、具体的計画への移行の必須要件抽出」「高齢化への対応方策を最重点項目」等である(3号)。

4 しかし、磯崎アトリエが最終までの全体チーフが既定、として計画策定された。

5 「試み」「提案」「それぞれの担当区域は立体的に錯綜」(4号39頁)。「国内外の若手建築家のほか、住宅メーカーも参画」「できるだけランダムに」「設計の舞台を提供」(4号40頁)。「建築家は敷地の制約からはなれて、空中の一領域をデザイン」「住戸提案を3次元的に積み上げ1つの統合体にするときに生じる構造・設備などの技術的問題を相互調整」(4号41頁)。

6 前駆の南ブロックでは、変形の建築の接合や建造に困難を来して経費が一層高額になり、かつ居住者の大不評をかったことを無視し、計画の斬新さに着眼しただけ。

7 住民アンケートでの希望は、「低家賃」「住み易い間取り」「日当たり良」「風通し良」「外観、内装共にシンプル」「南向き」「ベランダ広く」「既設類似の間取り」等だが(5号27頁)、報告には全く反映されず(報告全体、6〜8号等)、契約違反。

8 「(熊本)保田窪第1団地は・・賛否両論であった。・・私がクライアントである岐阜県知事に(北方住宅について)提案したのは・・梶原拓知事は、私の提案を即時に了承した。1994年であった。」(建築ジャーナル99年12月号)。ここに端的な、知事と磯崎氏との個人的な趣味の実現を県費ですることは許されない。

9 「icc online インタビュー・シリーズ/磯崎新/「人間が入らなきゃいいんです。人間が入ってさえいなければ建築の型は変えることができる」。「静岡県立の小劇場『楕円堂』が、消防本部と保健所の立ち入り検査で使用中止」。このような建築家に計画を随契したことは誤っている。

10 ストック活用放棄の積算根拠もない。県財政は特に厳しい。本件調査結果を唯一として110億円の建設費を予定させた責任は重い。

11 違法で無効かつ委託の目的を逸脱した契約に対する根拠を欠く県費支出で県の損害が生じた。よって、知事と住宅課長に金500万円を返還するよう勧告を求める。

第2 請求者 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク 寺町知正 他10名
 以上、自治法第242条第1項により、事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。                2001年11月28日岐阜県監査委員 各位
 
         別紙事実証明書目録
第1号◆2001年4月2日/ 「北方再生調査委託契約」委託料の支出金調書
第2号◆00年6月15日付け/ 「北方住宅中ブロック再生・活用調査業務委託要領」
第3号◆同/ 上記要領の明細と調査の主眼項目の明示
第4号◆01年2月28日付け完了/ 上記委託契約の成果物である「報告書」の抜粋
第5号◆同/ 上記報告書中のアンケートの集計結果の抜粋
第6、7号◆同/ 上記報告書中の図面の一部。設計計画の骨子ができあがっている。
第8号◆同/ 上記報告書中のデータ。建築する住戸の基本を定めた。 以上