カラ渡船情報非公開処分取消訴訟

        2000年9月28日判決言渡


  実質全面勝訴!  


 岐阜県海津町の長良川の県営の渡舟の委託料支出の是非を争っている住民訴訟と平行して、船の船頭や燃料を納入したとされているガソリンスタンドに関連する情報の公開を求めた訴訟の判決が9月28日に言い渡されました。
 下記の概略のうちの

合算情報・請求外情報と 

納入業者の印影(事業活動情報)


を除いて、全部公開すべし、との判決です。

 費用負担は、県の9、原告の1に、結果が表れています。

判決全文は近日中に掲載します。
  訴状・準備書面は訴訟のページでリンク

  カラ渡船関連情報
非公開処分取消訴訟 概略

   2000/10/3

《経過》

◆ 平成一一年(行ウ)一七号  県営渡船情報非公開処分取消請求事件
◆ 原告 岐阜県民ネットワーク 運営委員 一〇名
◆ 被告 岐阜県知事 梶原拓 (情報公開の実施機関として)
◆ 提訴日 一九九九年八月二五日 岐阜地裁民事一部
◆ 弁論 一〇月七日、一一月二五日、一月二〇日、三月二日、
     四月二七日、六月二九日(結審) 

《取消を求めた部分》

◆処分@◆

九九年六月三日付けで部分公開された「大垣土木事務所の渡船に関する委託契約書・業務報告書・委託料の支出金調書・証拠書類・旅行命令書及び支出金調書・復命書」の文書の中の次の部分


 ◎渡船場業務日誌に記載されている勤務者名(船頭名)(個人情報)
 ◎渡船組合の代表者名(組合長名)(個人情報)
 ◎領収証(書)に記載されている納入業者の住所、氏名等(ガソリンスタンド等)(事業活動情報)
 ◎領収証(書)に記載されている納入業者の印影(事業活動情報)
 ◎支出金調書中の海津町の口座番号(行政運営情報)
※−1

◆処分A◆

九九年六月一四日付けで部分公開された「大垣土木事務所の、県営渡船越立業務に関する船の検査に係る事前決裁書及び支出金調書・船舶検査手帳・物品品目一覧表」の文書の中の次の部分

◎船舶検査手帳に記載された検査員の氏名及び検査員の印影(個人情報)
◎振込依頼票(控)及び振込金受取書の出納印にある取扱銀行の担当者名(個人情報)
◎日本小型船舶検査機構の銀行名、口座番号等(事業活動情報)
◎日本小型船舶検査機構の検査手帳等の(法人の)印影(事業活動情報)
◎物品登録調書に記載された船や備品等の取得先(事業活動情報)
※−2

◆処分B◆

九九年七月二八日付けで部分公開された「大垣土木事務所の、管理課及び道路維持課に関する海津町への出張に関する旅行命令書・海津町への出張に関する支出金調書」の文書の中の次の部分
※−3

◆処分C◆

九九年六月七日付けで部分公開された「岐阜土木事務所の、県営渡船越立業務に関する以下の公文書・委託料の支出金調書・証拠書類」の文書の中の次の部分

◎委託料支出金調書に添付の請求書送付文書に記載された担当者名(岐阜市職員)(個人情報)

《条例にない「混同される恐れ」を理由として非公開処分することの適否》

※−1
 ・公開請求された渡船業務に関するもの以外の情報
 ・請求外情報と渡船業務に関するものが合算して記録されている情報
※−2
 ・物品品目別一覧表中の、請求された渡船業務に関するもの以外の情報
※−3
 ・他の情報、合算情報

 《原告の主張した違法理由》

◆ 個人情報(プライバシー)(1号)への非該当性
・「個人に関する情報」であって、かつ、「個人が識別できるもの」を非公開の対象としている。氏名や職名によって個人を識別することはできるが、それは「個人識別」への該当性を認めることができるというだけであり、「個人に関する情報」に該当しない以上、該当性は認められない。

・県の解釈運用基準の例示にもない。逆に「職員が職務を遂行する(した)場合における当該職務に関する情報については、当該職員が識別される場合であっても、該当しない」とされている。

・県の業務の受託者は、契約に従って業務に相応して所定の委託料を得るのであるから、その業務は、当然に県の公務の一部であって、県の職員と同格に本件条例の適用が及ぶことはいうまでもない。業務の対価として日当を得る勤務者も当然である。

・検査関係書類に記載されている氏名や印影などは、検査確認終了の重要な構成要素である。

◆ 事業活動情報(4号)への非該当性(法人の内部管理情報・事業者の営業活動情報)

・本件渡船委託契約は、歴史的・実態的にも、将来的にも、独占・寡占的契約であって、他の者に代替し得るものではなく、氏名等の公開が組合業務に悪影響するおそれは全くない。

・債権者及び債権者に係る住所、店名、印影、口座番号等の情報は、通常の取引において公になっている情報であり、およそ「競争上の地位その他正当な利益が損なわれる」などあり得ない。

◆ 行政運営情報(8号)への非該当性
・地方公共団体の口座番号は、通常、納税通知その他各種文書などで広範に周知されている。

◆ 合算情報の非公開の違法性
・右情報を非公開とすることを正当化する根拠条文が示されていない以上、違法である。

・他との混同のおそれについては公開手続きの際、請求者に対して説明すればよいだけ。検査機構への振込等に関する情報は検査の実施を証明、担保する材料の一つでもあり公開すべき。

※(「出張した職員の、級・号給、口座名義」については本件取消請求から除外した) 


《関連訴訟)

◆平成一一年(行ウ)一六号 県営渡船委託料損害賠償請求事件
◆原告 岐阜県民ネットワーク 運営委員  一〇名
◆被告 梶原拓、歴代大垣土木事務所長の個人五人、
    渡船組合長二人、海津町の合計八人と一自治体
◆請求額 金二七一九万一七五〇円
◆提訴日 一九九九年八月二五日  民事一部。
 公開訴訟と同時に提訴。現在も継続中で、六月二九日、裁判所は被告側に立証活動に入るように指示した。