『む・しの音通信』No.37 記事
2004.5.20 岐阜新聞より転載
「編集余記」
5月20日 (木)
政治不信。というより政治家不信。年金不信で政界混迷のまま年金法案が成立してしまうなら、国会は政治家互助会とでも言った方がいい。
▼主権者たる国民不在の政治であっては、政治家と言うもおこがましい。首相以下、うっかり、ちゃっかりの面々に今更「政治家でござい」と言われても、顔を洗って、いや“みそぎ”を済ませて出直して来いとでも言いたくなる。
▼国政で政治家不在の時代に、自治体政治では元気印の女性陣が宣戦布告。「市民派政治を実現するための本」(コモンズ刊)だ。女性学の先駆者で東京大大学院教授の上野千鶴子さん、元高富町議で「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」の寺町みどりさん、県出身で日進市議のごとう尚子さんの三人の共著。
▼昨秋、名古屋で開いた市民派議員フォーラムの熱気を完全収録。「わたしのことは、わたしが決める」という副題、序に収められた上野さんの「わたしが〈権威〉にならないために」という講演の題に市民派政治の理念がくっきり。
▼いわく、権威の芽を摘むには、タテ関係を作らない、代議制を止め、情報が一人に集中しないようネットワークのような仕組みにする。権力が生じる構造を崩すには、議員の特権を減らし、負担も軽くする。任期制で査定評価し、いつでも交替しやすくする…。
▼「政策を立案し、行政の仕事を担い、議会を含めた意思決定に参加し、自らのニーズを満たすことができる政治を実現できるのは市民自身」と。八方ふさがりの時代に風穴を開ける、イキのいい本だ。