『む・しの音通信』61号(2006.6.16発行)


《特集『議員と市民の勉強会』》
5月26〜27日・岐阜市民会館
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法律を読んで、自分に自信を持つこと
愛知県武豊町・小寺きしこ


 「会派に入っていれば守られている。仲間意識から攻撃されない」そんなのウソ! 会派に所属せず、議員として働く自信と力がほしい。ひとりで働くということへの不安を取り除くために「議員と市民の勉強会」に参加した。
 第1回の勉強会ではこの4年間、議員としてやってきた仕事の確認とわたしの問題点を確認することとなった。
 【セッション1】「議会の基本を知らないと議員活動は安易に流れる、人に流される」では、講師のみどりさんの著書『市民派議員になるための本』を使って進んだ。議員とは何かの中で、ハッとしたことがある。「議員はまちの権力者」という言葉の事実。わたしはこれまで、権力者にはなりたくない。と思っていた。しかし、議会は、まちでの最高の「意思決定機関」であり、その構成員のひとりが議員(わたし)である。まちの条例、税金の使いみちを決定する権力を持ったことをわたしが一番認識しなくてはいけない。
 次に「その議員の持つ権力を有効利用しよう」と続く。議会で、ひとりで働くという不安を取り除くには、これだと感じた。議会の中で議員は、対等な関係で、法的にはすべて平等である。市民レベルでいくらがんばっても議会という壁を越えられなかった。でも、いまは違う、議員なのだから・・・。しがらみのない議員として、市民の声を届けるために最大限のことをしよう。請願の紹介議員をはじめ、これまで使っていなかった権限がたくさんあることを知った。議員の持つ力を使いこなすためには、法律を読んで議会の基本を知り、みずからが自信を持って、権利を主張することが必要である。
 出る杭は打たれる。出すぎたら打たれない!?とは言い切れない。打たれても負けないように、跳ね返せる力をつけたい。今回の勉強会で、わたしを守ってくれるのは「法律」だと確信した。

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「市民に還元するために!」
      愛知県瀬戸市・臼井 淳

 
 市民から重い信託を受け、4年間の議員活動が始まった。一人会派で闘っていくには、自分が何を知らないのか整理し、どうすればいいのか確認するため「む・しネット」の勉強会を受講した。
 セッション1「議会とはなにか/議員とはなにか」。5月の臨時会や初議会を経験し、まさしく自分が安易に流されていたことがハッキリと分かった。  
「議会」は自治体の予算やルールをすべて決定するところだから、議員の責任は非常に重い。
 自分は、臨時会で出された「議案」に対し、その内容をしっかりと調べ自信をもって説明できるまでの行動をしていなかった。 
 大切な税金の使い方を審議するのだから、「議会」の外にいる市民のためにも議案の内容が分らないまま「表決」することは、議員としての責任を果たしていない。
 「議会」は市民にとって閉鎖的な場所だからこそ積極的に調査し、勉強をしないと市民のために働くことはできない。
続いて「議員と会派とはなにか」。わが町の市議会は、今回の選挙で定数28人中、10人の新人議員が誕生した。その内8人の新人議員はそれぞれの会派に入っている。
 果たして会派に入らないと議員としての仕事ができないのか疑問に思った。
会派にいる議員は、地域代表の人や政党、団体から推薦をもらい当選している。自分がどうして一人会派で議員活動をしようとしているのか、その根拠を考えた。
 一番の理由は、しがらみのない議員になりたいからだ。一人会派でいることは、誰からも調整や制約を受けないで自由に主張できる。議会の基本は言葉であり、市民の声を届ける場所になる。一人会派で闘っていくには、市民の声を聞く、調査する、行動する、法律を学ぶことが必要であると確認した。

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今いちばん身につけたいこと
   長野県下諏訪町・青木利子


 今回の「議員と市民の勉強会」でセッション2の「原則に基づく的確な発言が効果を生む」に注目していた。「論理的な説得力を身につけたい」と思っていたからだ。2期目のスタートにもっとも身につけたいと思っていた「発言力のアドバイス」をもらえたことは心強い。
講座は「発言とはなにか」からはじまり、『市民派議員になるための本』、『地方自治小六法』、『議員必携』を片手に進められた。講師のみどりさんは、まず「議会は言論の府」であり「議会は話しことばで働くところ」と再確認してすすめた。
 発言には責任が伴い、「懲罰の対象になる可能性もある」ことに注意を払うことを指摘。避ける手だてとして「会議規則」「委員会条例」の主要な部分を常に頭におくこと。たとえば「発言内容の制限」。会議規則第54条「議員は質疑にあたっては自己の意見を述べることはできない」の場合は、「私はこう思う」と言わなければいいのだから、根拠を示して「あなたは変だと思いませんか」と聞くことに転換できることに納得した。
 議案に対する質疑とは、「疑義を質すもので、知っていることを答弁させる」こと。そのためには知らないことは聞かない。知らないことは事前に調査して質疑に臨む。答えを持っていれば相手から聞きだせる。質疑をするのは、「今ある政策を変換させるため」であるとわかった。
 「論理的説得力」は「説得したいことが何かを明確にする」ことが肝心。「議論はマラソンと同じ。スタートがあってゴール(目標)がある」。議論もまず「獲得目標」を定め、そこにどうやって到達するかをあらかじめイメージして進める。その方法として紙に「テーマ」「動機」「獲得目標」「状況」を書いて、何度も読み直し、目標に絞り込んでいく。この作業をする中で、自分の頭の中が整理され論理的にまとめられる。
 さっそくこの手法を6月議会の質疑に役立てたい。講座で知ったことを即実行できるのが、この講座の特典でもある。

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数に左右されない「実力」をつけたい!
   岐阜県池田町・倉地幸子

 私がいる議会では「無党派議員」であることはそのまま野党、少数派であることを意味する。多数派になると質問を控え執行部の提案はほぼ賛成という中で、議員として力を発揮するためには、どうしても彼らにはない「力」を持たなければやっていけない。議員の実力とは何か。その「力」をどうやって身につけるか。
 《セッション2》で講師が用意されたレジメには体験に基づいた豊富な実例が多く紹介され、原則と応用を理解できる。他にどんな方法で「実力」が身に付くというのか。学ばなければ「実力」は身に付かないと痛感した。
 「無党派」という言葉の伸びやかで自由なイメージとは裏腹に「議会の中では法に基づく手法」、「外では住民と共同で歩む」という、誠に厳しい道を切り開いていくことが出来れば議員は楽しい創造的な仕事ではないか。 さらに、どうすれば「論理的説得力」が身に付くのかという喉から手が出るほどの願いを叶えるためには、<正論>を原則とし、質疑や質問は相手から何を引き出したいのか目標を定めておく訓練をつむこと。そうすれば、一般質問の仕方も答弁の引き出し方もそのための職員との関係も円満にいくという。
 時々、思うようにならないと気持ちがふさぐことがある。そんな時、『市民派議員になるための本』や講師のレジメ、仲間のチラシを見直すと自分の置かれた立場を思い出す。 
 私には多数派の仲間がいないのだから、いつも原点に戻り、自分を確認しなければいけない。一人でもできることがある。
 @行政の動きを知る、A本会議や委員会の質疑・一般質問、B情報公開請求、C請願や陳情 D住民監査請求など。
 これだけの道具が揃っていることを知らずに力不足を嘆いている場合ではない。使いこなせないと嘆く前にやってみたのかとみずからを振り返るとまだ努力が足りないことも知らされた。勉強会に参加すると励まされる。

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一般質問が見えてきた!
   愛知県日進市・島村紀代美

 当選後、はじめての「議員と市民の勉強会」に参加した。5日後に開会を控えていながら、様々なことがまだ“モヤ”の中にあった私。特に一般質問については、『市民派議員になるための本』を読んで、自分なりに質問原稿を書いてみたものの、再質問との兼ね合いや、どこにポイントを置くのかが明確になっていない状況だった。
 その答えになる部分が勉強会の《セッション3》「一般質問の組み立て方」。
まずは質問の獲得目標をどこにおくかの講義。あまり高望みせず手の届く範囲のことに取り組む。すぐに改革したいのか、じっくりやりたいのか基本を明確にし、財政的な観点からも分析することが大切、というレクチャーがあった。まるで道具の良し悪しや潮の流れの様子をみながら、確実にヒットをねらう魚釣りのようだ。一般質問で、単に自分の思いをぶつけて「どう思うか」と聞くだけでは答弁者に「そう思わない」と返されるだけ。どんな答弁を引き出したいかを想定し、詰め将棋のように組み立てることが肝心だということが、よく理解できた。特に講師の知正さんから自身の、一般質問の事例集は、本当に「宝物」だった。
 次に、参加者が課題として持ち寄った「6月議会で取り組みたい一般質問」原稿を、各自が説明し、講師からコメントをいただいた。なぜこの問題を解決したいのか、質問の獲得目標はどこにあり、要点は何か、さらに予想される答弁を洗い出していく。すると自分の質問の獲得目標の甘さや要点のあいまいさが、浮き彫りになってきた。項目を整理してわかりやすく、というアドバイスをもとに帰宅後、質問原稿をすべて見直したのはいうまでもない。
 今回、自信を持って一般質問ができたのもこの勉強会のおかげ。7月に開催される次回の決算議会についての勉強会も本当に楽しみだ。

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あなたが抱える問題はわたしの問題
   長野県安曇野市・小林純子


 1年3ヶ月ぶりの「議員と市民の勉強会」。今回は統一地方選挙後の新人議員向けだが、わたしも初心忘るべからず、復習しようと参加した。この講座で学ぶには課題の提出が前提条件で、それをこなすだけでも2〜3日かかるし、当日は厳しい指導やディスカッションで徹底的に鍛えられる。だから出掛けるまではかなり気が重いのだが、帰路につく頃には充実感とともに、議員という仕事への新たな意欲が湧いてくるのである。
 二日目の【オプション講座】、なかでも「あなたが『議会で抱えている問題』の解決方法」では、いっそうその感が強かった。わたし自身の問題、「議員の情報発信と言論の自由」はもちろんのこと、他の参加者の「一人会派を認めよ」、「政務調査費は会派にかかわらず平等に」といった「慣例、慣習、申し合わせ事項の撤廃」、「無党派・市民派議員への切り替え」などあなたが抱える問題は、そのままわたしの問題といえるもので、どれも根は同じところにあると思い知った。
 つまり、議員は往々にして、選挙で選ばれたという特権意識を共有し非常に強い仲間意識を持つが、このゆがんだ共同体意識が議会を閉鎖社会とし、本来は政策集団であるべき会派さえもその体制を支えているということ。
「議員の情報発信」に関していえば、「議員は仲間なんだから、他議員の議会発言を公表してはならない。勝手に公表する議員は仲間ではない」のであり、排除しようとするのだ。
 では、そんな理不尽とどう闘えばいいのか。法を根拠に正面から当たることだ。議員は法的にはすべて平等。たとえ1:1000であっても、烏合の衆の1000よりも、わたし一人の確固とした意見が力を発揮する。平等であるべき議会に差別があるなら、一人でも闘うこと。法が味方をしてくれる。法を盾に行動することで少しずつでも現状を変えていけば、申し合わせなど何の効力もなくなるだろう。解決するのは自分だと再確認した。

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「胸にストン!」
     京都府木津川市・呉羽まゆみ


 オプション講座は、個別課題解決のためのセッション。参加者は事前に「議会で抱える問題」のレジメを講師に提出していた。
私は、4月22日合併後の選挙で市議となった。初議会説明会、臨時議会がすでに開催され、議会活動を同じくする2人以上の議員による会派制が動き出していた。議会構成は、最大会派11人、民主党系8人、共産党4人、公明党2人そして、「私」の26人。新市にふさわしい議会をと期待していた私にとって、またしても数の横暴に腹立ちさえ感じていた。
 そこで選んだテーマは「議会運営申し合わせ事項を効力のないものと位置づけさせる」。この申し合わせは、会派代表者会議で調整され、決定されたもの。会派に所属する、しないにより不平等な扱い項目も含まれる。議員平等の原則に反する申し合わせは不適切。しかし、それをどう訴えていくか具体的手法がイメージできなかった。
 講座では、最初の3分で他の参加者にわかるように内容を説明。その後講師の二人からアドバイスを受け、参加者からも意見をもらうという進め方。わがまちの議会で起こっていることは、たいてい、他のまちの市民派議員も経験があり、問題が共有できる。
 今回、私が不平等だと指摘している政務調査費の申し合わせと同様の扱いは敦賀市でもあった。事前に課題を整理し、発表し、アドバイスを受ける。講師の一言、一言が今まで以上にストンと胸におちた。効力がないものとして自分の中で解決できるもの、議長・議運の委員長宛に文書で提出しておくべきもの、監査請求をすべきもの、裁判に持ち込んでもいいものなど、講師のアドバイスにより私の抱えていた課題は見事整理がついた。さて、それを実行に移すか移さないかは、参加者一人ひとりの考え。「議会を変えようと決心してたたかう議員が議会に入らなければ議会は変わらない」、『市民派議員になるための本』のフレーズが頭に浮かんだ2日目だった。


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「議員と市民の勉強会」に参加して
       福井県小浜市・能登恵子 
 

 私が、「市民派議員」を目指しているのは、市民の時、わがまちの最大会派が、理不尽な決議をしたのを見ていたからです。会派に入らず、約束した仕事をしっかりしたいと思い、自分の足りないところを自分なりに自覚していたので、勉強会に参加しました。
 今回のテーマは、《議会で市民派議員として働く手法を身につける》。事前の課題は、「6月議会で取り上げたい一般質問」と、『市民派議員になるための本』《第3部・議会で働く》と『議員必携』を読んでくることでした。
 勉強会は「議会とはなにか」から始まりました。私は、本を読んできたし、分かっていたと思っていたのに、最初の問いから答えることが出来ませんでした。
 最初の「あれっ?」です。緊張が体中に走り、ますます緊張してきました。それからが大変。勉強会で話されることが、私の頭を通りすぎていくのです。【セッション1】でメモしたのはたった二行です。あまりにも多くの情報に、私の頭がパニックを起こして拒絶反応が出たのか、私の理解量を超えたのでしょうか。講座で話される言葉は、もちろん日本語です。聞こえてくる会話は、理解できるはずのものですが、なぜ分からないのかが分からないのです。
 最後に、通信の原稿として「800字で各セッションから学んだことのレポート」と私が書き記した文字が残っていました。分かったと思ったので手を上げたのですが、そこから大変な毎日が起こりました。まず、私自身リクエストの趣旨を理解するのに時間がかかり、勉強会の理解が足りないことがネックになりました。
 講師のみどりさんから、言葉の大切さ、理解したことを自分の言葉で人に分かるように伝えること、それに話した言葉には責任が伴うことを、教えられました。ここがスタートとなります。強いて言えば、これを獲得しました。
 私がどんな状態であれ、議員として与えられた4年間を歯を食いしばって学び、市民に答えていくことを止めないようにしたいです。