『む・しの音通信』58号
「M&T企画/選挙講座」実戦編を終えて

「私の弱点、発見」
京都府木津町・呉羽まゆみ


 統一地方選に照準を合わせた「M&T企画/選挙講座」スキルアップ編。この連続講座で私が獲得した一番の収穫、それは自分自身の弱点を再確認できたこと、そして克服する意欲をもらったことであった。
 講座の翌日に準備されたオプション講座。事前に要求された課題は、毎回ほぼ同じテーマ、「あなたが選挙で抱えている課題」「あなたが議会で抱えている課題」。私の内面をじっくりと見つめることを要求される課題。その課題について一人ひとり時間をかけ、参加者と講師が意見を出しあうというもの。
 第1回の講座では、参加すること自体をち
ゅうちょしていた私。選挙? 議員は面白い? その言葉に戸惑いつつとりあえず参加。 講師の経験に裏打ちされた言葉。「合併をきっかけに地盤・血縁型の選挙に逆戻りするようになる」「住民の意向を聞かない行政は、枠が大きくなればその姿勢は益々大きくなる」に奮起。悶々としていた気持ちに打ち水が打たれ冷やされた感じ。
 2ヶ月後の第2回オプション講座。次なる課題で私に見えたのは仲間との関係。議員という権力を得た私と仲間との今後の体制づくり、前回の選挙をともにつくった仲間たちと新たな仲間をつなぐために、整理しなければならない問題が見えてきた。「市民と議員の関係性はもはや平等ではない」との講師の当然とも言える一言が腑に落ち納得。
 最終の講座では、迷いがまったく消え、となる予定が、まだまだ私の迷宮入りは続いていた。しかし、この思考こそが私の特徴であ
ったということ、そして講師や参加者に答えを与えてもらおうと参加していた私の姿勢も発見できた。答えは誰かに与えられるものではない、自分で解決するため、糸口を見出す人や場所がある。それが今回の選挙オプション講座で獲得できた最大の成果と、いま振り返って感じている。
 浅野さんいわく、自虐的講座? 私にとっては、「多角的思考実践、問題解決自分次第講座」って感じ。

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「私の決めたスタイル」
愛知県日進市・島村紀代美


 10月7日、第5回「M&T企画/選挙講座」を受講した。遅れて入った私は、今回が2回めの参加。先回同様、内容は盛りだくさんで、必死でついていったという感じである。 特に【セッション2】の「公選ハガキの活用の仕方」については、事前の課題提出の段階で自分がよくわかっていないことを自覚していたので、講師の寺町知正さん、みどりさんのお話を聞き、ようやく理解できた。
 その他にも、本番までの予習と点検、公選法の注意事項、選挙カーの回し方などの講義とワークショップがあり、各参加者が街頭演説のプレゼンを行なって講座は終了。5回を通して参加されていた方たちの感無量の涙には胸を打たれた。
 私が2回の講座を通して一番心に刻んだことは、「選挙のスタイルが議員のスタイルを決める」ということである。
 政党や居住地域の組織から推薦されて出た人は、当然のように党または地域からの支援を期待し、「候補者」と「票田」という関係性の選挙を進めていく。それは引き続き「議員」と「票田」という関係性につながっていくだろう。では講座を受けた私が決めた、これから進めたいスタイルとは?
 まずは強い決意を持つ。どんな選挙がしたいのか。どんなまちづくりをしたいのか。そしてその思いを、仲間のひとりひとりにきちんと伝える。まず身近な仲間を説得できなければ多くの人々に訴えることなど出来るはずがない。人に会いに行って思いを伝え、また話を聞く。こうして輪を広げていくスタイルがそのまま、公益のために働く議員の活動スタイルとなっていく。時間がかかるし根気もいるけれど、今の私には、他のやり方はありえないと思える。
 10月31日に仕事に区切りをつけてから2週間。私のスケジュール表は日々「人と会う」ことで埋まりつつある。まだ始まったばかりだが、使命感を持って、最後まで自分のスタイルを貫きたい。

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軸を入れる
東京都江東区・前田かおる


 講座で私がたびたび指摘を受けていたのは「あなたがどのように考えているのか、のメ
ッセージがうすい」ということだった。私のニュースも模擬演説も、「選挙にむけてというよりは、市民運動のチラシや演説に近いのではないか」と、講師のみどりさんからきびしい指摘をうけた。
 改善が必要なことは頭ではわかっていた。自分では「選挙に向かう私の気持ちが十分でないということなのか?」と思いつつも、いつも「わたしの考え」がうすまってしまう原因がよく整理できなかった。
 けれども、昨日街頭演説をしていて、ふと気づいた。今まで私は街頭で話す時も「市民として一緒にやろう!」という視点での呼びかけばかりをしてきたのではないか。今まで、一人の市民として考えて行動する、その延長に選挙がある、という視点で私は書いたり話したりしてきた。でも選挙は、最終的には特定の候補者(=私)への支持を訴えるものであり、市民的な運動の単純な延長ではない。立候補を決めた時点でもう普通の一市民ではないという当たり前の事実を、私は受けとめきれておらず、だから様々なモンダイの解説みたいなニュースや演説になっていたのではないのか。講座でリーフレットを作った時も、基本姿勢に「市民の視点で考えます」と書いて「これは『市民の視点を忘れずに』なのでは?」と、みどりさんからコメントを受けていたのだ(すみません忘れてました)。
 有権者にはなぜ自分が議員になりたいのか、取り組みたい課題が何なのかをハッキリ伝えられなければいけない。でも政策を訴えただけでは選挙にむけて支持を訴えたことになるわけでは全然ない、ということだ。今まで私は自分の知識や経験の不足に引け目を感じていたが、一番足りなかったのはむしろ熱意ではなかったのか。何をおいても真ん中に「私の決意」という軸を入れるところから選挙が始まることを、5回の講座で教わった。


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有り難かった講座の受講
     三重県津市・柏木はるみ


 本年2月に行われた津市会議員選挙に2期目の挑戦をして落選した直後、わたしの手元に、「M&T企画/選挙講座」スキルアップ編の案内が届いた。講座の内容は、落選という結果をまったく受け止めることができずに混乱し、悩んでいたわたしの元に一条の光が射し込んだかのように思えた。『む・しの音通信』を片手に電話の受話器を握った。
 「わたしは無所属・市民派議員としてちゃんと仕事をしてきたはずなのに、どうして落選したのか訳がわからないんです」という意味のことをみどりさんに話した。その時のわたしの言い様が、周囲の人たちに対して不遜なもので、笑止千万であると納得して反省もできるようになったのは講座のお陰である。
 5回の連続講座を受講させてもらえたことで、無党派・市民派議員として政治活動も選挙活動もできていなかったということを自覚できたからである。講座のセッション内容、講師の言葉と参加者の政治姿勢から、自分自身の弱点と課題、甘さが見つけられたことは有り難かった。講座の中で使用したわたしのレーダーチャートは、リーフレットも議会だよりも市民に届いていない、個々面接も不足していることを表していた。「やったつもりができていなかった」ことを如実にさらけ出す結果になった。市民が、政治姿勢と政策を形に表わす人に一票を託そうと思うのは当然過ぎることだったのに・・・大きなあやまちの結果の落選だった。
 遅ればせながら、選挙のやり方が、候補者が議員になった後の政治姿勢そのものであるということ思い知らされた。本物の市民派議員とはどういう人なのかを見抜く力を教えられた。今後の努力次第でわたしも本物の市民派議員になれる可能性もあるということ。  講座は終了したが、講座の資料を読み返すほどに、まだまだだとも思わされている。最後に、みどりさん、ともまささん本当にありがとうございました。