『む・しの音通信』63号(2007.9.28発行)


わたしがフォーラムに期待すること

プロジェクトスタッフ・島村紀代美


 わたしが今回、このフォーラムのプロジェクトスタッフに手をあげた動機はただひとつ。「上野千鶴子さんを身近に感じたい」という思いからです。申し訳ないことに、わたしはこれまでの人生で「女性学」というものに向き合ったことがなく、そのテの書物にもあまり関心がありませんでした。唯一これまでに出会った上野さんに関わる本は、『市民派政治を実現するための本』。巻頭の講演録では、「権威とは何か?」という問いがわかりやすく解きほぐされており、目からウロコ、でした。    
 続くフォーラムのパネルディスカッション、分科会での記録においても、いま何が問題で、自治体政治を変えるために何ができるのか、寺町みどりさんや市民派議員のみなさんと、さまざまな視点からどんどん切り込んでいく論の展開がとにかくすごい! フォーラムに参加できなかったことを残念に思うとともに、「ナマ上野さん」はどんな方なのだろう、お会いしたい、という思いがつのりました。
この春、議員になってからは、自分に何ができるのだろうと迷いながら、この本を読み返す日々。今回のフォーラムの基調講演「市民セクターをつくる〜さまざまなマイノリティが生き延びるために」は、マクロ的な視点で政策を進める行政のあり方に対して疑問を持っているわたしにとって、真剣に取り組みたいテーマです。上野さんと同じ空間で同じテーマについて考えるにはあまりにも見えていることが違いすぎる現状があるのですが、スタッフとして関わるなかで、ひとつでもつかめる何かがあるのではないか。そんな期待を持っています。
 『おひとりさまの老後』をはじめとして、いま「上野ワールド」にはまりつつあります。フォーラムまでに上野さんの書かれたものをできるだけたくさん読み、当日までにテーマに対しての下地をつくる。それは市民派議員として自分が何ができるかに迫っていける道すじになると信じています。 
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運営スタッフ・小川まみ

 私は、高校を卒業して以来、県職員、米屋の嫁、専業主婦、自治体議員、自治会長、といろいろな仕事を経験しました。その時々で見えてくる問題点が違うことを知りました。
 私はいま、新興団地に暮らしており、できるだけ住み慣れたまちにずっと暮らしていたいと思っています。それを可能にする仕組みを今から作っておく必要性を痛感しています。今までと同じことはもう通用しない時代だという危機感も持っています。
 行政側も税収が減る中、行政サービスを外注したり、行政サービスの効率化を模索しています。「新しい公」、「市民との協働」、「地域内分権」、「コンパクトシティ」・・・と新しい言葉がでてきています。ちょっと違うなと感じるのですが、うまく人に説明や説得ができません。
 上から押し付けられるのではなく、「まちを変えるのは、私たち」、住民の側から既存のものとは違うシステムを構築したいと思っています。上野さんには、私が人にうまく説明できない「既存のものとは違う」、「〜ではないもの」を是非、言葉にしていただきたいと思います。12月2日のフォーラム、期待しています。   

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−ちょっと長めの編集後記−


 12月2日の公開フォーラム「さまざまなマイノリティが生き延びるために」に向けて、チラシを作り、準備を進めている。 
 今回の通信では「マイノリティが抱える困難、現状と課題」を特集した。内容の濃いものにしたい、という発行人の思い以上に、よい特集になった。
 11月の勉強会では、フォーラムのテーマを、「KJ法」という手法を使って整理・分析し、現状の課題と展望を探る。今回のフォーラムは、2003年11月の「政治を市民の手に!」の続編と位置づけている。フォーラム最後の「議会はいらないのか?」という問いに、上野さんは「ほんというと議会なんていらない」と答えた。わたしはいま、行政や議会を経由せず、当事者がダイレクトに願いやニーズを実現することに、問題解決の道筋と希望を見出している。
 フォーラムでは、代議制民主主義にかわるもの、「わたしのことは私が決める」ラディカルな直接民主主義の可能性を模索したい。ぜひご参加ください。  (寺町みどり)