『む・しの音通信』No.67(2008.9.28発行)

【速報!】 福井・情報非公開処分取消訴訟
 二審も控訴棄却!「最高裁に上告し争う」

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原告代表・上野千鶴子さんのコメント

 一審判決にひきつづき二審でも、情報公開の流れと記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤の判決が出たことを、まことに残念に思う。
 情報の再現性において、AV電子媒体を超えるものはない。現存することがわかっている電磁音声媒体より、操作可能な印刷紙媒体の方が優越するというのは、誰が考えてもおかしな話だ。手続き論に終始して、市民の知る権利という核心を避けた判決は、まことに遺憾である。
 よって、最高裁に上告して、争うほかない。
           2008年9月22日
福井県男女共同参画審議会音声記録非公開分
取消請求事件    原告代表・上野千鶴子
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 名古屋高裁金沢支部 ジェンダー本問題 控訴棄却
「音声記録 公文書に該当せず」
2008.9.23 読売新聞

 2006年に県生活学習館(福井市下六条町)がフェミニズム関係図書を一時撤去した問題で、著書が含まれていた上野千鶴子・東京大教授らが県を相手取り、問題の経緯を議論した審議会の音声記録の非公開決定を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決が22日、名古屋高裁金沢支部であった。渡辺修明裁判長は「審議会の会議録は要約が作成され、公開されている。音声記録は担当職員が会議録作成用に録音していたもので、県情報公開条例でいう公文書には該当しない」として一審判決を支持し原告側の控訴を棄却した。
 判決後、上野教授は「記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤の判決」として上告する意向を明らかにした。県は「主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進する」とコメントした。
(読売新聞 2008.9.23)  

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ジェンダー図書判決 二審も控訴棄却
名高裁支部 原告団 上告の方針
日刊県民福井 9月23日

 ユー・アイふくい(県生活学習館)で2006年3月、上野千鶴子・東大大学院教授らのジェンダーに関する本など約150冊が一時撤去された問題で、同年11月の県男女共同参画審議会の音声記録を県が非公開にしたのは不当として上野教授らが非公開決定の取り消しを求めた控訴審の判決で、名古屋高裁金沢支部は22日、訴えを退けた1審地裁判決を支持し控訴を棄却した。原告団は上告する方針。
 渡辺修明裁判長は、音声記録は「担当職員が会議録作成のための備忘として録音所持していたもので、保管事務手続きなどの定めはなく、公文書には該当しない」と地裁判決を追認した。
 会見した原告団は「情報公開の流れと、記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤の判決と上野教授のコメントを発表。清水勉弁護士は「個人の判断で録音や録画した情報は非公開という判決が確定すれば、公開情報が操作され、制度が成り立たなくなる」と指摘した。県の大沢博総務部長は「県の主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進していく」とのコメントを出した。
(2008.9.23 日刊県民福井) 

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二審も音声記録公開認めず 
上野教授著作の撤去問題
福井新聞 9月23日

 上野千鶴子東大教授らのジェンダー関連の著作が2006年、福井県の施設から一時撤去された問題を話し合った県の審議会の音声記録について、上野教授や市民団体が公開を求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁金沢支部は22日、公開を認めなかった一審判決を支持し、上野教授らの控訴を棄却した。上野教授らは上告する方針。
 渡辺修明裁判長は判決理由で「担当職員が会議録作成のため備忘として録音、所持していたもので県の公文書ではない」とした。
 判決などによると、県は06年3月、県生活学習館のジェンダー関連の著作約150冊について「内容が過激」などと指摘を受け、約2カ月間書棚から撤去。上野教授らから苦情があり、県は同年11月に男女共同参画審議会を開いた。
 審議会の会議録は公開されたが、原告側は「県が公開した会議録は原告が傍聴した記録と照らし合わせても違いがあり、検証の必要がある」と音声記録について情報公開を請求、県は非公開とした。
 福井地裁は今年1月「音声記録は会議録作成のための録音で公文書には当たらない」などと請求を棄却。上野教授らが控訴していた。

「時代の流れ逆行」原告側が上告方針 
 判決言い渡し後、原告側は会見し、上告する方針を示した。原告の一人で岐阜県山県市議の寺町知正さんは「一審判決と何ら変わらない判断で、新しい理由付けもなく驚いている。情報公開の時代の流れに逆行した判決だ」と批判した。
 大沢博・県総務部長は「県の主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進していきたい」とのコメントを発表した。

(福井新聞 2008.9.23)

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録音記録訴訟 二審も原告敗訴
名古屋高裁金沢支部 公開請求を棄却
朝日新聞 9月23日

 県生活学習館(福井市)の書架から、ジェンダーに関する上野千鶴子・東大大学院教授らの著書約150冊が一時撤去され、この問題を議論した県の審議会で職員が議事録作成用にMD(ミニディスク)に録音した音声記録を県が非公開としたのは不当として上野教授ら13人が県を相手取り、非公開処分の取り消しを求めた控訴審の判決公判が22日、名古屋高裁金沢支部であり、渡辺修明裁判長は「職員の備忘用で公文書とは言えない」と原告側の請求を棄却した。
 一審に続き、職員が議事録=一般に公開=作成のために録音したMDが県情報公開条例の公文書にあたるかが争われた。県条例では職員が職務で作成し県が管理する電磁的記録は公開対象としている。判決では、今回の音声記録は担当職員が備忘のために所持していたもので、県の保管事務手続きの対象ではなく、県の管理下にないので公文書には当たらない、と一審と同じ判断がなされた。
 判決後、原告代表の上野さんは「情報公開の流れと記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤な判決で残念」とコメントを出した。県の大沢博総務部長は「本県の主張が受け入れられ、妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進していきたい」と話した。
(朝日新聞 2008.9.23)