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                             2005年7月4日
鹿児島県議会議長  金子万寿夫 様
鹿児島県議会議員  吉野正二郎 様
                         東京大学教授     上野千鶴子
                         岐阜県山県市議会議員 寺町知正
                       福井県敦賀市議会議員 今大地はるみ
                           愛知県日進市議会議員 後藤尚子
                        他138名 別紙合計142名 8団体

鹿児島県議会でなされた発言にかかる申し入れ書
                     
 去る6月28日(火)、鹿児島県議会平成17年第2回定例会一般質問において、吉野正二郎議員が、「男女共同参画及びジェンダーフリーについて」「日中、日韓間の諸外交問題について」をテーマに一般質問を行いました。
 この質問で吉野議員は、「男女共同参画基本法はその制定過程において、とんでもない許しがたい思想が盛り込まれた欠陥法」、「学校現場その他の社会において、手のつけられないようなおぞましい現実がはびこっていることも事実。それはジェンダーフリーという、実にいかがわしい用語が害毒をまき散らしているからである」と前置きしたうえで、「彼らジェンダーフリー推進論者たち」と他人や個人を誹謗し、新聞記事を「でたらめ」と批判し、「ジェンダーフリー教育」を批判する内容の一般質問を行いました。これに先立つ「日中、日韓間の諸外交問題に関する知事の見解について」の質問では、「従軍慰安婦などというありもしない言葉をねつ造」、「挺身隊として強制連行された慰安婦が出てきたなど大々的な嘘の報道をした」、「中韓両国はやくざのいいがかり」などと持論を展開しました。 
 地方自治法は、議員の発言に対し、〔品位の保持〕「普通地方公共団体の議会の会議または委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない」(同法第132条)と禁止事項を規定しています。
 持論を展開して、特定の個人や他人に対し、無礼の言葉を用いて誹謗中傷する吉野正二郎議員の「発言」は、「議会の品位の保持」という地方自治法及び鹿児島県議会会議規則に明らかに違反しています。
 わたしたちは、自治体政治にかかわるものとして、吉野正二郎議員の発言に強く抗議すると同時に、このような発言を容認する鹿児島県議会に遺憾の意を表明します。
 吉野正二郎議員におかれましては、〔発言の取消し又は訂正〕「発言した議員は,その会期中に限り,議会の許可を得て発言を取り消し,又は議長の許可を得て発言の訂正をすることができる」(同会議規則第64条)により、発言の取消し又は訂正を申し出られますよう、強く求めます。
 そもそもこの発言は、〔議場の秩序維持〕「普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる」(同法第129条)により議長が発言の取り消しを命ずるべきでした。
 鹿児島県議会におかれましては、速やかに吉野議員の発言内容を精査し、法に禁止されている他人の私生活にわたる言論や無礼の言葉、不穏当・不適切な発言について、本人に取り消しを勧告する等、適切な措置をとられますよう、強く申し入れます。
 なお、発言の取り消しは当該会期中にしかできません。よって、閉会日の7月6日に間に合うよう、緊急に142名8団体の連名をもって申し入れます。

 【参考】当該発言の根拠として引用された『新・国民の油断』は、「『ジェンダーフリー』  や『過激な性教育』を批判した本『新・国民の油断』の記述内容に問題があったことがわ  かり、出版元のPHP研究所が回収を始めた。」( 2005年06月17日 朝日新聞Web)


鹿児島県議会申し入れ人 合計142名
 
   自治体議員   15都道府県  43市町村  45名

    市民     17都府県   50市町村  97名

      団体                                 8団体

      (固有名詞は、Webページでは省略)