『む・しの音通信』No.54
P5〜8

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  わたしの3月議会
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予算の修正を提案
   愛知県長久手町・小池みつ子
 
     
 これまで私は、新年度予算案の採決で、最初の2年は「賛成討論」で問題点指摘をした上で賛成、その後4年は反対の立場をとってきました。長久手町はここ数年、万博開催にむけての場当たり的な事業の予算が目立ち、住民に目を向けた地に足の着いた予算とは認められなかったからです。7年目の今回は、3月議会の最終日の本会議で、「新年度予算の修正案」を提案しました。
 予算に反対せず修正案を出すということは、修正部分以外の予算には賛成の立場となるわけですから、迷うところもありました。でも町長がぜひ進めたいとしている施策の問題点を指摘するだけでなく、それを変えるためにできることとして、今回は修正案を出すことにしたのです。
 採決の結果は「賛成7:反対12」で、修正案は通りませんでした。「同じ意見だ」と言いつつ、実際には動かないということは、議会でしばしばみられます。議員としての姿勢の違いを再認識するところです。
 結果をもう書いてしまったので、「なあんだ」で終わられそうですが、以下今回の経過をお伝えします。

<どんな事業について、何を修正したのか>

 町の東半分にある農地を活用して「都市と農村の共生」をうたった町の「田園バレー事業」。すでに7000万円で用地を購入、今回そこに、約700uの農産物の産直施設や福祉農園のハウスの建設など、2億円の予算が計上されていました。
 しかし、大規模な産直施設をつくっても、町内の生産者はごく限られており、農産物が年間通して確保される見通しは、まったくありません。答弁でも、今後農家をまわって出荷をお願いするとのこと、また広く他市町からの出荷を期待する口ぶり。運営体制もまだなにも実体はなく、町は第3セクター温泉会社にまかせるつもりです。町が出した収支シミュレーションでは5年後には黒字だといいますが、土地も建物も全部公費です。町長によれば「これは田園バレーの交流拠点」だそうですが、多大な費用をかけて町が野菜のスーパーマーケットをつくることは疑問です。
 ほかにも問題点はあり、とにかく実績も見通しもない状況で建物を建設すべきではないとの考えから、2億円のうち建物工事費1億5千万円を削除する修正案とし、併設の福祉農園はそのまま残しました。

<修正案づくり>
 
 予算特別委員会では委員構成から、修正案が通る見込みはなかったこともあり、ここが問題だという「反対討論」をして終えました。
 予算委員会の質疑での確認と、事前の担当者へのヒアリングから、削除する1億5千万円の財源は、国庫補助金7500万円と基金繰入金5000万円だったので、残り2500万円を繰越金で調整しました。
 じつは私は16年9月議会で、補正予算の修正案を出したので(この産直用地の整備費に関してでした)、そのときの様式を参考に、第1条の総額と、歳入歳出の表のなかの57カ所を修正しました。議会事務局で、数字のチェックはしてくれました。
 発議者は2名であり、私は無会派で一人なので、今回は予算委員会で同じく反対の立場をとった同僚議員に声をかけました。

<最終日の本会議で>

 事前に議長に修正案提出の申し出文書を出し、最終日の本会議で常任委員会と予算特別委員会の委員長報告の後、修正案の説明を行いました。質疑も同様に受け、3議員から質問がありました。修正案の具体的な内容だけでなく、田園バレー事業への考えなど聞かれ、一応答えたものの、あとで、もう少し落ち着いて(時間制限もないので)、思っていることをもっと話せばよかったと思いました。自分からは発言できないけど、質問してもらえれば、質疑はとてもいい場となります。
 町長の政策の進め方、予算の使い方が、町民のためという視点から大きくはずれていると考えた時、今回修正はできませんでしたが、議会の役割は大きいことを改めて思いました。

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予算の賛成討論で議会運営委員会が開催
         三重県桑名市・小川まみ


 桑名市議会は、「賛成討論」が年に1度当初予算の時ぐらいしかない。理由は議会事務局が賛成討論の原稿を書かないから。いつも決まったメンバーが「反対討論」をするだけ。
 3月議会の最終日に、18年度当初予算の「賛成討論」を行った。賛成討論するのは2回目。議員になって初めての16年度予算の時に賛成討論をした。議場から「賛成なのに反対の意見をいうのはおかしい!」とひとりの議員が怒鳴った。議会が終わってから数人の議員が先輩風を吹かせて、「たったひとつでも反対する事業が含まれていれば、それは反対討論すべきだ」とわざわざ言いにきた。私は、たったひとつのために予算全体を否定することに納得できなかった。不思議なことに、桑名市議会ではそのことに疑問を感じる議員はいないのである。その後は、違和感を感じながらも、ごちゃごちゃ言われるのが嫌で反対討論をしてきた。
 しかし、今年度予算には、選挙のときの公約だった「中学校給食の実施」や、一般質問で提案した「景観計画策定事業」が含まれていた。自分が実施するように求めた事業を実現するための予算に反対したのでは、自己矛盾もはなはだしい。迷ったけれど賛成することに決めた。
 今回も議場から同じ議員が同じようにヤジをとばしたので、逆に私が議長に静粛にするよう注意することを求めた。私の討論が終わ
ったところで、私の発言の取り扱いを巡って、「暫時休憩」となり議会運営委員会が開催された。委員からは、「賛成か反対かまぎらわしい」「議会のぼうとくだ。発言の取り消しと本会議上での謝罪を求める」という意見もあったが、私は、「始めに賛成の立場で討論すると言い、最後にも賛成であると言っており、議案には反対していない。ただ議員として意見を言っただけである」と説明した。 「今後紛らわしい発言をしないように」と議長が私の発言に対して注意した。
 よく考えると別に注意を受けるようなことは何も言っておらず、むしろ、私の発言中にうるさく言った人の方が注意されなければならないのである。
 予算は分割することができず、ひとつの議案であるため、予算全体に反対するか賛成するかしかない。さまざまな種類の事業に対して、全部賛成なんてあり得ない。一つや二つは認めがたいものはいつも含まれている。例えば今年度予算なら、「国民保護計画策定事業」があり、この事業については決して賛成している訳ではないとはっきり言っておきたい。しかし、「国民保護計画策定事業」に反対だからといって、予算案全体に反対はできない。給食以外にも、小学校での少人数指導のための予算や障がい者通所施設整備補助金など賛成したいものがたくさん含まれている。予算全体に賛成するために言いたいことが言えないのもおかしい。議員は自分の意見を明確に表わすべきだと思う。賛成討論だから賛成意見しか言わなければ、すべてに賛成したことになってしまう。私は、実施することに疑問がある事業に対して問題点を指摘し、自己の意見を率直に述べたにすぎない。
 今回、賛成討論の原稿を書いていて気づいたことがある。議員が反対討論しかしないと、問題点ばかりに目がいってしまい、とてもネガティブな印象ばかりが残ってしまう。しかし、当局が作った賛成討論では、予算額が大きいハコモノや執行者側が宣伝したい事業ばかり並んでしまう。たくさんある事業の中から何をピックアップして評価するのかで、私が目指す方向性を示すことができることに気がついた。
 自分の意見が思いっきり言えるのは反対討論だけではないのである。小さな事業でも大切なものや職員の努力が現れているものなど市民派議員の目から見てよいと思う事業にスポットライトを当てることも必要だと思った。 賛成討論は当局の肩を持つようで、なんとなく嫌だったけれど、ダメなものはダメ。良いものは良いと、メリハリをつけると緊張感が増すのかもしれない。

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住民監査請求に初挑戦!
    福井県敦賀市・今大地はるみ


 昨年の9月議会で一般会計補正予算案にあがってきた、愛知万博出展モニュメントの購入費1,800万円。敦賀市をイメージし製作されたものでもなければ、敦賀市出身でもない作家の作品にである。わたしはこの予算案に反対し討論を行ったが、ほかにはだれも反対者はなく可決されてしまった。
 議会後、この予算の差し止めを求める「住民監査請求」をしようと準備にかかったけれど、抗がん剤治療の副作用があまりにも辛く、途中で断念せざるを得なかった。
 そしてこの3月議会、購入したモニュメントの製作者サイドのプロダクションに399万円のキャラバン事業費を委託する予算案が、あがってきた。今回も、質疑と一般質問、反対討論を行ったが、やはり可決。
 一般質問の中でも、市長に対し「住民監査請求を受ける覚悟はあるのか」と水を向けておいた。市長は、「市民のためになっているからそんなことにはならないだろう」とのんきな答弁。当初予算編成方針で委託料・補助金の見直しと予算20%カットを示しているにもかかわらず、この予算を査定した市長の責任は重い。
 現在、寺町ともまささんの住民監査請求書をお手本に、モニュメントの購入費の返還と今回の予算の差し止めを求める書面作りに明け暮れている。
 「む・しネット」で学んできた直接民主主義の手法の中で、なかなか実現にこぎつけなかった念願の住民監査請求に初挑戦だ。
 敦賀市では初めての住民監査請求になる。
 原発からの巨額の交付金でマヒした、わがまちの「原発依存体質」と、「委託丸投げ行政」は議会でどんなに反対討論しようと、変わってこなかった。
 今回の監査請求が、行政にとってショック療法になることを願っている。
 この投稿が『む・しの音通信』に掲載されるころには、監査請求も提出し、乳がんの手術に向けての準備に取りかかっていると思う。

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1年間の勉強会を終えての一般質問
   長野県下諏訪町・青木利子


 この3月議会、わたしの一般質問について「いままででいちばんよかった」という評価を、傍聴に来た仲間からもらった。「どこがよかった?」と聞くと「理事者の答弁に対して冷静に受け答え、再質問でさらに切り込み、焦点がずれなかった」いうことだった。わたしとしては「まだまだ」という思いだった。
 振り返ってみると、12月議会での一般質問の町長答弁は「子育て支援の機構改革については、しばらく検証する必要がある」というものだった。ところが、3月議会でいきなり「助役2人制」の議案が上程され、「できるだけすみやかに進めるための機構改革」との説明だった。これを受けて、「短期間で変わった理由をきちっと追求したい」という強い意志をもって議会に臨んだ。
 議会後に議事録のテープを聴き直すと、今までは質問するのが精一杯で、肝心な答弁を聞き逃していたが、今回は内容を聞き分け、問題点を指摘して、反論できていた。
 「なぜ反論できたか」と言えば、「議員と市民の自主勉強会」の成果だと思う。事前にヒヤリングをきちっとしてあったこと。資料を集め、調査に出向いたこと。何よりも「あなたならできる」と講師の励ましをもらったことで自信を持てたことが大きかった。
 また講座のなかで、「議事録のテープを借りればよい」とわかったことも大きい。当町において、過去にテープを借りた前例がなか
ったのでわたし自身も思いつかなかったが、なんの制限もなく借りられた。自分の生の声を聞くことで、議場でのやり取りがわかり、「わたしの質問のどこが問題か」よくわかった。それに、議場で記録をしなくてすむので、講座で学んだ「答弁を聞くことに専念する」ことが実行できた。
 わたし自身としては、まだスキルが身についておらず、しどろもどろの部分もあり納得のいく一般質問とはならなかったが、勉強会に参加した成果が少しずつあらわれたことがうれしかった。今後も同じテーマを、いろいろな角度から取り上げて、目標を獲得するまで繰り返し質問していくつもりだ。

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一般質問・情報公開・監査請求をリンクさせて      
   岐阜県山県市・寺町ともまさ


 私は「議員と市民の勉強会」で、「自治体のいろいろな問題解決や政策実現では、議会での質疑や一般質問だけでなく、時には情報公開請求や住民監査請求などを併用し効果的に」と話しています。今回、山県市で典型例が進行中。議員活動がますますおもしろい。

 ●事案
 山県市では現在、市民生活のゴミ処理を岐阜市と協定を結んで岐阜市の施設に処理委託しています。2010年に協定が切れるということで、方向性の検討が必要。山県市は、「岐阜市は2010年以後は引き受けてくれないから単独処理で行くしかない」と説明し、進めてきました。しかし、どうも様子がおかしい。それで昨年から、調べ始めました。

 ●資料
 2003年度の山県市の委託事業での建設費や財源関係などの比較調査資料が出てきました。報告の要旨は次のよう。「(A案)山県市の旧来の施設の場所で単独処理」もひとつの候補としながら、まず用地選定を行い、「(B案)山県市内の新地で単独処理」、「(C案)岐阜市と新地(山県市内)で広域処理」に適当な場所が見出された場合には、その場所で処理施設を新設する計画を進め、なかった場合には(A案)の場所で計画を進めることが適切である。
 単独処理しかない、とは記されていません。

 
●2005年9月議会「一般質問」
 この資料をもとに建設段階の経費や報告書にない経費の額と比較などの答弁を得ました。

 ●岐阜県に「情報公開請求」
 同年10月に、県内の一般ゴミの処理施設建設計画の資料を請求。県はこの段階で、県内の広域化計画の実現に何の努力もしてこなかったことが「バレタ」と認識したようです。

 
●2005年12月議会「一般質問 」
 それまで、行政が試算すらしていなかった、処理施設を運転したときの「総維持費」の答弁を得、20年間運転の総額を整理しました。広域処理の場合の建設費は20億、維持費は29億、合計49億。単独処理の場合の建設費は28億、維持費は53億、合計81億。32億円も違えば、結論はあきらかです。

 
●市の言い分は固い
 市の答弁や国県への主張は、「ごみ処理施設は迷惑施設とのイメージがあり、岐阜市の大量のゴミを持ってくるとなると、地元の理解と協力を得るには長期間を要すると予想される。他方、平成22年という岐阜市への委託期限がある。だから単独処理しかない」。

 
●「住民監査請求」へ
 先日3月7日、市民6名で住民監査請求。趣旨は、岐阜市と広域処理した場合に要する費用(49億円)を上回る経費の支出を差し止めること、もし強行した場合は、その超えた部分(32億円)は単独処理の意思決定をした市長ら職員が市に弁済すること、交付金などがつかなった場合の市の支出の増分(約9億円)は市長ら職員が市に弁済すること、など。

 
●県の文書の追加「情報公開請求」
 3月議会も一般質問。その前日15日に追加文書の公開。オオーッ驚くことばかり・・・・
 昨年11月17日に県は山県市を呼んで「県は、山県市が岐阜市と広域処理を行うことがよいと考えている」。今年2月7日には、環境省から全国に「広域化を図ることが今後ますます重要」と文書で通知。
 きわめつけは、2月15日環境省中部地方環境事務所での県と市の会議記録。「環境省は『小規模な施設は建設コストばかりかランニングコストもかかり、公費の不効率な投入となる』『(交付金の)特例を安易に認めることは本来の主旨に沿わない』と考える」。
 3月1日の県庁での会議は「環境省は、岐阜市との広域処理を行うべきと考えている」。

 
●まとめ
 交付金内示は4月。3月1日から、県を交えての岐阜市との協議が開始されましたが、いまだまとまらず。こんな安易な意思決定で市民の貴重な税金を無駄にし、将来への大きな負担を持ち越す政策は、変えさせたい。
 広域で経費節減となることは岐阜市も同じ。岐阜市民にも住民監査請求してほしい。