審 査 申 立 書

   2000年11月22日岐阜検察審査会 御中

@申立人 (資格)2000年6月10日付け告発人719人の代表
     (住居)岐阜県山県郡高富町西深瀬208番地の1
     (職業)議会議員
     (氏名)寺町知正
     (年齢)47才

A代理人  無し

B罪名   収賄

C不起訴処分年月日  2000年10月26日
(事件番号 平成12年検第2357号)

D不起訴処分をした検察官
岐阜地方検察庁 検察官  西尾 正

E被疑者 (住居)岐阜市加納城南通3の39
     (職業)衆議院議員
(氏名)武藤嘉文
     (年齢)73才

F被疑事実の要旨
 岐阜県羽島郡柳津町が同町の複合福祉施設を建設する際、株式会社司設計の設計プランが採用された。この設計コンペにおいて、被疑者が柳津町の伊藤郁雄町長宛に電話し、「司を頼むよ」という趣旨の依頼を行い、依頼を受けた伊藤町長は「武藤代議士は大臣まで経験された方なので、無視するわけにはいかない」と考えた結果、司設計が当選したことが岐阜地方裁判所における伊藤郁雄の刑事裁判で明らかにされた。
 他方、岐阜県選挙管理委員会が公表している政治資金収支報告書によると、司設計は被疑者が代表を努める団体に、96年から98年の3年間に630万円の政治資金を寄附しているほか、被告発人の資金管理団体に同じ3年間に82万円の寄附をしている。
 この事業は、国の補助金に準ずる地方交付税を前提に行われたものであるが、被疑者は、有力な国会議員であり、交付決定に際して、自治省等、国の機関に影響力を行使し、その謝礼として前記の金額を自己の関係団体に受け入れたと考えるのが合理的である。よって、収賄罪にあたる。

G不起訴処分を不当とする理由
 国会議員の「口利き」を規制する新しい法律が国会で審議中であるが、提案した政府関係者は現行法でも「口利き」の処分は可能である旨を答弁している。 しかし、本件において岐阜地方検察庁は被疑者が有力な国会議員であることから立件を躊躇した結果、私たちの告発に関してこれを不起訴としたことの背景は推測して余りある。
 告発状添付の新聞記事でも明らかなように、本年の柳津町長事件における裁判などで、相当な量の状況把握のための資料や証拠は揃っていると考えられる。本件は立件されて当然の事件である。
 かつて、金丸信衆議院議員に関する疑惑において、国民からの告発を受理した東京地検が不起訴としたところ、これを検察審査会が「不起訴不当」を決定して捜査が開始され、最終的に大規模な政界汚職が解明されたことは国民の記憶に新しい。当時、検察審査会の存在が大きく評価され、以後の各地の「不起訴不当」の先鞭となったともいわれている。
 国民を導くべき政治家の同様の行為を抑止するとともに、岐阜県における司法の信頼を回復し、高めるためにも絶好の機会である。
 また、先般11月9日、東京地検特捜部は「西川太一郎衆議院議員及び山崎泰東京都議の秘書二人を逮捕した。それぞれ議員の名前を挙げて信用保証協会の支所に『よろしく頼む』などと電話していた」などと報道されているとおりであって、今回の岐阜地検の不起訴処分は住民感情からも到底許容できない。
  以上、今回、貴審査会が、被疑者の権威に動ずることなく、同時に岐阜地検の捜査を後押しすべく「不起訴不当」の決定をされることが求められている。

H備考
 以下の資料を添付する。
  ・中小企業融資口利き事件の報道記事
     以 上