《解説》(土地開発公社の理事に議員らが着いていたが、議会は関連議案の審議時、当該議員を「除斥」せずに議事進行していた。この問題の指摘と、公社に名を借りた不正の排除のために、勝てるはずのない住民監査請求をしたもの。以後は改善)

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             岐阜県高富町長措置請求書 
  高富町長の措置請求に関する要旨

一 請求の要旨
 高富町は、高富町土地開発公社からの土地取得に当たって「地方自治法第96条第1項第8号及び高富町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第3条の規定により議会の議決を求める」として、最近だけでも94年3月議決1,989,177,000円、95年7月31日議決144,088,648円、95年9月6日議決627,836,244円、96年3月13日議決92,000,000円の合計2,853,101,892円(第1号証)を諮り続けてきた。しかし、これらの議決は、地方自治法第117条の規定によらず、公社の理事及び監事の職にある議員を除斥せずになした議決であり、違法で無効である(第2号証)。議員所有地取得も同様。1963年の公社設立以後、対象議員を除斥することは、一度もなかった。この規定には時効はなく、よって、すべての議決が違法である。
 この原因の主たるものは、議員が公社理事を兼ねていることにあり、チェックが十分働かなかったからであり、もって公社は、例えば過去に以下のような違法を犯してきた。
◆公有地の拡大の推進に関する法律第18条3項違反(罰則規定:過料3万円)(第3号証)。これは数年来の指摘にも拘わらず、未だ是正されていない。
◆不燃物終末処分場としながら、実際に目的、条件に適うように利用せず、不正な業務をなした(第4号証、第5号証)。
◆その他、価格操作、利益誘導、脱税、民間への転売等に積極的に関与、協力してきた。 請求人らは、住民から問題の指摘を受け、83年以来の資料を確認している。町には長年にわたって、公社の適正業務執行及びこれを担保するための公開性確保を求めてきた。しかし、未だ改善されていない。公社には、議会審議が及ばないこと、措置請求等が認められていないことから、公社問題の本質的改革を図る為、本監査請求に至った。
 また、本件につき、地方自治法第199条の2により、監査委員2名とも除斥の対象となることから、監査制度の問題点も露呈した(第6号証)。
 高富町は公拡法に規定する公社への出資者であり、町長は第16条において、理事及び監事の任命・解任権、第18条で承認権、同第19条で監督権限を有する。このように公社に関する町長の責任は重大であるにも拘わらず、町長が公社の理事長にあった時期もある。行政の特性からして、公社の業務の実質的最終的な決定権限は町長にある。先の違法な議決に基づく支出は当然に違法であり、町長は30数億円の全額を返還する義務を負う。
二 請求者 岐阜県山県郡高富町西深瀬208−1  農業 寺町知正

        岐阜県山県郡高富町西深瀬208−1  農業 寺町緑

 以上、地方自治法第242条1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
1996年9月30日
岐阜県高富町監査委員 丹羽三男 様    鬼頭鉄雄 様

 別紙事実証明書 目録
 第1号証・議案書
 第2号証・議会議事録
 第3号証・平成6年度公社決算報告書
 第4号証・平成2年度公社事業報告書
 第5号証・平成元年度公社業務報告書
 第6号証・平成2年度公社決算監査報告書