『む・しの音通信』No.47(2005.5.15発行)

特集
「む・しネット」新年度スタッフ集合!


 新装オープン! 「議員と市民の勉強会」
〜課題への対策てんこ盛り、効能もたっぷり             
     運営スタッフ・高瀬芳


 運営スタッフへ復帰するにあたってまず私が思ったのは、昨年のリベンジをしたいということだ。私が昨年担当したのは「議会ウォッチング」だが、今年は勉強会にも出ることにした。自分が出る勉強会だから、自分のニーズを満足させるものを作りたい。
 一方で運営スタッフとしては、「む・しネット」全体の問題も一緒に検討したいと考えていた。「木を見て、森を見ず」にはなりたくない。そういうわけで、昨年の勉強会と「む・しネット」全体の問題を私なりに整理してみた。

1.「議員と市民の勉強会」の問題
 (ア)企画を講師に任せきり
 (イ)運営をスタッフに任せきり
 (ウ)テーマの習得・定着化が進まない
2.「む・しネット」全体の問題
 (ア)スタッフの「基礎仕事力」が未熟
 (イ)過去のノウハウが蓄積・継承されない
 (ウ)新しい市民会員を獲得できていない
 新しい勉強会は、これらの問題点を克服できるような仕組みを盛りこむように企画してみた。その特徴とそのような仕組みを設定した理由を以下に挙げる。

1.基本的に自分たちで勉強する自主勉強会とする。ただし、自分たちだけで勉強していくためのノウハウを得るために、同じテーマにつき1回に限り、講師を依頼する。
 あとから参加するメンバーには既存のメンバーが講師となり、勉強会を行う。
 【設定理由】
@同じテーマを講師に学ぶことを1回に限り、次は自分が講師になるという自覚を持つことで、必ず身につけるという心構えをもって勉強会に臨める。
Aあとから参加するメンバーに教えるために資料を作るなどして自分の知識を整理し定着化できる上、ノウハウを文書化して残すこともできる。

2.勉強会の企画には全員が携わり、持ちまわりで担当者を務める。
 【設定理由】
@一部の人へ負担が集中することを避ける。
A自分たちの課題を発見し、ニーズを満たすような企画を立てる力を養う。

3.議員の仕事に関わるテーマを扱う勉強会 のほかに、企画力など基本的な仕事力を養 う場と、フィールドワークの場を設ける。 具体的には、議会のある月は「議会ウォッチング」を開催し、議会の前々月は勉強会、前月は私(高瀬)がアドバイスしながら、次回の勉強会、「議会ウォッチング」の企画を練るOJT(オンザジョブトレー ニング)を行う。
 【設定理由】
@毎月メンバーが顔を合わせることで、常に勉強会へのモチベーションを保つ。
A勉強会の企画や運営の方法を現場で学び、勉強会で学んだことを他の議会の現場で確認するという有機的な流れができる。

 詳細は、5月15日の企画会議で決める予定だ。将来的には、各メンバーが地域で同じような勉強会を開催して、「自己増殖」してほしい。

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一般質問の事後評価から問題を意識化する
 〜5月勉強会スタッフを引き受けることに            
  長野県穂高町・小林純子


 ・・(前略)・・・「む・しネット」の勉強会は、どこまでも自主性を重んじて行われています。「参加者全員で企画にかかわり意見を出し合う」これが基本にあります。「む・しネット」の会員になって1年ほど、そろそろ私もTake&TakeばかりでなくGiveできる側に回らなくてはと、5月の勉強会の担当を引き受けることにしました。
 今回の勉強会は当初の予定では、「議会における発言」、「一般質問の組み立て方」、「一般質問シュミレーション」となっていました。この内容に関して受講者に、もっと具体的に勉強したいことを提示するようリクエストしたのですが、反応は鈍いものでした。この反応は鈍さは、いったい何を意味しているか。それは「一般質問の組み立て方」以前に問題があるということ。組み立て方を勉強してきたはずなのに、いまだ問いが立たない、立てられない「私」だということ。問いを立て、実現の方向を探ることは、まさに「企画する」こと。それが出来ていないから勉強会の企画も作れないのだと気がつきました。
 事務局のみどりさんに相談すると、「問いが立たないのは、課題が見つからないから、問題の意識化ができていないから。問題を意識化するには、すでに一般質問したことについて事後評価することから始まる」、「ひとりよがりの事後評価では、意味がない。自分とは違う視点で評価してもらい、ディスカッションすることでより客観的なものになり、それが積み重なり力となっていく」、「この事例について講師はなんと講評、評価してくれるだろうか、といった受身の態度ではなく、まずは自己評価をするのと同じかそれ以上の関心をもってお互いに評価・批評し合えば、講師がいなくても課題は発見できるはず」などアドバイスをいただき、まずは勉強会のテーマを「一般質問の事後評価から問題を意識化する」と決めるところまではできました。
 次は宿題の準備と続きます・・・。 
※「小林じゅんこのプロフィールボード」より転載

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生まれ変わってスタッフに
       運営スタッフ・今大地はるみ


 これまでのわたしは「結果オーライなら、まぁいいか」という甘えた気持ちで、スタッフを続けていた。昨年の9月の「議会ウォッチング」を機に、新規事業を企画し、準備計画を立て、仕事を着実にこなす基本の大切さが身にしみた。
 「む・しネット」の仲間である、スタッフである、担当者である、というだけでは何も生まれてこない。「スタッフという当事者になる」ことが、わたし自身を再生するために必要だと気づかされた。10月には「乳がんの当事者になる」という人生においても最大の転換期を乗り越える事ができた。
 今回、運営スタッフに手を挙げたのは、「同じあやまちを、2度と繰り返さない」ためであり、仲間やあとに続く人たちに私自身の経験を伝えるためである。
 新年度には自分たちで企画する「自主勉強会」の中に、「議会ウォッチング」も組み込んでいくことになった。わたしはその「議会ウォッチング」の担当者にもなっている。市民にとっての議会ウォッチングと、議員にとってのフィールドワークとしての議会ウォッチングを軌道に乗せ、「む・しネット」の事業として確立していくことを目標にしている。
 議会の開催日が重複する問題や採点シートの見直し、ディスカッションの方法など改善する課題が山ほどある。昨年9月の経験を生かし、自主勉強会の仲間たちと作り上げていく議会ウォッチングを一番楽しみにしているのは、わたし自身だ。
 情報を共有し、合議しながら進めていく、「む・しネット」の運動も大きな転換期を迎えていると思う。わたしにできることは何かを問い続け、「む・しネット」の仲間たちと議論を重ねることを楽しみにこの1年を過ごそうと決意している。
 いまや、「む・しネット」のスタッフとしての仕事が、わたしの最優先順位となっている。

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私と「む・しネット」         
  運営スタッフ・新田幸子



 出もどりの新田です。体調不良で2年間、運営スタッフを休んでいた。スタッフ会は岐阜で開かれることが多く、時々傍聴していたので、あまり休んでいたという実感はない。
 2000年6月、それまで関わっていた「女性を議会にネットワークあいち・ぎふ・みえ」からわかれて、明確に無党派・市民派をうたう「む・しネット」の発足に関わった。なぜ無党派か? 既存の政党政治は、組織の論理や利益を優先して、市民の願いに答えてこなかったからだ。規約には「ジェンダーの視点を基本に、権威主義を排し、性にとらわれないでその人がその人らしく能力が発揮でき、個人として尊重される、公平・公正、平等で平和な社会をめざし、憲法がかかげる国民主権の実現のために行動する」とうたった。 この理念を文章化するのにずいぶん時間をかけた。ここで意思決定は時間コストであることを学ぶ。また、代表も置かず、議員と市民は対等な関係で、「やりたい人がやり、やりたくない人はやらない、やりたくない人はやりたい人の足をひっぱらない」。これが直接民主主義の手法であることを、日々の活動の中で学んでいった。激しい議論の応酬、落ち込むことも多々あるが、その後に必ずパワーアップした自分がいる。私がそれまでに関わってきた活動とはなんという違いだろう。
 いま私の中には「私のことは私が決める」この理念がしっかりと根を下ろしている。病への対処も、日常生活の選択の中でも。これらの思想は、上野千鶴子さんの著書からも、多くを学んだ。
 わたしは一貫して市民の立場で関わってきたが、議員にならなくても、住民監査請求や住民訴訟などでまちを変えていける直接民主主義の手法もある。「む・しネット」の議員たちは、住んでいるまちを少しでも暮らしやすくするために、勇気を持って闘っている人ばかりだ。彼女たちとつながっていることで、また元気がもらえる。やっぱり「む・しネット」は目が離せないし、くせになる。

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文字の「力」 〜書きことばへのこだわり〜
       運営スタッフ・甘利てる代


 今年度、「む・しの音通信」にかかわってみたいと、スタッフに志願した。実際にかかわれるのは限られた部分になるかもしれないが、やってみたいな、やったらぜったい面白い、そう思った。そう思ったらやらない手はない。
 なぜかかわりを持ちたいと思ったか。
 話は2年前にさかのぼる。
 「む・しネット」に取材を申し込んだとき、事務局から届いたのは分厚い封筒だった。中にはこれまで発行された通信がぎっしり詰まっていた。
 量にも驚いたが、その内容に圧倒された。それもそうだろう。手にした通信の束の最初の号が、上野千鶴子さんの講演録「私が〈権威〉にならないために」だったのだから。
 この講演録は、私が知りたかったこと、長いこと言語化できなかったうっくつした気持ちを、言い尽くしてくれていた。うなるしかないほどの名回答だった。その後のかかわりは、この時生じた「む・しネット」への関心が根底にある。
 「む・しの音通信」の姿勢は一貫している。市民自治をどう実現するかだ。議員として、市民として何ができるのか。変えたいと思ったら変えよう。一人を怖がらなくていい。そんなメッセージを送りながら、仲間を作り、つながろうとしている。
 「ことばの力を信じるからこそ、無力を感じながらもことばを発し続けていますが・・・・」と、言ったのは上野さんだ。その著書『ことばは届くか』(岩波書店/2004)で、韓国の社会学者、趙韓恵浄さんとやりとりを重ねた往復書簡を読んだ。
 たかがしれてはいるだろうが、自分の発することばが意味をもつのだ。改めて、ことばが持つ未来を信じてみようと思った。
 これまで以上に、書くこと、表現することにこだわっていきたい。

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会計の仕事
   運営スタッフ・小川まみ


 今年度も会計を担当します。3年目となる今年は、いままでの反省を活かして会計の仕 事をしていきたいと思います。
 一昨年は事務局兼会計をしていて、議員の仕事と事務局の両立が私には無理と分かり、昨年は「会計だけなら」と会計を担当しました。しかし、今から思うとこの「会計だけなら」というのは、仕事を甘く見ていたと反省しています。
 昨年までの私は、お金の出入りをただ管理をしていただけで、市役所の仕事でいえば、出納課でした。年度はじめに「みなさまの会費で運営しています。会費の早期納入をお願いします。」と呼びかけても、私自身が「会費もそのうちに入るでしょうから、あまり催 促するのもどうかな」と考えていたため、どこか事務的で、会費が入らないと困ることが 伝わりませんでした。しかし、税金に置き換えて考えると、4月に会費を払った人と年末に払った人、会費を払わずに年度途中でやめた人がいたのでは、不公平です。きちっと徴収しなければという自覚が私に不足していました。
 また、事業計画を立てるに当たってもお金の裏づけがあってこその実効性。そのためには、会員の確定をし、収入を見込む必要があるということが結びついていませんでした。運営スタッフのひとりとして、出納課の仕事だけでなく、財政課あるいは収入役ぐらいの 気持ちで今年度は取組みたいと思っています。
 今年度は、当初に会員を確定し、会費の早期納入を実現したいと思います。会員名簿を次号の通信に同封できるよう、会員のみなさまのご協力をお願いします。
 昨年は、事務局のみどりさんが沖縄で講師をした縁で、沖縄の方が3名新たに会員になりました。この1年で増えた議員会員は、議員に当選してから会員になるパターンで、市民会員のなかから議員になる人はありませんでした。
 再来年は、統一選です。市民会員のなかから議員が誕生することを願っています。

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市民派必読!《注目の新刊書》
『ごみ処理のお金は誰が払うのか』
−納税者負担から生産者・消費者負担への転換−
服部美佐子(NPO法人ごみ・環境ビジョン21)
杉本裕明(朝日新聞記者)著
  合同出版/1,600円+税

・ごみ問題テーマにしたこれまでの本の多くは、環境汚染や健康被害の視点、海外との比較論であり、税金投入や市民が払っているごみ処理費からごみ処理問題をとらえた本はほとんどありません。
・本書は容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法の施行後の状況に焦点を当てた最新のごみ問題の本です。
・実例や実態報告をふんだんに記載。市民、自治体関係者など実務者にも利用できる内容になっています。(合同出版)
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《編集後記》 今日5月15日は、議員会員の「自主勉強会」。わたしは家で通信の印刷。勉強会開催まではう余曲折があったが、まずは実現できてよかった。自分の足で歩き始めると、今まで見えなかったものも見えてくる。
 GWは、畑仕事とガーデニング、「む・しネット」の仕事に専念。唯一の息抜きがブログ。おかげで写真UPの腕が上達した(笑)。 次号からは甘利さんが編集スタッフに入る。強力な助っ人が見つかってうれしい。(みどり)