『む・しの音通信』61号(2007.6.16発行)
《福井「焚書坑儒」事件特集》
情報非公開処分の取消訴訟のこと
原告選定当事者・寺町知正
増える「不存在」処分
全国の地方自治体の情報公開はそれぞれの「情報公開条例」として定められ、国の情報公開は「情報公開法」として定められています。具体的な規定の文言はほとんど同じです。
情報公開請求できる公文書は、行政機関が作成・取得し保有する文書のほとんどすべてが基本的な対象になります。ただし、「個人情報に該当する」とか「まだ検討・協議中である」などの理由で非公開とする処分が時々行われます。それらとは別に、情報公開請求できる「対象となる文書」に関して、請求された「文書や情報」は役所の中に存在するにもかかわらず、「情報公開制度の対象ではない」として非公開にする「非公開(「不存在」)処分」が行なわれることがあります。いわば、門前払い。最近増加しています。
非公開にされた情報公開請求者は、納得できないときは60日以内に異議申し立てすることができますし、6ヶ月以内に裁判所に非公開処分の取消訴訟を起こすこともできます。
福井県知事の考え方
昨年2006年11月、私たちは、「福井県男女共同参画審議会」の会議を録音した記録の情報公開を請求しました。これに対して、福井県知事は、音声記録は「不存在」であると非公開決定の処分をしました。
実際に音声記録は県職員が同会議において発言の全部を録音して、今も県庁の執務室で持っています。つまり県庁内に「存在」しているの「不存在」という、一見すると妙な扱いになりました。福井県知事の言い分は、「音声記録は議事録を作成するために、職員が単に個人的な備忘録として作っただけのもので、後に消去、削除する予定だから、条例の対象ではないので『不存在』だ」というわけです。
私たちの考え方
私たちは、非公開処分の取り消しを求めて今年2月、福井地方裁判所に提訴しました。
裁判所に、今回の「音声記録」は、福井県情報公開条例の第2条2項(定義)「公文書とは、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画および電磁的記録であって、当該実施機関が管理しているものをいう」に該当することを判決で示すよう求めました。
今回のような録音テープやIC機器などを利用した記録(電磁的記録という)はもちろん、いまや、コンピュターに保存された各種の記録は膨大です。今後、ますます、その量と価値が増大します。
たとえば、指定管理者の選定会議の音声記録を「不存在」とした自治体があります。今回の訴訟は、福井県だけの問題ではなく、国の機関や全国の都道府県、市町村に共通の課題への取り組みです。
また、単にジェンダーや男女共同参画の問題だけではありません。役所が公務として作成取得した膨大な電磁的記録がコンピュターなどの機器に保存されているのに、市民には「不存在」であるとして「見せない」ことをやめさせることも目的としています。将来に対して、きわめて意義の深い訴訟だと考えています。
もちろん、過去に3つの自治体の「録音テープ」に関して、それぞれ地裁、高裁、最高裁での「不存在」処分の追認の判決がありますから(非公開とする自治体はこれを拠りどころにしている)、けっして楽勝とはいかないでしょう。わたしたち原告は、情報公開訴訟についての最先端の考え方と実例を示し、福井県知事に反省してほしいと思っています。
まとめ
知りたいことがある時は、その自治体の住民の皆さんがどんどん情報公開請求し、納得できないときは異議申し立てをして、行政を開かれた姿に変えていってほしいと思います。
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マニフェスト検証 知事選を前に(6)
「黒塗り」で問われた姿勢 情報公開
(朝日新聞 2007年03月20日)
県が「一部公開」として市民団体に出した書籍リスト。書籍名や著者名などがすべて黒く塗りつぶされ、何も分からない
「黒塗り」で問われた姿勢
政策形成過程から県民参加を推進し、行政情報の公開を徹底。また、各界各層の幅広い意見を集約するため、全市町村で「座布団集会」を開くなど、県民との直接対話によって明朗でオープンな県政を推進(知事マニフェストから)。
「県の情報公開は全国でも進んでいると思う」と県情報公開・法制課は言う。県の統計では、請求件数に対する公開率は95年度が16%だったのに対し、10年後の05年度は81%に上昇した。全国市民オンブズマン連絡会議が毎年公表している都道府県別の情報公開度ランキングは06年が9位、04年には3位に輝いた。
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ほとんど黒く塗りつぶされ、何も分からない一覧表5枚を、県が「一部公開」と称して出してきた。請求した市民グループの寺町みどりさん=岐阜県在住=はがくぜんとした。
ことの発端は05年11月にさかのぼる。県男女共同参画推進員の男性が、ジェンダーや性教育関連の書籍約150冊について「疑問に思う」と県生活学習館(福井市)に撤去を求め、学習館側が06年3月、書架から一時撤去した。
寺町さんは、当初から福井県内の市民団体と連携してこの問題に取り組んできた。リストには書籍名、著者名、出版社などが記されていたが、黒塗りの理由について県は「公にすることでリストを持ち込んだ人や著者の権利、利益を害する恐れがある」と説明。寺町さんらは訴訟を準備したが、2カ月後の8月、県は「リスト提供者の了解を得た」として全面公開。県も反省の意を示し市民側は一件落着と思っていたという。
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第2幕は昨年11月に始まった。この問題を議論した県男女共同参画審議会の議事録作成用録音テープを寺町さんらが県に公開請求したところ、県は「非公開(不存在)」と回答。11月にあった審議会は初めて一般の人にも公開され、議事録は県のホームページにも掲載されたのに、である。
県男女参画・県民活動課はテープの存在を認めている。なぜ非公開なのか。県情報公開・法制課は「職員が職務上作成し、担当課が管理している文書(電磁的記録)でないため」と説明する。
撤去された図書の著者の上野千鶴子・東大大学院教授が先月17日、テープを公開するよう求めて福井地裁に提訴し、記者会見に臨んだ。
「県はリスト騒動で『反省している』とコメントしたが、そこから何も学んでいない」
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県議会では各委員会の冒頭、県の部長が審議内容にかかわる報告文書を読み上げる。各委員(県議)の机にはこの文書が配られている。
傍聴した記者が過去に何度か、この文書を担当部局に求めたことがある。だが、担当者は「今まで渡したことがない」「部長がそのまま読み上げているわけではない」といった理由で公開を拒否した。
山田義彦・政策推進課長は「書いてある通り部長が発言したのか確認を求められると、最終的には議事録で、ということになる。その点を了承頂ければ、基本的にお出しできないわけではない。次の議会から出すようにしたい」と話す。
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県議会の議事堂が耐震補強工事を終え、2月にリニューアルオープンした。各会派の議員控室にはドアをロックし、来訪者をテレビカメラ内蔵のインターホンで確認するセキュリティーシステムが導入された。議員にはICチップ内蔵の非接触式カードが配られており、ドアの前でかざすだけで解錠される。「他県の議会でも、たぶん例がない」と議会事務局も言う最新式だ。
議会事務局によると、議員から「開けっ放しだと、どこからでも人が入って来られる」との声が以前からあり、耐震補強工事の実施設計に合わせて議会事務局側からセキュリティー強化を提案したという。
四つある会派のうち県民連合、公明、共産はドアを常に開放している。常時施錠されているのは自民党新政会だけ。「開かれた議会という意味では、時代の流れに逆行していると言われても仕方がない」とつぶやく議員もいる。
今月16日、全国市民オンブズマン連絡会議が発表した情報公開度ランキング。福井県は前年の9位から、26位に大きく順位を下げた。県議会の政務調査費(1人あたりの支給月額30万円)で、領収書の公開がないことなどが大きく影響した。
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テープ公開訴訟の原告である寺町さんは、岐阜県などの行政を相手取って情報公開などを求める訴訟を20件前後手がけてきた。福井県の情報公開をどう見るか。
「はっきり言って後進県です。『情報は役所のもの。見せたいものだけ見せ、そうでないものは出さない』といった体質が染みついている。行政を良くするすべての基本が情報公開から始まるのですが……」(菱山出)
(朝日新聞 2007年03月20日)
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原告代表意見書
2007年2月17日
原告代表・上野千鶴子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
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福井県男女共同参画審議会音声記録非公開処分取消請求事件の提訴にあたって、原告代表として以下のように意見を申し述べます。
(1)「不存在」決定への異議
今回の福井県の情報公開請求に対する音声記録「不存在」(実際には存在することが確認されているにもかかわらず)の決定は、訴状にもあるとおり、昨年3月からの一連のジェンダー関連図書撤去事件の延長上にあるものです。当初の撤去書籍リストの公開請求を、正当化できる理由もなく「非公開」処分とした県の決定に抗議したわたしたちに対し、県は正当な理由もなくそれを翻して一部公開、のちに全面公開に踏み切りましたが、そのこと自体が当初の県の決定の誤りを県自身が認めたことを示しています。11月2日開催の県男女共同参画審議会の場で、杉本達治総務部長から書籍の撤去が「適切でなかった」と「反省」の意が表されたことをわたしたちは評価しました。にもかかわらず、わたしたちの情報公開請求に対して、このたびも「不存在」決定がくだされたことは、情報公開の流れに逆行する福井県の隠蔽体質が出たものと考えざるをえません。福井県が一連の出来事の経験から学んでいないようで、まことに残念です。
音声記録などを情報公開の対象としない類似の事例が各地の自治体ではすでに登場しており、同じような情報公開条例を持ちながら、その運用は担当者によってさまざまです。情報公開条例のほんらいの制定趣旨にたちかえるなら、特段の例外的な事情を除いて公務にかかわる情報公開は推進こそすれ、それを阻害するような動きはつつしむべきでしょう。担当者の恣意によって音声記録「不存在」とした県の決定は、まことに不適切というべきであり、今後福井県のみならず他の自治体にとっても、前例になってはならないものです。
この件(磁気テープの不存在を争う)は一見ささいなことがらに見えるかも
しれませんが、情報公開の推進へ向けて、福井県の決定が他の自治体の悪しき前例とならないように極めて重要な課題です。
(2)情報公開の目的
情報公開は民主主義の基本です。市民が自らの意思でつくりあげる公共的な自己統治のための組織(すなわち自治体)に、ウラ金や談合を含めて、どのような不透明もあってはなりません。わけても公的な意思決定のプロセスである審議会の審議経過を知ることは、市民にとって当然の権利であると考えます。
透明性と公開性を持った情報の共有にもとづいて、公平かつ公正な議論を通じて合意形成することが、民主主義の基本です。地方自治の本旨および民主主義の原則から言って、議会とおなじく各種審議会も完全公開を原則とし、非公開を例外とすべきでしょう。また審議会の委員として任命された者(学識経験者、専門家、住民の代表等)には公開を前提とした発言をする責任があります。公的な意思決定の過程でそれに関与する者の発言は、市民の目にさらされ判定を受けることを認識すべきでしょう。
とりわけ11月2日開催の県男女共同参画審議会には、対立する利害当事者双方から、条例に基づいて、知事宛の「苦情申立書」が提出され、知事からの意見聴取を求められた審議会での議論のゆくえが注目されていたものです。その審議会の情報公開に市民が関心を持つのは当然であり、それを制約することはなにか隠蔽する理由があるのではないかとかえって疑念を持たれることになるでしょう。
(3)情報公開の手段
この県男女共同参画審議会は第4回まではマスコミ関係者にのみ公開とされてきたものを、第5回の今回初めて一般公開に踏み切ったもので、この情報公開の流れをわたしたちは歓迎しています。ですが、13人の傍聴参加者を抽選で10人に制限するなど、妥当な根拠を欠く市民のアクセスの制限をしました。特別の理由がない限り、公開の審議会への市民のアクセスの制限はあってはなりません。またアクセスを制限された市民のためには、同時中継およびその電子記録を提供できるようにするのがのぞましいでしょう。インターネット中継のような最近の情報技術を使えば、労力もコストもかかりません。自治体のなかにはすでにこのような電子情報技術を導入しているところもあります。福井県の今回の決定は、このような情報公開の趨勢を促進するどころか、かえって阻害するものです。
記録の方法はテクノロジーとともに変化します。音声記録に速記と紙媒体しかなかった時代とは違い、電磁媒体やICの利用が可能になりました。そればかりか、文字情報のみならず視聴覚情報が記録可能になりました。このような技術革新を前提にすれば、現場の視聴覚情報を忠実に記録した電子媒体が、その再現性の高さでもっとも信頼に値する記録と言え、CDやDVD、MOなどの電子媒体がそのまま公的記録となることも考えられます。
今日、そのような情報技術を採用しないのは時代錯誤であるばかりか、行政の怠慢ですらあると言えるでしょう。現に県の職員は電磁機材を利用していることを認めています。
紙媒体の文字記録をもって公文書とする考えもありますが、文字情報の再現性に疑義が持たれた場合、より再現性の高い視聴覚媒体に遡及して事実を確認するのはあたりまえの手続きです。また文字記録もまた電子媒体化される趨勢にあります。今回の件では音声記録の存在が確認されているにもかかわらず「不存在」とするのは、意図的な隠蔽と疑われてもしかたがありません。また音声記録の作成にあたった公務員の行為は、勤務時間中の公務であり、使用した機材も私物ではなく、公的備品であることがわかっています。かつ録音は審議会委員らの許可のもとに行われており、以上のような手続きで得られた記録を、「私的」なものとはとうてい言えません。
(4)結び
昨今メディアを賑わせている柳沢伯夫厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言も、音声情報をその場にいたジャーナリストが報道したからこそ記録として残りました。もしこれが講演録のような公刊物になることをもって「公式発言」と見なすとすれば、それまでの過程で問題発言部分が削除される可能性は大いにあります。公務員が公的な場で発言したことは、謝罪の対象となることこそあれ、取り消されてはなりません。情報の公開性と共有、それにもとづく合意形成が民主主義にとって大切なことは、柳沢発言でも示されたと思います。
裁判官の良識をお示しくださるよう、心から期待します。
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陳 述 書(2007年4月25日)
原告・菅井純子
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私は、福井市内で女性のための電話相談ボランティア活動を行っている「ウィメンズ・フォーラムFUKUI」という市民グループの一員です。この会は、福井県の設置した生活学習館「ユー・アイふくい」の広域学習グループに登録しており、研修講座などの会場として「ユー・アイふくい」を利用してきました。また、会の発足当初より特にドメスティック・バイオレンスの被害者支援活動に力を入れてきましたので、福井県の配偶者暴力被害者支援センターでもある同館の役割に大きな期待を寄せてきました。
そのため、昨年5月に「ユー・アイふくい」の情報ルームの一部の図書が県職員によって撤去された問題が明らかになった時は驚きとともに、強い怒りと失望を覚えました。排除された図書の中には、DVに傷ついている女性にとって非常に有用と思われる図書も多数含まれておりました。
昨年8月29日に、県の福井県男女共同参画推進条例に基づいて、「福井『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」として、この特定書籍の排除の経過や今後の施策に関して県知事に苦情申出書を提出しました。
その申出は、11月2日に開催される福井県男女共同参画審議会に諮られることになりました。
しかもこの11月2日の平成18年度第5回審議会では、「福井県男女共同参画基本計画」の改定についての議論がいよいよ大詰めを迎えようとしていました。この計画は「男女共同参画社会基本法」に基づき平成14年に策定されたものですが、計画期間の半分を経過するにあたり社会情勢の変化などを勘案して計画を見直そうとするものです。審議会での議論は今後5年間の福井県の男女共同参画にかかわる施策を方向付けるものですから、県民全体にとって極めて重要な意味を持つものです。
私は、11月2日の審議会を傍聴し、2時間に及ぶ会議の内容をできるだけ詳しく筆記しようといたしました。高田会長をはじめ委員の皆さんが活発に意見を述べられ、杉本総務部長や田島課長の発言もありました。審議会で図書撤去問題の意味が問われたことには大きな意義があります。
その議事録は、後日、県のホームページ上で閲覧できるようになりました。しかし、実際に話された言葉と比較すると要約され、省略された部分が大きくて、とても残念です。特に事務局による説明がすべて省略されていることや、杉本総務部長の発言が非常に簡潔な表現に要約されていることには違和感を覚えます。また、私の主観によるものとはいえ、ニュアンスの違うものになっている箇所が少なくありません。
県は、会議記録が出来上がったら、録音記録のデータを消去しているそうです。福井県の今後の男女共同参画にかかわる施策を方向付ける会議の記録です。大幅に要約あるいは省略した会議記録では将来、施策の協議経過を振り返ることすら出来ません。条例に基づく私たちの苦情申し出の審議の記録も消えてしまいます。
私は傍聴した者の一人として、この審議会での議論のすべてが県民に公開されるべきだと考えます。私は、委員や事務局の方々がすべての時間を通じて真剣に議論を尽くされたことを知っております。その貴重な発言の内容を余すことなく県民に公開することで、県の男女共同参画がより県民に浸透するに違いないと考えます。また県民だけでなく全国から注目されている図書撤去事件が県側からどのように説明されたのかを、音声記録の公開により白日の下にさらすことが、福井県を「情報公開後進県」に貶めないためにもぜひ必要であると考えます。
私は、納税者であり福井県民です。裁判官のみなさんには、私の知る権利を、そして県民の知る権利を是非とも守っていただきたいと、強くお願いいたします。
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陳 述 書(2007年4月25日)
原告・小川満美
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平成15年8月19日、三重県桑名市にある三重県のゴミ処理施設において爆発事故がありました。私は、桑名市議会議員だったこともあり、県が設置した爆発事故にかかるRDF貯蔵層事故調査特別委員会(平成16年1月27日開催)と県議会健康福祉環境森林常任委員会(平成17年11月4日開催)の会議の録音テープを情報公開請求したことがあります。二度とも開示されていましたので、今回、福井県で会議録のテープ等の電磁的記録が情報公開されなかったことに、大変驚きました。同じような情報公開条例のはずなのに、運用面でこれほど大きな差があることには納得がいきません。それどころか、恣意的な運用がまかり通って、市民の「知る権利」が損なわれることは許せません。
そこで、他の自治体の状況を確認するために、インターネットで簡単に情報公開請求ができるところなど5府県を選びました。三重県、秋田県、岩手県、宮城県、大阪府です。請求者は府県民に限らず、だれでも情報公開請求できます。
請求方法は、各自治体の公式ホームページから情報公開のページを開き、そのまま電子メールを送るか、あるいは、情報公開請求書をホームページからダウンロードして、FAXを送るだけで済みました。対象文書は、この訴訟と同様に、「『男女共同参画審議会』の直近の会議の内容をとどめたところのいわゆる『電磁的な記録』及びその『電磁的記録』から作成された『会議録』」等と特定して請求してみました。時期は、今年の2月から3月にかけて、です。
結果は、「電磁的記録」は5府県とも開示されました。
「電磁的記録」から作成された「会議録」については、4府県は開示されました。ただ、三重県だけが平成19年1月31日に審議会を開催したばかりで、2月9日の請求時点では、「議事録作成途中」ということで「不存在」扱いでした。この三重県も現在は、会議録の概要が公式ホームページ上に公開されています。つまり、会議録の作成が完了する前でも音声データは開示したということです。
なお、請求後、5府県とも担当者から内容確認の電話がありました。
宮城県の担当者からは、「ホームページ上に議事録を公開しているのに、何故必要なのですか。まったく同じものですよ」と不審がられてしまいました。私は、「会議の録音テープなどの電磁的記録が情報公開請求できない県があったので調査をしています」と説明し、理解してもらいました。
他は、内容確認だけで、すぐに手続きしてくれました。
今回、複数の自治体に、同じ文書を請求してみて、議事録は情報公開の対象になるのは当然で、ホームページ上でも公開されていました。さらに、議事録確定前でも会議の模様を実際に記録した録音テープや電磁的な録音記録も情報公開の対象になることがよく分かりました。私自身の経験と直感に安心しました。
この調査を試みて感じたことは、福井県の情報公開条例の運用がいかに恣意的であるかと同時に、いかに条例の解釈を誤っているか、そして、福井県庁には非公開体質があふれているということです。
私は、福井県庁の常識は全国の非常識、とし上げたい。
以 上
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