首都機能移転情報非公開取消訴訟の概略
国レベルでの首都機能移転の決定も延期が続いていますが、この訴訟の判決も3月29日、5月29日、7月31日と延期が続いてきました。
《提訴》2000年11月27日。岐阜地裁平成12年(行ウ)24号民事2部
《請求の趣旨》被告岐阜県知事が原告に対して01年11月8日付けでなした地域計画政策課の文書の一部を公開しないとの部分公開決定処分を取り消す。
《当事者》原告・県民ネット運営委員ら11人 被告・岐阜県知事梶原拓
《要点》 2000年11月8日付けで、被告知事に対して公文書の公開を請求したところ、岐阜県知事は、11月18日付けで「地域計画政策課において、首都機能移転誘致事業に関連して、95年度から2000年11月8日までに、計画立案等のために外部委託した契約仕様書、見積書、契約書。上記に関連する物品購入等契約審査会調書及び伺書。」を部分公開とする決定を行いました。
首都機能移転という国の将来に決定的な影響を与える計画に関して積極的に手を挙げながら、これらの情報を非公開とする姿勢は、岐阜県民としてはもちろん、国民としても大きな不信と疑問をもちます。背信行為ではないか、とまで考えます。
また、自治体が様々な新規事業を計画立案するに当たっては、コンサルタント等に委託することがよく見受けられます。企画事業は、将来の方向を示す意味でも重要でその自治体の「横顔」ともいえます。この委託の際に、岐阜県は、入札によらず随意契約によって業者を委託することが多過ぎます。私たちは、過去に随意契約の抑制を求める要望書を提出しました(00年7月13日)。今回も、大部分が随契です。ですから、この随契の業者の選定理由や見積書などの検証も必要です。
そこで、非公開処分の取消を求めて提訴しました。
《該当する岐阜県の首都機能移転関連委託事業は合計17件》。
◆非公開とされた情報
《条例6条1項1号(個人情報)該当に関して》
@契約審査会調書中の個人氏名推認情報
A見積書中の会議出席委員の旅費、住所(市町村名)
B入札書中の代理人の役職、氏名、印影に関する情報
《条例6条1項4号該当(事業活動情報)該当に関して》
C見積書及び契約書(一部は請書)中の債権者(一部は指名業者)名称、所在地、名称、印影等
D契約審査会調書(議事録)中の債権者・入札指名業者の評価、調査実績等や議事内容
E契約審査会調書中の指名業者に係る調査実績や従業員数
F見積書及び契約書(一部は請書)
◆原告のみる判決の位置付け・・・「Dの事業者の評価」は、いわばテストの成績表のようなものですから、これが公開となれば画期的です。
◆「C見積書」は、随分と詳細なものもあり、事業者名が公開されれば、「それぞれの事業者の見積単価」が明確になるわけで、自治体に膨大にある全ての契約に影響が及びます(愛知県は事業者名を公開し、見積書は全面を墨塗りしています)。
◆これらが公開になれば、岐阜県の通常の文書は、ほとんどが全面公開になるでしょう。 以上