次回第4回期日01年6月27日(水)10時〜
平成12年(行ウ)24号 首都機能移転情報非公開処分取消請求事件
原告 寺町知正 他10名
被告 岐阜県知事 梶原拓
準備書面(3)
2001年6月17日岐阜地方裁判所 民事2部 御中
原告選定当事者 寺 町 知 正
原告選定当事者 山 本 好 行
記
第1 本件条例の趣旨、目的や原則の解釈
本件条例の趣旨、目的については、訴状第三の一で述べた。
「岐阜県情報公開条例解釈運用基準」(県が作成した情報公開の手引き。以下、手引きという。甲第36号証)では、第1条に関して、趣旨として、「本条は、条例の目的を明らかにしたものであって、条例第3条の規定と併せて、条例の解釈・運用の指針となるものである。」とされ、続く解釈運用基準の1にも「この条例が制定されたことにより、実施機関が管理する公文書について公開を請求する県民の権利に対して、実定法上の根拠が与えられたことを明らかにしたものである。したがって、実施機関は、条例で定める要件を満たした公文書の公開請求に対して、当該公文書の閲覧又は写しの交付に応じなければならない義務を負うことになる。」とされているのである。
第2 愛知県の公開状況
1 愛知県は、本件と同様の首都機能移転構想を含めた企画関係の契約書等を公開し、事業者に関する名称、住所等を明らかにしている(但し、事業者の印影及び金融機関名、口座番号は愛知県の従来よりの一般的方針として非公開としている)(甲第37ないし39号証)。
また、両県の委託契約書を比較すると、岐阜県の委託仕様は簡単であるが、愛知県の委託要綱は詳細である。
2 岐阜県は随契とした理由の核心を非公開としているが、愛知県が本件原告らに対して提供した随意契約理由の一覧(甲第40号証)において、極めて内部的、特殊な事情と考えられる随契理由に関しての情報を明らかにしている。それは、以下に摘示する部分に象徴的である。これは、愛知県が情報公開条例に照らして公開しても支障がないと判断し、同時に、随契の公正・適正確保の見地からも公開の必要性が高いものとして公開しているからである。
95−B契約は、委託先の地域問題研究所が他の調査事業を受託したことを具体的名称を挙げて示し、さらに「過去5年間において、すべて実施している調査機関は、他にない」としている。
95−C契約は、「本調査の条件を満たす機関は、5機関に限られる」とし、さらに「県内に専門員の常駐する調査機関」、「この条件を満たすのは、(株)宅地開発研究所のみである」としている。
95−D契約は、・・「協会は、通産省が進めている大深度地下空間開発技術調査を受託し、大深度地下利用に関する最先端の技術技能を有している」としている。
95−E契約は、中部地建の「・・・検討」を受託しており、「国、調査対象地域自治体、経済界等とそれぞれに太いパイプや広域的な枠組みに関する・・・」とされている。
95−F契約は、「本県の調査は、JA、住・都公団と連携して進めることにしており、他の調査業者を選定した場合、(株)都市研究所スペーシアの作った非公開調査データを流用することは不可能である。」、「住・都公団の共同調査と同じ調査機関である必要がある」としている。
96−A契約は、95−C契約と同様である。
96−D契約は、「本県の調査は、JA、住・都公団と3市による調査に基づき、そこでの課題を踏まえながら・・・」としている。
98−E契約は、「本調査は・・踏まえつつ、一部を補完・充実させる調査を実施する」、「開発可能地等多数の情報が含まれており、見積徴収のために多数業者に調査内容を閲覧させることは秘密保持上窮めて・・」としている。
98−F契約は、「平成9年度、ランドブレイン(株)に委託し、取りまとめた中間検討資料をベースに最終報告を取りまとめる必要がある。」としている。
3 また、愛知県は委託契約した受託者の名称・住所の一覧も提供している(甲第41号証)。
なお、岐阜県は入札執行一覧表(甲第6号証の3、甲第7号証)において、設計金額については非公開としていが、愛知県は、設計金額も明らかにしている(甲第38号証の最終頁の右上部分)。
第3 岐阜県と愛知県の契約の比較
1 岐阜県は企画関係の調査委託において、随契が極めて多い。これは愛知県の企画関係の調査委託の状況の比較からも明らかである。それは次のように件数・金額において明瞭である。
さらに、岐阜県会計規則第141条(甲第2号証の1)が随契の場合、複数社より見積を徴収する、としているにもかかわらず、最初から特定一社ありきで随契することが著しく多いことも分かる。
2 (1) 岐阜県の首都機能移転対策室がおかれた企画調整課(現在の地域計画政策課)が計画立案のために95年から99年度に外部に委託した事業についての調査集計(甲第42号証)(よって、00年10月委託の本件契約Pは、集計に含まれていない)によると、以下が明らかである。
(2) 岐阜県においては36件の契約がなされ、うち入札はたった1件で、315万円であった。一方、随契35件のうち、最高は1800万円で、他に1000万円が5件ある。1件当たりの平均額は622万5千円であった。
なお、岐阜県の1800万円もの最高額の随契は本件委託契約G「『中央都』構想の策定調査」(乙第8号証)であり、次に高額である1000万円の随契のうち2件が本件委託契約E「新首都の都市システム(サステイナブル・キャピタル)に関する調査(乙第6号証)、F「新首都の都市システム(メディア・キャピタル)に関する調査」(乙第7号証)である。
(3) これに対し、愛知県の企画課が計画立案のために95年から99年度に外部に委託した事業についての調査集計(甲第43号証)によると、以下のことより明らかである。
愛知県においては28件の契約がなされ、1件当たりの平均額は395万6千円であった。うち入札は12件で、最高は945万円、1件当たりの平均額は474万8千円であった。随契は16件で、最高は798万円で、1件当たりの平均額は336万1千円であった。
(4) これらの要点は次表の通りである。
Webページではけい線を略しました。
岐阜県 (千円) 愛知県 (千円)
総合計 件数 合計金額 36件 221021 28件 110760
一件平均額 6139 3956
うち入札分 件数 合計金額 1件 3150 12件 56981
うち最高 ― 9450
うち最低 ― 1050
一件平均額 3150 4748
うち随契分 件数 合計金額 35件 217871 16件 53779
うち最高 18000 7980
うち最低 2257 1360
一件平均額 6225 3361
即ち、随契に関して、岐阜県は愛知県のおおよそ倍の件数であり、1件当たりの平均価格も、概ね愛知県の倍の額になっているのである。
これからも、公正・適正確保のためにも、岐阜県の随契における透明性は格別に重要、というべきであって、本件情報の公開、特段に随契理由の公開の必要性は高いのである。
(5) 愛知県の入札に参加した業者、つまり愛知県が受託する能力があると判断して指名した業者は多数ある(甲第44号証)。
一方、岐阜県は、ほぼ全ての事業について、特定一社とせざるを得ないとして随契に付し、岐阜県が指名入札にしたのは一件である(甲第44号証)。同一社が岐阜県では特別の事情があって一社指名(随契)とされ、これに対して、愛知県では多数社のうちの一員として指名されているのは、極めて理解しがたいことである。
結局、地方自治法第234条2項、同施行令第167条の2の1項各号に適合しているのかの疑念すら生じるのである。
同規模の自治体の同種の事務事業に関して、さらに、首都機能移転計画立案に関して、隣接自治体の間に、違う事情が存在するとは到底考えられないから、岐阜県が随契を相当とする理由に根拠がない、あるいは乏しい、というしかない。
随契とすべきことに必然性がないままに敢えて随契としているとも思われる本件の場合、その随契とした理由は、他の場合以上に公開の必要性が高いのである。
第4 岐阜県の随契事業者について
1 本件契約J「岐阜県東濃地域の地震災害に対する安全性調査」は、随契理由の詳細がそのまま公開されている(甲第11号証の4)。これは、本件文書の公開の際の担当者の説明では、「調査結果等を記者クラブで発表したもので、既に関係情報を公にしているものだから、公開する」との旨であった。
しかし、岐阜県の任意の判断で記者クラブで発表した、ということは、事業者やその事業者の選定理由を明らかにしても支障がない、仮に支障があっても調査結果や当該事業者を明確にすることの意味が大であると判断したことで、このことは、何も本件契約Jに限定された事情ではなく、すべての場合に当てはまる、というべきである。
2 本件委託契約Gの受託者は、(株)三菱総合研究所であることを岐阜県は、県職員が作成し、印刷費も岐阜県が負担し、これを全国に配布したパンフレット「岐阜東濃新首都構想(案)《中間報告》/平成9年7月」(甲第45号証)の中で明らかにしている。
つまり、「岐阜東濃新首都構想(案)《中間報告》/平成9年7月」(甲第45号証)は、本件委託契約Gの成果の報告書である「岐阜東濃新首都構想(案)《中間報告》/平成8年7月」(推進協議会名で印刷した甲第46号証)の続編として出されたものである(甲第45号証/1頁の冒頭5行)が、これは全国に配布されている(同1頁の文末2行)。この文中で「(株)三菱総合研究所に委託したもの」(同42頁の解説分)と、本件委託契約Gの受託者を明示しているのである。
そして、同パンフにおいて、土地取得の容易性(同20頁)や、それまでどんな場合にも作成公表されたことのなかった公有地等の所在状況の図をも公表し(同21頁)、地形等の良好性(同24頁)のデータや傾斜区分(同25頁)をも示しているように、各種情報を公表提供することにこそ、首都機能移転事業の意義があると岐阜県が判断しているのである。
なお、「岐阜東濃新首都構想(案)《中間報告》/平成8年7月」(甲第46号証)の後に、同委託契約の成果として岐阜県名義で印刷した「岐阜東濃新首都構想策定調査《報告書》/平成8年12月」(甲第47号証)も存在する。
3 そして、本件委託契約Eの受託者も(株)三菱総合研究所である。
何となれば一社随意契約理由のBCに、本件委託契約Gの受託者と同一業者を選定する旨が明らかにされ、さらに、同理由記載の他の部分にも類似共通点が極めて多い(乙第6号証の3)ことからも同一業者であることは明らかである。
その成果物は「岐阜東濃新首都の都市システム。サスティナブル・キャピタル《報告書》/平成8年12月」(岐阜県名で印刷した甲第48号証)である。
なお、本件委託契約Fの成果物は「岐阜東濃新首都の都市システム。メディア・キャピタル《報告書》/平成8年12月」(岐阜県名で印刷した甲第49号証)である。
4 本件委託契約Gの成果の報告書である「岐阜東濃新首都構想(案)《中間報告》/平成8年7月」(甲第46号証)、その続編の「岐阜東濃新首都構想(案)《中間報告》/平成9年7月」(甲第45号証)のさらに続編を県職員が作成し、印刷費も岐阜県が負担し、これを全国に配布した。
それは、「第3回岐阜東濃新首都構想《中間報告》/平成11年3月」(甲第50号証)のパンフレットであるが、この中で、岐阜県は、各種情報を公開している。
この巻頭頁では、「(社)岐阜県建築士会所属の建築士」「本件出身の・・・タタキ台と」している。地震災害に関しては調査委員を明示し(同31頁)、研究会会員名やその所属事務所・役職等を明らかにし(同51頁)、氏名・住所・電話番号等や基本的な主張を明らかにし(同52ないし54頁)、特定人物名を明示して主張を紹介している(同56頁)。
5 また、(株)三菱総合研究所は、愛知県の各種企画調査においては、受託能力がある、あるいは委託するに適当な業者として実際に指名業者とされている(甲第44号証/95年「産業経済予測」、97年「首都機能移転調査」、98年「2005年国際博」)。即ち、岐阜県が、本件委託契約EGで同社を、単一指名するしかない、という理由はないのである。
6 (株)三菱総合研究所は、従来より、インターネットのホームページで、首都機能移転に関して、自社の各種見解や情報を公表している(甲第51号証)。
これらのことから推察しても、当該事業者が自治体の調査業務を受託したという事実の公開は、当該事業者の宣伝にこそなれ、事業活動の支障となったり、不利益を生じさせたり、競争上の不利を生ずるとは、到底いえないのである。
本件において被告は、その点の主張の正当性を何ら立証していない。
7 また、本件委託契約H「新首都における”情場”システムに関する調査」は、岐阜県の出資法人である(財)ソフトピアジャパンであること、そして、同財団が国際情場学会に再委託したことが、同財団の事業報告より明らかであることを、岐阜県は他の公文書(の公開)において明らかにしている(甲第52号証)。
当該委託契約Hの成果物の報告書においては、本件委託契約EGの中間報告を要約する手法で、相当部分を引用・比較している調査報告であるから、その委託調査自体にも格別の特殊性を見出し得ない。即ち、当該特定一社に随契すべき、理由が疑わしいのである(甲第53号証)。
8 以上のように、本件非公開とされた各種情報あるいは同種の情報、関連情報が既に明らかにされているのである。
第5 予定価格の公表の効果
1 建設省や自治省は従来より予定価格の公表を指導している(甲第54号証)。
2 岐阜県は入札の予定価格を事前に公開するようになった経緯は既に述べてきたが、岐阜県土木部は「事前公表すること。それは全国初となること」等の予告を記者クラブで発表し(甲第55号証の1)、さらに後日に詳細を記者クラブで発表した(甲第55号証の2)。さらに、試行後の結果をまとめた上で、明らかに事前公表したことで落札価格が下がったという効果があったことを、県議会に資料提供し、説明した(甲第55号証の3)。
3 このように、各種情報の公開の価値は高いのである。
第6 被告準備書面(2)への反論
被告準備書面(2)に関して、以下のとおり反論する。
1 第1の1について
「本件条例の解釈それ自体が、本件の争点である」ことは、当然である。
2 第1の4について
「立法政策の範疇である」「条例の制定趣旨に拘束される」ことに異論はない。だからこそ、本件条例の解釈の適法性が問われるのである。
3 第1の5について
「本件条例の解釈を越えた」について、全国各自治体の情報公開条例がほぼ同様の規定を有しているのであるから、他の自治体の公開例、非公開例は大いに参考になり、その処分に関する判例も相応の意味があるのである。
本件条例第6条の1号に関するプライバシーの侵害についても、被告主張のとおり確定していないからこそ、他の例を参考とすることは極めて有意義である。
本件条例第6条の4号に関する事業者の不利益等についても、公開すると不利益等が生ずると判断することが正当かどうかは、全国の状況を確認することが最も正当な結論を導くのである。そして、実際、大部分の自治体が事業者の各種情報を公開し、裁判所も公開を命じている現在、事業者情報を公開したことで事業者が著しく不利益等を被っているなら、全国の情報公開制度が大混乱しているはずである。しかし、そのような話題はないのである。
つまり、非公開事由該当性の判断は、被告独自の解釈が常に是認される、というのでなく、被告(実施機関)の解釈が客観的に正当な解釈といえる場合にのみ、それが是認される、ということは当然である。
4 第2の4について
「情報公開と非公開との利益衡量による調和を保つべく規定している」について、本件条例は公開を原則とし(甲第36号証/13頁解釈運用基準の1「原則公開の例外として」)、非公開とする場合には公開と非公開との利益衡量が必要である、というものである。なお、本件条例第3条は、個人に関する情報について規定しているものである。
「本件条例の合理的解釈を崩し」について、原告はまさに、「本件条例の合理的解釈」を求めているだけである。
5 第3の3について
「各個人の知られたくない又は知られない権利」が拡大解釈されることは許されないから、各裁判例において、「通常に考えて、知られたくないと思う、あるいは知られたくないことが正当である場合」というような表現がなされるとおりである。
6 第4の1について
「全ての個人識別情報を非開示扱いにして」との主張は誤っている。本件条例は「個人に関する情報であって特定の個人が識別できる情報」、つまり、A+B(訴状第三の三の1)である場合を規定しているのである。
6 第4の2について
「みだりに公開することが・・守秘義務違反になることを念頭に」について、
「本条が、公開しないことができる公文書の範囲を定めているのに対して、地方公務員法第34条の守秘義務は、職務上知り得た秘密を守るべき職員の服務規律を定めたもので、両者は趣旨及び目的を異にしている。対象となる情報について重なる場合が多いが、すべてが一致するものではなく」と説明され、「(本件条例の)適用除外事項に該当しない情報は、守秘義務の対象とはならない」のである(甲第36号証/13頁解釈運用基準の2「本条と守秘義務との関係」)。
7 第5の2について
「個人の利益侵害」の利益とは何か、そして、「おそれがある情報」のおそれとは何のおそれかは不明であるが、いずれにしても「一義的に非公開とすることが、本件条例第3条の最大限の配慮である」との主張は、誤っている。
「みだりに」とは、「正当な理由なく」と同趣旨である(甲第36号証/9頁解釈運用基準の4)。
8 第5の4について
県の公費での委託調査を依頼されて行う委員会の委員の活動は県の公務に準じている、というべきは当然である。そして、県の非常勤職員の報酬や日当が条例で規定されている(地方自治法第203条各項)のであるから、少なくても公務に準ずるといえる場合の業務について、その日当等が個人の財産に関する情報である側面を有するとしても、通常に考えて内緒にしておきたいものであり、しかも、それが正当である、と言うことは困難である。
また、交通費は、公費による費用弁償(地方自治法第203条各項)に準ずるのであり、前記と同旨である。
さらに、「区間」、そしてその公開にともなって「住所地」が判明し得るとして、それは「駅名」程度であるから、仮にそれが個人に関する情報であるとしても、「住宅の詳細な間取り」が判別する訳でもないし、通常に考えて内緒にしておきたいものであって、しかも、それが正当である、と言うことは困難である。しかも、本件においては、地震に対する安全性の判定についての調査であることの重大さに鑑みれば、格別に責任ある職務として、自らの所在が公開されたとしても、当然というべきである。
9 第6の1について
「事業活動情報は、原則非公開である」が誤っているのは、いうまでもない。
10 第6の4について
「誰に開示するか否かの可否判断を当該事業活動業者に選択決定する権限がある」とのことであるが、条例は、後段を規定(訴状第三の四)しているのであるから、被告主張は誤っているのはいうまでもない。
民間事業者間のルールや常識がどのようであるかではなく、情報公開制度を規定した自治体と取引を計画する以上、自治体の制度の規定に服するのは当然である。それが、不服であれば、自治体との取引を計画しなければ済むことである。
また、「非公開の例外」について、但し書きハに該当する、というべきである。
第7 求釈明
1 原告準備書面(2)の第10の求釈明には、応答されないのか。
2 被告は、準備書面(2)の第6の4において、「当該事業活動業者に選択決定権限」があると条例が規定しているとの主張である。すると、被告は情報公開請求にかかる処分にあたっては、すべからく、当該文書中の当該事業活動業者に公開の可否を確認していなければ、整合性がないことになるが、いかがか。
以 上
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次回第5回期日01年8月22日(水)10時15分〜
平成12年(行ウ)24号 首都機能移転情報非公開処分取消請求事件
原告 寺町知正 他10名
被告 岐阜県知事 梶原拓
準備書面(4)
2001年8月19日岐阜地方裁判所 民事2部 御中
原告選定当事者 寺 町 知 正
原告選定当事者 山 本 好 行
記
先回以降、従来の原告主張に関する判例や通達等を入手したので補充し、一部は主張整理する。
第1 入札の公正・適正確保、透明性について
1 「公務員秩序の確立等について」(平成5年7月30日/自治行第86号/自治事務次官から各都道府県知事・各都道府県議会議長宛)の通達(甲第56号証)には、前文趣旨において「不祥事件の発生の一因が地方公共団体における行政運営の不適切さにあると考えられる」とし、本文の3《公共工事の入札・契約手続の適正化》において「各地方公共団体においては入札・契約事務の厳正な執行に一層留意する必要がある。・・・被指名業者名並びに入札の経過及び結果の公表、指名審査委員会の適正な運営を行う等入札・契約事務手続のより一層の透明性、公平性の確保のための必要な改善を加えられたい。また、不祥事件の多くは、監督者の責任感の欠如及び内部牽制機能の低下ないし麻痺によるものが多いと考えられる」とされてきたとおりである。
この通達の趣旨は、随契に関する岐阜県の契約審査会に通ずるものであることはいうまでもない。
2 「制限付き一般競争入札の試行及び入札・契約手続きに対する監査の徹底について」(平成5年10月1日/自治行第95号/自治事務次官から各都道府県知事・各都道府県監査委員宛)の通達(甲第57号証)の前文趣旨において「各地方公共団体におおいては既に行政運営の見直し・改善等に配慮されていると思料する」とし、本文の1で「極めて限定された業者しか入札できないようなことのないよう配慮されたい」とし、2で「入札・契約手続きの公平性、透明性の確保に資するよう改善の具体的な検討を行うこと」等とされている。
3 被告は、別件の公開請求において、首都機能移転関連の岐阜県の動きあるいは如何に移転候補地として適地であるか等を全国に宣伝するための新聞広告の実施についての支出関係文書において、債権者に関する各種情報(「支社長」という従業員名も)を公開してきた(甲第58号証)。これら情報を公開しても事業者には、不利益もしくは地位を損なうことはないのである。
第2 随契における複数見積書徴収の義務と重要性
1 岐阜県は随契の場合は複数社から見積を徴することを原則とすることを規定していることは、かねてより述べてきた。
下記判例は、「なるべく2人以上の者から見積書を徴する」(下線は本件原告が付記した。以下同じ)としている自治体の場合に、経緯や当該契約相手方以外に多くの計算センターが受託態勢にあったと判断した上で、「1人から見積書を徴して随契した場合」について裁量権の濫用であるから違法であるとし、その結果損害が生じたとして、返還を命じたものである。
2 静岡地方裁判所判決/昭和50年(行ウ)第5号/昭和51年(行ウ)第8号/昭和56年5月26日判決は、「町と民間計算センターとの間のコンピューターによる事務処理委託契約が地方自治法施行令(昭和49年政令203号による改正前)167条の2第1項1号の「その性質又は目的が競争入札に適しないものに当たる」として契約の締結が町財務規則に違反してされた違法なものであり、町長に対し、システム開発費用相当額の損害賠償を命じた。要点は次のようである。
「本件各契約は、住民記録異動処理などの地方自治体の各種事務処理を民間計算センターに委託するものであり、その事務処理が正確効率的にされること等のほかに、地方自治体の行政事務の秘密保持、住民のプライバシー保護の要請等がきわめて強く望まれるものであって、この点に関する委託業者の信頼性及び自治体の委託業者に対する監督権を確保しなければならない等の特殊性がある。
したがって、本件各契約はこのような観点から、委託業者を選択するにあたり、総合的判断、裁量に任されなければならない部分が大であると解され、地方自治法施行令167条の2第1項1号(前記改正後は2号)の『その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき』に該当するものといえる。
小山町規則第3号小山町財務規則164条は、『随意契約によろうとするときは、あらかじめ第154条の規定に準じて予定価格を定め、かつ、なるべく2人以上の者から見積書を徴するものとする。』とされている。
被告は、小山町長として他の業者や市町村に対し、コンピユータ導入の実情、システム開発の要否、委託費用等について深く調査することがなく、見積書をM・I・Kから徴しただけで、2人以上の者から徴したことはまったくなかった。
随意契約の方法により被告が小山町長として民間計算センターとの間にコンピユータによる事務処理委託契約を締結するに当り、業者の選択、価格等契約内容の決定に広い自由裁量を有することは否定できないところである。
しかし、自由裁量といえども裁量権者の恣意を許すものではなく、裁量の本質や目的に従つた限界があることは当然であって、遵守すべき法規があればこれを尊重しその目的を考量して行使されねばならず、右制限を超えた裁量は、裁量権を濫用した違法な行為としなければならない。
ところで、財務規則164条前段が『随意契約によろうとするときは、予定価格を定める』ものとしたのは裁量権者の技術的判断を尊重して所定の方法によれば、予定価格を一応適正に定めることが期待できるとして、そのよるべき方法を示したにほかならないのであるが、右方法によつて予定価格を定めるものとするほかに、164条後段が、『かつなるべく2人以上の者から見積書を徴するものとする』と定めたのは、裁量権者が154条2項所定の方法によって予定価格を定めたとしても、2人以上の者から見積書を徴し、更に価格を検討することによって、予定価格がより客観的、具体的に公正となり、より高い経済性を確保することができるし、ときに、裁量権者の技術的判断を補充して、裁量が過誤独善に陥ることのないよう機能させることとなるところから、裁量権者が154条2項所定の方法によって予定価格を定めたとしても、更に、164条後段所定の方法によるべきことを示したものといえる。
従って、164条後段に、『なるべく2人以上の者から見積書を徴するものとする』というのも見積書を1人の者から徴すれば足りるか、2人以上の者から徴しなければならないかの選択を裁量権者の恣意に委ねたものではなく、裁量権者の技術的判断によって、予定価格を適正に定めることが一般的、客観的に期待できる程度の契約であれば、見積書を1人の者から徴しただけであるからといって、ただちに、裁量が違法となるとはいえないとしても、契約の種類、性質、内容等からして予定価格を定めるについて、明らかに裁量権者の技術的判断だけではまかなえないような特殊なもので専門的知識が必要であるとか、あるいは価格が非常に高額で慎重な検討が必要であるとかその他実例価格が区々で価格が適正であるか否かの判断に著しい不安、困難がある場合等には、2人以上の者から見積書を徴するか否かの裁量は財務規則が所定の手続を義務づけた前記目的に従って合理的に制限されるものと解すべきであって、この制限を超えた裁量は、裁量権の濫用として違法となるものといえる。
被告が小山町長として、以上のとおりにして本件各契約につきM・I・Kからしか見積書を徴さなかったのはその裁量権を濫用したものといわざるを得ず、M・I・Kとの間に本件各契約を締結した被告の行為は財務規則164条に違反した違法なものであるといえる。
町長である被告の本件各契約締結の行為は、地方自治法243条の2第1項1号の支出負担行為であるところ、前記のとおり小山町財務規則に違反するものであるから同条1項後段に該当し、被告は、本件各契約の締結によって、小山町に与えた損害を賠償すべき責任を負わねばならない。」
3 一般に、自治体の契約、特に随契に関しては、制度の宿命として不正の温床ともなり得ることから、各種情報の公開の必要性は格別に高いのである。
しかも、本件文書は、首都機能移転に関する各種調査であり、実際に隣県の愛知県においては首都機能移転に関する各種の調査について多数社が入札において指名されていることからも、被告岐阜県が「1社のみから見積書を徴しただけで行った随契」に関して、その合理性及び適正性が如何に疑問の深いものであるかは明白である。というより、前記判示に照らせば、本件随契は、いずれも、複数社から見積書を徴して行なわなければならないもので、しかもそれが可能であったことは、客観的に見て明らかである。
このように、本件文書の公開の必要性は格別に高いのである。
なおこの趣旨の原告主張は、被告準備書面の各所における「情報公開を請求するものが、開示の必要性と正当な理由を主張立証すべきである」への反論でもある(「正当な理由」は、本件訴訟の原点であるところの本件文書に非公開事由該当性がない、ということそのものである)。
第3 個人情報(1号)に関して
1(1) 本件条例の手引きは、「個人に関する情報」を具体的に例示しているが、これら例示したものと同質の情報も「個人に関する情報」に含まれるということを確認的に述べたに過ぎず、それらと異質な個人に関する私的な情報と関わりない情報までをも「個人に関する情報」に含ませる趣旨ではない。
(2) 手引きで公務員に関する情報は、旧条例の手引き7(甲第36号証の旧版/16頁)には「職員が職務を遂行する(した)場合における当該職務に関する情報については、当該職員が識別される場合であっても、条例第1条及び第3条並びに本号ただし書の規定の趣旨から、公開しないことができる情報には該当しない。」「起案文書における起案者の氏名等も原則として公開しなければならない」と記載され、本件条例6条1項1号ハは、いわゆる職務遂行情報に関する公務員の氏名の公開を明記していることに照らせば、岐阜県新旧両条例とも、公務の一環として公務員がした職務の遂行に係る情報については、公務員の氏名等も含めて、非公開としない趣旨であることは明瞭であって、このことからも、本件条例の合理的な解釈として、本号の「個人に関する情報」とは、個人に関する私的な情報を意味し、個人に関する私的な情報に全く関わりのない情報は「個人に関する情報」には該当しないことは明らかである。
2 さらに、本件条例が個人事業者の事業情報については、1号でなく4号の対象としている趣旨は、個人事業者はその活動が社会に少なからず影響を及ぼす立場にあり、その社会的責任に照らして公益を優先する必要があることから、個人事業者の事業情報は1号の「個人情報」としては保護の対象とすべきではないとしたものであり、そうである以上、事業を営む個人の当該事業について、その公益性に着目して敢えて個人に関する情報から除外した1号が、これよりさらに公益性を有する公務員の公務に関する情報、公務に準ずる情報、県の会計や契約等に必須不可欠な情報については、本件1号の非公開の対象としていると解することはできない。
3 個人識別情報型にこだわる意味はない
(1) 被告は本件条例に関して、「個人識別情報型」であると主張している。 しかし、当該条例が個人識別情報型とみられようと、プライバシー情報型とみられようと、『個人に関する情報』は条例の趣旨、目的、規定の文理上の解釈、手引きの解説等から総合的に判断せざるを得ないのである。
他の多くの判例において示されるように「個人のプライバシーの権利を侵害しない場合には公開の義務は免除されない」という限定解釈をすべきなのである。
(2) この点、本件条例に関して条例手引を実質的に引用して説示した《名古屋高裁平成12年(行コ)第39号平成13年(行コ)第3号/平成13年8月9日判決》が、「本件条例では、県民の公文書の公開を請求する権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより、開かれた県政を実現することを目的とし(1条)、実施機関は、公文書の公開を求める権利が十分に尊重されるようこの条例を解釈し、運用するものとする一方、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない(3条)と定めている。そうすると、本件条例6条1号の「個人に関する情報」とは、およそ特定の個人が識別され得る全ての個人情報を意味するものではなく、その情報内容が、以下のような情報などとの関連において、当該特定個人の権利を侵害するおそれがあるものを指す相関関係概念であると解するのが相当であり、それ以外のものは、同号によって保護される『個人に関する情報』には含まれないと解するのが相当である。 @思想・信条・信仰等の個人の内心に関する情報 A学歴・犯罪歴等の個人の経歴に関する情報 B所得・財産等の個人の財産状況に関する情報 C健康状態・病歴等の個人の心身の状況に関する情報 D家族関係等の個人の家族状況に関する情報」と判示したとおりである。
なお、前記判示は、1号に関する岐阜地裁判示を追認した理由の部分であるが、本件4号(事業者情報)における懇談会や視察実施に係る債権者(飲食店やホテル、旅館等)の店名・住所等の情報の公開についても岐阜地裁判示を追認しただけでなく、債権者に係る印影及び口座番号等の公開については地裁判決を変更してその公開を命じたものである。
4 個人識別型条例に関する各高裁の判示
個人識別型条例について争われた各高裁の判決は、個人識別型にこだわっておらず、つぎのように判示している。
(1) 東京高等裁判所/平成11年4月28日判決/平成10年(行コ)154号は、新潟県公文書公開条例に係る非公開情報に関しての控訴審判決であり、「本号の文言をみると、およそ個人に関する事項を含む情報については、特定の個人が識別される限りすべて非公開とする趣旨と読めなくもない。しかし、本件条例は、県の有する情報は原則公開とし、第10条所定の情報のみを例外的に非公開としているのであって、第3条も『みだりに公にされることのないよう』と規定していることからすると、本件条例にいう『個人に関する情報』とは、公開原則の例外とするにふさわしい、みだりに公にされることが相当でない情報に限定されているのであって、個人に関する事項のうち、専ら私事に関するものと通常理解される情報のみを指すと解するのが相当である。すなわち、個人の行動であっても、それが公務としてなされた場合はもちろん、法人等社会活動を行っている団体において職務上の行為としてされた場合も、もはや私事に関することとは言えないから、本件条例にいう『個人に関する情報』には該当しないというべきである。」「専ら私事に関することか否かは、常識的にみて容易に判断できる」「第一審被告は、本号が『個人に関する情報』につき括弧書して事業を営む個人の当該事業に関する情報を除くと規定していることをとらえて、限定的な解釈を採ると、このような括弧書は不要になるから、この括弧書の存在からしても、限定的に解釈することはできないと主張する。しかし、個人事業主は、その事業と私生活の区別がつき難いことも少なくないことから、右括弧書は、その点についての判断を避けるため、個人事業主の事業に関する情報を一律に『個人に関する情報』に該当しないものとしたと解することができる。」「したがって、本号にいう『個人に関する情報』とは、専ら私事に関するものに限定されるのであって、個人の行動であっても、それが公務としてなされた場合はもちろん、法人等社会活動を行っている団体において職務上の行為としてされた場合には、『個人に関する情報』には該当しないから、当該行動については、たとえ行為者を識別する事項であっても、本号に該当しない」とした。
(2) 福岡高等裁判所/平成11年4月30日判決/平成10年(行コ)30号は、熊本県公文書公開条例に係る非公開情報に関しての控訴審判決であり、「控訴人(熊本県知事)は、本号の『個人に関する情報』を私生活上の事実に関するものと限定して解釈することは、裁判所による新たな立法にほかならず、不当である旨主張する。しかしながら、本号は、公文書の開示により関係者のプライバシーが不当に侵害されることを回避するために設けられた情報公開の例外規定であり、その立法趣旨に照らすと、ここで開示が禁止されるのは、原則として当該公文書にプライバシーに関する情報が記録されている場合に限られ、特段の事情がない限り、『特定の個人が識別され、又は識別され得る』との一事をもって開示が禁止される趣旨ではないことは明らかであるといわなければならない。」とした。
(3) 福岡高等裁判所/平成11年6月4日判決/平成10年(行コ)22号は、佐賀県公文書公開条例に係る非公開情報に関しての控訴審判決であり、「一審被告(佐賀県知事)は、開示請求権は本件条例によって創設された権利であるから、その内容は本件条例の具体的文言によるべきであり、その運用は形式的に解釈して行うべきであると主張する。しかしながら、法令等の解釈は、規定の具体的文言を重視して行うべきものであることはいうまでもないが、そのほか、当該法令等の目的、解釈、運用の基準等を定めた総則規定、当該法令の制定の経緯等を総合的に勘案して行うべきものであり、単に規定の形式的文言の文理解釈にのみとどまるべきものではない。」「本号は、個人に関する情報で特定の個人が識別され得るものについては、原則非開示(いわゆる個人識別型)としている趣旨に読めなくはない。しかしながら、本件条例の県民本位の開かれた県政の発展を図り、県政のより一層公正な執行を確保するという目的及び原則公開の趣旨に照らし、また、手引きは、専ら個人の秘密に関する情報を記載した文書を例示しており、これに『個人の尊厳、基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを保護する』という趣旨を総合すると、本号により保護が予定されているのは、特定の個人が識別される情報のうち、右個人のプライバシーにかかる情報であると解される。したがって、本号を適用するに当たっては、特定の個人が識別される情報についても、当該情報がプライバシーに関係しないことが明らかな場合には、非開示とすることは許されないし、また、特定の個人が識別される情報が、右個人のプライバシーにかかる情報である場合にも、本件条例の前記目的及び原則公開の趣旨に、本件条例第3条後段が『みだりに公にされることがない』旨規定し、個人に関する情報を『正当な理由なく』開示してはならないとしている(手引き)ことをあわせて考慮すれば、当該情報を開示することにより、当該個人のプライバシー及びその他の利益が侵害される可能性が生じるか否かを検討して、開示するか否かを判断すべきである。(なお、他の地方公共団体の条例に、プライバシー情報型の条例があるが、本件条例はその規定を異にするので個人情報該当性を狭く解釈することは許されない旨主張するが、条例は、条例の文言及び趣旨に従って解釈されるべきであり、本件条例について右のように解釈することができる以上、右主張は採用できない。)」とした。
(4) 広島高等裁判所/平成11年10月16日判決/平成10年(行コ)14号は、広島県公文書公開条例に係る非公開情報に関しての控訴審判決であり、「右認定の本件条例の基本原則、本件条例の9条2号の趣旨、本件手引が同号で保護される情報の例として、思想・・・財産の状況等もっぱら個人の私的な事項と称し得る『個人に関する情報』を列挙していることを総合すれば、同号で保護が予定されているのは、個人が識別される情報のうち、性質上公開に親しまない私生活上の情報であると解するのが相当であり、特定の個人が識別され得る情報であっても、当該情報がプライバシーに関係しないことが明らかな場合には、同号による保護が予定された情報には該当しないものと解すべきである。」とした。
第4 まとめ
1 以上、1号が「公開しないことができる」とする「個人に関する情報」とは、個人に関する私的な情報を意味するのであり、個人に関する私的な情報に全く関わりのない情報までも含むものではない。4号についても、厳密でなければならない。
よって、被告の「原則非公開」等との主張、それに基づく本件情報の非公開事由該当性の判断は、第6条は無論、本件第1条、3条、6条の各規定の趣旨、解釈等を誤るものであることは明らかである。
以 上