トップページに戻る
更新ファイルのページに戻る
解説に戻る


・・・・要点のみです・・・

首都機能移転誘致県費支出金の返還・差止を求める住民監査請求の概要

  02年10月31日(木)提出


《経過》
 国は、国会等の移転の具体化に向けて積極的な検討を行う責務を有し(国会等の移転に関する法律1条)、国は、広く国民の意見を聴き、その合意形成を図り(3条)、内閣府に国会等移転審議会を置き(12条)、審議会は移転先の候補地の選定及びこれに関連する事項について調査審議する(13条1項)。審議会は96年12月19日に発足、99年12月20日に3候補地が選定されました。しかし、02年5月30日、絞り込みは延期され、03年の通常国会で結論を出すことが申し合わられています。

《県の支出と県の損害》
 他方、知事は、移転がなくなったら国や国会に損害賠償請求するといっていますが、これは地方が誤って財政支出してきたことの弁解です。今まで多額の費用を使ったことは下記の法令に違反しています。知事は、故意にもとづく浪費として、岐阜県に損害を与えたことにつき、当該損害を補填すべき賠償責任を負います。
 今回、法令を検討したところ、地方公共団体が誘致費用を支出することは、各種法令に違反しています。
 そこで、私たちは、岐阜県の損害を回復しかつこれ以上増やさないために、3候補地が決定して後の01年度支出の4400万円、02年度支出の4380万円の返還を勧告する、かつ今後の支出も理由がなく、支出すれば岐阜県の回復しがたい損害となりますので、今後は本件同様の支出をしないよう勧告することを、監査委員に求めます。

《法令》
 国は地方公共団体との間で適切に役割を分担しなければならず(地方自治法1条の2の2項)、地方公共団体は、地域における事務及び法律令により処理することとされるものを処理する(同2条2項)。地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、国は地方公共団体に負担させてはならない(同12条1項)。
 地方公共団体の事務を行うために要する経費は、当該地方公共団体が全額これを負担し、当該地方公共団体の事務に属しない事務の処理のために費用を支出することは許されず(地方自治法232条1項、地方財政法9条)、地方公共団体は国及び公団等に対して寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これに類するものを、支出してはならない(地方財政再建促進特別措置法24条2項)。
 法令の規定は、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならず(地方自治法2条12項)、法令に違反してその事務を処理してはならない(同16項)。地方公共団体は、最小の経費で最大の効果を挙げ(同14項)、必要かつ最小の限度を越えて支出してはならない(地方財政法4条1項)。

《違法性》
 国の機関の設置、管理及び運営に要する経費は国の負担(地方財政法12条2項)です。よって、岐阜県が首都機能移転経費を支出することは法令で定められた経費の負担区分に反し財政秩序を乱すことかつ不要なことで、地方自治法2条2項、同条14、16項、同232条の1項、地方財政法4条1項、同9条、地財再建法24条2項に違反しています。

以 上