岐阜県山県郡高富町西深瀬二〇八番地の一 
    原  告  寺  町  知  正  
      他  九  名(目録の通り) 

    岐阜市薮田南二丁目一番地の一 
    被  告  岐阜県知事 
              梶  原   拓 
    被  告  岐阜県教育委員会教育長 
              日  比  治  男 

 公文書公開拒否処分取消請求事件 

           訴訟物の価格   金九五〇、〇〇〇円 
           貼用印紙額      金八、二〇〇円 
  予納郵券  金一一、二三〇円 

  一九九八年六月三日 
 岐阜地方裁判所民事部御中 

 請 求 の 趣 旨 
 一 被告岐阜県知事梶原拓が原告に対して一九九八年四月二〇日付でなした「広報課が窓口になっている日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料、講読課、金額。ただし一九九六、一九九七年度分(一九九六年四月一日から現在まで)執行分」の文書の一部を公開しないとの処分を取り消す。 

 二 被告岐阜県知事梶原拓が原告に対して一九九八年四月二〇日付でなした「広報課が窓口になっている日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料、講読課、金額。ただし一九九五年度分執行分」の文書の一部を公開しないとの処分を取り消す。 

 三 被告岐阜県知事梶原拓が原告に対して一九九八年五月二六日付でなした「広報課が窓口になっている日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料、講読課、金額。ただし一九九五、一九九七年(一九九八年四月九日から現在まで)執行分」の文書の一部を公開しないとの処分を取り消す。 

 四 被告岐阜県知事梶原拓が原告に対して一九九八年五月一二日付でなした「日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読に関する支出金調書及び添付書類。ただし一九九六、一九九七年度分(一九九六年四月一日〜現在まで)執行分。(広報課が窓口になっているものを除く本庁分)」の文書の一部を公開しないとの処分を取り消す。 

 五 被告岐阜県教育委員会教育長日比治男が原告に対して一九九八年五月一二日付でなした「日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読に関する支出金調書及び添付書類。ただし一九九六、一九九七年度分(一九九六年四月一日〜現在まで)執行分。(広報課が窓口になっているものを除く本庁分)」の文書の一部を公開しないとの処分を取り消す。 

 六 訴訟費用は、被告の負担とする。 
   との判決を求める。 

 請 求 の 原 因 

 第一 本件訴訟の意義 
  地方自治体が財政問題に非常に苦慮している中で、岐阜県が多額の情報誌購読料の支出を継続していることから、未だに、購読撤廃に踏み切れない市町村も多くある。岐阜県の情報誌購読料の支出に関して、広報課分は、一九九五年一六三万五〇〇〇円、九六年一五六万五〇〇〇円、九七年一四五万六二〇〇円、本庁各課(一一課と教育委員会)分は、九六年三六五万円、九七年五三八万円(最終的には七〇〇万円前後になろう)である。 
  暴力団対策法施行後、岐阜県警などは自治体などに、暴力団の資金源になる恐れがあるとして、不必要な情報誌との絶縁を求めていることからも、本件情報誌に対する岐阜県の購読料支出は著しく不当なことである。 
  経済界においても、一連の総会屋の情報誌を購読していた企業の姿勢が重大な社会問題になっており、経営者、関係者らの責任が問われている。社会通念上、本件購読料支出が許容される余地はない。 
  総務部在籍の県職員とする者から『実際の県の購読料支出は、報道より一桁多い。出先機関でも多い。ウラ金から出す。県が行う事業で、地域でトラブルなどがあると、県に有利になるような記事を書くよう依頼するものも、幾つかある』との告発もある。 
  県が広告を出している情報誌もある。 
  以上のように、岐阜県各課がどのような情報誌を購読しているか、その金額はどのようであるかは、県民だけでなく報道関係者など各界各層に極めて高い関心のある事項である。 
 岐阜県政の現状が広く県民に公開され、県政の事務事業が県民の信頼を得て実施・執行されて行くためにも、本件公文書の公開の意義は極めて高い。 
  岐阜県情報公開条例(以下「本件条例」という。)に従って異議申立しても、岐阜県情報公開審査会は、この二年程、未着手の審議案件が多く、審議着手に一年以上かかる。裁 判に比して簡単、迅速であることから審査会を設置するという、審査会設置の一般的趣旨にも適っていない。未着手の審議案件(現在でも四〇件以上残っている)が多いのは、岐 阜県の本件条例の運用において、いかに県民の意向と理解にそぐわず、非公開・部分公開・不存在等の決定に対する異議申立が多いか、即ち県の公開姿勢が問われていることの証し、と考えざるを得ない。 
  本件公文書は全て公開されなければならないことを、司法の場で明らかにすることを目的として、提訴したのが本件訴訟である。 

 第二 当事者 
 一 原告らは市民団体「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」の運営委員であり、肩書地に居住する岐阜県民である。また左記に示すように、本件各文書の公開請求を自ら行った。 

 二 被告岐阜県知事梶原拓(以下「知事」という。)は、本件条例」第二条第一項の実施機関である。 

 三 被告岐阜県教育委員会教育長日比治男(以下「教育長」という。)は本件条例第二条第一項の実施機関である。(※後日、「被告岐阜県教育委員会(以下「教育委員会」という。)は本件条例第二条第一項の実施機関であり、教育長は日比治男である。」と変更した) 

 第三 本件条例の趣旨、目的等 
 一 本件条例の趣旨、目的 
  本件条例第一条は、条例制定の目的を「県民の県政への参加を促し、県政に対する理解と信頼を深め、もって開かれた県政を実現すること」と規定している。このように本件条例は憲法第二一条等に基づく県民の「知る権利」、憲法第一五条による参政権を岐阜県政において実質的に保障すること、および県政の実情などに対する県民の理解を深め、県政に対する県民の信頼を高めるために制定されたものである。 

 二 非公開事由の判断基準 
  一般的に情報公開条例が、過去において、行政機関の保有する文書が、行政庁側の種々の名目のもとに、ややもすれば恣意的、濫用的に秘密扱いにされ、住民の知る権利を妨げ、 
 ひいては地方自治の健全な発展を阻害する面のあったことに鑑み、それらの弊害を除去すも考慮に入れて制定されたことは公知の事実である。 
  そのようにして制定された情報公開条例の非公開事由該当性を、専ら行政機関の側の利便等を基準・根拠に、その主観的判断に基づいて決するとすれば、その範囲が不当に拡大する危険性があり、情報公開制度の実質的意味が失われることにもなりかねない。 
  また、文書を公開することによって生ずる支障のみに目を奪われ、それを非公開とすることの弊害や、公開することによる有用性、公益性に何ら意を用いなければ、情報公開制度の運用がいたずらに硬直化したものとなり、ひいては将来的、長期的にみた地方自治の健全な発展が望めないことになる。  そこで、本件条例は、情報の公開を原則とし、非公開を例外とし、本件条例第三条で「実施機関は、 公文書の公開を求める権利が十分に 尊重されるようこの条例を解釈し、運用する」と規定しているの であり、本件条例の非公開事由は厳格に解釈されなければならない。 
  とりわけ、主として行政執行上の利益の保護を図って制定されたと考えられる非公開事由の解釈に当たっては、そこで保護されるべき利益が実質的に保護に値する正当なものであるか否か、また、利益侵害の程度が、単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるにすぎないのか、あるいはそのようなおそれが具体的に存在するといえるのかを、客観的に検討することが必要である。 

 第四 請求の趣旨第一項  について 
 一 処分の存在 
  1 原告は、一九九八年四月八日、被告知事に対し、本件条例第五条に基づき、「広報課が窓口になっている日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料、講読課、金額。ただし一九九六、一九九七年度分(一九九六年四月一日から現在まで)執行分」の文書(以下「本件文書@」という。)についての公開請求を行った。 

  2 右請求に対し、被告知事は、一九九八年四月二〇日付けで、左記の理由により、本件文書@の一部を非公開とする処分(広第二三号)(以下「本件処分@」という。)を行った(甲第一号証)。 

                  
 (公文書の公開をしない部分) 
   支出金調書中の受取人欄、支払方法欄及び支払内容欄並びに請求書中の債権者に関する情報 
 (理由) 
  ・岐阜県情報公開条例第六条第四号に該当 
 支出金調書中の受取人欄及び支払方法欄、支払内容欄並びに請求書中の債権者に関する情報には、債権者及び債権者に係る住所、社名、代表者名、印影、口座番号等の情報が記載されており、これらを公開すると、債権者の営業の実態、取引の状況が明らかとなり、当該債権者の競争上の地位その他正当な利益が損なわれるため。 

 二 処分の条例上の違法性 
  1 事業活動情報該当性(第六条第四号) 
    第六条第四号は、公文書公開請求権が人権上及び民主主義原理上極めて重要な権利であることと公開情報関連事業者の財産権上の権利・利益が濫りに損なわれることがないように調整し、利益衡量するために設けられたものである。 
  また、本件条例が、単に「当該法人等または当該事業を営む個人に不利益が生じる」等という表現ではなく、「競争上の地位その他正当な利益が損われる」という文言を採用したことを考慮すると、公開義務が免除される情報は極めて限定的である。 
  法人情報等が問題となった情報公開に関する判例等から、本規定は、不正競争防止法と密接な関係を有していることが明らかである。不正競争防止法第一条第三項から判断すれば、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」に該当する情報であって、それらが損なわれる場合、即ち、それらに実質的な被害が客観的に生じる場合に限られる。  不正競争防止法のこの「営業秘密」に関して、「秘密としての管理」「有用性」「非公知性」の三つが掲げられている。「秘密としての管理」の要件として、秘密を維持するために合理的な努力を払っていることが必要であり、文書である場合には『極秘』『マル秘』等の表示などにより第三者の取得後も営業秘密であると認識できるような措置が必要、と指摘されている。「有用性」が要件とされたのは、当該情報を保護することに一定の社会的な意識と必要性が認められる情報に限って保護するためである。「非公知性」が要件とされたのは、「非公知であり、不特定の者がその情報を共有していないことにより、独自の価値を有するもの」などである。 

  2 情報誌等の出版物は、通常広範に配布され、大衆の目に触れることを目的として作成、販売されている。それでこそ、その存在意義を有している。取引の実態が公開されたからとて、何ら損害の生じない部類の最たる出版物、印刷物の一つであることは明らかである。 

  3 岐阜県の情報誌の購読に関する一切の情報が公開されたからといって、情報誌紙出版社、取り扱い各社等の活動に実質的な被害が客観的に生じる余地はない。 

  4 印影から個人を特定することは不可能である。 

  5 口座番号等を紙面の見出しに表示している(甲第一九号証)等、本件文書に関して は口座番号の秘密性はない。 

  6 本件条例に基づく別件の公開請求において誌紙名等が公開されている(甲第六号証)。 

  7 また、請求書を岐阜県が作成、例示するなどの事実から考えても、秘密性・特殊性 
 は存しない。 
 
 8 以上、本件非公開は条例の解釈を誤っており違法である。 

 三 処分の実体的な違法性 
  支払内容、誌紙名などが非公開とされている(甲第七号証)。広報課分の一九九五年度、一九九六年度分の約六〇〇件が全てこのようである。 
  誌紙名、住所、印影等の他に摘要欄や欄外も非公開とされている(甲第八号証)。 
  右記、非公開理由に示された項目に該当しない部分の非公開は、理由がなく違法である。 

  また、個々の文書により、同じ非公開項目に関して、非公開と公開が混在している(例・摘要欄等)のは、著しい裁量権の乱用であって違法である。 
  そもそも、非公開(理由付け)が必要ない、というべきである。 

 四 従って、本件文書@について本件条例第六条第四号該当性が認められる余地はないというべきである。よって、本件文書@の一部を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。 

 第五 請求の趣旨第二項  について 
 一 処分の存在 
  1 原告は、一九九八年四月一三日、被告知事に対し、本件条例第五条に基づき、「広報課が窓口になっている日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料、講読課、金額。ただし一九九五年度分執行分」の文書(以下「本件文書A」という。)についての公開請求を行った。 

  2 右請求に対し、被告知事は、一九九八年四月二〇日付けで、本件処分@と全く同じ理由により、本件文書Aの一部を非公開とする処分(広第二四号)(以下「本件処分A」 という。)を行った(甲第二号証)。 

 二 処分の条例上の違法性 
   本件処分@で述べたと同様の理由により違法である。 

 三 処分の実体的な違法性 
   支払内容、誌紙名などが非公開とされており(甲第七号証)、本件処分@で述べたと同様の理由により違法である。 

 四 従って、本件文書Aについて本件条例第六条第四号該当性が認められる余地はないというべきである。よって、本件文書Aの一部を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。 

 第六 請求の趣旨第三項  について 
 一 処分の存在 
  1 原告は、一九九八年五月一五日、被告知事に対し、本件条例第五条に基づき、「広報課が窓口になっている日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料、講読課、金額。ただし一九九七年度分(一九九八年四月九日から現在まで)執行分」の文書(以下 「本件文書B」という。)についての公開請求を行った。 

  2 右請求に対し、被告知事は、一九九八年五月二六日付けで、本件処分@と全く同じ理由により、本件文書Bの一部を非公開とする処分(広第六〇号)(以下「本件処分B」という。)を行った (甲第三号証)。 

 二 処分の条例上の違法性 
   本件処分@で述べたと同様の理由により違法である。 

 三 処分の実体的な違法性 
   本件処分@で述べたと同様の理由により違法である。 
   そもそも、非公開(理由付け)が必要ない、というべきである。 

 四 従って、本件文書Bについて本件条例第六条第四号該当性が認められる余地はないというべきである。
  よって、本件文書Bの一部を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。 

 第七 請求の趣旨第四項  について 
 一 処分の存在 
  1 原告は、一九九八年四月八日、被告知事に対し、本件条例第五条に基づき、「日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料に関する支出金調書及び添付書類。ただし一九九六、一九九七年度分(一九九六年四月一日〜現在まで)執行分。(広報課が窓口になっているものを除く本庁分)」の文書(以下「本件文書C」という。)についての公開請求を行った。 

  2 右請求に対し、被告知事は、一九九八年五月一二日付けで、左記の理由により、本件文書Cの一部を非公開とする処分(行管第二五号)(以下「本件処分C」という。)を行った(甲第四号証)。  

                 
  1(公文書の公開をしない部分) 
 ・消耗品費の支出負担行為兼支出金調書中の受取人欄、支払方法欄及び支払内容欄並びに請求書中の債権者に係る住所、社名、代表者名、印影、口座番号等の情報 
 ・報償費の支出負担行為兼支出金調書中の支払内容欄及び支払精算調書に添付されている領収書中の債権者に係る住所、社名、代表者名、印影、口座番号等の情報 

   (理由) 
 ・岐阜県情報公開条例第六条第四号に該当 
  公開すると、債権者の営業の実態、取引の状況等が明らかとなり、当該債権者の競争上の地位その他正当な利益が損なわれるため。 

  2(公文書の公開をしない部分) 
 ・報償費の支出負担行為兼支出金調書及び支払精算調書(添付書類を含む。)中の諸新聞の購読に係るものとそれ以外の報償費の合計額に関する情報 
   (理由) 
 これらを併せて公開すると、全て諸新聞の購読に関する報償費であると混同されるため。 
  3(公文書の公開をしない部分) 
 ・請求書及び領収書中の取扱者欄に押印されている印影 
   (理由) 
 ・岐阜県情報公開条例第六条第一号に該当 
 個人に関する情報であって、特定の個人が識別され得るため。 

 二 処分の条例上の違法性 
  1 事業活動情報該当性(第六条第四号) 
    本件処分@で述べたと同様の理由により違法である。 

  2 添付書類として公開された請求書・領収書で情報誌への支出金額は特定されるのであるから、仮に他の支出と合算して一括記載されている場合でも、その金額を他と混同することはあり得ない。被告が仮に、他との混同のおそれを懸念するなら、公開に当たって、その旨を請求者に説明・示唆 
 すれば足りることである。また、合算された他の支出額が特定され、あるいは明らかになったとて、岐阜県に何ら支障はない。 
  法令の根拠(条項の明記)無き非公開理由は、理由付記無き場合と同様であり、本件は違法というべきである。 

  3 個人識別情報該当性(第六条第一号) 
  本件条例第六条第一号は、憲法第一三条が保障する個人のプライバシーの権利、すなわち私生活をみだりに公開されない権利の保護を目的とするものであるから、特定の個人が識別され、又は識別され得る情報であっても、その公開によって、個人のプライバシーの権利の侵害が生じない場合は、公開義務は免除されない。 
  印影から特定の個人を特定することは不可能である。 
  本件押印は、営業行為の一連の作業の一部としてなされるものであり、署名や印影が明らかとなったことで特段に個人のプライバシーの権利が侵害されたとはいえない。 
  口座番号を紙面の見出しに表示している(甲第一九号証)等、本件文書に関しては口座 番号の秘密性はない。 
  本件購読に関する支出関係書類に添付される請求書や領収書は、公金の処理に付帯したものであって、それに関する債権者の情報も特段の私生活上の事実に関する情報とはいえないから、債権者の経理責任者等の氏名や印影などを公開したからといって、個人のプライバシーの権利が侵害されることはない。 
  以上の理由により違法である。 

 三 処分の実体的な違法性 
  支出金調書、摘要欄、日付、印影、誌紙名、欄外、その他が非公開とされている(甲第九号証)。 
  支出金調書、摘要欄、印影、欄外等が非公開とされている(甲第一〇号証)。 
  支出金調書、誌紙名、摘要欄等が非公開とされている(甲第一一号証)。何と、一社に対して半年分だけで三二万円支出している。同誌の後期分三二万円の支出書類も別に存する。 
  支出金調書、摘要欄、欄外等が非公開とされている(甲第一二号証)。 
  支出金調書、摘要欄、誌紙名、欄外等が非公開とされている(甲第一三号証)。 
  支出金調書、摘要欄、誌紙名、年月日等が非公開とされている(甲第一四号証)。 
  支出金調書、摘要欄、誌紙名、年月日の「月」だけ等が非公開とされている(甲第一五号証)。 
  以上、右記非公開理由に示された項目に該当しない部分の非公開は、理由がなく違法である。 
  また、個々の文書により、同じ非公開項目に関して、非公開と公開が混在している(例・ 支払内容欄、摘要欄等)のは、著しい裁量権の乱用であって違法である。 
  そもそも、非公開(理由付け)が必要ない、というべきである。 

 四 従って、本件文書Cについて本件条例第六条第一号、第四号該当性、その他の理由が認められる余地はないというべきである。よって、本件文書Cの一部を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。 

 第八 請求の趣旨第五項  について 
 一 処分の存在 
  1 原告は、一九九八年四月八日、被告教育長に対し、本件条例第五条に基づき、「日日刊行される全国紙、地方紙を除く、諸新聞の購読料に関する支出金調書及び添付書類。 ただし一九九六、一九 九七年度分(一九九六年四月一日〜現在まで)執行分。(広報課が窓口になっているものを除く本庁分)」の文書(以下「本件文書D」という。)についての公開請求を行った。 

  2 右請求に対し、被告教育長は、一九九八年五月一二日付けで、本件処分Cと全く同じ理由により、本件文書Dの一部を非公開とする処分(教総第一四二号)(以下「本件処分D」という。)を行った(甲第五号証)。 

 二 処分の条例上の違法性 
   本件処分Cで述べたと同様の理由により違法である。 

 三 処分の実体的な違法性 
  支出金調書、摘要欄、印影、誌紙名、欄外、その他が非公開とされている(甲第一六号証)。 
  支出金調書、摘要欄、印影、欄外等が非公開とされている(甲第一七号証)。 
  支出金調書、摘要欄、誌紙名等が非公開とされている(甲第一八号証)。 
  以上、右記非公開理由に示された項目に該当しない部分の非公開は、理由がなく違法である。 
  また、個々の文書により、同じ非公開項目に関して、非公開と公開が混在している(例・支払内容欄、摘要欄等)のは、著しい裁量権の乱用であって違法である。 
  そもそも、非公開(理由付け)が必要ない、というべきである。 

 四 従って、本件文書Dについて本件条例第六条第一号、第四号該当性、その他の理由が認められる余地はないというべきである。よって、本件文書Dの一部を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。 

                                    以 上 

  《証 拠 方 法》   別紙の他、口頭弁論において、随時、追加提出する。 


 一九九八年六月三日 

   岐阜県山県郡高富町西深瀬二〇八番地の一 
      右  原  告     寺  町  知  正 
                   外九名 

 岐阜地方裁判所民事部御中 


 当事者目録 
 岐阜県可児郡御嵩町上恵土一二三〇の一 
            原  告 小  栗    均 

 岐阜県美濃市大矢田一四三四番地 
           原  告     後  藤  兆  平 

 岐阜県加茂郡八百津町伊岐志津一四〇五番地の一 
           原  告      白  木  康  憲 

 岐阜県山県郡高富町西深瀬二〇八番地の一 
           原  告     寺  町  知  正   

 岐阜県山県郡高富町西深瀬二〇八番地の一 
           原  告     寺  町    緑   

 岐阜県加茂郡八百津町潮見四〇七 
           原  告     宮  澤  杉  郎 

 岐阜県養老郡上石津町上鍛冶屋九七の一 
           原  告 三  輪  唯  夫 

 岐阜市御望九五六番地の十四 
           原  告     別  処  雅  樹  

 岐阜県恵那郡坂下町坂下二三八四番地の十六 
           原  告       原    昌  男 

 岐阜県揖斐郡谷汲村岐礼一〇四八の一 
            原  告 山  本  好  行     

                           以 上 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  公文書公開拒否処分取消請求事件 
             
         原  告     寺  町  知  正   
                        外九名  
          被  告     梶  原  拓  
                        外一名 
   
 一九九八年六月三日 
    岐阜県山県郡高富町西深瀬二〇八番地の一 
      右  原  告     寺  町  知  正  
                        外九名  
 岐阜地方裁判所民事部御中 

                 
 甲第一号証  請求の趣旨一の処分に関する公開請求者名、処分番号、非公開理由等が明記されている。 

 甲第二号証  請求の趣旨二の処分に関する公開請求者名、処分番号、非公開理由等が明記されている。 

 甲第三号証  請求の趣旨三の処分に関する公開請求者名、処分番号、非公開理由等が明記されている。 

 甲第四号証  請求の趣旨四の処分に関する公開請求者名、処分番号、非公開理由等が明記されている。 

 甲第五号証  請求の趣旨五の処分に関する公開請求者名、処分番号、非公開理由等が明記されている。 

 甲第六号証  岐阜県東京事務所の需要費等の支出に関する支出金調書や添付書類の別件の公開請求に対して、公開された文書の一部。本件各処分で非公開とされたものでも公開されている。 

 甲第七号証  支払内容、誌紙名などが非公開とされている。広報課分の一九九五年度、一九九六年度分の約六〇〇枚の書類が全てこのようである。 

 甲第八号証  誌紙名、住所、印影等の他に摘要欄や欄外も非公開とされている例を示す。他に多数ある。非公開理由に示された項目に該当しない部分の非公開は、理由がない。また、個々の文書により、同じ非公開項目に関して、非公開と公開が混在している(例・ 摘要欄等)。他にも多数ある。 

 甲第九号証  支出金調書、摘要欄、日付、印影、誌紙名、欄外その他が非公開とされて いる例を示す。 

 甲第一〇号証  支出金調書、摘要欄、印影、欄外等が非公開とされている例を示す。 

 甲第一一号証  支出金調書、誌紙名、摘要欄等が非公開とされている。何と一社が半年分で三二万円にもなっている。同誌の後期分三二万円も別に存する。 

 甲第一二号証  支出金調書、摘要欄、欄外等が非公開とされている例を示す。 

 甲第一三号証  支出金調書、摘要欄、誌紙名、欄外等が非公開とされている例を示す。 

 甲第一四号証  支出金調書、摘要欄、誌紙名、年月日等が非公開とされている例を示す。 

 甲第一五号証  支出金調書、摘要欄、誌紙名、年月日の「月」だけ等が非公開とされている。 

 甲第一六号証 支出金調書、摘要欄、印影、誌紙名、欄外、その他が非公開とされている 
 例を示す。 

 甲第一七号証  支出金調書、摘要欄、印影、欄外等が非公開とされている例を示す。 

 甲第一八号証  支出金調書、摘要欄、誌紙名等が非公開とされている例を示す。 

 甲第一九号証  口座番号等を誌紙面の見出しに表示している例を示す。 

                            以 上 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


   公文書公開拒否処分取消請求事件 

                    

           原  告     寺  町  知  正   
                          外九名  

             被  告     梶  原  拓  
                          外一名 
 一九九八年六月三日 

    岐阜県山県郡高富町西深瀬二〇八番地の一 
     右  原  告     寺  町  知  正  
                          外九名  

 岐阜地方裁判所民事部御中 

               

  本件取消訴訟で争う原因となっている情報誌購読の事実は、本件原告らが、個人として の岐阜県知事らを被告として、貴裁判所民事二部で「平成一〇年 行(ウ)第四号 情報 誌購読料支出金返還請求事件」として争っている事件の事実と共通(もしくは年度が違う だけで共通)しており、同部において審理されることが両訴訟の速やかな進行上合理的で あると考えるので、同部での審理を希望し、上申する。 
 
                       以 上 


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