『む・しの音通信』No.39
(2004年7月27日発行)


6月議会を終えて
    〜一般質問を評価・分析する〜

せっかく獲得した委員会傍聴だったのに!
        福井県武生市・安立さとみ


 今まで武生市では「産業経済と福祉民生」「建設と総務文教」と2委員会ずつが同日同時刻に開かれていた。そのため福祉民生委員会所属の私は議員になって2年、同時刻開催の「産業経済委員会」を傍聴したことがない。 何度も議会事務局に4委員会の開催時間をずらすよう要求。そのたびに返ってくる言葉は「委員会の時間を分けるには、人手が足りない」「傍聴はあんた一人しかいないのに一人だけのためにそのようなことはできない」であった。
 何度要求しても取り入れられないことを、情報として自分のニュースに書き込み、4月上旬に新聞折込で市内全戸に配布した。「委員会の同日同時刻開始に異義あり!」と題し、「*4常任委員会の開催時間が重複しないようにすべき *議員の傍聴には委員長の許可は必要ない *市民が自由に傍聴できる環境を整備すべき」と明記する。数日後議会事務局へ。「私のニュース見ました?」「おかしなこと言っていませんよね?」の言葉に、事務局長をはじめ職員は苦笑している。
 ところが6月議会の会期日程表に目を通してびっくり。4つの常任委員会の日程が重複しないよう組まれていた。あれだけ頑張っても動かなかった議会事務局が何で? ニュースの全戸配布による市民への情報提供が議会事務局を動かした? それとも、ただ、議会事務局の思いがちょうど重なっただけ? いずれにせよ全委員会の傍聴が可能になったのである。
 6月議会は何が何でも傍聴をと意気込んだところで、またまた壁が。「産経の委員長が傍聴を拒否した」のである。委員会条例をもとに詰め寄る。産経の委員長が一言、「見せられるほどの委員会ではないから、もっと議案がたくさんあるときにしてよ」。事務局長も「いままで委員長の許可なしでの傍聴はなかったので」。強い抵抗と、「次回は必ず許可するから」の言葉に諦めてしまった。はじめてのチャンスを自分から逃したのである。
 「議員と市民の勉強会」で何度も学び、分かっていたはずの委員会条例なのに相手の抵抗に負けてしまったことに、後悔しきりである。さらにみどりさんから的確な一言。
 「議員は委員長の『許可なしで』自由に委員会に出入りできる。だから『傍聴拒否』なんてありえない。それを受け入れるなんて大事なときに悪い前例を作ってしまったね」。
正しくその通りである。
 この納得いかない結果をどうすれば修正できるのか、みどりさんに助言をもらう。今すぐしなければいけないことは、傍聴を拒否した産業経済委員長に「抗議文」で謝罪を要求、さらに議長と議会運営委員長には、委員会条例を遵守するよう「申し入れ書」を出すこと。早速3通を持って役所へ。議員は自分の所属する委員会で審議したこと以外は、各委員長の報告を元に、議決をしなければいけない。責任を持って議決するためにも、他の委員会の傍聴は議員として当然の権利=仕事であると改めて痛感した。
 今回のこの出来事、自己採点すると何点?最後の抗議文で少しは点数が残るかな?
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勉強会の成果はいかに
    三重県桑名市・小川まみ


 
5月の「議員と市民の勉強会」では、6月議会で行う一般質問を本番さながらにシュミレーションした。6月議会で実際に行ってみたところ、獲得目標のうち1つは取れたので、自己評価は5段階評価の3。(ちょっと甘いかな?) 
 市長の所信表明や提案説明にたびたび登場する「協働」。今年3月にまとめられた行革プランでも、「市民との協働に向けた環境づくりを進める」ために市民活動支援センターを平成18年度に設置することが書かれていた。行政改革の一環として「市民との協働」を考えているところが、何か違う気がしたので一般質問することにした。

 獲得目標は、市民活動支援センターの設置を「協働」つまり計画段階からの市民参画で行うこと、計画を前倒しにして平成17年度設置を求める、この2点。
 事前のヒヤリングでは、「行政側が素案もなしに市民団体と話し合いのテーブルにはつけない。」という担当者と、「協働」に対する認識が全く噛み合わず、センターの設置を「市民との協働」の事例とするのも難しいのかと思われた。
 最初の答弁でも、「市民参加の体制づくりを行っていきたいと考えている。」と具体性に欠けるものだった。しかし、再質問では「議員と市民の勉強会」でのアドバイスどおり具体的事例として、県内14市の市民活動センターの設置状況を示した。桑名市が県内の他市と比較しても随分遅れていることを指摘し、一日も早い設置が必要であることを強調。再答弁では、「早急に公募する」と計画段階からの市民参画は約束できたが、設置の時期は、「進捗状況を見て17年度に設置できるかどうか判断する。」に止まり、目標は一つしか獲得できなかった。
 市民グループが打ち合わせをする場所がなくて困っている現状を切実に訴えるなど、あともう一押しが足りなかった、と反省している。
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  たったの2点・大きな2点
      兵庫県中町・高澤栄子


  6月定例会の一般質問、「情報公開条例にかかるコピー代の値下げを(30円を10円にする)」の自己採点は2点。
 5月の勉強会でシミュレーションをして、スキルアップした一般質問を、と首尾は上々だったのですが、いざ終ってみると、評価よりも反省点の方が多くなってしまいました。
 その大きな理由は、せっかくの情報公開条例を宝の持ちぐされにせず、いつでも誰でもが請求できるよう、「コピー代は10円に値下げすべき」、と明確な目標を設定していたにもかかわらず、その確約を得ることができなかったこと。具体的には、@現在、合併協議を進めている相手2町は手数料をとっているが、中町はとっていないので、という理事者側の論理をきっちりとくずせなかった。 A情報公開条例では30円になっているが、日常業務の中では、資料等のコピー代については協力団体・人は1枚10円(その他は30円)としていることを追求できず、逆にそのことで、相手に逃げ道を与えてしまった。B合併協議のなかでという、あいまいな答弁に対し、中町の問題だと攻められなかったこと、をあげることができます。
 評価できることとしては、@5月の勉強会で、質問の組み立て方として、内容の重複をさけることとの指摘を受け、質問をもう一度整理しなおし、要点を簡潔にまとめたこと。
A再質問では、答弁を深追いせずに、調べておいた近隣市町のコピー代に関する資料を理事者に提示、他市町と比較することで、中町のコピー代の高さを示すことができ、わたしの主張を通せたこと、の2点。
 隠し玉を持っていたことで、焦点をはずされた答弁に惑わされずに、整理して再質問ができました。
 たった2点ではありますが、ほんのちょっぴりの自信につながり、次の議会へのステップアップになったということでは、大きな2点だった、といえるのかもしれないなあ、と自分自身では思っています。

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6月議会を終えて
     東京都八丈町・奥山幸子


 
6月議会の会期は1日。私の一般質問は、「人材育成としての奨学金制度拡充について」でした。
 町は平成9年度から奨学金制度を導入しま
した。利用は毎年1人だけで、十分に利用されていません。また、人材育成費として理学療法士志望者に対し、毎月1万の学費提供を予算化していますが、ひとりも利用がありません。一方、町立病院における看護師の不足については、これまで議会でも何度か取り上げられていました。
そこで私は、看護師が島に定着しやすい環境を整え、人材を確保する方法として、奨学金制度の拡充を提案しました。「看護学生に対して奨学金を貸与し、卒業後の一定期間八丈町に勤務すれば、町が貸しつけた学資資金の返還を免除する」というものです。
 これに対し町の答弁は、「当初の大学・短大から専門学校まで制度の枠を拡充したばかりで、あらたに拡充制度を導入するのは現時点では難しい。都立病院での奨学金制度を利用してほしい」というものでした。
 今回の質問で、町の積極的な対応は得られませんでしたが、執行部の的外れの答弁と無策を表面化することはできました。ヒアリングの際に、私が教育課長から答弁書をもらったことに、総務課長が腹を立てたという一幕もありました。執行部の答弁を事前に知らせる必要はないというのです。執行部のやる気のなさを再確認しました。
 その後、私の質問内容を地元紙で知り、話をしたいと町立病院の看護師二人が訪ねてきました。病院の実情を知り解決策のヒントを得ることができました。当初の私の提案より内容は深まったので、ぜひ次の議会に生かそうと思っています。担当職員のヒアリングや資料の検討も重要ですが、様々な人との交流を通じてテーマをしぼっていく面白さと意義を感じたことは、収穫でした。

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 反省につぐ反省の一般質問
     福井県敦賀市・今大地はるみ


 今回のテーマは「公民館の活性化」。獲得目標は「利用者登録カードのシステムの導入を実現する」である。今まで2回も質問しているのに実現しないのは何故? 担当課とのヒアリングでは、「導入は考えていない」と一言。すでにこの時点でNOを突きつけられたのでは身もふたもないよね。YESの答弁を引き出せるアイデアも思いつかず、気分はめいるばかり・・・。いよいよ質問当日。「子どもの居場所づくりをカードシステムの導入で図る」ことに主眼をおいて質問を組み立て、他の議員の「ジュニアリーダーの育成」の質問に対し公民館を拠点にするとの答弁を急遽その場で引き合いに出して臨んだ。
 教育長は「公的な立場では、カードの導入は必要ないと思うが、自分の意見としては子どもたちの公民館利用促進のためにカードは一考に値する」と答えてくれた。「教育長自身の発言が公の言葉だといわれると警戒してしゃべらないといけないが」との前置きつきだったが、議事録にはちゃんと残るのだからコレはもう公の発言間違いナシだ。
 結果としては獲得目標に限りなく近づいたけれど、私の力量が引き出したのではなく、教育長が公民館を拠点に子どもたちの居場所づくりを進める上でカードの有効性に着眼したからだといえる。次の日の新聞にも「公民館の役割強化図る。利用促進カード検討」と大きく取り上げられたけれど気分は晴れない。 反省すべきところはいっぱいある。5月の勉強会でも指摘されたように論理的に質問を組み立てることの訓練がまだまだ足らないこと、なぜこの問いを立てるのか、獲得目標の設定、シミュレーション不足、加えて、もっとも大切な質問後の事後評価も怠っていた。
21回も一般質問してきたというのに、これでは何もわかっていなかったのとおなじだ。予習はしてきたが、復習を手抜きしてきたともいえる。今度の勉強会の「一般質問を分析・評価する」の宿題が気づかせてくれた、私自身の欠点の克服が当面の課題になるだろう。

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 なぜ? 商工会の土地を町が用意
       愛知県長久手町・小池みつ子


  長久手町の商工会館は24年前から、町が地主に毎年賃借料を支払って借り、それを商工会に無償で転貸してきました。今まで予算委員会では何度か質問してきましたが、町側は、商工会館は他の市町村も土地を自前で持っていないところが多いといい、委員の議員も含めてこれは仕方がないんだという雰囲気でした。
 今年度予算審議の質疑で、「町が借りている商工会館の土地を、地主から町が買い入れるか、他の町有地と換地をし、町名義にする計画」という答弁に私はあぜんとし、6月議会の一般質問でとりあげました。  
 町が商工会館用地を用意しなければならない理由はあるのか、商工会が自前で借りるべきではないか、という問いに対し、町長は「商工会に自立する力がないのでやむを得ない」と答えました。自立する力がないと言っても商工会は会員から1千万円集め、町の第3セクター温泉会社に出資もしています。
 県商工会連合会がつくった「商工会の現況」で県内71商工会の実態をみると、土地の自己所有率は14%と低く、80%近くが官公借用となっていました。ちなみに建物については、自己所有が52%と官公借用をやや上回っています。
 しかしだからといって、町が賃借料を出す理由にはならないはずです。ましてすでに商工会館の建っている土地を町が買うなど、とんでもないことだと考えます。何らかの方法でやめさせなければ、との思いをあらたにした今議会でした。
 町長の「商工会は町民まつりや花火大会をやり、博覧会にも協力いただいている。資産がないので土地を貸す」という答弁から従来の「なれ合い」の関係が浮かび上がります。
 議会報告の通信を新聞折り込みしたら、商工会役員をしている議員から「商工会を敵にまわすことになるでよ」とごしんせつな忠告の電話がはいりました。

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  「夢と人を育てる」
      沖縄県女性総合センター 
      「てぃるる」館長・友利敏子


 1996年5月、一カ月後にせまった県議選の候補として、いきなり名前があがった。これまで選挙応援のためのお手伝いはけっこうしたことはあっても、自分が候補者になることなど考えてもみなかったので、正直あわててしまいました。ガールスカウト活動からはじまり、PTAはもとより宮古文化協会の立ち上げ、観光協会青年部創立、商工会議所婦人部、ソロプチミスト宮古の結成等々、地域活動の中で日頃から女性の社会参加、政治参加を呼びかける宮古地区の婦人会連合会会長の立場にいただけに、断る選択は許されなかった。
 正直いって政党のうずの中にまきこまれつつ、けっきょくはもみくちゃにされた。自分が政治家として何をしたいのかというはっきりした考えもなく、賛成・反対の批判の的にされた時、政治とは何かを考えさせられました。そして、まずは自分自身が政治の基本についてしっかり学ばねばならないことを痛感したのです。
 そんな折、地方議会での女性議員を増やそうという「女性を議会へ・バックアップスクール」(女性と政治情報センター主催)の新聞記事。まさに天の配慮とばかり、飛行機を乗りつぎ、ドーンセンター(大阪)まででかけました。近畿や四国、沖縄の宮古島からの私を含む「自己推薦派」「起死回生派」「裏方志願派」73人。社会にはこんなに多くの女性たちが政治に関心を寄せ、自分の力で世の中を変えたいと熱望していたのかと、目からウロコでした。2カ月に一回の6回プログラム。沖縄のさらに離島である宮古島からの参加とあって、皆出席とはいきませんでしたが、仕事にかこつけ、東京女子医大に在学中の娘にかこつけ、なるべく参加しました。
 この「女性を議会へ・バックアップスクール」が私の政治参加のスタートでした。以後、相変わらず政党のはざまでほんろうされながらも、夢だけはしっかりと持ちつつ、若い人たちの応援団長を自認している毎日です。 

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  市民派はどう進化していくか!
       愛知県日進市・白井えり子


 2003年11月15日の「市民派議員アクションフォーラム」は、議員13年目、市民派議員の草分けと自負する私にとって大きな転機となる日だった。
 病気療養中の同僚議員・ごとう尚子さんのピンチヒッターとして、彼女の提言の代読の役目だけでおじゃましたはずが、パネラーとして、言いたいことを言わせていただくこととなった。
 上野千鶴子さん、寺町みどりさんの発言に大いに刺激された。それぞれの方の現場を踏まえた発言が白熱する中で、女性が議会へ出て行くこと自体が困難な時代から、市民や女性がさまざまに発言し、活動し、実績をあげ、確実に力を付け、今までにはない一つの時代を作るに至っていることを深く認識することができた。まちがいなく「市民派が議会を変え、社会を変えていくんだ!」と確実な手応えを感じた。
 しかし、現実的には、依然として驚くような「入口」の問題や課題の山があることにも気づく。「立候補したいが家族の理解が得られない」「議員になったが、本会議や委員会への対応方法が分からない」「先輩議員のイ
ジメにあって思うような活動ができない」「仲間を増やしたいのだが協力態勢ができない」などなど。多くの市民派の活動にかかわらず、まだまだ議会の状況は本当に変わったと言える状況にないことを認めざるをえない。
  それぞれの自治体にはそれぞれの歴史や経緯があり、それぞれ固有の目標や計画がある。また、議会の歴史や行政との関係、議会内の力関係などの現実がある。
 これに対して、自分の力で、自分なりに問題解決に取り組んでいかねばならない市民派は、ぶつかっている問題を「原則」と「固有性」との両面から考え、一人ひとり考え行動していく必要があると思う。これは子育て問題とよく似ている。一方に子育ての教本や子育ての先輩のアドバイスを置き、具体的・現
実的に自分の子どもと向き合っていかねばならない、というふうに。
 今ここに『市民派政治を実現するための本』(上野千鶴子・寺町みどり・ごとう尚子共編著)がある。市民派議員のバイブル、市民派議員の教本とでも言うべきものである!
 私たちは選挙にあたって、「議会を変えます」「市民自治をすすめます」と声をからして訴える。議員になるためには当選しなければならないからだ。でも、そのために自治法の試験や地方自治のあり方についてのディベ
ートがあるわけでもない。議員になっても根本の学習がないのですぐに行き詰まるのが常。先輩議員が理論や実践や闘い方を教えてくれることもない。それが現実だと思う。
 この本は、「なぜ議会を変えなければならないのか」「自治はどうあるべきなのか」「政治は何のためにあるのか」「その中で議員はどのような役割をになうべきなのか」といった、議員としての根本をベースに、市民派議員として取り組んでいく基本的なあり方を語ってくれる。しかも、高い見識と深くて広範囲な実践から培われた、スーパーバイザーともいうべきものだと私は思う。
 この本を一方の柱にすえつつ、具体的に自分の自治体議会に向かっていく。こんなまちにしたいという目標のもと、議員としての原則をおさえつつ、現実的に問題に向かっていく。このことが大切だとあらためて感じる。
 私自身、いつまでも「私が議員になったわけ」のレベルでとどまっていることはできない。私の13年の市民派議員の活動で獲得してきたもの以上がこの本の中に詰まっていることから、この本を読むことによってこれまでの自分の活動を見直し、より質が高く、より市民の暮らしに密着して、片手に生活現場を、もう一つの手に自治法を手に闘い続けなければならないと決意を新たにしている。
 13年選手も「議員とは何か」「新たなステップは何か」を考えさせられた、フォーラム参加と『市民派政治を実現するための本』の完成であった。

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《おススメの最新刊3冊》

 『巨大メディアの逆説−娯楽も報道もつまらなくなっている理由』
 (原真著・リベルタ出版・1900円)

  この本の著者、原真さんは共同通信社文化部の現役記者。初任地の岐阜支局で、市民運動を密着取材し全国発信していただいた20年来の友人で、わたしの本も紹介してくださいました。この本は、3年間のニューヨーク特派員としての取材を、帰国後「メディア激変の陰で」という連載で全国に配信した記事をもとに書き下ろしたもの。米国巨大メディアの「いまとこれから」を多面的に分析し洞察する切り口は、「報道と人権」や「メディアリテラシー」に当事者としてかかわってきた、原さんならではの視点が光っています。

 『水の警鐘−世界の河川・湖沼問題を歩く』
 (渡辺斉著・水曜社・1600円)

 著者の渡辺斉さんは、朝日新聞名古屋本社の論説委員。91年に『激流の長良川』(エフエー出版)の取材で出会い、その後も、環境問題や市民派政治の運動などでお世話になりました。お手紙には「この本は世界の水危機を概観し、その現場で何が起き、それは何を物語っているかを、各地の生の声、思いを紹介しながら読者とともに考えようとした一冊です」と。世界各地の水問題の現場を歩き、文字通り「足で書いた」平易な文章に込められた思いが胸に響き、思わず引きこまれた、
奥深い内容の一冊。

 『ことばは届くか−
  韓日フェミニスト往復書簡』
(上野千鶴子・趙韓惠浄共著・岩波書店・2000円)

 おなじみの上野千鶴子さんの最新刊。昨秋から今春まで『世界』に連載された韓国の趙韓惠浄(チョ・ハン・ヘジョン)さんとの往復書簡「境界で語る」を単行本にしたもの。カバーのCG写真も素敵です。「む・しの音通信」は、上野さんの本の紹介ばかりという声もありますが(笑)、「手紙7−往復書簡を終えて」には、2冊の本とともに、みどりも登場!します。
 この3冊、いずれもわたしが敬愛する方たちが届けてくださったもの。ひとはもちろん、それぞれの問題を掘り下げていくと、深いところでつながっていると思います。上野さんのことばをお借りすれば「わたしにとって、あれもこれも、ひとつながりのものです。」
 あなたもぜひお読みください。(みどり)
 

 《編集後記》 

 7月末の「議員と市民の勉強会」の〈セッション1〉は「6月議会の一般質問を評価・分析する」。そのまんまのテーマで、通信の原稿を依頼しました。平行して、勉強会のレジメ提出を課題にしたので、参加者は宿題かかえて悪戦苦闘。そんななか、原稿を書いてくださった皆さん、ありがとう。昨年4月に当選した市民派議員も2年目。一味ちがう勉強会に参加希望は多いけれど、バージョンアップした内容に「能力の限界」と早々に音をあげる人も。でもせっかく議員になったんだからスキルアップして働いてほしい。(みどり)