『む・しの音通信』No.30
(2003年9月1日発行)

テーマ
「おいしい魚を釣って食べよう!」
    (講師:寺町ともまさ&みどり)

報告:三重県桑名市・小川まみ


 8月2日〜3日の一泊二日で「議員と市民の勉強会」をウィルあいち(名古屋市)て開催した。今回は、単に「さかなの釣り方」だけを学ぶのではなく、ちゃんと9月議会で成果が得られるように、各セッションとも参加型でおこなわれ、内容も実践的だった。
 参加者は、市民1名・議員11名。初参加の人が5名。7月の選挙で当選したばかりの人や、福岡県、埼玉県と遠方からの参加もあり、ちょっと新鮮な勉強会になった。

◆セッション1

 「決算審査を使いこなして予算に反映させよう》


 新人議員にとって初めての決算議会に向けて、「決算とは何か」からはじまり、「目のつけどころ」、そして「決算審査=政策評価」で自治体として本当に必要な事業だったのかを問い直し、次の予算につなげていくことを学んだ。
 「2期目の課題」をテーマに、ステップバージョンアップもあり、その内容は多岐にわたった。最後は、「決算審査」に対する参加者の意見表明で締めくくった。

◆セッション2

「9月の一般質問で望む答えを獲得しよう」


 はじめに「6月議会の反省と課題」ということで、各自の一般質問から一問ずつ報告し、参加者で質疑応答やディスカッションをした。講師からのアドバイスは、「明確な答弁を得るには問題点を整理し、獲得目標をきちんと定めなければイケナイ」ということだった。
 続いてワークショップ。9月議会でやってみたい課題で、「問いを裁てる→どう解決するか→獲得したい答え」とKJ法を使って問題点を整理した。あとは家にかえってから、これを文章化すれば、一般質問の出来上がり。

◆セッション3

「議会改革で政策実現を!」


 1期目議員は、最近の経験から疑問に感じたことや反省点を報告し、2期目議員は1期目に行ったこと、2期目の実現したいことを報告した。
 前回で勉強した「議会とは何か」について復習し、「議会改革はなぜ必要なのか」をテーマに参加者でディスカッションをした。
 いつもながら、アッという間に時間が経ち、まだまだ続きをしたい気持ちを押さえて、講座は終了した。

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レポート「おいしいさかなの釣り方・食べ方」
    敦賀市・今大地はるみ


 8月の「議員と市民の勉強会」はあいかわらずの強行スケジュール。しかも、持ちものどっさりに宿題までたっぷり! 
 今回は議員参加者がずらり11人+市民ひとりに講師のみどりさん・ともまささんの総勢14人。開始10分前の集合時間の厳守が守れないのもいつもどおり。講座だけを受ける「お客さん」ではなく、会場準備も後片付けも、持ちものも宿題も参加者はみんな同じのはず。最低限のルールを守れなくて議員でござい!ってのは、チョットまってよ、と言いたくなる。ルール無視はそれこそ「無視!」の「む・しネット」。参加者のみなさんも、これからは「勉強会は自分で創るもの」ということを忘れないでね。    
 今回は新人議員にははじめての、2期目の議員には復習となる「決算」「一般質問」。そして市民派議員の大きな課題である「議会改革」の3つのセッションで講座が組まれた。
 《セッション1》「決算審査を使いこなして予算(政策)に反映させよう」では、ともまささんを講師に、@決算とは何か〜法律に基づいて、理解することや時期、その重要性。 A決算審査の着眼点〜講師資料や各自治体の決算書の解説。 Bすでに決算審査を経験している3人の議員の宿題の発表と講師のコメント。 C決算審査は政策評価〜決算全体の問い直し。 D決算審査は自治体によってばらつきがある〜アンケートの集計から。 E決算審査の実際〜そこであなたはどうする?  F1期目後半から2期目の課題〜決算カード・財政比較データでの客観的評価、外部監査制度の導入。 G決算審査は「討論」で締めくくる〜主張して議事録に残そう。H決算審査にこう取り組む〜1期目議員8人+市民の発表(ひとり2分)と講師のコメント・・・ふぅー!およそ2時間半の講座が終了!     
 時間の遅れを取り戻すべくトイレタイムのみで《セッション2》を開始。講師はみどりさんで「9月の一般質問で望む答えを獲得しよう」がテーマ。
@6月議会の反省と課題〜参加者全員によるひとり2分の報告と質問・議論3分。 A前回(5月勉強会)の復習〜「一般質問の原則と組み立て方」では質疑と質問の違いの解説。ソフトな語り口で内容厳しく「釣った魚はおいしく食べよう」。  B参加者全員で「一般質問」のテーマがいっぱいあることを見つけるために、福祉・環境・ジェンダー・情報公開などの12項目の分野別に政策テーマを出し尽くす。  Cワークショップ〜9月議会でやりたいテーマのひとりKJ法。発表と質疑応答。男性はワークショップ(KJ法?)が苦手? 
 20時50分、1日目が終了。宿泊棟に移動しおそい夕食をとりつつ交流会。その後スタッフは午前2時まで真夜中のスタッフ会。おつかれさまでした。
 2日目。《セッション3》」は「議会改革で政策実現を!」。前日の参加者の動向から「議会とは何か」の根本的な理解が得られていないということで、ともまささんによる「本会議と委員会、議員等の関係」のレジメ(禁転載・禁転送)をもとに復習講座30分が前段に組み込まれた。みどりさんが前段の復習をさらに詳しく解説、@前回の復習〜「議会とは何か」につなぐ。 A「議会改革」については「慣例と前例に従わずに変えよう!法律どおりの議会の実現をめざそう!」のレクチャーを受け、 B「議会改革はなぜ必要か」のディスカッションにはいった。各参加者からの質問に的確なコメントがかえされ、これならわたしもできる!と納得。最後の締めくくりは、次につなげるためのまとめと反省。ひとり2分でのコメントも議員として時間内にしゃべる大切な勉強法。11時50分にすべての日程を終え、全員で後片付け(サボらないでね)。
 「9月議会はバッチリだった」の報告を楽しみにしつつ、レポートを閉じることにする。 あ〜あ、おいしかった!

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「決算は予算の始まり」
    兵庫県中町・高澤栄子


 普通に言えば、決算はもう終わってしまったこと。使われたお金がもどってくるわけではないし、終わったことをとやかく言っても仕方がない、などと考えがちですが、これが間違い(ということが、今回の勉強会でよくわかりました)。「決算は予算のスタート」なのです。
 一年間、私たち市民の代理人として、行政の使ったお金が、ほんとうに必要なものであったのか。あるいは、不要で無駄なものだったのではないだろうか。
 「決算は政策評価の場である。」
 「政策=お金の使い方を考えること。」
こう意味付けられると、決算がとてもわかりやすいもの、取り組みやすいものに思えてきました。
 9月議会には決算が上程される。しかし、どこをどう見ていけばいいのか。人間の体でいえば、ツボというか、押さえどころをしっかりと知りたい、見ていきたい、と思っていただけに、「決算の見方の基本の基」を学ぶことができて、9月議会が楽しみなものになってきました。
 公共工事などにおいて、「行政は高い買い物をしているのではないか」とはよく言われる言葉です。議員になる前は「なんであんなもんがこんなに高くつくんやろ−」と思うことがよくありましたが、議員になって余計にそう思うようになりました。何かオカシイ、ヘンなのです。
 私は私の感性を信じたいと思います。議員になって中身が見えてきた分、オカシイ、ヘンだなあ、ということが多くなってきましたが、感じたことを迷わずに声に出していきたいと思っています(もちろん、法の裏づけもしっかりととって)。また、そんな私を住民のみなさんも応援してくださっていると思うのです。「決算は予算のスタート」。 今はこの言葉、呪文のように、私のなかで響いています。
2日目は、前回の勉強会のおさらいというか、確認。ああそうなのか、で終わっていたことが、ひとつひとつ頭の中で整理された感じでした。その時はそうでもないのですが、いい加減に理解していた、ということがよくわかり、反省しきりです。
 6月議会では、5月の合宿で勉強した「一般質問のポイントおよび組み立て方」をもとに、かなりの時間を費やして一般質問をまとめたつもりでしたが、攻め方があまかった、もっと変化球が投げられたら、との反省が残りました。今回、もう一度その組み立て方を、参加者がそれぞれ持ち寄った事例をもとにおさらい、再勉強できたことによって、以下のことがわかりました。
 「入り口は広く、出口はせまく」、ということです。まずは総論から。そして、各論へ。総論ではそうだけど、各論はどうするのか、ということを攻めていく。今度の一般質問では、工夫してみたいと思います。
 私が「む・しネット」の勉強会が好きで、何をおいても参加したいと思うことのひとつに、勉強会に参加するたびに、私のノートに「む・しネット語録が増えていく」という楽しみがあります。「む・しネット語録」(ともまさ・みどり語録というほうがいいかもしれませんが)。先の「決算は予算のはじまり」「決算は政策評価の場」。みんなそうです。短い言葉でパシッと決まる「む・しネット語録」。私の議員活動の指針です。
 それともうひとつ。同じ思いで、同じ言葉で語り合える仲間と出会える、ということ。楽しみだし、その活動から教えられることがいっぱいです。今回もまた、そんなおみやげでカバンも頭のなかもいっぱい(?)になって帰ってきました。
 いまは9月議会に向けて、あれこれ整理しているところです。

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ぶっちぎり11時間学習で未来を創る 
    福岡県岡垣町・西田陽子


 新幹線で3時間では「はるばる来たぜ」とは言えず、意外と近いねとひとりごつ。そして、初対面とは思えぬ気安さ、ラフな服装。これが無党派・市民派のスタイルだと納得。全国の議会がこんなだったら、もっと柔軟な思考ができるのにと思う。さて、あいさつもそこそこに机を並べかえ、資料をもらい、本を買いして学習会の始まり。
 寺町ともまささん、みどりさんのてきぱきと的を得た講義と辛口の司会。決算なんて数字を見るだけで目が回る私には長ーいけた数はほとんどお手上げ。質問すれば“冗漫”と指摘され、のっけから固まってしまった私。しかし「決算は大切ですよお。予算のもとになるものですから」とゲキが飛ぶ。さらにともまささんに「決算書を預けていただけば、問題点をチェックしてあげますよ」と言われた日には、「しまった、決算書持ってくるんだった」と損した気分になるあつかましさ。
 「一般質問」のセッションの時はわずか5分間の発言制限の中で、もう混乱してしてしまい、またもやみどりさんにビシバシやられる。しかし今どき、他人のことを真っ向からピシッと言ってくれる希有な存在は貴重。
 夜9時にやっとお弁当にありついた時のビールの美味しさ。13時から8時間ぶっちぎり学習会なんてあるかしらん。しかもそれを長いと感じさせないのはなぜ? これが未来を創る「む・しネット」なのか。優雅?なブレックファーストがコンビニのサンドイッチに変わったけれど、Sさんとの早朝散策は楽しかった。女性センターで宿泊施設有というのはやはり大都市名古屋の面目躍如。
 決算やらKJ法やら初体験づくめだったし、頭の回線がヒートしてしまったけれど、他の議会レベルはほぼ同じで安心。安心している場合ではないが、どこもたたけばほこりが出るとあって、どれから手をつけたらと迷いながら帰路につく。まみさん、おつかれさま。

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 市民として参加した勉強会の感想
    岐阜市・高瀬芳


 今回の勉強会の最初のテーマは、決算だった。「決算審査は政策評価だ。」と、資料の冒頭に書いてあった。事業に対する評価は、行政側でも「政策評価」の制度があり、全くやっていないとは言い切れない。しかし、今行政が行っている政策評価は、執行者自身によるものであったり、外部識者によるものが多く、事業が受益対象としている市民が直接評価する機会はごく限られている。市民による評価は、市民に選ばれた議員による審査で十分と考えられているからではないだろうか。「職員は基本的に使いっぱなしだから、決算の審査は議会でしかできない。」という話を聞くと、議員の責任と権限の大きさを改めて感じた。
 前回の勉強会で扱われた一般質問も、再度取り上げられた。議員の参加者は、6月議会での一般質問の結果報告を行った。前回、明確な問いを立て、獲得目標を明らかにするという一般質問の組み立て方とコツを学んだ。しかしいざ質問を組み立てるとなると、なかなかピンポイントにならず、回答者にうまくかわされてしまうような問いになってしまうようだ。獲得目標に到達するため、相手の退路を断っていく質問は、法廷で論争する弁護士や検事のようでなければならないのだろう。
 議会改革についても、取り扱われた。少しずつメンバーも違い、無党派・市民派としての基本的な考え方に接してからの月数も違うため、毎回取り上げる意義があると思う。最初から原則を知っているのと知らないのとでは、議会での動き方に大きな差が出る。
 最後に、ともまささんから「自分で議員に立候補したからには、死に物ぐるいで勉強してほしい」という言葉があった。議員でない自分はなぜ勉強会に参加しているのかと改めて考えた。市民として参加する人にとって、ここで学んだことはどう活かしたらいいのか。私は議員になるつもりはない。でも、賢い市民になりたい。無党派・市民派議員を応援したい。行政との仕事には大いに参考になるが、まだ一市民としての答えは見つからない。

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6月を振り返り、9月へ向けての勉強会 
     京都府亀岡市・篠原咲子


 6月議会の一般質問では、1回目に10分、再質問、再々質問に5分と考えていた。これは逆であって、はじめに5分、あとの質問に10分を充てた方がいいと知り、9月へ向けての課題だ。
 問いを立て、獲得目標を設定し、理事者答弁を想定して、どのように質問を組み立てるか、試行錯誤を繰り返している。今回、KJ法により、問いを立てて解決策へ導く道筋がどのようにできていくかを学んだことが、とても参考になった。
 9月は「決算議会」と言われている。参加者の事前アンケートで、自治体による決算審査の仕方の違いが一覧表になり、興味深かった。決算には、どのように取り組むべきか、まず心構えを教わった。昨年度の決算書を持参したものの、私は、これをどう読み取るのかが、よく分かっていない。講師のアドバイスに頼らざるを得ないし、まずは頼れるのが有り難い。予算、決算を読み解くのは、何と骨の折れることかと、仕事の重さを実感する。
 勉強会に参加してその場で納得したつもりでも、よく理解できていないことに気づく。実際に、自分で行動に移して初めて分かると
いったことになる。今、何とかついて行くのが精一杯である。自分の力の不十分さを少しずつ補っていくしか方法はない。基本姿勢を
学んで身につけておくことが重要である。
 9月の質問については、あれこれの中からどれに絞っていこうかと考え中である。前回前々回で理事者側から充分な回答が引き出せ
なかった件についても、再度挑むつもりだ。質疑・討論も必ず行うつもりで9月を迎える。勉強会をどう活かすかは、私自身の課題だ。 市長の選挙を応援し政策を支える多数の与党議員と、どちらかと言えば批判的少数の野党議員との間にはさまれて、「無党派・市民派」として自分の立場を明らかにし、法的根拠に基づいて議論することの大切さを痛感している。議会が少しずつ変わっていくことを画策している。

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 もっと食べたい、おいしいさかな!
         福井県武生市・安立里美


 1日目の勉強会は「決算審査を使いこなして予算(政策)に反映させよう」であった。
 昨年、1年生議員ながら決算委員として委員会に入ることができた。わずかではあるが経験ができたことで、今回は講師の説明が溜飲が下がるように自分の中に入ってきた。と同時に、安易に決算委員を受けたことを大いに反省させられた。
 議員になって2ヶ月で決算書と向き合うことになり、つまづきながら質疑を繰り返し、委員会の時間を必要以上に延ばす新米議員に「決算は終わった事だから、そんなに一生懸命見なくていいよ」「1つ2つ疑問があっても賛成することになっているから立つように」何人もの先輩議員が親切に指導してくれた?
 どうしても納得できない予算執行があったのに、賛成の起立をしてしまったことが、とても悔やまれる。
 勉強会の時間が進むにつれ、「昨年の決算委員会をやり直したい」と悔恨の念が大きくなっていった。おいしいさかなを釣って食べた、今だったら、もっともっと今年度の予算に反映できる決算審査ができたのにと思う。
 決算がいかに大事なものであるか、決算審査が政策評価・行政評価につながり、次年度の予算付けにいかに大切なものであるか理解できた。なんと釣ったさかなの大きかったこと!おいしかったこと!
 それほど今回の勉強会はズシンと私の中に入ってきた。また他の自治体の決算委員会の状況を聞くことで、自分の自治体への疑問もみえてきた。
 今回、「ともまささん」と「みどりさん」は、水槽においしいさかなを何匹も放ってくれた。しかし力量の足りない1年生議員の私には釣りきれなかったようである。
 次回の勉強会は満腹で帰れるかな?

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 「出会い」、それは「応答」のはじまり
    堺市・金永泰(キムヨンテ)


 なによりも、びっくりしました。
 それは、わたしの連れ合いの金錦淑(キム・クンス)さんの幼なじみ、寺町みどりさんが書いた本『市民派議員になるための本』(学陽書房)がある新聞に紹介されたからです。さっそく自宅に連絡したところ、すぐにでも会いたいということで、先に彼女が「堺」へ。その後で彼が合流。ひさしぶりの再会。本当に懐かしさを超える思いが込み上げてきました。それもそうですが、十何年前になるのでしょうか。わたしたちが、岐阜の穂積町、某歯科大学の前でコーヒー&レストを経営していたとき、お客さんとして来られたのが、まさにみどりさんと寺町ともまささんでした。お二人は無農薬野菜をつくり、それを必要とする仲間に配っていました。時にはその野菜をお店に、と置いていかれました。
 わたしにとって、初めての「出会い」。しかし、連れ合いにとっては、みどりさんとは30年ぶりの再会となったようです。何回かお店に来てくださるうちに、その当時の仲間を紹介していただきました。彼女は本の中でも少し触れていますが、錦淑さんが「指紋押なつ拒否」を決意したとき支援してくださったのが、お二人とその当時の仲間たちでした。行政とのやりとりにも一緒について来てくださり、「共に生きる」姿を実践してくださいました。先日、わたしが関係する「精神障がい者」の「共同作業所(ちなみに「作業しない作業所)」発行の「機関紙」にも触れましたが、わたしがそこで学んだこと。『共生』とは、「共に生きる」が先にありきではなく、「共に生きる」ことができない課題があり、それに向き合う「生き方」があってこそ実現できる世界ではないかと・・・受けとめるところからはじまるということです。まさに、この『出会い』は、「固定」されることなく「応答」しあう「関係創造」の世界をつくりあげているでしょう。
 ところで、今回の原稿依頼は、ほんとうに「原稿集めに音をあげて、苦肉の策で」しょうね(笑い)。だって、わたしは「一票」を投じることができる「市民」ではないし、どの立場で何を書くか悩みましたから・・・。できる限り気持ちを楽にさせて準備しようと心掛けました。わたしは在日韓国・朝鮮人、いわゆる「在日コリアン2世」です。ある日本の方に「
わたしは税金を払っているけど参政権がないですよ」と伝えたところ「え〜、知らなかった」という返事。「無党派・市民派ネット」に関係する方々はいかがですか? 唐突ですが、ここでわたしが最近びっくりしたことをお伝えします。また「びっくりかい!」と言われそうですね。
 それは、「韓国軍事政権時代の弾圧を告発した月刊誌『世界』の連載『韓国からの通信』(73年5月から88年3月号にかけて連載)」の著者「T・K生」がだれなのかを朝日新聞朝刊(7月30日付)で知ったからです。新聞紙上の写真の中には直接なんらかの関係がある方々がいました。池明観氏からわたしは、関東にある神学校で「哲学」を学びました。まさか、その方が、と驚きです。わたしには必死になって読んだ記憶や、ある青年会の修養会でテレビを見ていたとき、「朴正熙暗殺される」というニュースが流れた瞬間、歓声をあげた記憶がよみがえります。わたしたちの仲間も韓国で拘束され、その救援活動をしたことを含めて。韓国の民主化運動を振り返り、韓国内外の支援の輪の中で、特に日本の「市民」との「関係創造」の連鎖の中で、「『人権』という普遍的な価値を訴え」共感的広がりを得たことを。
 最後に「無党派・市民派ネットワーク」に関係する方々の「出会い」が、「人権」を基礎とする「マイノリティの視点」を大切に、「応答」しあう「関係創造」となることを願いながら、いつの日にか「一票」を投ずることを夢見て生きていきます。

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『論争アンぺイドワークをめぐって』
 (上野千鶴子×行岡良治)
を読む
     岐阜県大垣市・度会さち子


本を買うとき、元図書館屋の癖で、前文と後書き、目次を拾い読みする。「上野千鶴子さんとグリーンコープの行岡良治氏の論争」という表紙に引き寄せられて手にとったこの本についてもそうだった。読んで唖然とした。こんな「あとがき」は珍しい。そして本文を拾い読みして、またまたびっくり。一方の著者である行岡氏の言語感覚は、ひと昔もふた昔も前のどこかの機関紙のようで、薄汚く相手を罵倒する言葉が平然と重ねられている。このような本がどうして出版にいたったかについては、前文の編集者による「成り立ち」を読めばわからないこともないが、それにしてもなにか変、という感じをまず受けた。
 さて、本書は、上野氏が述べておられるように、アンペイドワークをめぐっての論争という体をなしていない。アンペイドワークであるケア=ワークのワーカーズ・コレクティブが焦点であるのに、行岡氏は「女性を恨みの世界へと閉鎖しないため」にアンペイドワークという言葉の使用を禁止し、ケア・ワーカーズ労働を「市民労働」として対置する。だが、私たちは男たちが「市民」と言うとき、その「市民」という構造を知っているし、ましてやケアワークを支えている構造も知っている。なによりも、本書で展開される行岡氏のこの間の行動、論調には、今に始まったことではないが、生協という組織の家父長制体質が如実に感じられる。それにその後ろには、どこか、政党の影がちらつかないでもない。
 上野氏の報告書を目にしていないので、正確なことはわからないが、私が本文から感じることは、上野氏が、この間、福祉ワーカーズ・コレクティブに関わってこられたのは、ケア労働やボランティア、また行岡氏がいう「市民労働」、NPOでの労働が、低賃金の
ままに、いやそれだからこそ、今や国家、行
政にフォーマルな労働として認知されようとしているとき、そのジェンダー構造を明らか
にし、適正な評価を試み、ジェンダー分業を克服する可能性の道を模索しようとすることにあったのだろうということである。私たちは、この九州での調査から、自立できる年収は300万円であることを上野氏の講演において何度か聞いてもいる。
行岡氏は、ワーカーズ労働=「市民労働」を自己表現労働、そして経済化の外にある農業労働も入るとしている。生協に納入する農家の多くは大規模経営であり、近年の農山村男女共同参画社会づくりによって、家族協定が結ばれ、女性名義の貯金通帳をもつなど、女性労働が明分化されている傾向はあるとしても、農業労働の60%が女性労働によること、そしてその多くが女性の家内労働であり、「アンペイドワーク」であることを知らないとはいえないはずだ。そこまで連鎖している労働を、未来にむけてどのように開いていこうとされているのか、彼の本文からはその道筋の片鱗すらみえてこない。
 それにしても、ジェンダーに公正な社会づくりへの道はなんと険しいことだろう。バックラッシュもさることながら、まずは「民主的」「市民的」といわれるものとの闘いが、私たちに大きく立ちはだかる。また、口当たりのよい、「行政とのコラボレーション」という現実に、足もすくわれやすい。 
 最後に、出版社の営業戦略? はたまた行岡氏にとっての<業績>づくり戦略に、上野さん、まんまと利用されてしまったのではないのだろうかと思うのは、私だけだろうか。

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「む・しネット」市民公開講座
「女(あなた)が動けばまちは変わる!」

日時:10月19日(日)13:30〜
場所:名古屋YWCA(名古屋市新栄町)
講師:高澤栄子(兵庫県中町議)
   小川まみ(三重県桑名市議)
参加費:一般1000円(会員500円)
連絡先:小川まみ
TEL/FAX:0594−31−6641
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11月《議員と市民の勉強会》
「おいしい魚を釣って食べよう! 番外編」
日時:11月16日(日)(要申込み)
@9:30〜12:00
「議会改革の実践的ノウハウ」
A13:00〜16:00
「議会での問題解決の手法」
会場:ウィルあいち・会議室(定員24名)
講師:寺町ともまさ・みどり
参加者:無党派・市民派の議員および市民
参加費:会員5000円・会員外7000円
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-予告−
2004年1月《議員と市民の勉強会》
「おいしい魚を釣って食べよう! Part2」
日時:1月30〜31日(土〜日)
会場:ウィルあいち(宿泊も)
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  〜支援のためのつながりを求めて〜
 「外国籍女性とDV」意見交換&交流会
 日時:9月27日(土)13:30〜
 場所:つながれっとNAGOYA
 参加費:500円
 問合せ:かけこみ女性センターあいち 
      TEL/FAX:052−853−4479
        

 〜市民派議員アクションフォーラム〜
 「政治を変えるのは私たち」

◆日時:11月15日(土)10〜19時
◆会場:ウィルあいち(名古屋市)
@ディスカッション(10〜12時)
 「いま議会のなにが問題か?」
Aパネルディスカッション(13〜16時)
 「政治を変えるのは私たち
  〜自治体政治をどのように変えるのか」
パネラー:上野千鶴子(兼コーディネーター)   
  寺町みどり
ごとう尚子
山盛さちえ
B分科会(17〜19時)
分科会1「議会改革をどうすすめるのか
     〜市民派議員はいかに闘うか」
分科会2「自治体システムを変えるために 
     〜私たちに何ができるか?」
◆対象者:無党派・市民派の議員および市民     
●要申込み(先着100名)
◆参加費:議員3000円
     市民1500円(学生1000円)
申込みは寺町みどり
FAX0581−22−4989)へ

《編集後記》
「11.15市民派議員アクションフォ-ラム」の課題を、「KJ法」を使って整理中。出てきたカードは約500枚18分類と多岐にわたる。これをどうパネルにつなげようかと悩みながら、並行して2足のわらじの「通信」作成。期日に届いた原稿が力作ぞろいで助かった。市民スタッフ不足の綱渡りは果てしなくつづく・・・。(みどり)