《「む・しネット」とわたし

「む・しネット」は強〜い味方!!
    福井県武生市・安立さとみ



 10月の合併をひかえ、議会の中ではまたしても権力闘争?が始まった。「合併相手の町議会が会派を統一してきた。このままでは議長を取られる」「武生の中をまとめなければ」と皆さん真剣に動き回っているようだ。前回はあちこちから誘いがかかったが、「安立は一人」と認知されたのか、今のところ前回のようなしつこい誘いはきていない。
 会派に属さないことは議員として非常に不利なことと思われているらしい。役職を取ることが目的のような男性議員には、一人で頑張る私が理解できないようだ。「少しでも会派を大きくして議会の中で力をつけることで、議員としての目的が達成される」「一人では市民のために何もできない」と真剣に意見をしてくる議員が多くいる。
 しかし、一度も欠かさず一般質問と質疑を続けてきたことで、長老議員たちが、「今回の質問はよかった」「うまいこと理事者を説得できた」等々、議会のたびに声をかけてくれるようになった。「あんたは一人でいるのが一番いい」はほめ言葉か。
 毎回、獲得目標をきちんとあげて一般質問を組み立てる。必ず法律や条例を確認しながら質問や質疑をしていく。そして一番大事なヒヤリングに十分時間をかける。これらのことを毎回実施することで、職員の私への接し方までもが変化してきた。
 今では当然のように行っているこれらの行為はすべて「む・しネット」の「議員と市民の勉強会」で学んできたことだ。年4回、1泊2日の勉強会は確実に力をつけてくれた。
 「む・しネット」との出会いがなければ一人会派で頑張る私はいなかったであろう。いや、一人にはならなかったに違いない。それほど私にとって「む・しネット」は大きな存在となった。いまや「強〜い味方」である。
 勉強できる場を与えてもらったこと、一緒に学ぶ仲間を与えてもらったことを、今は心から感謝している。


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わたしにとっての「む・しネット」
    愛知県長久手町・小池みつ子


 6年前に議員になって以来、勉強会に参加したり、運営スタッフとして関わったり、「む・しネット」はずっと、私にとって身近な存在でした。運営スタッフや、いっしょに勉強会に参加している人たち、勉強会講師の寺町知正さん、みどりさんらとの直接の関わりは、私の日常の議員活動にさまざまな刺激となり、また問題整理の際の大きな参考とな
ってきたと思います。
 無党派、市民派議員として、議会ではいつもひとり。議員は常に自分の意志で動くのですから、それは当たり前なのですが、さまざまな情報を得ながら判断するなかで、「む・しネット」で会得したことは、その土台とな
っています。
 「市民が主体的に、自分たちのまちづくりにかかわる」そんな町にしたいと、議員としての活動を決意してここまで来たのですが、まだまだ遠いと感じます。行政の税金の使い道をチェックし、情報の公開をすすめることはもちろんなのですが、町の中の目の前の問題はいつも山積どころか、どんどん増えていく現状です。「議員として、何ができたか、これから何をするのか」と思いめぐらします。 いっしょに議会で動ける仲間をこんどこそ増やしたい、という思いも切実です。一方で市民の立場からの活動をすすめることの大切さも痛感しています。   
 名古屋市の東隣り、人口4万3千人、45歳未満の人が2/3を占め、財政状況もそこそこのベッドタウン。このような町で今ようやく、まちづくりにむけての芽が少しずつ出てきているように感じます。子育て中の方々による教育に関する請願、要望書を出す動きや、地域での防犯防災への自主的な活動もみられるようになってきました。
 「む・しネット」の活動が、さらに関心を呼び覚ますきっかけになることを期待して、今後『む・しの音通信』を片手に、新たなまわりの人への発信をしていこうと思っています。

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今後に向けて、今思うこと
    岐阜県岐阜市・高瀬芳


 「む・しネット」と出会って2年半。政治が趣味でもない私が、一番力を入れる活動になった。それ以前から政治に興味がなかったわけではないが、市民向け選挙講座に初めて参加して、こんなに自分の身近に、具体的に、しかも確実に政治を変える方法があると知ったのは、まさに「目からウロコ」だった。
 1年半前には、運営スタッフに手を挙げて、「む・しネット」発足当時の『む・しの音通信』を読んだ。年間の計画が年初からびっしり予定され、市民が講座の講師を務めていたことを知り、当時の熱気を感じた。街頭の活動はたびたび新聞に取り上げられ、参加者は政治をより身近に感じるとともに、社会に対する影響力を持てるのだという自信をつけたのではないか。
 今や「む・しネット」は議員会員が10名を超えるようになり、財政的には以前より安定しているが、本当に市民に届く活動ができているかといえば、そうとは思えない。
 では、今市民に向けてどんな活動をしたらいいのだろう。具体的なことはまだ考えていないが、何か政治をわかりやすく、おもしろく伝えることが一つは必要なのではないか。先日の総選挙の結果を見ながら、そう思った。 今度の選挙は、解散の理由や女性の使い方など非難したい点は多いが、今まで選挙に行
ったことがないような人たちまで投票におもむかせた事実は無視できないと思う。専門家による勝因分析では、メッセージがわかりやすかったことを真っ先に挙げているようだ。
 大衆にこびを売る必要はないが、国民の6割が「社会に役立ちたい」と考えるとも言われる今、身近でできる政治参加について「む
・しネット」の実践の経験を伝えられなかったら、もったいない気がする。
 政治はおもしろい。そして、私たちの生活に直結していて、その気になればすぐに参加できる。このことを市民に広く、おもしろく、効果的に伝える方法を思案中である。

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活動の場=鍛錬の場
    三重県桑名市・小川まみ


 「む・しネット」が2000年5月に発足して5年が経った。私は、発足当時からスタッフとして活動に参加してきた。それまで市民運動の経験がほとんどなかった私は、「む・しネット」の活動を通して鍛えられた。
 例えば、1〜2ヶ月に一度は原稿書きがまわってくる『む・しの音通信』。講座や勉強会の報告など決まった字数で書くことで、簡潔に文章をまとめる力が付いた。そして、何より「メッセージを伝える」とは何か、その意味が理解できたことは、大きな力になった。
 初めは、講座の報告だから事実に基づいて書けば良いと思っていたし、報告や感想にどうしたらメッセージが込められるのかもよく分からなかった。しかし、書いているうちに徐々に「伝えたいこと」を念頭において文章を書く習慣が身についてきた。
 ところで私は、2003年統一自治体選挙に立候補した。選挙では、「む・しネット」で培った力が随所で役に立ち、議員になることができた。
 また、市民会員の時から「議員と市民の勉強会」に参加して、議会の仕組みや予算・決算・一般質問など議員の仕事について勉強していたので、議員になってから戸惑うこともなかった。
 私はよく市議会の同僚議員から「無会派では何もできない」、「会派に入ってないと情報が入らない」と言われる。そんな雑音に惑わされずに無会派でいることができるのは、やはり「む・しネット」での勉強と仲間の支えあいがあるからだ。
 運動体である「む・しネット」には、お金を出して受講するセミナーにはない強みがある。それは、仕事を分担していっしょに活動することで、議員として働くのに必要な基本が身に付くことである。野球の投手にとってランニングで下半身を鍛えることが、ピッチングに重要なように、「む・しネット」の活動は、私にとって鍛錬の場である。

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「む・しネット」ってなんだろう
     岐阜県山県市・寺町みどり


  わたしは、市民派の女性議員をふやす運動を始めて15年になる。当初は、女性の政治参加をすすめるグループも情報もなかったし、選挙に出たいという人があれば個人的に駆けつけていた。
 95年からの5年間は、「女性を議会に!
ネットワーク あいち・ぎふ・みえ」の運営にたずさわった。この活動のなかから、「女なら誰でもよいわけではない」と明確に答えを出し、「既存の政党や組織と一線を画す」「無党派・市民派」というコンセプト(概念
)を打ち出し、こころざしを同じくする人たちと活動してきた。今号に寄稿していただいたごとう尚子さんは、当時の仲間である。
 2000年6月に「む・しネット」が発足。
「代表をおかず、総会を持たず、意思決定は合議制」「代理・代弁はしない」という、必要最小限の直接民主主義のルールを決めた。活動の現場で起きる問題は、スタッフ全員の合意形成ができるまで、ていねいに議論を積み重ねた。事務局のわたしは、無理に意見を集約しないで、複数の異なる意見の交通整理役に徹した。
 この既存の組織運営とはまったく違うやり方は、手間ヒマかかるように見えるが、全員の納得と合意が得られるので、意思決定後のトラブルはかえって少ない。
 「む・しネット」ってなんだろう、とあらためて考えたとき、「既存の政党や組織と一線を画す」ということも含めて、この運営方法のユニークさはきわ立っている。
 じっさい、はじめて「む・しネット」の講座や活動に参加した人が面食らうのも、この点のようだ。
 「む・しネット」に入りさえすれば、手っとり早くノウハウや答えがもらえる、と誤解して参加する人が多いので、聞けばなんでも答えが出てくる、と期待している。意思決定の現場にいるはずの、「無党派・市民派議員」が、である。
 そんなとき、わたしが決まっていう言葉は、「ちゃんと考えてください」「わたしは答えを持っていません。あなたの問いは、あなた自身で解いてください」。
 活動も5年目をむかえた。
 「続けられるときまで続けよう」「継続することを目的にしない」と話しあってスタートした「む・しネット」。
 なぜわたしが、多くの課題をかかえながら、いまも「む・しネット」の活動を支えていこうと思っているのか、「む・しネット」のどこに魅かれているのか。5年かけてわかったことがある。
 「む・しネット」の魅力は、組織でもなく、先進的なノウハウでもなく、まぎれもなく、そこに加わる「ひと」の魅力である。
 ひととひととがつながるよろこび、議論を重ねて、新しいものを創りだしていくよろこび。そしてなにより、わたしは、そこにいる「おんなたち」が好きだ。
 50号の節目の通信に、なかまが好き、と書けるわたしが、うれしい。

(編集責任者:寺町みどり/編集スタッフ:甘利てる代・新田幸子)