イ 納税貯蓄組合連合会補助金交付要綱(以下、「要綱」という。)は、法定の事務等、即ち「組合の指導及び育成に関する事務、組合の連絡及び調整に関する事務その他組合の健全な発達を図るため必要な事務に要する経費」に対し、補助金を交付するとしている。しかし、補助金の額決定方法は、法及び要綱に違反している。
ウ 一方、市町村は、口座振替納税の普及、プライバシー保護等、法の制定当時とは全く変遷した納税環境が生じていることから、補助制度を廃止しているところが多い。
県の統計によれば、岐阜県内の組合は、平成7年度の「28市町村」から更に減少して、平成11年度「14市町村」と極めて少ない。しかし、連合会報告では、どの年も「89市町村」に組合が存在する、としている。
連合会は、現に存在しない組合や組合長の名簿を報告しており、当該自治体の人口より多い組合員数、所帯数より多い組合員数を計上している場合すらある。
エ 連合会の実際の活動、「振替納税の推進活動、組合に関係ない記事ばかりの納貯連だよりを作りしかもこれを全戸配布、確定申告書封入を受託、消費税完納PR、連合会の上部組繊の維持のための活動」などであり、法定外の活動を大々的に行っている。
オ 「県連合会は00生命岐阜支社」、「東濃西部連合会は00生命保険多治見支部内で、連絡先は多治見税務署」、連合会の重点活動には「納貯共済の推進」「00共済保険加入者拡大」がある等、民間特定保険会社の個人の生命保険の獲得母体となってきた。また、金融機関を賛助会員として、高額の会費を徴収している。
カ 県は、旧要綱においては数十年前の実績を根拠にする、組合数を誤ったままに認定し補助金を確定する、新要綱においては組合の存在しない市町村まで補助対象の市町村にカウントするなどして、補助金を交付した。
キ 国(税務署)は、実質的に連合会の事務を担い、「謝金」を支出し、保険会社と結び、連合会をして、本件補助金を目的外に使用させ、加えて、名称使用違反を助長してきた。
ク 連合会は、毎年、偽って実績報告し、補助金を不正に得てきた。管内に会員(組合)がないにもかかわらず、連合会役員、婦人部、青年部等をつくり、バスで施設や名所の視察など行っているが、目的及び主旨は不自然で、それによる効果も不明であり、誰が何の目的でバスで施設等に行ったかは疑問が残る。
ケ 自動車販売業界や保険会社との癒着である。
ア 要綱に定める補助事業者である各連合会は、各地区連合会から構成される「岐阜県納税貯蓄組合連合会」を除く7つのいずれの連合会においても、複数の組合が存在し、組合の指導及び育成等、法の趣旨に従って公益的な活動を行っている。
イ 各連合会が行っている事務は、規約に基づき、組合の指導育成等による自主納税の推進、小・中学生を対象とした税に関する作文・習字の募集による租税教育、税に関する広報等であって、県民の納税意識の高揚及び税知識の普及に寄与するという公益性が認められ、自治法上、補助することができるものと解する。
ウ 岐阜県は、要綱で、法第10条の2により連合会が行う「会員の指導及び育成に関する事務、会員の行う事務についての連絡及び調整に関する事務その他納税貯蓄組合の健全な発達を図るため必要な事務」に要する経費に対し、予算の範囲内で当該連合会に補助金を交付することとしている。
エ 連合会を構成する組合が行う『「当該貯蓄に関する事務」には、広く、納税の促進、滞納の防止のために組合が行う事務が含まれる』(平成10年1月26日横浜地裁判決)ことから、連合会が行う納税の促進、滞納防止のための事務についても、法第10条の2に定める事務に含まれるものと解され、要綱上補助の対象になる。
オ 岐阜県は、平成11年度、上記ウの事務に対して、県内各税務署単位に組織される「地区連合会」とさらにその上部団体として県単位に組繊される「県連合会」の8団体に合計で、1,730千円の補助金を交付した。
カ 請求人が主張する広報紙については、連合会の総会議決状況、事業活動報告、お知らせ等のほか、自らが実施する税に関する作文・習字の入選作品の紹介や税を取り巻く状況の広報など多岐にわたり、その配布についても、組合員ばかりで なくより多くの住民を対象としており、この活動自体、組合の普及・育成にもつながる連合会の重要な事務の一環であると解する。
キ 岐阜県は、要綱で、各地区連合会への補助金の算出について、平成10年度から「実績割」、「均等割」、「市町村割」により算出した額の合計額としているが、これは、広報紙の配布や租税教育等の連合会が行う事業の効果が全市町村に及ぶことを考慮したものである。
ク ちなみに、各地区連合会の広報紙、租税教育に要する事務費は、合計で10,085千円、最少の連合会でも521千円であって、これらの事務費に占める補助金の割合は、3分の1から14分の1である。
ケ なお、一部の連合会において、研修事業としてバスによる視察旅行等が行われているが、車中において、税に関するビデオや税資料による説明を行い、視察先では納税協力団体との交流等が行われているものであるが、こうした経費を除いたとしても上記クのとおりである。
コ 連合会の活動はボランティア的な部分が大きく、財源も乏しい。したがって、共済保険等の業務については、活動のための財源を確保するためのものであり、全国的に連合会の自主財源確保の方法となっているものである。
サ 以上のとおり、当該補助金は要綱の趣旨に沿って交付され、各連合会は、各種事業の実施を通じて、納税意識の高揚及び税知識の普及など、その成果を挙げているところであり、組合の加入脱退届け等の確認がなされていないということでもって、直ちに、本件支出が違法・不当な公金の支出となるものではない。
(別記)
可児郡御嵩町上恵土1230−1 小栗 均
養老郡上石津町上鍛治屋97−1 三輪唯夫
山県郡高宮町西辣瀬208−1 寺町 緑
岐阜市殿町4−8 堀安男
揖斐那谷汲村岐礼1048−1 山本好行
山県那高宮町西深瀬208−1 寺町知正
美濃市大矢田1434 後藤兆平
不破郡垂井町1292 白木茂雄
岐阜市黒野471−1 別処雅樹
加茂郡八百津町潮見407 営澤杉郎
加茂郡八百津町伊岐津志1405−1 白木康憲
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