《解説》(自らが取締役を務めるゴルフ場開発会社に関する不正事件で送検、起訴されてても居座る議員がいた。辞職を勧告する決議を提出したが、多数の議員は煮え切らなかった。この後、公判の判決で有罪となり、議員全員一致で辞職勧告することが合意された時点で、決議採択前に辞表を提出した)

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発議第  号
    2000年6月8日

高富町議会議長 武山和行 様

提出者 高富町議会議員 寺町知正

提出者 外1名


      田中優一議員に対する辞職勧告決議について

 上記の議案を別紙(添付資料含む)のとおり、会議規則第14条の規定によ
り発案する。


別紙 

       田中優一議員に関する辞職勧告決議


 田中優一議員が99年11月17日に書類送検され、本年5月26日に起訴されるに至ったことは、町民の信頼を大きく裏切り、著しく高富町議会の品位を汚すものであるから、田中優一議員は速やかに自ら職を辞すことを高富町議会として勧告する。

        決議の理由

1 田中優一議員は、99年11月17日、岐阜県警捜査二課と高富署により岐阜地検に書類送検され、2000年5月26日に起訴された。

2 一般的に、在宅での送検、起訴という判断の根拠の一つは、当事者が嫌疑にかかる事件につき、事実関係やその背景を実質的に認めている場合の措置であるといわれている。よって経緯に疑いない、というべきである。

3 99年11月18日付け毎日新聞において「『・・町議として地権者対 策を行ってきた手前・・』などと供述している」とされているところ、こ れら供述を否定する釈明はなされていない。

4 ゴルフ場に係る大規模開発の許可手続きにおいては、高富町長の意見、同意等が必要とされ、変更許可の場合も同様である。高富町行政当局の意見は許可権を有する県知事に対して、許可の可否を決定する程の大きな影響力を持つものであるところ、田中優一議員は、議員としてばかりか、時に議長、時に産業建設常任委員長としても、本件開発行為の行政手続きに大きな影響力を有していた。よって、議員としての職務権限有り、というべきである。

5 本件事件にかかる開発行為は、高富町内の土地に関している、地権者の大部分が町内住民である、登記所や担当司法書士も町内である、さらに本件事件の一方の当事者が故高富町議会議員であるなど、すべて高富町に深く関わっている。

6 一般職公務員及び特別職公務員が刑事事件に関して逮捕もしくは書類送 検のあった場合、その前後において職を自ら辞すこと若しくは懲戒免職等に処すことが一般的であり、起訴後においてなお職にとどまること若しくは未処分である事態は、極めて稀である。

7 一般職や町長等に関する退職金の規定において、刑事事件に関して起訴 された場合、退職金の支給が停止されるなど、起訴というのは、行政手続きにおいては明確な区切りと認識されているのである。

8 地方公務員法同法29条の規定は、当該職に関わることだけでなく公務員の職場を離れた私的生活の部分におけるあってはならない行為(非違行為)も対象となっている。同規定は、特別職には、直接は適用されないとはいえ、その主旨は特別職ら非常勤公務員にも通ずるものであるから、本件事件は看過し得ない重大事である。

9 高富町議会議員及び町長等の倫理に関する条例は、通常の本来的な議会の権能を制限するものではない。

                                以 上
    《添付資料》 書類送検・起訴にかかる新聞記事
     事件に関連する登記簿の一部(写し)