『む・しの音通信』65号

公開フォーラム
「さまざまマイノリティが生き延びるために」

 2007年12月2日、ウィルあいち(名古屋市)において公開フォーラム「さまざまマイノリティが生き延びるために」を開催した。参加者は、約180名。
 前半は、上野千鶴子さんの基調講演「市民セクターをつくる〜さまざまマイノリティが生き延びるために」。第2部は、講演を受けて「変えるのはわたしたち〜何をどのように変えたいのか」の質問票をもとに、上野さんが参加者からの質問に明快に答えた。
 フォーラムに先立ち、「さまざまなマイノリティが生き延びるために私たちに何ができるか」というテーマで「KJ法」を実施し、上野さんに送った。上野さんは「KJ法」を踏まえて講演内容を構成してくださっていたため、進行担当の私は冒頭でKJ法のプレゼンテーションをするはめになった。直前の予定変更で頭は真っ白、気分は真っ青。
 上野さんの講演は、「まみさん、ありがとう。突然のやみ討ちで私がプレゼンをして下さいとお願いしました」という言葉で始まった。主催者側が講師にフォローしてもらうなんて、恐縮してしまった。
 基調講演では、「誰かの助けが必要だからといって、その人に従わなければならない理由はない」とマイノリティが自己決定権を持つこと、そのためには「当事者になる」こと、「権利は闘わなければ獲得できない」という言葉が印象的だった。
 「協セクター」は、「理念がある、利用者のニーズ中心、労働者が経営参加できる」など、「官」や「民」と比較して相対的に優位であるという。経営コストの面でも、行政は、市民事業体の10倍。営利企業でも3倍、というのは驚き。最新の研究成果や実践例が数多く盛り込まれており、どこにもないカスタムメイドの講演だった。
 後半で上野さんは、「ケアハウスは自分のまちにはないがどうすればよいか」という質問に対して「あなたがつくるしかない」と答えた。「自分のニーズは自分で満たす」ことが重要で、他人やまして行政をあてに待っていてもダメということだ。
 あとは、ひとり一人が、「まちを変えるのは私たち!」という想いで一歩を踏み出すか出さないかにかかっている。
       (運営スタッフ・小川まみ)

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  さまざまなマイノリティが生き延びるために・・・
        福井県敦賀市・今大地はるみ


 
 さまざまなマイノリティが生き延びるために「どげんかせんといかん!」と思い始めていた。議員として、市民として、マイノリティの当事者として、わたしはどうすればいいのか・・・。未来を拓く「鍵は高齢者」という上野さんの講演は、社会学のフィールドワークに基づいた説得力にあふれる内容に満ちあふれていた。
 ゲイにもレズビアンにも、DVの被害者、加害者にも「老後」はやってくる。さまざまなマイノリティのなかにあって、すでにマジョリティとなりつつある「高齢者」。
 介護するほう、されるほうどちらの領域にも足を踏み入れているわたしたちの世代は、自分自身が受けたい介護や生きやすい老後をめざして、すでに動き出している。小規模多機能グループホームから、ゆき届いた暮らしやすい老後のための住居づくりにいたるまで、女たちが取り組んできた試みは、知恵とネットワーク、そして「無謀」がつむぎだしたものと上野さんは言う。
 上野さんの当事者主権の話は何度聞いても、生きていることがうれしくなってくる。「わたしのことはわたしが決める」こんな簡単なことなのに大きな壁が、邪魔をするこの社会。運動とは闘うことなり!闘わずして得た権利ともいえる介護保険の制度は、あなたまかせ。女性運動、障がい者運動はあるけれど、高齢者運動は存在しない。権利は闘わなければ獲得できないし、手に入れた権利も、闘い続けなければ奪われる。ジェンダーバッシングやバックラッシュにも通じる内容は、日々議会で闘うわたしを元気にしてくれる。
 「高齢者は鍵」の実例の最先端は富山の「このゆびと〜まれ」。ニーズのあるひとはだれでも受け入れるというここは、まさに、マイノリティ・ハウスそのもの。高齢者も障がい者も、子どもたちも支えあい、寄り添って暮らしている。「無謀」な試みはやがては、地域を変え、政治を動かしていくことをすでに、実証ずみ。指をくわえてみているだけでは何も変わらないことを、知っているわたしこそが、富山の無謀ぶりを見習って「どげんかせんといかん」のだ。
 わたしは乳がんの当事者であり、DVも経験済み、だからこそ DV相談窓口を立ち上げたいと心から思っている。果たしてわたしは、今以上に「無謀」な人になれる? なれない?
 3期目となり、このまま議員を続けていくのか、さてどうする? というのがわたしの中での厚い壁だった。議員を辞めればその日から、生活に困窮するのは目に見えている。わたしが議員になったこと自体がそもそも「無謀」のなせるわざ・・・。ならば、わたしはわたしのままで、わたしらしい方法で取り組んでいけばいいのだ、と上野さんは、わたしの背中を押してくれた。
 相談窓口を立ち上げるための資金はどうする? 場所は? と思い悩まなくても、今までだって相談を受けているのだし、場所なんかなくったってわたしが出向いていけばいいだけのこと。議員として発行しているニュースレターもあれば、ネットでだってつながれる。相談者を弁護士などの専門家につなぐことも可能だ。福井市や越前市の民間のグループとの連携だってできている。すでにわたしに中では、無謀なる計画が始まっていたのだと納得。あとは自分自身の学び、というわけで、3月に東京で開催されるデートDVの講座にも参加を申し込んでいる。
 上野さんの言葉は、まるで太陽の光のように、わたしの中でひそかに育っていた小さな種たちをぐんぐんと元気に、大きくしてくれた。相談窓口になりたがってた種と乳がんと寄り添う種と、カミングアウトしたがってた種を・・・。
 きっと、わたしのマイノリティの種たちは愛と友情と勇気という栄養をたっぷりと吸い込んで、雑草のごとき力強さで根をはり、生き延びていくことだろう。

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12.2フォーラムを終えて
            寺町みどり

               
 ●問いつづけて・・・
 「・・・それにしてもみどりさんらしくない展開でしたね。『遠くからいろんな方がいらっしゃるから』と聴衆サービスするなんて。これまでのポリシーだと、自分たちにとっていちばんインタレスト(利益&関心)があることをやれば、それが聴衆にとってもいちばん利益があるはずだ、という信念でやってきたのではなかったの? 迷いと守りの姿勢がありましたね。質問票スタイルは、わたしにとっても予想外でした。あなただけでなく、わたしにも不完全燃焼感があります。」
 わたしはフォーラムが終わってひどく落ち込み、上野さんとメールのやり取りをした。  
 フォーラムから1カ月半、年が明けても、第2部の構成の失敗とコーディネートのまずさが、フラッシュバックのようによみがえる。せっかく上野さんがカスタムメイドの基調講演をしてくださったのに、それを受けて展開するはずの第2部が、問いに届かなかったことを、わたしはいまも悔やんでいる。 
 アンケートには、「進行がまずかった」「複数のスタッフで質問票の整理をするべきだった」という意見があるが、そのとおりだ。
 原因は、第2部の構成に直前まで迷い、上野さんとの打ち合わせがないまま、本番に突入してしまったこと。この日のために準備した「KJ法」から入る予定を変え、質問表を元に進めたことは判断ミスだとすぐに気づいた。ライブに切り替えようと思ったが、せっかく書いてもらった意見票を捨てることになると迷い、上野さんの話がよかったので、そのまま続けた。わたしには打ち合わせなしで上野さんとライブをする自信がなかった。 
 講演会は終わったけれど、わたしのなかでフォーラムは終わっていない。
 「さまざまなマイノリティが生き延びるために〜当事者として、市民として、市民自治の現場で、何をどのように変えるのか。」
 わたしは、いまも、問いつづけている。

  参加者のアンケート(75枚)から
1.上野さん基調講演
 ・とてもよかった 47
 ・よかった    23
 ・普通       5
 ・よくなかった   0
(意見)実例がたくさん挙げられてとてもよかった。/「ハッピーな介護者でなければハッピーではない」という言葉がとても染みた。/協セクターがこれから大きな役割を担っていくことが理解できた。/一番努力して工夫するのは自分自身だと確信した。/協セクターが新しい方法を切り出し官を動かしていく。そんな風が吹いてくるのを感じる。

2.第2部「変えるのはわたしたち」
 ・とてもよかった 33
 ・よかった    25
 ・普通      13
 ・よくなかった   3   
(意見)若者としてヘルパーの話題はものすごく深かった。/上野先生の素顔をかいま見れて楽しかった。/「市民セクター」を始められる人は「無謀な人」には納得するとともに、見習うべき無謀さだと思った。/「一つ一つブレイクダウン」してみたい。/複数の選択肢が必要であること、協セクターは消滅でよい、消えて新しく生まれていく、後継者は必要ない、それでいいというのが、目からウロコだった。
(その他、自由意見)
 自分が当事者として、できること、やりたいこと(ニーズ)をやっていいんだと思った。/マイノリティに転換するかもしれない危うい社会のなかで、瞬間的な現場で対応できるのは家族しかないと思っていたが、その窓口が社会の中にたくさんあると選択肢が増えていい。/マイノリティになった人たちに対する一般人の心の中の安堵感や差別感などの闇をクリアできる方法が少し分かってきたような気がする。/基本的には自分のおかれている状況の中でのニーズから出発していきます。/「当事者主権」という言葉を大切にしたい。 (文責・寺町みどり)
 
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2008年に 想うこと
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  上野さんの講演を聞きながら思ったのは、受け身で待っているだけでは何も変えることはできないということ。望む介護を受けたいと願うことが、理想とする介護施設を作る原動力になったのではないか。行動こそが現状を変えられる鍵だと思う。2008年のわたしは頭の中であれこれ迷う自分から、行動する自分へ切り替えて議員活動をしたい。1つは多くの情報を収集する。次に口に出して宣言する。(青木利子)
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 上野さんの講演を聞いて、わたしは車いすを使用する当事者でありながら、「当事者」ではなかったことに気づいた。問題意識を持ってこそ、社会を変えられる「当事者」となる。今、わたしがやるべきことは、問題意識を持って生活すること。問題をまわりの人と共有すること。そのための場をつくり、情報と知識を伝えることである。みんなで考え、みんなで行動し、理解を求め、武豊町を住みよいまちにしたい。(小寺岸子)
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 わたしはマイノリティである。高齢者だし患者だし、女性だし。これって三重苦? 否、3つの主張すべき、獲得すべき権利があるということ。上野さんの講演を聴いて、権利は闘わずして獲得できないし、闘い続けなければ守れないことを学んだ。今年はまず、患者としての主張をしていこう。カルテが無いため、裁判を起こせないC型肝炎患者として、薬害の根絶へ向けての行動を起こそう。残された時間がそれほど多くないかもしれないから。(新田幸子)
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 3点の目標を掲げている。1点目、必死で勉強すること。市政はもちろん社会が抱える諸課題の知識を深めねばならない。2点目、人と話すこと。さまざまな方と話す機会が増え、感謝する日々である。耳を傾ける機会を増やしたい。3点目、新しい取り組みを始めること。頭の中に渦巻くアイデアを実現させるべく張り切っている。これらに取り組める現状に心から感謝し、2008年度もフル回転するつもりだ。(相崎佐和子)
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教育現場で発達障害の子どもを前にして、教師にも子どもにもサポート体勢が必要だと痛感したこと、仲間とともに「まちあるき」を続ける中で、このまちを誇れる環境にして、次世代に渡さなければと語り合ったことが、わたしの出発点。「なぜ議員になろうとしたのか」原点に戻って、本当に切実に必要だと感じたことにじっくり取り組みたい。また当事者の方たちと活動をともにしながら、議会で発言を続けたい。(島村紀代美)
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今まで選挙には行っていた。投票はしたが当選してもしなくてもそれっきり、あとは議員におまかせ。でも政治は生活に直結していると近頃とみに実感する。「市民派政治を実現するための本」を読んだ。例えば、雇用もすべて女なみにする。こんなこと実現できるの?でも自分もすでに派遣労働者。「市民派政治」を実現させたいならまずは参加してみようと思い「む・しネット」に入会。「自分で考え行動する」ハードルは高いが、微力でも行動し実現していきたい。(真木雅子)
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2期目の議員として新年を迎えた。昨年7月の選挙で議員定数が11人となり、メンバーも大幅入れ替えとなった。12分の1で1人でも議案提出はできるが、多くの賛成を得られなければ、出すだけに終る。初当選のときの戸惑いを思い出し、今年は議会改革を進めたい。幸い、議会運営委員会を中心に全員参加で考えようということになった。まずはチェック機能が働き議論する議会を目指す。今期末に議会基本条例の制定を目標とする。(田島公子)
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国会では、57年ぶり再議決で給油新法が成立。民意を代弁する議会はどこに? との疑問が私の中にまたまた浮上する。地方議会とて同じ。昨年の選挙を経て、市議2年目。議会の常識は世間の非常識とならないよう市民の常識を議会に持ち込み、闘い続ける。政務調査費訴訟もある。追求した一般質問もそのままにしたくない、追い続けていきたい。リビングが資料の山積みになる日もそう遠くなさそうだ。子どもたち、かんにん。   (呉羽まゆみ)
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最近ようやく町は「まちづくり協働」としきりに言い出した。しかし問題は「情報公開」。策定段階の情報を出さないのがこれまでの町の態度。いかに策定過程からオープンにさせ、形だけのまやかしの「協働」にさせないようにするか、常にチェックして動きたい。さて議会が終わると通信づくり。印刷を終え、少しほっとして溜まった書類を整理したりするうち、もう次の議会の準備に。この繰り返しは続くが、追われるだけにならないよう、これは私の課題。(小池みつ子)
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今年、一番の抱負は瀬戸市が出資している第三セクター及び外郭団体の事業評価を厳しく審査すること。税金の無駄使いを厳しくチェックすることは市民とともに歩む議員として当たり前だから。私は市民からの期待を裏切らないために「議員と市民の勉強会」から学んだことを活かして、十分な情報収集と調査や分析をする。自信を持って議会で発言すれば、結果、私が住みたいと思える町に変えられる。(臼井 淳)
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「やれ法令違反だの、慣例はダメだのと重箱のスミをつつくより、まちのビジョンを語るべし」と、今年もまた先輩議員の忠告で始まった。政治家としての指導力、人心をまとめ上げる器量の大きさ、先見性など、わたしには何一つない。それでもなお、わたしには一つの確信がある。そんな特別な能力などなくても、政治に関心を持った一市民が議員となって働くことにこそ大きな意義があると。(小林純子)
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3月には2期目の選挙を迎える。「議員は常日頃から選挙を考えて学習より顔見世が大事」と言われてきたが、日頃の課題の調査、議案の学習、一般質問の調査、ブログ報告・通信発行、どれ一つ欠いても私の議員活動は成り立たない。議員としての責任を果たすためには、これだけのことをやらないと議員は務まらないと思っている。
 そのことをまちの皆さんにわかっていただくために私はこれからも手を緩めない。(倉地幸子)
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ヌエック単独存続を求め、申し入れ書提出
       岐阜県山県市・寺町みどり

 
 11月27日、独立行政法人改革の有識者会議から、独立行政法人・国立女性教育会館の(以下、ヌエックという)統合縮小案が提言された。これを受けて渡海文科大臣は12月5日、閣僚折衝で統合縮小案を拒否した。
 ヌエックの統合・縮小は、男女共同参画社会基本法に反し、男女平等施策を決定的に後退させるものである。また「男女共同参画はわが国の最優先課題。政府全体で取り組む」とうたう国の姿勢、および福田首相の所信表明にも反する。もしヌエックが統合・縮小されれば、地方の女性センターや女性政策も大きな影響を受ける。
 わたしはこの状況に強い危機感を覚え、このような重要な施策を、密室の閣僚折衝や政治的判断だけで決められたくないとの思いで、「国立女性教育会館の単独存続を求める申し入れ書」を提出することにした。
 申し入れは、地方自治にかかわる無党派の女性13人が呼びかけ人になり、「国立女性教育会館の灯を消さないために、ヌエックの単独維持を!の女性たちの声を届けよう」と全国の同じ思いの人たちに呼びかけた。
 2日間で、「議員41名、市民202名、29団体」から申し入れに賛同するメールが届き、「申し入れ書」は、12月13日、福田首相と渡辺行革大臣と渡海文科大臣に、「配達記録つきの速達」で郵送した。申入書提出は、関係の記者クラブにも連絡して3社から取材があり、翌日の毎日新聞に載った。
 ヌエックの統合・縮小問題については、自民党も党内集会を開いて、三役が存続の要望書を行革大臣に提出したと報道されたが、正式に意思決定されるまでは安心できない。わたしたちは、24日の閣議決定に向けて、ダメ押しで第二次の賛同者を募ることにした。
 申し入れ書の第二次提出者は、「自治体議員17名 14団体、市民105名」で、最終的に呼びかけ人は29人、1団体。提出者の合計は、「自治体議員58名/市民団体43団体/市民307名」にもなった。
 個人は、全国各地の名もない女性から著名な研究者まで。女性政策の現場で働く人も多い。団体は、ヌエック近くの「原爆の図 丸木図書館」が団体・個人で賛同、「ふぇみん婦人民主クラブ」や「We(フェミックス)」、「人身売買禁止ネットワーク(JNATIP))、NPO団体なども加わり、「I女性会議中央本部」も締め切り間際に届いた。
 今回、言いだしっぺはわたしだったが、市民自治の現場にいる自治体議員が次々に呼びかけ人に加わり、各地の女性政策担当者や市民派議員、市民活動をしている人たち、研究者やこころある市民に短期間で輪が広がった。地方自治にかかわる人たちは、いったん廃止された政策をふたたび立ち上げることは、新規政策をつくるより、いかに困難であるかを知っているからだ。
 「攻撃は最大の防御」。今回、関係者の間では、事を荒立てないようにする動きがあったと聞く。とはいえ、ひとまずヌエック単独存続は決まった。わたしは過度にバックラッシュ派を恐れて自粛するより、これからもヌエックの存続を願う人たちが連帯して、闘って守り抜くしかないと思っている。
 いま全国各地で連動して、男女平等政策を後退させようとする保守派の議員を使っての請願や条例改悪など、バックラッシュの動きが激しくなっている。バックラッシュ派の攻撃は、保守的な地域にとどまらず、運動のないところや弱いところを狙い撃ちしているように思う。彼らは市民運動から手法を学び、成果や経験を伝達し合っているように見える。  
 政治は、好むと好まざるとにかかわらず権力関係で動くから、適切な対抗手段をとらない限り、押し切られてしまうだろう。
 問題が発生しかけたら、芽が出る前に摘む。そのためには、日常的な監視が必要である。いったん問題が起きたら、素早く動き、オフィシャルで正攻法の手法で対抗する。それがけっきょく、省エネ型の一番かんたんな方法である。必要なのは、地域で運動を続ける人とつながり、必要な情報と手法を伝えること。そのためには、市民運動のノウハウと経験の共有が不可欠だ、とわたしは思っている。

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インフォメーション

●第4回《議員と市民の勉強会》

日時:1月26日(土)13時〜20時
会場:ウィルあいち(名古屋市)
講師:寺町みどり&ともまさ
《参加者》無党派・市民派の議員と市民
《参加費》会員1万円/会員外2万円
☆1月27日(日) 9~14時「オプション講座」
【セッションの内容】
● 一般質問を事後評価する
● 1)総論〜予算とは何か/行政における予算の流れ/議会における予算審議
2)各論〜予算書の読み方/予算審議の手法/政策としての予算

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 福井「ジェンダー図書排除」事件
    判決言渡し&集会のお知らせ

◆「情報非公開処分取消訴訟」判決言渡し
日時:1月30日(水)13:10
 場所:福井地方裁判所・2号法廷
◆記者会見 (13:45〜14:45)
◆判決後集会(14:45〜15:45) 
 会場:福井青年館4F大会議室
(福井市大手3-11-17)
 《上野千鶴子さんからのメッセージ〜いまバックラッシュは・・・》

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【会計からのお願い】

「む・しネット」は、会費とカンパで活動しています。是非、会員継続をお願いします。今年度の会費納入がまだの方は振込みをお願いします。

 〜本の紹介〜
☆『介護施設で看取るということ
         (いのちを見つめる 1)』

 著者:甘利てる代 (三一書房)
《内容》病院ではなく介護施設で最期を迎える人が増えている。「ここで死にたい」という入居者の願いに応え、最期まで寄り添う看取りをしている介護施設がある。逝く者と看取る者、そして家族との関係性を探る、いのちのドキュメント。
☆『カミングアウト・レターズ
  〜子どもと親、生徒と教師の往復書簡』

 RYOUJI+砂川秀樹・編
 (太郎次郎エディタス)
《内容》ゲイやレズビアンをカミングアウトした人たち7組、19通の往復書簡。「好き」という感情は、同性に対してでも、異性にたいしてでも同じなのに、マイノリティと位置づけられてしまう、ゲイやレズビアン・・・
この本は、たくさんの勇気と愛を、そしてゲイやレズビアンが日本でも確実に、市民力を得始めていることを知ることができる。

《編集後記》12月のフォーラム報告も兼ねて16Pで企画したが、体調不良できゅうきょ12Pに。さらに編集中にダウンしてリタイア。あとは他のスタッフに任せた。こういう世代交代もありかな。(みどり)☆編集は2ページ分担当していたが、心の準備もないまま引き継ぐことになった。ほぼ出来ていたのに、残りのスタッフで悪戦苦闘。(まみ)