『む・しの音通信』No.54(2006.4.10発行)

私がシンポジウムで獲得したいもの
〜立候補するか、否か〜
   7/8シンポプロジェクトチーフ・高瀬かおる


 この文章を書いたのは、シンポジウムのプジェクトチーフスタッフになった動機づけを、はっきりさせたかったからだ。
 その必要性に気づかせてくれたのは、「む・しネット」スタッフ会での事務局のみどりさんの2回の指摘である。1回目は、私の作ったシンポ企画のレジュメの、シンポの目的にも獲得目標にも「無党派・市民派議員を増やすこと」が入っていなかったこと。2回目は「高瀬さんのシンポに対するモチベーション(動機づけ)はなあに?」と問われたこと。私はシンポの目的に、「無党派・市民派議員を増やすこと」をあわてて加える一方で、自分自身に対しては、「あなたは議員に立候補すべきでない」と忠告していた。その矛盾が煮え切らない言動に出て、見透かされたのだろう。
 2月のスタッフ会で、みどりさんから「Nさんが責任者になって、あなたが候補者になれば?」と冗談めかして言われたあと、「本当にやってみようか」と思った。そのころの私は、1月29日の岐阜市長選で、あの無責任な市長が再選されたことがとにかく悔しく、あきらめムードのまわりの人たちを歯がゆく感じていた。また、路面電車の再生運動で市全域に広報を行う必要があったのだが、どうせそれだけ大がかりな広報を自分が担うなら、電車の話だけでなく他の課題についても訴えたほうが有意義だとも思っていた。
 自宅に帰ってから、立候補したいと考える理由とやめるべきだと考える理由の両方を、片っぱしからパソコンに打ち込んでみた。すると、立候補すべきという理由のほうが、4倍以上あ
った。
 「よし、やるぞ!」と決意してはみたものの仲間のあてがなかった。「M&T企画」の宿題では、「自分を当選させたいと思う人が、2人はいる」と書いたが、それもあやしい。そうこうしているうちに、2週間が過ぎた。そして、ふと思った。まず選挙に協力してくれそうな仲間がいないということは、今の私にそれだけの人望がないからだ。路面電車や産廃の運動でも、煮え切らないかかわり方をしてきて、いい結果も出せていない。有権者としての私は、そんな人に投票したくない。立候補すべきと考えた理由をあらためて眺めてみると、単なる打算が多いようだ。いくら理屈で考えても、本当はその行動を起こすべきでない時期であれば、絶対にできないようになる。逆にやりたくないと思っていても、やるべき時ならいやおうなく、やるハメになる。そういう経験を私は過去に何度もしている。今回はやめようと思いなおした。
 他にも立候補に否定的な考えが、私を納得させるかのように浮かんできた。

@ 「議員の仕事がやりたい」と熱烈に思っているわけではない。「議員の仕事はできる」とも思うけど、単に他に私の満足するような仕事をしてくれそうな議員(または候補者)がいないから、自分が「やらなければならない」と考えただけである。そんな風だから、何かつらいことがあったとき、疲れたときなども、モチベーションを高く保って走りつづけることがむずかしいと思う。
A 非営利の事業を起業すること、特に市民メディアや市民シンクタンクをやってみたいという気持ちが強い。
B そもそも、私自身が議員にいちばん求めたい資質である、高い志を持っていない。他人のための時間が、自分の時間より多くなったら、やっていられない。
C 子どもが小さい間は、もっとそばにいてあげたい。2人目もほしい。
D 子育てに専念しながらも、次の行動のために備えることはできる。いや、そうしたほうがいい。
E 議員にならなくても、市民としてできることはたくさんあり、それをやり尽くしてからでいい。
F あまり器用でもないし、ストレスをためやすいから、無理したくない。

 それでも、やっぱり立候補すべきかもしれない。今でもそう思うのは、以下のような理由からだ。
@ 私がやりたいと思っている市民メディア、市民シンクタンクを合わせたような仕事が議員の仕事なのではないか。あるいは、それらの仕事をもっとも効率的、かつ効果的にできるのが議員ではないか。
A 私が自分を「議員にふさわしくない」と断じてしまうことで、他の多くの人の可能性も否定することになるのではないか。
B より早く始めたほうが、より多くを成し遂げられるはずである。人は現場に育てられるものだから。
C 100%準備万端ということは、永遠にあり得ないだろう。完璧な準備を目指すより、拙速で走りながら体制をつくっていくことに挑戦したほうがいい。
D 「市民派議員を増やそう」という運動の中心にいる人間が「自分は立候補すべきでない」というのは矛盾しているし、自己否定ではないか。
E より大きい目標を目指してこそ目の前の課題を乗り越えられるという自分の信念に反する。

 これらの私の立候補に対する肯定と否定の理由に対して、ヒントをもらえるようなシンポにしたい。今では、それがシンポにかかわる私の動機づけである。そして、私自身が立候補しようと決意するか、市民のままでじゅうぶん市民自治をすすめられるという自信か、そのどちらかを得ることが私の獲得目標になるだろう。


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新年度スタッフ会(3/27)報告
(文責)事務局・寺町みどり



 3月27日に、ハートフルスクエアGで、新旧スタッフ会を開きました。毎度のことですが10時半から6時までの長丁場。
 今年度は、統一選の前年にあたり、「市民派議員をふやしたい」と7月の浅野さんを招いての「政治を市民の手に」シンポをはじめ、協議事項も盛りだくさんでヘトヘト。スタッフ一同、公開講座とシンポの準備に追われています。今後はチラシを、できるだけ多くの人に情報発信し、参加者をつのっていきます。
 以下に、スタッフ会(と今日まで)の合意事項をお知らせします。

●2006年度、運営体制
・事務局/寺町みどり
・会計/小川まみ
・運営スタッフ/甘利てる代、小川まみ、
 今大地はるみ、高瀬かおる、寺町みどり
・『む・しの音通信』編集スタッフ
 編集・発行責任者/寺町みどり
 校正スタッフ/新田幸子、甘利てる代

(事業別プロジェクトスタッフ)
5月公開講座/◎小川まみ・○高瀬かおる
7月シンポジウム・プロジェクトスタッフ
◎高瀬かおる、甘利てる代、呉羽まゆみ、
 新田幸子、寺町ともまさ(自治ネット)
7月シンポジウム・当日スタッフ
青木利子、甘利てる代、小川まみ、倉地幸子、呉羽まゆみ、小池みつ子、小林純子、高瀬かおる、新田幸子、
「M&T企画/選挙講座」スキルアップ編
○第1回 5/13−担当(小川まみ )
○第2回 7/ 8−担当(高瀬かおる)
○第3回 8/12−担当(小川まみ )
○第4回 9/ 9−担当(高瀬かおる)
○第5回10/ 7−担当(呉羽まゆみ)

●2005年度会計報告
 5月に会計の小川まみさんからお送りする予定。なお、会員名簿は公開していません。
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★ 5月13日(土) 公開講座 
 「勝てる選挙〜市民派議員をふやそう」!


A. 《あなたのまちに市民派議員を!》
   講師:寺町みどり
  ・あなたのニーズをみたす政治
  ・決心するのはあなた
  ・やってよかった「市民型選挙」
B.《議員はおもしろい。さぁ議員になろう》
   講師:寺町ともまさ
  ・議員はこんなことができる。
   議員はメッチャおもしろい。
  ・情報公開・監査請求・訴訟なども駆使   して議員活動の成果を高める
C.激論「私でも市民になれますか!?」
  寺町みどり&ともまさVS高瀬かおる
・市民の高瀬さんがつっこみたい内容(例)
 「議員に一番必要なものはなんですか?」
 「議員になると、プライベートな時間はなくなるのですか?」
 「議員も産休をとれるんですか?」

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シンポジウム「政治を市民の手に!」
3/27企画会議報告・高瀬かおる


●シンポジウムの目的
(ア)統一地方選を1年後にひかえ、地方自治の現場がかかえる課題を提示し、解決策を現場の議員と市民が一緒に考えることにより、立候補予定者は自分の政策づくりに、市民は候補者の支援や評価、自分の活動に役立てる。
(イ)「む・しネット」の理念と活動を広報し、より広い地域へネットワークを広げる。
(ウ)政党に所属しなくても政治を変えることができることを伝え、市民派議員を増やして、いまの政治を変える。
(エ)「わたしも地方自治の現場にいるんだ」ということに気づいてもらう。
●シンポジウムの獲得目標
(ア)シンポジウム参加をきっかけとして、勉強会に参加したい人、立候補したい人を獲得し、その気にさせる。
(イ)立候補予定者は市民自治に関する自分の政策をブラッシュアップできる。
(ウ)市民は支援する候補者の政策づくりにアドバイスしたり、候補者の政策を比べる際の指針を持てる。また、自分の活動に先進的な考え方・方法を取り入れられる。
(エ)「市民自治」を考える機会とし、議員として、市民としてエンパワメントする。

●シンポの内容と構成(チラシ参照のこと)◇基調講演は、市民自治の実践者であり、全国的に知名度がある浅野史郎さん(4/1より慶大教授・前宮城県知事)の講演「脱政党の時代に」。「できたこと、できなかったこと」「脱政党をどう考えるか」「これからの地域社会のあり方」市民自治とは」などを話していただく。
◇パネルディスカッション「私たちに何ができるか」は、浅野さんを交えて、市民派議員および市民によるディスカッション。
◇受付を迅速にするため「事前申込み必要」とし、参加費の授受は当日受付でおこなう。当日スタッフ(参加費を免除)を広く募集。




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「候補者・市民派議員・政治を変えたい人のための講座・スキルアップ編」
(略称「M&T企画/選挙講座」)
      寺町みどり&ともまさ



 2007年4月は、統一自治体選挙です。今回、「寺町みどり&ともまさ」(M&T)がもっている情報とノウハウやスキルを伝えるために、「候補者・市民派議員・政治を変えたい人のための講座・スキルアップ編」を以下の要領で開催します。
 講座は1年後の統一選に焦点をあわせた実践的な内容で、「初めての候補者には、市民型選挙を実践して当選するための基本を伝える」「1期目議員にとっては、議員活動と平行して市民に有用な情報を出しながら2期目をクリアする手法を伝える」「市民活動を通じて、政治を変えたい市民にとっても役立つ」ように構成しました。
 今年度の「M&T企画/選挙講座」の特徴は、第1回と第2回のセッション1に、それぞれ公開講座とシンポジウムを位置付け、一般の人にも聴いてもらえるようにしたことです。「M&T企画」に参加される方は、通しで参加していただくことになります。
 7月8日のシンポジウム後の〈セッション2〉の企画は、「M&T企画/選挙講座」参加者限定で、浅野史郎さんに、ご自身の3回の選挙のことを話していただきます。
 5月13日「公開講座」と7月8日「シンポジウム」の当日に、〈セッション2〉を希望されても参加できませんので、ご注意ください。参加を希望される方は、事前に「みどり」まで申し込んでください。

◆講座の基本
◇連続企画:5,7.8,9.10月の5回
      第二土曜日の午後1時から8時
◇翌日曜日はオプション講座(9時から2時)選挙準備をすすめるにあたって、参加者が抱えている課題や問題を解決するための密着講座をします。希望者は事前に申し出て下さい。
◇会場は、名古屋市(or岐阜市、一部未定)
◇対象は、無党派・市民派の議員および市民
◇講師は、寺町みどり&ともまさ
◇4回通しでの参加を原則とする
◇参加費として、会員1万円/1講座
        (会員以外は2万円)
 第1回のみ、会員5千円(会員外は1万円)
▲ 3.4.5回目の講座は、次の2つの枠組みで構成する(180分×2セッション)
A.「選挙・政治活動/実践編〜ノウハウ・   スキルを身につけるために」
B.「市民派議員の基本〜市民自治の実現の   ためにはたらく」

◆第1回 5月13日(土)5時〜8時
 《選挙で当選する人、しない人−1》
A.「市民型選挙で当選する」〜市民型選挙の基本/従来型選挙、組織型選挙との違い/当選するために必要な要素
B.「議員の基本」〜議員に求められていること/議員は法やルールで働く/無党派・市民派議員として

◆第2回 7月8日(土)5時〜8時
 《選挙で当選する人、しない人−2》
〜シンポジウム後の「M&T企画」として
A.午後5時〜6時(60分)
  「浅野史郎〜わたしの選挙」
B.午後6時〜7時(60分)
 「当選した選挙、落選した選挙、こぼれ話 =各地の選挙を見て」(みどり&ともまさ)
C.午後7時〜8時(60分)
 参加者プレゼンとディスカッション
 「わたしの選挙/わたしの活動」   
 わたしの勝因・敗因&したいこと

◆第3回 8月12日(土)1時〜8時  《法律やルールを使ってたたかう》
A.「公職選挙法の基本と概念〜公選法を使いたおす」〜公選上の留意点/違反になること、ならないこと/文書・図画のよい例、わるい例/ルールを知ってきれいな選挙/どこまで許されるか/選挙とお金の関係
B.「議会の仕組とルール」と「議員の仕事」
議会とは・・・/議員とは・・・
/議会を変えるための論理とタイミング

◆第4回 9月9日(土)1時〜8時
 《基本は「政策」と「公約」》
A.「政策・公約をつくるのはあなた〜政策のつくり方のじっさい」〜あなたは何がしたいのか/政策・公約とは何か/仲間・市民とどうかかわるか/政策をどうつくるか/政策課題となるテーマ/政策をかたちにする
B.「自治体の政策とお金の流れ」
自治体予算とは・・・/予算の仕組み
/市民の望む政策を実現/情報公開制度を上手につかう

◆第5回 10月7日(土)1時〜8時
 《メッセージを届ける〜あとは全力疾走》
A.「メッセージをどう届けるか」
書きことばの手法/市民へどう届けるのか/いつどこでだれがどのような方法で
B.選挙の準備から本番までの予習と点検
選挙の流れを理解する/話し言葉の基本とコツ/自治体合併に伴う選挙の傾向と対策 



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  わたしの3月議会
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予算の修正を提案
   愛知県長久手町・小池みつ子
 
     
 これまで私は、新年度予算案の採決で、最初の2年は「賛成討論」で問題点指摘をした上で賛成、その後4年は反対の立場をとってきました。長久手町はここ数年、万博開催にむけての場当たり的な事業の予算が目立ち、住民に目を向けた地に足の着いた予算とは認められなかったからです。7年目の今回は、3月議会の最終日の本会議で、「新年度予算の修正案」を提案しました。
 予算に反対せず修正案を出すということは、修正部分以外の予算には賛成の立場となるわけですから、迷うところもありました。でも町長がぜひ進めたいとしている施策の問題点を指摘するだけでなく、それを変えるためにできることとして、今回は修正案を出すことにしたのです。
 採決の結果は「賛成7:反対12」で、修正案は通りませんでした。「同じ意見だ」と言いつつ、実際には動かないということは、議会でしばしばみられます。議員としての姿勢の違いを再認識するところです。
 結果をもう書いてしまったので、「なあんだ」で終わられそうですが、以下今回の経過をお伝えします。

<どんな事業について、何を修正したのか>

 町の東半分にある農地を活用して「都市と農村の共生」をうたった町の「田園バレー事業」。すでに7000万円で用地を購入、今回そこに、約700uの農産物の産直施設や福祉農園のハウスの建設など、2億円の予算が計上されていました。
 しかし、大規模な産直施設をつくっても、町内の生産者はごく限られており、農産物が年間通して確保される見通しは、まったくありません。答弁でも、今後農家をまわって出荷をお願いするとのこと、また広く他市町からの出荷を期待する口ぶり。運営体制もまだなにも実体はなく、町は第3セクター温泉会社にまかせるつもりです。町が出した収支シミュレーションでは5年後には黒字だといいますが、土地も建物も全部公費です。町長によれば「これは田園バレーの交流拠点」だそうですが、多大な費用をかけて町が野菜のスーパーマーケットをつくることは疑問です。
 ほかにも問題点はあり、とにかく実績も見通しもない状況で建物を建設すべきではないとの考えから、2億円のうち建物工事費1億5千万円を削除する修正案とし、併設の福祉農園はそのまま残しました。

<修正案づくり>
 
 予算特別委員会では委員構成から、修正案が通る見込みはなかったこともあり、ここが問題だという「反対討論」をして終えました。
 予算委員会の質疑での確認と、事前の担当者へのヒアリングから、削除する1億5千万円の財源は、国庫補助金7500万円と基金繰入金5000万円だったので、残り2500万円を繰越金で調整しました。
 じつは私は16年9月議会で、補正予算の修正案を出したので(この産直用地の整備費に関してでした)、そのときの様式を参考に、第1条の総額と、歳入歳出の表のなかの57カ所を修正しました。議会事務局で、数字のチェックはしてくれました。
 発議者は2名であり、私は無会派で一人なので、今回は予算委員会で同じく反対の立場をとった同僚議員に声をかけました。

<最終日の本会議で>

 事前に議長に修正案提出の申し出文書を出し、最終日の本会議で常任委員会と予算特別委員会の委員長報告の後、修正案の説明を行いました。質疑も同様に受け、3議員から質問がありました。修正案の具体的な内容だけでなく、田園バレー事業への考えなど聞かれ、一応答えたものの、あとで、もう少し落ち着いて(時間制限もないので)、思っていることをもっと話せばよかったと思いました。自分からは発言できないけど、質問してもらえれば、質疑はとてもいい場となります。
 町長の政策の進め方、予算の使い方が、町民のためという視点から大きくはずれていると考えた時、今回修正はできませんでしたが、議会の役割は大きいことを改めて思いました。

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予算の賛成討論で議会運営委員会が開催
         三重県桑名市・小川まみ


 桑名市議会は、「賛成討論」が年に1度当初予算の時ぐらいしかない。理由は議会事務局が賛成討論の原稿を書かないから。いつも決まったメンバーが「反対討論」をするだけ。
 3月議会の最終日に、18年度当初予算の「賛成討論」を行った。賛成討論するのは2回目。議員になって初めての16年度予算の時に賛成討論をした。議場から「賛成なのに反対の意見をいうのはおかしい!」とひとりの議員が怒鳴った。議会が終わってから数人の議員が先輩風を吹かせて、「たったひとつでも反対する事業が含まれていれば、それは反対討論すべきだ」とわざわざ言いにきた。私は、たったひとつのために予算全体を否定することに納得できなかった。不思議なことに、桑名市議会ではそのことに疑問を感じる議員はいないのである。その後は、違和感を感じながらも、ごちゃごちゃ言われるのが嫌で反対討論をしてきた。
 しかし、今年度予算には、選挙のときの公約だった「中学校給食の実施」や、一般質問で提案した「景観計画策定事業」が含まれていた。自分が実施するように求めた事業を実現するための予算に反対したのでは、自己矛盾もはなはだしい。迷ったけれど賛成することに決めた。
 今回も議場から同じ議員が同じようにヤジをとばしたので、逆に私が議長に静粛にするよう注意することを求めた。私の討論が終わ
ったところで、私の発言の取り扱いを巡って、「暫時休憩」となり議会運営委員会が開催された。委員からは、「賛成か反対かまぎらわしい」「議会のぼうとくだ。発言の取り消しと本会議上での謝罪を求める」という意見もあったが、私は、「始めに賛成の立場で討論すると言い、最後にも賛成であると言っており、議案には反対していない。ただ議員として意見を言っただけである」と説明した。 「今後紛らわしい発言をしないように」と議長が私の発言に対して注意した。
 よく考えると別に注意を受けるようなことは何も言っておらず、むしろ、私の発言中にうるさく言った人の方が注意されなければならないのである。
 予算は分割することができず、ひとつの議案であるため、予算全体に反対するか賛成するかしかない。さまざまな種類の事業に対して、全部賛成なんてあり得ない。一つや二つは認めがたいものはいつも含まれている。例えば今年度予算なら、「国民保護計画策定事業」があり、この事業については決して賛成している訳ではないとはっきり言っておきたい。しかし、「国民保護計画策定事業」に反対だからといって、予算案全体に反対はできない。給食以外にも、小学校での少人数指導のための予算や障がい者通所施設整備補助金など賛成したいものがたくさん含まれている。予算全体に賛成するために言いたいことが言えないのもおかしい。議員は自分の意見を明確に表わすべきだと思う。賛成討論だから賛成意見しか言わなければ、すべてに賛成したことになってしまう。私は、実施することに疑問がある事業に対して問題点を指摘し、自己の意見を率直に述べたにすぎない。
 今回、賛成討論の原稿を書いていて気づいたことがある。議員が反対討論しかしないと、問題点ばかりに目がいってしまい、とてもネガティブな印象ばかりが残ってしまう。しかし、当局が作った賛成討論では、予算額が大きいハコモノや執行者側が宣伝したい事業ばかり並んでしまう。たくさんある事業の中から何をピックアップして評価するのかで、私が目指す方向性を示すことができることに気がついた。
 自分の意見が思いっきり言えるのは反対討論だけではないのである。小さな事業でも大切なものや職員の努力が現れているものなど市民派議員の目から見てよいと思う事業にスポットライトを当てることも必要だと思った。 賛成討論は当局の肩を持つようで、なんとなく嫌だったけれど、ダメなものはダメ。良いものは良いと、メリハリをつけると緊張感が増すのかもしれない。

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住民監査請求に初挑戦!
    福井県敦賀市・今大地はるみ


 昨年の9月議会で一般会計補正予算案にあがってきた、愛知万博出展モニュメントの購入費1,800万円。敦賀市をイメージし製作されたものでもなければ、敦賀市出身でもない作家の作品にである。わたしはこの予算案に反対し討論を行ったが、ほかにはだれも反対者はなく可決されてしまった。
 議会後、この予算の差し止めを求める「住民監査請求」をしようと準備にかかったけれど、抗がん剤治療の副作用があまりにも辛く、途中で断念せざるを得なかった。
 そしてこの3月議会、購入したモニュメントの製作者サイドのプロダクションに399万円のキャラバン事業費を委託する予算案が、あがってきた。今回も、質疑と一般質問、反対討論を行ったが、やはり可決。
 一般質問の中でも、市長に対し「住民監査請求を受ける覚悟はあるのか」と水を向けておいた。市長は、「市民のためになっているからそんなことにはならないだろう」とのんきな答弁。当初予算編成方針で委託料・補助金の見直しと予算20%カットを示しているにもかかわらず、この予算を査定した市長の責任は重い。
 現在、寺町ともまささんの住民監査請求書をお手本に、モニュメントの購入費の返還と今回の予算の差し止めを求める書面作りに明け暮れている。
 「む・しネット」で学んできた直接民主主義の手法の中で、なかなか実現にこぎつけなかった念願の住民監査請求に初挑戦だ。
 敦賀市では初めての住民監査請求になる。
 原発からの巨額の交付金でマヒした、わがまちの「原発依存体質」と、「委託丸投げ行政」は議会でどんなに反対討論しようと、変わってこなかった。
 今回の監査請求が、行政にとってショック療法になることを願っている。
 この投稿が『む・しの音通信』に掲載されるころには、監査請求も提出し、乳がんの手術に向けての準備に取りかかっていると思う。

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1年間の勉強会を終えての一般質問
   長野県下諏訪町・青木利子


 この3月議会、わたしの一般質問について「いままででいちばんよかった」という評価を、傍聴に来た仲間からもらった。「どこがよかった?」と聞くと「理事者の答弁に対して冷静に受け答え、再質問でさらに切り込み、焦点がずれなかった」いうことだった。わたしとしては「まだまだ」という思いだった。
 振り返ってみると、12月議会での一般質問の町長答弁は「子育て支援の機構改革については、しばらく検証する必要がある」というものだった。ところが、3月議会でいきなり「助役2人制」の議案が上程され、「できるだけすみやかに進めるための機構改革」との説明だった。これを受けて、「短期間で変わった理由をきちっと追求したい」という強い意志をもって議会に臨んだ。
 議会後に議事録のテープを聴き直すと、今までは質問するのが精一杯で、肝心な答弁を聞き逃していたが、今回は内容を聞き分け、問題点を指摘して、反論できていた。
 「なぜ反論できたか」と言えば、「議員と市民の自主勉強会」の成果だと思う。事前にヒヤリングをきちっとしてあったこと。資料を集め、調査に出向いたこと。何よりも「あなたならできる」と講師の励ましをもらったことで自信を持てたことが大きかった。
 また講座のなかで、「議事録のテープを借りればよい」とわかったことも大きい。当町において、過去にテープを借りた前例がなか
ったのでわたし自身も思いつかなかったが、なんの制限もなく借りられた。自分の生の声を聞くことで、議場でのやり取りがわかり、「わたしの質問のどこが問題か」よくわかった。それに、議場で記録をしなくてすむので、講座で学んだ「答弁を聞くことに専念する」ことが実行できた。
 わたし自身としては、まだスキルが身についておらず、しどろもどろの部分もあり納得のいく一般質問とはならなかったが、勉強会に参加した成果が少しずつあらわれたことがうれしかった。今後も同じテーマを、いろいろな角度から取り上げて、目標を獲得するまで繰り返し質問していくつもりだ。

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一般質問・情報公開・監査請求をリンクさせて      
   岐阜県山県市・寺町ともまさ


 私は「議員と市民の勉強会」で、「自治体のいろいろな問題解決や政策実現では、議会での質疑や一般質問だけでなく、時には情報公開請求や住民監査請求などを併用し効果的に」と話しています。今回、山県市で典型例が進行中。議員活動がますますおもしろい。

 ●事案
 山県市では現在、市民生活のゴミ処理を岐阜市と協定を結んで岐阜市の施設に処理委託しています。2010年に協定が切れるということで、方向性の検討が必要。山県市は、「岐阜市は2010年以後は引き受けてくれないから単独処理で行くしかない」と説明し、進めてきました。しかし、どうも様子がおかしい。それで昨年から、調べ始めました。

 ●資料
 2003年度の山県市の委託事業での建設費や財源関係などの比較調査資料が出てきました。報告の要旨は次のよう。「(A案)山県市の旧来の施設の場所で単独処理」もひとつの候補としながら、まず用地選定を行い、「(B案)山県市内の新地で単独処理」、「(C案)岐阜市と新地(山県市内)で広域処理」に適当な場所が見出された場合には、その場所で処理施設を新設する計画を進め、なかった場合には(A案)の場所で計画を進めることが適切である。
 単独処理しかない、とは記されていません。

 
●2005年9月議会「一般質問」
 この資料をもとに建設段階の経費や報告書にない経費の額と比較などの答弁を得ました。

 ●岐阜県に「情報公開請求」
 同年10月に、県内の一般ゴミの処理施設建設計画の資料を請求。県はこの段階で、県内の広域化計画の実現に何の努力もしてこなかったことが「バレタ」と認識したようです。

 
●2005年12月議会「一般質問 」
 それまで、行政が試算すらしていなかった、処理施設を運転したときの「総維持費」の答弁を得、20年間運転の総額を整理しました。広域処理の場合の建設費は20億、維持費は29億、合計49億。単独処理の場合の建設費は28億、維持費は53億、合計81億。32億円も違えば、結論はあきらかです。

 
●市の言い分は固い
 市の答弁や国県への主張は、「ごみ処理施設は迷惑施設とのイメージがあり、岐阜市の大量のゴミを持ってくるとなると、地元の理解と協力を得るには長期間を要すると予想される。他方、平成22年という岐阜市への委託期限がある。だから単独処理しかない」。

 
●「住民監査請求」へ
 先日3月7日、市民6名で住民監査請求。趣旨は、岐阜市と広域処理した場合に要する費用(49億円)を上回る経費の支出を差し止めること、もし強行した場合は、その超えた部分(32億円)は単独処理の意思決定をした市長ら職員が市に弁済すること、交付金などがつかなった場合の市の支出の増分(約9億円)は市長ら職員が市に弁済すること、など。

 
●県の文書の追加「情報公開請求」
 3月議会も一般質問。その前日15日に追加文書の公開。オオーッ驚くことばかり・・・・
 昨年11月17日に県は山県市を呼んで「県は、山県市が岐阜市と広域処理を行うことがよいと考えている」。今年2月7日には、環境省から全国に「広域化を図ることが今後ますます重要」と文書で通知。
 きわめつけは、2月15日環境省中部地方環境事務所での県と市の会議記録。「環境省は『小規模な施設は建設コストばかりかランニングコストもかかり、公費の不効率な投入となる』『(交付金の)特例を安易に認めることは本来の主旨に沿わない』と考える」。
 3月1日の県庁での会議は「環境省は、岐阜市との広域処理を行うべきと考えている」。

 
●まとめ
 交付金内示は4月。3月1日から、県を交えての岐阜市との協議が開始されましたが、いまだまとまらず。こんな安易な意思決定で市民の貴重な税金を無駄にし、将来への大きな負担を持ち越す政策は、変えさせたい。
 広域で経費節減となることは岐阜市も同じ。岐阜市民にも住民監査請求してほしい。

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「ジェンダー」概念を話し合うシンポジウム
   東京都八王子市・甘利てる代


 3月25日(土)、男女平等推進センター「りーぶら」(東京都港区)で開催された、『「ジェンダー」概念を話し合うシンポジウム』(同シンポジウム実行委員会主催・イメージ&ジェンダー研究会と日本女性学会共催)に出かけた。熱気にあふれた会場には参加者230人。
 そもそもこのシンポジウムが開催されるきっかけとなったのは、昨夏に起きた国分寺市の一件だ。同市が、都の人権教育事業の一環としてすすめていた「人権に関する講座」で、上野千鶴子さんの講演を予定したところ、都教育委員会が「ジェンダーフリーという用語を使う可能性がある」という理由で介入。講座自体が中止となった。その後、都に対する抗議文(賛同者1808筆)を呼びかけた研究者が中心となって企画したものだ。
 シンポではまず江原由美子さんが「その背後に潜在的な問題があるものを概念という」と解析し、「ジェンダー概念」がどう使われてきたかのじっさいを語った。井上輝子さんは、東京ウィメンズプラザの事例をあげて、2002〜3年以降における「ジェンダーフリー」攻撃について具体的な説明を行った。
 つづいて話した、若桑みどりさんのパワーポイントで示されたバックラッシュ年表は圧巻だった。時系列に示された国・自治体・メディア・政党(自民党)などの動き(仕掛け)を見たとき、バックラッシュが、じつは多面的及び計画的に行われてきたことが一目瞭然であった。この年表は説得力があった。ひとつひとつの動きは歩幅が小さくても、集積すると「攻撃力」である。私たちが知らぬ間に相手は次々と手を打っていたということだ。
 1999年に「男女共同参画社会基本法」が成立するのであるが、それ以前から「ジェンダーフリー」の用語を恣意的に使ってのバ
ッシングを積み重ねていた。そして2000年を境に攻撃を加速させていることが、年表では明らかだった。
 そのかっこうの攻撃テーマが「性教育」である。ジェンダーフリー=過激な性教育という攻撃路線がつくられた。あとは集中してたたけばいいのだ。やれひわいである、フリーセックスを助長するなどだ。自民党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクト」では、性教育批判にとどまらず、公然と「男女共同参画社会基本法」批判にも及んでいる。
 日本をダメにするジェンダーフリー教育、過激な性教育、こうくり返し言われたら私たちはどうだろう。なにせ主体となる団体はヒト、モノ、カネがある。組織的にメディア、文化レベルでの宣伝が展開されれば、ほんらいジェンダーが持つ「概念」を認識しないままに、尻馬に乗ることは避けられない。
 加藤秀一さんは、本質的には無関係であるジェンダーフリー教育と性教育が一くくりに弾圧されていることは「自分の頭でものを考えること全体への抑圧である」と指摘した。では、攻撃派が望む国民像とは何だろうか。ずばり「家父長制社会のパラダイム」(若桑さん)だ。戦前の家制度を復活させようとするのは「攻撃側の目的は憲法(9条と24条)を変えることです」(丹羽雅代さん)。これを聞いていくつもの点がつながった。戦争への道をまっしぐらに進んでいる。欲しいのは「いいなり」になる国民だ。私はそう思った。
 ではこれに対抗できるのか。フリーディスカッションでは参加者とパネリストとの意見交換が重ねられた。現場からの報告は厳しいものだったが、私は悲観的にはならなかった。バックラッシュに対抗できるのはほかならぬ、「ジェンダー」(男女平等や女性の地位向上を超えた何かを持つ)そのものであることも分かったからだ。
 シンポ終了間近、上野千鶴子さんからコメントが届いた。「上野の講演を聞いてみませんか? 都の主催または共催の事業に上野を講師に呼んでください。テーマは『男女平等社会をつくる』。企画が実っても、実らなくても、経過をすべて情報公開しましょう」。 新たなネットワークの誕生を自覚した。

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千葉県の男女共同参画センター設置条例案否決で何ができるか。
−「地方自治法」の再議請求も−
   岐阜県山県市・寺町ともまさ


 千葉県の堂本知事が議会に提出していた「男女共同参画センター設置条例案」が3月24日に否決されました。現行の「県女性センター」(柏市)の事業を発展させる予定だったところ「否決」。これまで行われてきた事業も含めて継続できなくなるといいます。 同条例案が否決される一方で、事業に伴う予算案は可決されており、予算があるのに執行できない、いびつな状態になったとか。
 ここで出くる議論が、「再議(さいぎ)」といって知事や市町村長が議会に「否決した議案をもう一度審議するよう求める手続」をなぜとらないのか、ということです。 
 「再議」は、そもそもいろんな議案や議会手続に関しても利用できるので知っておくべきです。私は、堂本さんには、自分の選挙で推薦を受けたり推薦文をもらったりしていて、他人事とは思えません。それに、バッシングが他の自治体や議会に波及するかもしれません。そこで、今回、どうすることができるかなど整理してみました。

● 事案の経過
◇「千葉:自民『財政難、要望低い』『男女参画センター』条例案否決」 
 県が2月議会に提出していた「男女共同参画センター設置条例案」は20日、県議会常任委員会で否決された。県民生活に大きな影響が出そうだ。条例案は、相談事業を強化するため、千葉市にセンターを柏、館山両市に分館を置くもの。人件費や研修費など約5900万円を予算計上している。これまで行われてきた事業も含めて継続できなくなった。年間4000件以上の電話相談、300件以上の定期的なカウンセリング相談は打ち切りとなる。(毎日新聞千葉版3月21日)
◇「県の条例案を否決 知事対自民、鮮明に」
 新年度予算案には、条例成立を前提に、これまで女性センターの運営を担ってきた財団
法人への補助金を盛り込んでいない。このため、本会議で条例案が否決された場合、女性センターはなくなり、県は男女共同参画事業の拠点を失うことになる。堂本知事は「残念だ。(同様の)センターをなくした県は聞いたことがない。日本で初めての後退」と話した。(朝日新聞千葉版3月21日)

● 地方自治法の定め 
 (1)地方自治法第176条1項では、当該普通地方公共団体の長は、「条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決について異議があるときは、・・・10日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。」
 3項は、「議決については、出席議員の3分の2以上の者の同意がなければならない。」としており、長の「一般的拒否権」といわれます。議会が前と同じ結論をだす(否決する)ことにあえて高いハードルを課すわけです。今回、再議請求することは可能「でした」。
 (2)これに対して、期間制限もなく過半数でよいものとして、4項の規定があります。
 第176条4項では、「議会の議決その権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、長は、理由を示してこれを再議に付(さ)なければならない。」として期限を定めず義務付けています。こちらは、「特別的拒否権」といわれます。通常の過半数の多数決で可決します。
 さらに、5項では、それでも議決がおかしい場合について、「なおその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるとき」は知事は大臣に、市町村長は知事に、当該議決があった日から21日以内に、審査を申し立てることができます。
 6項は、大臣や知事は、当該議決を取り消す裁定をすることができるとしています。
 7項は、裁定に不服があるときは、議会又は長は、60日以内に、裁判所に出訴することができるとしています。さらに、なんと第177条では、ある場合の再議について、も
っと強権を首長に与えています。

● 再議の具体例
 (1)長野県知事は、2005年3月、「予算案減額は(自身の)政策意思に反し、ひいては県民生活に支障をきたす」として、「再議」を請求しました。
 (2)私のまちでは過去に2回、第176条4項に基づく再議請求がありました。
 旧高富町では、1999年3月、議会の法令違反の手続に関して、住民から町長に「再議請求書」がだされました。この書面自体は事実を指摘した催告書とでもいうものです。会期中なのですぐに、町長が議会にはかり、手続きを是正しました。なお同日、議会に、「法令遵守を求める請願」も提出されました(私が紹介議員)。請願は全会一致で採択。
 自治体合併した現・山県市で、私は、2004年1月、議会の違法な議決に関して市長に「再議請求書」を出しました。市長は臨時議会を召集、再議を求めました。

●今回議員や市民は何がフォローできるか?
 (1)1項の再議について
 今回、千葉県知事は、第176条1項の再議は求めませんでした。10日の期限も過ぎました。長野県知事のようにできなかったのは忸怩(じくじ)たる思いでしょう。だから今さら、1項の再議請求の議論はやめます。
 堂本知事は政治的には少数の側です。少数でもいいから議員の強力な支援や市民の働きかけ、世論づくりが必要です。
 (2)4項の再議請求はできないのか?
 今回の否決に対する社会の批判もあるし、自民党内でも批判や反省もあるようです。現実に女性センターの機能や役割に支障が出るのですから、知事は何かする必要があります。
 4項の定めは「議会の議決その権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるとき」ですから、知事がこれは再議すべき違法な状態だと認識すればよいことです。
(3)今回の事態を生じさせた議会の「議決の違法」をみつけましょう。
 A. 千葉県は、4月から、男女共同参画社会基本法の第9条「地方公共団体は・・施策を策定し、実施する責務を有する」などに、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(通称・DV防止法)の第3条「都道府県は・・配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにする」「相談に応ずること」第27条「都道府県は・・婦人相談所の運営に要する費用を支弁すること」などに反した状態になりました。
 B. 市町との連携も切れることになり、市町の損害も甚だしいものです。
 C. センターという千葉県の財産の管理として、県に違法状態はないのか。
 違法又は不当な財産(土地、建物、物品など)の管理や、財産の管理を怠る事実があるときは、住民は一人でも住民監査請求ができます。住民訴訟になれば堂本知事が「被告」になるけれど、こういう場合は、知事を後押しするように作用すると考えてよい場合です。
 D. 行政手続法(条例)の違法状態とか行政不作為としての違法状態の発生とかも充分に考えられます。
 (5)4項の定めは、知事がこれら違法な状態になっていると認識した時、違法状態を生じさせた条例改正案(の否決)を知事が再議に付すことができる制度としても利用できます。否決した自民党も反省しているし。

●まとめ
 少数側の堂本知事がすっと自己決断するのはむずかしい状況。だから、議員や住民が後押しすることが必要だし、それができる場合だと思います。
 住民監査請求にしても住民訴訟にしてもそんなにむずかしくはないですよ。私は、弁護士を頼まずに、本人訴訟で30数件の行政訴訟をやってきました。
 抗議行動や抗議電話もできます。請願や陳情もできます。「再議請求」発動を促すことはいくらでもできます。時にはもっとインパクトのある方法もいいものです。
 「市民運動」は遠慮しないこと。自分たちの自治体は自分たちで守りたい。
 議会の議決に対する再議の制度は、いつでも使えるよう、知っておきたいものです。

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2006・スタッフ大集合


 現在、乳がん治療中のため休職状態のスタ
 ッフです。一日もはやく現場復帰をして、
 「む・しネット」のなかまたちとの活動を
 再開したいと願っています。休職している
 ほうが、つらく思えるほどわたしにとって
 「む・しネット」はかけがえのない存在で
 す。         (今大地はるみ)

有権者の約3分の1の1,191人の署名、
その思いを真摯に受け止めるとの町長の言
葉はいったい何だったのか。意見書は、住
民投票条例必要なし、議会は否決。寒い冬
の熱い思いを今後どうしていくか、それが
今の私の最大の関心。   (呉羽まゆみ)

 体力に自信がないので、名乗りを上げても
 あてにならないのでは、まわりに迷惑をか
 けてしまう。ぐっと我慢しながらスタッフ
 会を傍聴していると皆さんの熱気につい、
 「それ、わたしやります」。ひさびさの大
 きなプロジェクトを7月に控えて、今から
 わくわくドキドキです。  (新田幸子)

ひさしぶりに、会社員時代の友人から電話
があった。5月と7月につっこみ役やパネ
リストをやると言ったら、「ぜったい行く
!チラシも配る」だって。さらに「市民派
議員を増やそう」という趣旨を伝えたら、
「もし高瀬さんが出るなら、応援するよ」
と言ってくれた。仲間が一人あらわれたよ
うだ。          (高瀬かおる)

私が浅野史郎さんにはじめて出合ったのは 
1998年2月。松島で開催された、ある 
フォーラムだった。「宅老所は大型施設へ 
のアンチテーゼだ」と言いきった浅野さん。
新しいケアを生み出そうとする参加者の背 
中を押したのは言うまでもない。7月のシ 
ンポもきっと「何か」が起こる。
            (甘利てる代)

 講師の浅野史郎さんとの交渉担当を任され
 た。紹介者もなし、ツテもなし、もちろん
 面識もなし。気持ちをこめた手紙と資料で
 「快諾」を得た。うれしかったし勉強にな
 った。浅野さん、ありがとう。(ともまさ)

今年は、5月公開講座、7月シンポジウム、
11月には自分の選挙。とても忙しい1年
になりそう。でも、スタッフ会でシンポを
企画しているうちに、「これ、ゼッタイ面
白い!」と思った。この1年フルスロット
ルでがんばります。    (小川まみ)

 この通信も、8頁のつもりが、ついついリ 
キがはいって12頁だてになってしまうほ 
ど、魅力の企画が満載。神谷さんのおかげ
で、よいチラシもできた(ありがとう)。 
念願の浅野さんの話をちょくせつ聞けるの
 が、とてもたのしみ。来年4月は統一自治 
体選挙。バックラッシュをはねかえして、 
議会で発言し行動する、「無党派・市民派 
議員」をふやしたい。    (みどり)