『む・しの音通信』N0.57
(2006年9月30日発行)


第4回「M&T企画/選挙講座」スキルアップ編
2006.9.9〜10/名古屋市女性会館

リーフレットは命づな!
愛知県日進市・島村紀代美


 私は今回、はじめて「M&T企画/選挙講座」を受講した。
 受講に際して提出すべき課題(リーフレット作成)に取り組む段階が、すでに私にとっての「ラウンド1」。格闘に格闘を重ねて何とか形にはしたものの、いったいこれでいいものなのか、不安をいっぱいに抱えたまま、講座当日を迎えた。
 かつてない緊張感を持って臨んだ講座は、まさに息のつけぬ充実した内容。
 【セッション@】《自治体の政策とお金の流れ》、【セッションA】《政策・公約をつくるのはあなた》を通して、「議員の仕事とは?」「政策とは?」「自分は議員になって何をしたいのか?」「私自身の政策は」とい
った、私の中であいまいになっていたものが、少しずつクリアになり、それが【セッションB】のリーフレット作成という、集大成につながることが理解できた。
 【セッションB】では、まずリーフレットにのせる政策作りの第1ステップとして、参加者が順番に、自分が政策課題のテーマとしたいものについて具体的に挙げていく。当然、自分の関心のある政策課題は限られているのだが、分野別に黒板に羅列されたものを見ると本当に多岐に渡っており、即戦力となる議員になるためには、仲間と共に必ず一度は行なわなければならない大切な作業だと感じた。
 次は、具体的にリーフレットとニュースの書き方のポイントに移る。先に挙げた政策課題の中から、自分が実現できること、選挙になじむものを精選する。その政策、そして自分のスタンスと共に、強いメッセージを有権者に届けるリーフとニュース。いったいそれはどのようなものであるべきか。講座では参加者が各自準備したもののポイントと課題を述べ、講師の寺町ともまささんとみどりさんがこれを検証し、全員で共有していった。
 どのリーフレット、ニュースも個性があり、とても参考になった。私が理解した「読まれる・伝わるリーフレット」のポイントは、
@20代から80代までの有権者が理解できるかんたんな言葉づかいで書く。A字のポイントの大きさに注意したり囲みを使い、見やすいレイアウトにする。B政策は項目ごとにきちんと分ける。Cメッセージには署名を入れる。D頼りがいのあるイメージで。Eメッセージは最大限に強く!演説のつもりで自分が何がやりたいかを伝える。
 この観点から私自身が作ったリーフレット、ニュースを見ると、訴える力が非常に弱く叙情的で、いわゆる”八方美人”なものとな
っている。これまでコミュニティ新聞やら、NPO団体の通信などを作成してきて体に染みついている(頭に染みついている?)感覚が出てしまっており、「これは市民活動のリーフレットとは違うことを認識してほしい」という指摘を受けた。どこかにちゅうちょというか、気恥ずかしさがあるのが私自身で読み取れる。また他の方と比べると、レイアウトの面でもクリアさが足らず、まだまだ相当な工夫が必要。思い切って自分の殻を打ち破り、挑戦的な気持ちを持って臨まなければ、本当に有権者に届くリーフレットやニュースは作成できないと強く感じた。
 このようにして、【セッションB】ではひとつひとつのリーフレットとニュースをていねいに検証し、公選法上の留意点についても具体的に示していただいた。リーフレットやニュースは単なる候補者のお知らせではなく、その人の思想、政治姿勢、熱意のすべてが読み取れ、「この人ならば信託してよい」と期待感を持ってもらえるよう凝縮されたものでなければならない。リーフレット、ニュースの完成度が、直接有権者に訴える演説にも確実につながっていく。リーフレットは顔の見えない「あなた」に、しっかりと自分の思いを伝える命づななのだ。
 この講座において私は、何よりも重大な役目を果たすこのリーフレット作成に、すべてを注ぎ込む必要性を学んだ。 

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「切迫感」と「焦燥感」は大きな違い
         三重県桑名市・小川まみ

 9月9日に名古屋市女性会館で行われた第4回「M&T企画・選挙講座」に参加した。
テーマは《基本は「政策」と「公約」》。
 政策を作る際に気をつけることとして、
●自分の言葉で書くこと 
●実現可能なこと→実現の道筋がイメージで きるもの 
●有権者の多くが共感できるもの
 つまり、他人のリーフレットから政策や公約をそのまま持ってきても、自分の言葉でなければ説得力に欠けるし、実現の道筋が見えなければ、まったく使いものにはならないということである。まず、「自分のまちに足りない政策」「まちのニーズが何か」が分かっていなければ自分の言葉で書けないし、多くの有権者が共感することはできない。
 次に、市民型選挙に不可欠な要素7項目について「オリジナルチャート」を使って、自分の選挙の特徴を探る作業を行った。5月の時は、前回の選挙についてチャートに落としてみたが、今回は、今度の選挙について現状でどれだけできているかを表した。
 前回と同じような選挙をイメージしていたが、まだ、リーフレットも公選ハガキもほとんど配布できていないので、チャートに落としてみるとまったく違う形になってしまった。
 そんな中、「切迫感」だけは、周囲にも口に出して伝えているので、100%のところにマークした。ところが、講師からは、「切迫感は、候補者本人の行動を見て周りが判断するもの。落選するかもしれないと口で言うのは、ただの焦燥感だ」と厳しい指摘をうけてしまった。私は11月に選挙があり、他の参加者より5ヶ月前倒しで準備ができていなければならないのに遅れている。市民型選挙に必要な要素は「切迫感」であって「焦燥感」ではない。「どうしよう! どうしよう!」と焦るくらいなら1枚でも多くリーフレットを配り、1人でも多くの有権者にメッセージを届けることが重要であることを再認識した。

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政策づくりの実際、やってみればおもしろい。
    東京都江東区・前田かおる


 私は、議会をめざす仲間と学びあいたいと思い、今年5月からこの講座に参加した。
 今回の【セッション・2】の講師は寺町みどりさん。テーマは《政策・公約をつくるのはあなた》。『市民派議員になるための本』にも書かれてはいたが、セッションで他の参加者といっしょにそのプロセスを体験できたことは勉強になった。
 参加者は、はしから順に「自分が実現したい政策」を出し合ってみた。それをたとえば「図書館の充実」なら「教育」に、「緑化条例」なら「環境」に、というように、ホワイトボード上にテーマごとに分類しながらみどりさんが書き出していく。最初からきちんとテーマごとに整理して出さなくても、思いつくまま出し合い、その後分類、というやり方で、課題を出しやすくなると思った。
 公約で重要なことは「実現可能なこと」であるというのも、ズシッときた。実現可能という言葉には二つの意味があると私は思う。一つは、実現したい課題の具体化への道筋が自分の中でイメージできること、二つ目は実現にむけて取り組もうと自分が本気で思えること。3年前に公約として掲げた政策のいくつかを、以後のとりくみとしてはあまり具体化なかった経験をもつ私には、「政策の実現可能性」という言葉は、耳の痛いものだった。
 また「政策」は、「基本姿勢」と不可分だけれど、メッセージにする時はそれぞれを整理して届けることが大切、ということもみどりさんの話でふれられた。議員として何を「したい」のかが「政策」、有権者・議会・行政との関係を、どのように「あるべき」と考えるかが「基本姿勢」ということだと、講座を終えて私なりに再整理することができた。
 自分でわかっているつもりでも、もう一度言葉にしてみることで自分が気づかされることは少なくないと思う。「くり返し言葉にしてみること」の大事さも考えた講座だった。

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政策をどうつくるか
       愛知県長久手町・小池みつ子 

     
 9月の選挙講座のテーマは「基本は政策と公約」。来年にむけての活動をすすめるに際して、重要なものが「政策」である。
 8年前には、「こんなまちにしたい」という思いで私が作ったタタキ台をもとに仲間の人たちと相談していった。そして4年前は、「万博」という町の状況変化に伴う新たなニーズをとらえ、政策として加えた。そして次は・・・。今回の勉強会には新たな気持ちでのぞみ、『市民派議員になるための本』にもあらためて目をとおした。
 なにがしたいか・・・これまで取り組んできたこと、自分や仲間が毎日の生活で矛盾を感じていること、は行政各課の分野にわたる。講師のみどりさんが参加者に「順に政策を挙げてください」と言われ、みんなで出していくだけでかなりの数となった。「市民・まちの人の声」「弱い立場のひとの願い」も聞き取って政策にすると、本には書かれている。聞き取りやアンケートを行い、さまざまなニーズを抱えた人たちの声を知るという時間は、実はもうあまりないが、今後のためにもできるだけやっていきたい。またこの4年間の活動を通して受け止めることのできた声もある。
 すすめたい政策はあらゆる分野にわたっており、総花的になってしまう感もある。それらをテーマ別にまとめ大項目がいくつかできる。そのメリハリをどうするかは検討課題。4年前の政策がどのように実現できたかの検証もしていかなければならない。
 さて、リーフレットにそれらをどう表現できるか。限られたスペースを有効に使い、手に取ってくれた人の心のどこかに残るようなものにしたい。「相手がどう受け取るかを考えて出すことが必要」との講師の話もあった。
 議員としてなにがしたいのか、実現可能な政策として示していくのだが、ではそれをどのように実現させていくのか、それも具体的にイメージしながら考えていこうと思った今回の勉強会であった。

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「きわどい表現がいい表現」
   京都府木津町・呉羽まゆみ


 8月の講座を欠席した私にとって2ヶ月ぶりの「M&T企画/選挙講座」。事前の課題は、リーフレットとニュースをつくってくること。統一地方選を8ヶ月後に控え、この宿題はありがたいとまず感謝。さあ、9月議会も始まったばかり、気合で乗り切ろうと張り切ったまではよかった。
 さて課題。今までの講座で学んだことの実践版。「警告スレスレがよい文書」「文書表現は大胆かつ慎重に」。何度も講座で学んできた。わかりやすく、読みやすく、目に留まること。その上で、なんと言っても選挙が意識できるようなものでないと効果がない。
 「わたし」の思いを改めて確認し、仲間と意見を言い合ってようやく出来あがった4年前を思い出しながら、今回は一人パソコンの前で四苦八苦。ようやくA4裏表1枚を仕上げたところで、講師からの電話。「現時点のものでいいので、リーフレットとニュースの2種類を提出してくださいね。けっこうその関係がわからない方が多いので」。やさしい言葉に「えっー。中身は空白でも何を載せるかとにかく配置してみます。」と私。提出期限スレスレ。
 迎えた当日、【セッションB】。各自が準備したリーフとニュースを参加者全員に配布し、一人ずつプレゼンテーション。参加者全員が自分自身の言葉で作成したリーフとニュースを披露。その後講師からのコメントと評価を得るというもの。
 街頭での演説が聞く人を意識して伝えるように、リーフレットやニュースも読む人や自分の町のイメージを意識してつくること。基本の基に気づかされた。誰かがつくるものではなく、私がつくる私の町に対する私の思い。そして、表現方法のテクニックも習得。まずはきわどい言葉をそのまま書いて、精査、書き換えが有効であることを実感した。
 さて、次回の仕上げで、完成か? それともまたしても新たなカベにぶつかるか、これも参加型講座の醍醐味。

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スイッチを切り替えて
   長野県下諏訪町・青木利子


 講座を受けていて、今さらながら気づいたことがある。毎回、基本の復習からはじまることである。講師のみどりさんは、矢つぎ早な質問で口火を切る。自信がないからわたしの返事は、「もごもご・・・」。今回は『自治体の政策とお金の流れ』から「長の権限は予算の編成と執行。議会は意思決定」を再確認してからはじまった。
 【セッションB】は講座の核心だ。「基本は政策とスタンス」を念頭に、じっさいどうやってリーフレットをつくるかという実践編。
 わたしは前回の選挙では「リーフレット」の重要性を知らず、利用も考えなかった。連続講座を受けるなかで、「市民型選挙」でも
っとも重要な役割を果たすものとわかった。
 自分が議員になって何をどうやりたいか、自分がどの位置に立って働くか、を伝えるのがリーフレットだ。
 じゃあ政策はどうやって作るの? 肝心な政策の中身が出てこない。そんなときは、「まずはランダムに思いついたことを書いてみる。一人でも仲間と一緒でも、とにかく書く、どんどん書き出してみる。あとで整理すればいい」と講師のアドバイス。
 さあ、いよいよ実践。わたしのリーフレットをつくることに。議員として自分が何をしたいか、それが政策になる。「@自分が実現したいこと、A仲間がしたいこと、B今その町で争点になっていること」をベースにして、「環境、福祉、教育、行政改革、情報公開、男女共同」など政策はかたよらない。「まず書きたいように書いて、受け取った人がどう受け止めてくれるかを考えて直す」というのが基本的な手法。忘れてはならないのは、公職選挙法の3原則を守りながら、なおかつ自分の強い思いを積極的に書くことだ。
 まとめとして、「市民は候補者を見抜く力をもっている。自分の1票を活かしたいと思
っている。だからポジティブにメッセージを伝えるのが肝心」と講師。選挙まであと半年。さあ、リーフレットを作って、スイッチを切り替えて、エンジンを始動しよう。

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リーフレットをつくる
    三重県津市 柏木はるみ


 【セッションB】は、リーフレットに書く政策の見つけ方から始まった。「実現したいと思っている政策をあげてください」。講師のみどりさんは、一つひとつの政策を教育、環境、福祉、行政等のテーマごとに分類、整理しながら板書していった。一連の作業に参加しながら、自分のリーフレットの政策部分の整理不足が気になって仕方がなかった。
 たくさんある政策課題の中から、どの政策の実現を目指すのかを決めるのは候補者自身であるが、リーフレット作成の手法、政策課題の抽出方法、誰のために、何のためにその政策を実現させたいと考えるのかなどのすべてが候補者のスタンスであり、リーフレットは候補者のスタンスと政策が凝縮されて形になるものなのだと理解することができた。
 寺町ともまささんからは、「@選挙の特定A投票依頼 B立候補表明」は公職選挙法違反になると、文書違反にならないために留意するべき3原則についての説明があった。
 その後、受講生が作成して持ち寄ったリーフレットとニュースを元に「実際のペーパーづくりの評価と修正」が行われた。全員のリーフレットとニュースを机に広げて見比べると形も表現もさまざまで、まさに政策や個性、スタンスの違いが一目瞭然となった。
 政策課題とスタンスが明瞭に書かれていて候補者の写真もデザインも個性的で思いのこもったリーフレットには、ほれぼれさせられた。一方、わたしのリーフレットは政策部分の読みにくさに加えて、支援者の応援メッセージなど不要な部分が多く、「政策とスタンスというリーフレットの基本的な要素を満たしていない」との指摘を受けた。また、ニュースには、前回の選挙支援の御礼の文書を書いてしまい「選挙違反になる」との指摘もあ
った。次こそは、リーフレットに書いたコピー「暮らしと市政を一直線につなげます」がいきる政策とスタンスを書き込んだリーフレ
ットを作りたいと思っている。

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市民が活かせること
    岐阜県岐阜市・高瀬芳


 私は今回、市民の立場のままで活かせることを三つ習得したと思う。
 一つは、【セッション1】で自治体の予算編成と政策実現のための活動のタイミングをおさらいできたこと。市民の立場で政策を実現させたい場合、予算編成の段階をふまえ、各時期の議会で議員はどんなことをするのが効果的なのかを理解して、十分前から動く必要があると思った。たとえば、6月はまだ事業案を考えている時期であり、国への陳情なども多いそうだ。市民もその時期に向けて、提言など発信したほうがいいだろう。
 二つ目は、どうやって自分の思いを、多様な市民に受け入れられるようなかたちにしていくかということ。市民運動では、ともすれば厳しい言葉での批判が多くなってしまいがちだが、それをそのまま選挙の演説で訴えても、引いてしまう市民も少なくないだろう。受け入れられやすいポジティブな言葉に置きかえていくことが必要だ、との講師の言葉に納得した。
 また、リーフレットやニュースのメッセージで、思いがより強く伝わるのは、候補者である「わたし」から一人ひとりの市民の「あなた」へ向けたものだということも、実例を見ながら理解した。このことは、さっそく今関わっている起業のイベントの広報でも使っている。
 さらに三つ目は、選挙の準備の進捗状況を自己評価する方法は、上記の起業のイベントについてもかなり利用できそうだと思った。
以前から「む・しネット」の勉強会で学ぶことは、政治以外のことにも応用できることは分かっていたが、特にイベント事業は、チラシをどのくらい配れているのか、仲間は何人いるのか、などそのままあてはまる。
 選挙は特別なものととらえがちだが、市民や企業での活動と共通のスキルが多く求められる。裏を返せば、市民としての力を地道に養うことが、いつか議会を目指すことにつながるのかもしれない。


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★いんふぉめーしょん★
『生き延びるための思想』読書会のお知らせ
(上野千鶴子著/岩波書店/2006)
  2001年6月から続けてきた上野千鶴子
 さんの著書も5冊目。ひとりで読むにはむず
 かしいけど仲間で読めば理解できると信じて
 石の上にも6年。理解のほどは不明だが「本
 を読むのはエクスタシー」ということで、今
 年は「む・しネット」の自主企画「プロジェ
 クトe」です。参加したい人はご連絡を。

  
時・10月14日(土)18時から20時
  所・ハートフルスクエアG小研修室4

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    編集後記
 福井発「焚書坑儒事件」は、図書リストの公
 開を勝ちとったが、安倍政権誕生で安心でき
 ない。そんな中、岐阜県で裏金問題が噴出。
 思いを形にしたいと呼びかけた「住民監査請
 求」は昨日3763人で請求した。図書排除
 事件も裏金問題も事務局なので、3足のわら
 じをはきながらの通信作成。来週は「選挙講
 座」最終回だというのに準備は手つかず体調
 は下り坂・・・・で発熱。わたしが書くつもりの
 原稿はパスした。とはいえ、なんとか編集後
 記までこぎつけて校了しました。(みどり)