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更新ファイルのページに戻る 岐阜県個人情報保護条例に関して、昨年10月16日に同条例に基づいて個人の住基ネット情報の削除を求めたことへの知事の対応が納得できないので、15人が下記不服申立しました。  
 10月16日の県個人情報保護条例に基づく削除請求で添付した理由

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          不 服 申 立 書


                             2003年1月8日
岐阜県知事梶原拓様
                                   

                不服申立人氏名         印

  岐阜県個人情報保護条例第24条及び行政不服審査法(下記(2)につき第6条、下記(3)につき同7条)に基づき次のとおり不服申立をします。

(1)不服申立人

    住所                  


    氏名        年齢  才  

(2)不服申立に係る処分(決定)
    平成14年11月8日付市町村第981号の決定。

(3)不服申立に係る不作為
    平成14年11月8日付市町村第981号で示された不作為。

(4)不服申立に係る処分(決定)もしくは不作為を知った年月日
    2002年11月9日頃に上記通知文を受け取った。

(5)不服申立の趣旨
    @上記(2)記載の処分(決定)を取り消す。
    A上記(3)記載の不作為に係る請求に対する決定もしくは措置等。

(6)不服申立の理由
    別紙のとおり。
    その他、必要があれば追って述べる。

(7)処分庁の教示の有無及びその内容
    なし
    以 上

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《申立にかかる別紙・理由/03年1月8日》

第1 経過
 申立人は、2002年10月16日付けで岐阜県知事に対して、岐阜県個人情報保護条例(以下、「本件条例」という)所定・指定の様式をもって個人情報の訂正の請求をした。
 これに対して岐阜県知事は、同年11月8日付けで「当該訂正の請求は条例に基づく請求とは認められません」と通知してきた。
 これは、当初の訂正請求に対する却下処分(決定)もしくは不作為の表明である。
 しかしこの通知は、本件条例解釈を誤ったものである。
 申立人は岐阜県知事が本件条例に基づいて当初の訂正請求を審査し、しかるべくなさなかったことは納得できないので本件不服申立に及んだ。

第2 「訂正の手続の定め」の解釈の誤り
 第27条(他の法令との調整等)「この章の規定は、次に掲げる個人情報については、適用しない。」と規定し、同条4項は前3項の本件規定を適用しない場合であっても当該法令又は他の条例に「訂正の手続の定めがないときはこの章の規定を適用する」こと、同条5項は法令又は他の条例の規定により「訂正の手続が定められている場合は本件条例第20条から第24条の規定は適用しないこと」を定めている。
 したがって、岐阜県知事のした「本件条例第27条5項により、条例に基づく請求とは認められない」旨の決定の違法性は住民基本台帳法(以下、「法」という)の趣旨目的や具体的な規定を比較すること、とりわけ「訂正の手続の定め」とは何かを整理することにより条例解釈の誤りが明らかとなるので、下記に述べる。

第3 本件条例と法の構成の比較
1 法令の構成の在り方
 (1)本件条例は、次のような構成である。
   第1章 総則(第1条〜第5条)
   第2章 実施機関が取り扱う個人情報の保護(第6条〜第27条)
     第1節 個人情報の取扱い(第6条〜第11条)
     第2節 個人情報取扱事務の登録及び閲覧(第12条)
     第3節 個人情報の開示及び訂正(第13条〜第24条)
     第4節 是正の申出等(第25条・第26条)
     第5節 他の法令との調整等(第27条)
   第3章 岐阜県個人情報保護審査会(第28条〜第28条の3)
   第4章 雑則(第29条〜第30条)
   附則

 (2)法の関連部分は、次のような構成である。
   第4章 届出(21条〜30条)
   第4章の2 本人確認情報の処理及び利用等(30条の2〜30条の44)     第1節 住民票コード(30条の2〜)
     第2節 都道府県の事務等(30条の7〜)
     第3節 指定情報処理機関(30条の10〜)
     第4節 本人確認情報の保護(30条の29〜)
     第5節 住民基本台帳カード(30条の44)
   第5章 雑則(31条〜41条)
         第31条の2(行政手続法の適用除外)
         第31条の3(不服申立て)
         第32条(不服申立てと訴訟との関係)

2 両規定における個人情報保護関連部分と不服申立て
 (1)本件条例
 本件条例の個人情報保護関連部分は、第2章のうちの「第3節 個人情報の開示及び訂正」と「第4節 是正の申出等」であり、第4節の内訳は是正の申出等(第25条)と苦情の処理(第26条)である。
 同第24条(不服申立てがあった場合の手続)は、「開示決定等又は訂正決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき実施機関は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、遅滞なく、岐阜県個人情報保護審査会に諮問しなければならない。」と不服申立てを規定している。 このように、本件条例の「第3節 個人情報の開示及び訂正(第13条〜第24条)」には不服申立て手続きがあり、他方「第4節 是正の申出等(第25条・第26条)」には不服申立て手続きはない。
 また、同第24条は、開示及び訂正についての第3節に含まれている。よって本件条例で用いられる「訂正の手続き」という用語は、第3節で規定するところの訂正請求に始まって不服申立ができることをも一連の手続きとして構成している概念である。

 (2)法
 法の個人情報保護関連部分は、「第4節 本人確認情報の保護」のうち、自己の本人確認情報の訂正(第30条の40)と苦情処理(第30条の41)である。 法第31条の2(行政手続法の適用除外)「この法律の規定により市町村長がする処分については行政手続法は適用しない。」、第31条の3(不服申立て)「この法律の規定により市町村長がした処分に不服があるものは都道府県知事に審査請求することができる。異議申立をすることもできる。」、第32条(不服申立てと訴訟との関係)「前条に規定する処分の取消しの訴えは、審査請求の裁決を経た後でなければ、提起することができない。」としている。
 すなわち、法第30条の40には不服申立が適用されないのである。

 (3)比較
 同旨の規定であることは、法第30条の40(自己の本人確認情報の訂正)の規定と本件条例第25条(是正の申出)の規定に不服申立が規定されていない点である。
 さらに、本件条例で用いられる「訂正の手続き」は「訂正請求に始まって不服申立ができること」を一連の手続きとみることをさしているのである。

3 法の(自己の本人確認情報の訂正)は本件条例の(是正申出)と同じである (1)単に是正の申出に関する規定である
 本件条例第25条(是正の申出)は、「何人も、実施機関が行う自己の個人情報の取扱いがこの条例の規定に違反していると認めるときは、当該実施機関に対し、当該個人情報の取扱いの是正の申出をすることができる。」「3 実施機関は、是正申出書の提出があったときは、遅滞なく、必要な調査を行った上で当該是正の申出に対する処理を行い、速やかに、その結果を是正申出書を提出した者に書面により通知しなければならない。」としている。
 法第30条の40(自己の本人確認情報の訂正)は、「都道府県知事又は指定情報処理機関は、第30条の37第2項の規定により開示を受けた者から、書面により、開示に係る本人確認情報についてその内容の全部又は一部の訂正、追加又は削除の申出があったときは、遅滞なく調査を行い、その結果を当該申出をした者に対し、書面で通知するものとする。」としている。
 規定を比較すれば、法第30条の40(自己の本人確認情報の訂正)の規定は本件条例第25条(是正の申出)の規定と同旨の規定であることは明瞭である。
 (2)苦情の処理に関する規定である
 本件条例第26条(苦情の処理)は、「実施機関は、当該実施機関が行う個人情報の取扱いに関する苦情の申出があったときは、迅速かつ適切な処理に努めなければならない。」としている。
 法第30条の41(苦情処理)は、「都道府県知事又は指定情報処理機関は、この法律の規定により都道府県が処理する事務又は指定情報処理機関が行う本人確認情報処理事務等の実施に関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。」としている。
 規定を比較すれば、法第30条の41(苦情処理)の規定は本件条例第26条(苦情の処理)規定と同旨の規定であるのは明瞭である。

 (3)対応関係にある
 以上で明らかなように、法の第30条の40(自己の本人確認情報の訂正)と本件条例第25条(是正の申出)、法第30条の41(苦情処理)と本件条例第26条(苦情の処理)とは、対応関係にある同旨の規定として立法されているのである。

4 本件条例第2章の第3節と第4節は趣旨が異なる
 本件条例において、是正の申出の規定の第25条は第4節に位置付けられている。よって、本件条例第25条は広義の個人情報の保護(第2章)であるけれども、第3節に位置付けられる開示及び訂正とは制度の趣旨目的に相違を画したという立法意思は明らかである。
 この観点からすれば、法第30条の40、41の規定は本件条例第3節でなく、本件条例第4節と同様の趣旨目的で規定されている、というしかない。
 よって、法第30条の40を根拠に訂正(削除)請求に応じなかったことは許されない。

第4 拡大解釈は許されない
1 他の規定
 第20条(訂正請求)「第18条第1項の規定により開示を受けた自己の個人情報について事実に誤りがあると認める者は、実施機関に対し、その訂正(追加及び削除を含む。以下同じ。)の請求(以下「訂正請求」という。)をすることができる。」としているところ、本件条例第1条(目的)は「この条例は、個人情報の開示及び訂正を求める個人の権利を明らかにすることにより、個人の権利利益を保護することを目的とする。」ものである。
 よって本件条例の個人情報保護制度の根幹は完結・整備された「訂正の手続き」にあるのは疑いない。
 本件条例第25条(是正の申出)、第26条(苦情の処理)は、単に本来の目的を補完するための規定に過ぎない。

2 拡大解釈は許されない
 本件条例は、開示、訂正、不服申立てをもって「個人の権利利益を保護する」(第1条)制度である。
 個人情報保護の観点において、法は、本件条例の単に付け足し部分である「是正の申出」や「苦情の処理」を規定したに過ぎないから、拡大解釈は許されない。
第5 訂正の手続きの定め
 第27条5項「第20条から第24条までの規定は、法令又は他の条例の規定により、個人情報の訂正の手続が定められている場合における当該個人情報の訂正については、適用しない。」とは、「法令又は他の条例の規定により個人情報の訂正の手続が定められていることについて、本件条例の第20条から第24条までと同様の規定、つまり《訂正を請求し、認められない場合は不服申し立てできる》という一連の規定がある場合に、重複した制度を規定することは重複審理等の不合理をもたらすことになるから、本件条例の第2章の適用はしない」という立法趣旨である。
 このように「訂正の手続きの定め」とは、一連の規定を指す。

第6 まとめ
 法第30条の40の規定は、一般的には「訂正請求」の一類型であるとしても、不服申立が規定されていない定めであるから、本件条例のように一連の手続きを規定するものではない。 よって、法第30条の40の規定は、本件条例がいう「訂正の手続きの定め」には該当しないのである。
 本件条例第27条4項5項が「訂正請求ができる場合」と規定せず、あえて「訂正の手続きが定められている場合」としている立法趣旨に忠実でなければ、本件条例が各規定することで県民の個人情報を保護しようとする本旨を達成することはできない。
 すなわち、法第30条の40の規定があることをもって、当初の訂正請求を本件条例に基づく請求ではないと決定し審査しなかったことは条例解釈を誤った違法な決定であるから、取消しを免れない。
 もし、岐阜県の行為が決定でなく不作為と位置づけられるなら、不作為は許されないから何らかの決定もしくは是正等がなされねばならない。
                     以 上