『む・しの音通信』No.32
(2003年11月3日発行)

《む・しネット》市民公開講座
「女(あなた)が動けば、まちは変わる」
10.19(日)13:30〜16:00


 10月19日(日)、名古屋YWCAにて、今年度初の市民公開講座「女(あなた)が動けば、まちは変わる」を開催した。
 今回の講師は、4月の選挙で初当選した小川まみさんと、高澤栄子さん。コーディネーターは今大地はるみさんが担当した。
 最初に1999年K統一自治体選挙で初当選した小池みつ子さんのニュース特集のビデオを見た。続いて、2003年に初当選した小川まみさんと高澤栄子さんがそれぞれ「選挙に当選するまで」を報告した。
 その後、報告を元にディスカッションをした。

《小川まみさん(桑名市議)の報告》

 私が選挙に立候補したのは、自分たちの暮らしの声が、政治に反映しないことに不満を持つようになったから。ひとりでも議会に入ることによって情報が伝わりまちが変わる。「自分のまちには市民派の議員がいない。このままでは遅れていく。だれか出したい」と思った。待っていてはだれも出ないということが99年に分かり、「ひとに推されてではなく自分が変えたいと思った人が出るのがいい」と思った。市民活動はしていたがサポート役が多く、核になるグループはなく、仲間に会いに行ったらことごとく断られた。本当にたったひとりからの出発だった。
 前年の6月に「市民派女性議員をふやす会」を立ち上げ、ひとりでチラシを配った。その後、選挙講座を3回ひらいたが、なかなか広がらなかった。でも、一生懸命配っているうちに「わたしも手伝おうか」と言う人があらわれ、少しずつ輪が広がっていった。12月にはリーフレットを配ろうと思ったが、実際にできたのは1月末だった。それから3月までに約2万枚配った。
 私の住んでいる団地はかなり大きく、そこから出ている議員はいなかった。今まで選挙に関心がなかった人に訴えればかならず当選すると思っていた。選挙は7日間朝から晩までだが、仲間は昼間以外は動きにくい女性ばかりで、1週間前でもスケジュール表がうまらなかった。選挙に入って人が集まりはじめ、市民活動と政治活動は違うと思った。市民活動をしていた人たちは選挙には来なかった。
 選挙では7日間で500回の街頭演説の目標を立てて、辻辻で一日60〜70箇所で話した。自分の思いを聞いている人にメッセージとして伝える選挙ができたと思う。

《高澤栄子さん(兵庫県中町議)の報告》

 兵庫県の真ん中あたりの中町からきた。人口12000人弱の農業と織物のまち。純粋な農村ではなくひとの意識は町に向いていて、中身は田舎型。陰ではぶつぶつ言うが表では言わない。決められた枠の中で活動している人は多いが、枠を越える活動をしている人は少ない。
 私は中町で生まれ育ち、幼稚園に勤めていた。いろんな活動をしていたが、意見をハッキリ言うとはずされるということがあった。だからここ数年は行政とかかわらないでおこうと思っていた。でも何かもの足りない。まちづくりにすごく興味があり落ち着かなかった。そんな中、町の中に家を借りてお年よりが集まれるフリースペースを作った。住民との協働と言いながら、行政も社協も一度も見にこなかった。まちを変えるにはやっぱり町長にならないと、と思っていた。友だちにも町長になりたいと言っていたので、選挙が近くなりひとのウワサになった。今までは私が何でも仕掛け人だったので、仕掛けてくれる人を待っていた。
 去年の暮れ、友人が「選挙に出るならこの本を読まなあかんで」、と『市民派議員になるための本』の新聞記事を持ってきてくれた。さっそく本を読むと、だれでも議員になれそうな気がした。心ひそかに出ようと決めた。その頃、中町は合併問題で揺れていて、届いた町広報を読むと、議長が勝手なことを言っていた。「もう選挙に出る」と決めた。
 親戚に出ると言って、著者の寺町みどりさんに電話をしたら、反応はけっこう冷たかった(笑)。でも私はめげない性格なので、リーフレットを作ってみどりさんに送ったら、「これでは・・・」と言われて作り直しけっこういいのができた。
 リーフレットを配りはじめたら恥ずかしくて、最初はできるだけ人のいない時に配った。配りはじめたら反応が出はじめて、うれしくなって、人のいるところに配るようになった。ポストインだけではもったいないのでチャイムを鳴らしたが、これがとても勇気がいった。配り終えたのは2月一杯で、陰で応援すると言う人は多かったが、表だって応援するという人は少なかった。
 選挙当日になると、町外の友人たちがたくさん来てくれた。町内の友人たちは3,4人。自分の村では隠れたいと言っていた人が実際には地元でマイクを握って話してくれた。女性が中心になっているのは私だけで、他の候補者はみんな女性は裏方だった。行く先々でいろんな人が待っていてくれて感激した。他候補は私の選挙を注目していて、わたしが町を歩くと翌日すぐに真似をした。選挙当日、結果がわかった途端、それまで「こんな選挙では」と言っていた親戚が締めのあいさつをし始めたので、これはイカンと思って、友人にきゅうきょ、あいさつを頼んだ。トップ当選だった。

《ディスカッション》

 今大地−小池さんの場合は、市民活動が基本になっているようですが、何か一言。

 小池−ビデオは4年前にテレビで放映されたもの。選挙は、こういうものだ、とか、こうするべきだ、ということは何もない。まちによって、ひとりひとりの人たちと作られていくもの。選挙は大きなものだけど、経過のなかのひとつの出来事。その前と後が大事。私の場合、10年くらい市民運動を続けてきてまちづくりにかかわりたいと議員になった。人のつながりが、たまたま集約されたのが選挙で、いつもたくさん人が集まっているわけではない。

 今大地−高澤さんは仕かけ人。小川さんは補佐役だったということが対照的。それぞれ出ようと思ったきっかけは?

 小川−政治への関心のきっかけは地元の長良川河口堰問題。本当は反対運動をしたかったが、子育て中でできなかった。突貫工事で河口堰ができてしまい、いらないものが押しつけられるから、声を上げなければと思って、議会傍聴に行くようになった。傍聴して市民病院やRDFの問題が見えはじめた。「情報が市民に届かない」「自分たちのまちのことなのに自分たちの思いが届かない」「結果だけ知らされる」という現状に、これを何とかしたい、自分のまちのことを自分で決めたいと思った。

 高澤−「掛け声だけで参画、共働と言ってるけど、ほんとの参画と違うやん」と思っていた。きっかけは「合併問題」。箱物行政で次々に立てるのに、後のメンテができていない。何でも最終的には決めるのは議会なので、私が出ていって変えたいと思った。最初の議会で人事に反対したら、その日のうちに他の議員から「えらいなあ」と電話がかかった。本心は反対なのに採決は賛成したらしい。

 今大地−当選して6カ月。議会でいちばん困ったことは?

 高澤−トイレはちゃんとあるし、名前も「さん」づけで呼ばれてて、そういういうことは進んでいる。慣例で何でも回すところがある。根回し的なところも見受けられ、情報も議員によって差があるようだ。

 小川−議会は「桑名市議会」と思っていたが、議員間で情報交換するうちに、「うちの議会どうもおかしい」と思うようになった。桑名市議会は質疑と一般質問がわかれてなくて、ズルズルと何をしているのか分からないまま採決されてしまう。4つの常任委員会が同日同時刻開催なので、1つにしか出られない。議会に「同日同時刻にしないように」と申し入れをしたが「桑名は50年間これできたから、これでいいんだ」と言われた。11万都市なのに「議会だより」もない。議会改革に取り組んで、風穴を開けたい。

今大地−女性議員への嫌がらせは?

小川−議員バッチもつけていないけれど、言ってくる人はいない。セクハラされたら訴えてやるぞ、と思っているが何もない。女性議員は4人。特に女同士だからということもなく、単なる同僚。

高澤−女性議員だからと、特に強く思っていない。もうひとりの1期目の議員は「女性の代表として」とかならず言う。

 今大地−今後、12月議会に向けてやっていきたいことは?

 小川−RDFが爆発したということもあり「どんなゴミ処理をするのか」「まちのひとが何を望んでいるのか」「安全を重視するのか、財政的に安ければいいのか」、まちの人の声を聴いていきたい。議員になって思ったのは、28人では市民の声は集約できないということ。もう少しダイレクトに市民の声が届くようなしくみづくりをしたい。市の財政も市民で議論できるようにしたい。12月は「RDFを動かさないこと」。

 高澤−大きなことは町の広報や議会報で分かる。小さなことを大切に伝えていきたい。ダイレクトに町民に伝える場を持つことが基本。私も変わるし、私の情報を通して相手も変わる。傍聴者も増えてきたので、ひとりでも多くの人にかかわってほしい。住民をつなげていくのが、私の役目。

 今大地−「私が動けばまちが変わる」ということを具体的に。

 小川−まず私が出たことで、友人たちが選挙公報を見るようになった。今回、私が初めて選挙でリーフを配ったので、4人ほど配った。議会通信を新聞折り込みしているので、読んでいる人は多い。議員も職員も注目していると感じる。

 高澤−今までと違った人たちからも声がかかるようになった。通信を出した後は、すぐにいろんな人から反応がある。町民も今まで、議員は特別な人と思っていたが、議員や議会も含めて身近に感じてもらえてるかなと思う。
 今大地−これだけは言っておきたいということは?

 小川−職場で組織の選挙を見ていたので、組織がないと選挙ができないと思っていた。でもたった一人からでも選挙は始められる。私がこういうことをやりたいと言って情報を出すと、そういう人が集まって来る。一緒に選挙をした人でもRDFの反対運動には興味がない人もいる。「この指とまれ」と情報発信していくことが大切。目には見えなくても同じように思っている人はかならずいる。行動することによって変わる。

 高澤−私も行動することの大切さを強調したい。行動すれば道は開けていく。       (報告・寺町みどり)


−2003.10.21 朝日新聞掲載記事より−

「女性を議会へ」先輩が指南
       −名古屋−


 全国の議会に女性を増やそうと活動する市民団体「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」が、名古屋市内で公開講座を開いた。演題は「女(あなた)が動けば、まちは変わる!」。今春の統一地方選挙で初めて当選した議員2人が、立候補の動機や半年間の活動を振り返り、熱く語った。
 三重県の桑名市議・小川まみさん(44)は結婚してから同市に移り住んだ。10年続けた仕事を辞めた後、地元に目を向け始めたという。子どもの学校設備に老朽化が目立つ。いくら市に言っても改善されないのに、不要に思える道路は次々とできる。
 「おかしい」。仲間とそんな不満を言い合っていても変わらない。99年の統一選のとき、思いを代弁する誰かが立候補すればと思ったが、出なかった。「待っているだけではだめ。自分で出よう!」。恥ずかしさを閉じこめて立候補したという。
 組織も何もないところからのスタート。だが、リーフレットを配り、市政に出たい思いを訴えて回るうちに徐々に支援が広がった。同じ問題意識を持つ人たちを掘り起こすのに成功したという。「変えたいと思ったときらに立ち上がること。気持ちがあれば人がついてきて何とかなる」。
 もう一人の講師、兵庫県中町の町議、高澤栄子さん(55)も「まずは行動を起こすことが大切」と強調した。
 参加は8人と少なかったが、講演中はメモを取り、質疑も活発だった。

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 たったひとりの
「住基ネットいらんわ」キャンペーン   
    福井県敦賀市・今大地はるみ


 
「む・しの音通信」を読んでいるみなさんのなかに住基ネットのICカードを持っている人は、おそらく、ひとりもいないと思う。人口69,000人の敦賀市でも、カードの申請者は100人足らず。申請者のほとんどが高齢者でしかも男性が圧倒的に多いという。写真付きの身分証明になるというのが申請の理由である。100人の中で暗証番号を作り機械で住民票を取れるカードにした人が50人。住基ネット関連事業に6,500万円もの税金をつぎ込みながら、費用対効果の薄いことこの上ない。カードを使って機械で住民票の申請をしたのも、マスコミ用に、市長がパフォーマンスして見せた分も含めて5枚。1,000人近くいる市の職員で、カードを持っているのは10人程度だそうだ。市民課の課長は「無理に作れとはいえませんしね」とあくまでも消極的。どこの自治体もきっと同じような状況だろうと思う。
 いつでもどこでも住民票が取れると言うメリットをうたい文句に始まった住基ネット。ホントの目的は、わたしたち国民の情報を一元に管理することにあるのだから、ICカードを持つ人がさほど増えなくても、目標の達成は大方できたはずである。接続を拒否している自治体に対して総務省は、住民基本台帳法違反だから、接続するように通達を出しているが、憲法、地方自治法、地方分権一括法等の解釈からしても、接続拒否は違法にはあたらない。明確な法解釈もないまま、「接続しなさい」という総務省の通達を鵜呑みにして、憲法や自治法を無視して接続に踏み切った市町村も反省すべきである。

 今大地は、昨年8月の住基ネットの第一次稼動での受け取り拒否を皮切りに、住基ネットへの接続は、敦賀市情報公開・個人情報保護条例の11条「個人情報の利用および提供の制限」に反するとして個人情報審査会に不服審査の申し立てを行い、議会では、一般質問とともに住基関連予算計上の議案に反対討論をつづけてきた。個人情報保護審査会では口頭での意見陳述も行った。
 意見陳述の場に行政側は「法解釈は、当然、憲法及び地方自治法に則るとしても本事業は憲法及び地方自治法の両者が定める『地方自治の本旨』の領域というよりも住民基本台帳法に規定する『住民の住所に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度』とされる事務であるため、全国統一の手続きである住民基本台帳法を重視して法解釈すべきである」という意味不明かつ、憲法、地方自治法を無視した地方公共団体にあるまじき、お馬鹿な意見書を提出してきた。いまや今大地のバイブルともいうべき『逐条地方自治法』を使いたおし、この意見書こそ憲法、地方自治法に反していること、加えて敦賀市情報公開条例にはオンライン結合には審議会の意見を聴取することが明記されているにもかかわらず、審議会を開催しないまま進めたことは条例にも反していることなどを核にして、陳述をまとめ上げた。
 審査結果はまだ出ていないが、法解釈では、完璧に行政側の意見を看破できたと思っている。住基ネット接続にまった!の結果が出ることを心待ちにしている。
 今回の意見陳述のおかげで市長以下、行政側の地方自治法や情報公開・個人情報保護条例に対する認識の甘さがよーくわかった。議会もしかり。「99条により意見書提出」の99条ってどんな内容ですかと聞かれて絶句する委員長ばかりなのだから。
 市民は、住基ネットにはほとんど無関心だからICカードを持つ人は増えないとは思うが、今大地はこれからも「住基ネットいらんわキャンペーン」を続けていく。

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合併問題は住民の総意で!
    兵庫県中町・高澤栄子


 おおかたの住民の意向とは違った枠組みでの法定合併協議会(以下、法定協)が、9月22日に設置されました。
 わたしは反対の立場をとり、採決では反対討論をして、しっかりと意思表明をしました。 それより前、多可郡4町と、隣接する西脇市との1市4町の枠組みによる法定協の設置が、議案として上程されたのが昨年の9月。その時には、中町では可決されましたが、他の郡内2町の議会では否決。その後、合併問題はさしたる話題にもならず、うやむやのうちに消えてしまったかのようで、わたしも合併については、それほど関心を持ってはいませんでした。
 しかし、昨年の暮れに配布された町の広報紙「NaKa」1月号を見てびっくり・・・。町長、そして議長の「1市4町による新設合併にむけてまい進します」といったようなあいさつ文が載っているではありませんか。
 こんな大事なことが、住民の意見も聞かずに勝手に進められていて、住民の知らないところで決められてしまっていいのだろうか。大きな怒りが込み上げてきました。    
 とは言ってはみても、おおかたの住民の意識は、合併するなら1市4町で、というものでしたので、町・議会でもそういった方向で協議が進んでいき、住民も消極的ではありますが納得をしているかのようでした。
 しかし、そんな1市4町での合併推進から180度転換しての、多可郡3町による合併案が7月に急浮上してきたのです。
 ことある毎に、合併の目的は? 財政シミュレーションは? と質問しても、交付税が減らされるから、サービスが低下するから以外の説明がなかった1市4町の合併にも「?」でしたが、今度の3町(合併しても人口は約1万5千人。地理的にもスケールメリット的にもなんら合併の目的が見えてきません)合併には「?」が3つも4つもつきまといます。 そうして、3町の合併構想からたった2ヶ月。住民に対しては、懇談会とは名ばかりで、3町合併の方向に至った経過の説明に終始し、最大のポイントである「どうしても!」といった合併の必要性や理念が明確にされないままに、法定協の設置となったのです。
 合併は時代の流れではあるでしょうし、ことさら合併反対を唱えるものではありませんが、一つの町の存在と廃止にかかわる問題です。合併する・しないにかかわらず、合併で大事な事は住民の意思であり、そのプロセスに住民が参加しているということだとわたしは思っています。
 合併はよりよいまちをつくっていくためのひとつの手段であるはずです。
 そのためにも、●合併の理念が示されていない ⇒ まちづくり・行財政改革など合併の具体的な効果が住民に示されていない。●十分な説明・議論はなされたか。●住民の合意が得られていない。住民の意思を反映していない。といったことが、わたしの法定協設置に対する反対理由でしたが、これまで積極的に、1市4町の合併に賛成の立場をとっていた議員や合併反対の議員も含めて、法定協は賛成多数で設置されてしまいました。
 説明不足。合併するなら1市4町で。3町合併なら合併しなくてもいいのではないか。合併問題に対して、住民の意見を集約すれば、このようになるでしょうか。
 合併問題は住民の総意(住民投票)で!
 そのための情報発信をしていくことが、議員としての今のわたしの役目だと思っています。

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 何で「IT給食」なの?      
     福井県武生市・安立里美

 わが武生市では2002年11月より中学校に「IT給食」なるネーミングの選択給食を取り入れた。
 長年中学校給食を希望する親と手作り弁当を続けたい親の間に挟まれ、双方の希望に応えるためにとった苦肉の策であるらしい。

 「IT給食」とは給食室(ランチルーム)にパソコンを設置し給食の注文や、数の管理、栄養バランスの情報を行う。さらに生徒が少しでもパソコンに触れる機会をつくることも目的に入っているという。
 生徒は1ヶ月前にパソコンまたは注文用紙でランチルームメニューと弁当メニュー各2種類、計4種類の中から選択し注文する。そして3日前までの注文の変更は可能である。しかし保護者によると様々な状況で急に弁当を作れなくなる事が多いと言う。そんな時には、コンビニ弁当なりパンなりを自分で調達しなければいけないらしい。
 今回「IT給食」を始めるに当たり、各校6〜7千万円かけてランチルームを増築した。そのランチルームで出来立ての給食を食べるはずが、予算の関係で全校生徒が入れるスペースの部屋が作れず、実際には交互に教室組とランチルーム組に分かれて昼食を摂ることになった。さらに調理は市外の業者に委託し、ほとんどの料理が市外で調理され運ばれる。そして注文は結局ほとんど注文用紙を使用して行われているため、パソコンの故障で数週間IT注文が出来なくなった時でも、何の支障も起きなかったという。
 ITの管理と調理に毎年高い委託料を払い続けるこのような給食には納得できないことがたくさんある。
 しかし目新しいからか、他に視察場所が無いからか、現在、職員が対応に嬉しい悲鳴を上げるほど、県外から多くの議員が「IT給食」の視察に来る。数時間の視察で、はたして何を理解して、何を持って帰るのであろうか。一度、感想を聞いてみたいものである。

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 セクハラ発言は許さない!
    福岡県岡垣町・西田陽子

 去る7月17日の新人町村議会議員の研修会における、講師の野村稔氏(前全国都道府県議会議長会調査部長)のセクハラ発言や地方議会軽視発言に、私を含む女性議員4人はその場で強く抗議し、謝罪を求めました。しかし、午後からも同じような発言が繰り返されました。
 私たち4人は、県の女性議員ネットワークにこのことを知らせ、抗議行動を呼びかけ、54名の連署をもって抗議文を作成し、8月5日に町村議会議長会と事務局、本人に突きつけました。私たちの一連の行動は、新聞・ラジオでも大きく報道され、福岡県町村議会議長会は、このことを重く受けとめ、会長名で陳謝するとともに新たな研修会の開催を約束しました。
 「地方議会の制度と運営について」をテーマに行われた研修会には約180名の新人町村議員が参加しており、そのうち女性は約1割という状況の中での問題発言でした。
 まず、議長の権限について説明したあと、横浜市で議長席を占拠した日の丸掲揚反対の女性議員を毛布で簀巻きにして排除したことに触れ、強制的に退去させる際、直接触るとセクハラになるので、「あなたたちの議会には、毛布はありますか」と言い、会場の笑いを誘いました。
 抗議後も、「最近の選挙では若いとか女性といっただけで当選する」「女性議員はだんなの報酬(給料)があるからいい」などと発言しました。また、イラク攻撃に対して自治体から意見書が出ていることについて「町村議会は本来身近な問題を議論すべきであってイラク問題などは議論すべきではない」という発言が続きました。
 町村議員(議会)とりわけ女性議員を侮辱した講師の姿勢と、そのような講師を選択・招聘した事務局の責任を強く問い、抗議しました。
 私たち女性議員は問題提起することの意義と価値を学び、議員としての役割と責任の一端を果たせて、うれしく思いました。

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−読者からの反響−

 いつも「むしの音通信」を送っていただき、ありがとうございます。
 NO.31の冒頭にある武生市議の安立里美さんのリポートを読みました。

 決算書を詳細にチェックし、社協への施設の無償貸与を見直すという答弁を引き出したこと。そして、それを支えたのが市民派議員のネットワークだったこと。これまで「孤軍奮闘」に陥りがちだった市民派議員の活動が、新たな段階に入ったのではないか、と感じました。
 この春は滋賀・豊郷町のリコールと町長選、そして不信任に伴う徳島県知事選の現地 に長期間入り、取材をしてきました。どちらの選挙も、「既成勢力」が底力を見せつける結果となりました。この有権者の選択にはしかるべき理由を感じられましたし、その是非を問うわけではありません。しかし、この取材を通じていちばん印象的だったのは、保守の強い土地で、現職や自民系候補が薄氷を踏むような勝ち方しかできなかったことです。
 行政・議会と「市民」との乖離が激しくなっていることの現れかもしれません。
 この2つの選挙取材を終えた私は、「世の中、なかなかドラスティックには変わらないものだな」と思いつつ、「でも何かが確実に変わりつつある」という漠然とした印象を持ちました。
 安立さんのリポートを読み、その「変化」が確かなものであることを実感しました。  「こんな動きが全国に広がれば、地方議会はもっとおもしろくなるぞ」
 職業柄、私は思わずわくわくしてしまいました。 
 (全国紙記者の男性・34歳)
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《この秋おススメの最新刊4冊》
 『2003年統一地方選挙
   かく闘えり!!』

 編者:甘利てる代  
 発行:新水社
 定価:1700円+税

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 『帝国を壊すために』
  アルンダティ・ロイ著 
  本橋哲也訳
  発行:岩波書店 
  定価:740円+税
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  『当事者主権』
中西正司・上野千鶴子共著
  発行:岩波書店 
  定価:700円+税
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 女性参政資料集 2003年版
『全地方議会女性議員の現状』
 発行:(財)市川房枝記念会
 定価:2800円+税
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今後の「む・しネット」企画   


11月《議員と市民の勉強会》
「おいしい魚を釣って食べよう! 番外編」    


日時:11月16日(日)9時〜16時
@「議会改革でつまづいている問題」
A「議会で解決したい問題」
会場:ウィルあいち・会議室3
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(予告)


 2004年1月《議員と市民の勉強会》
「おいしい魚を釣って食べよう! Part2」

 内容:予算審議の着眼点etc
日時:1月31日〜2月1日(土〜日)
 会場:ウィルあいち(宿泊も)


《編集後記》
あっという間の一カ月。読者の反響がうれしい。
「無党派・市民派アクションフォーラム」のMLも
立ちあげてネットワークも確実にひろがっています。(みどり)