再議請求書
                         2004年1月13日
山県市長 平野元 様
山県市議会議長 武山和行 様
                      岐阜県山県市西深瀬208番地の1
                           寺町知正

 2003年12月19日の山県市議会本会議において、杉山秋夫市議に対する懲罰が議決された事実及びその内容や経緯が大きく報道されています(別添12月20日付け中日、岐阜、朝日新聞記事)。(なお、全議員一致の議決)
 報道や関係者の話からは、懲罰に当たるとされた事案は、公務員である議員としての当然の遵(順)法義務及び倫理に著しく欠け、許されることではありません。

 他方で、議会の懲罰制度は地方自治法(以下、「法」という)第134条に根拠を置くところ、上記事案は同条で定める山県市議会会議規則及び同委員会に関する条例に違反するものではないことは明らかです。
 つまり、同懲罰議決が、法第134条及び懲罰を規定した同会議規則各条に違反した議決であることは明白です。
 この点は、次の判例に照らしても、揺るぎないことです。「懲罰は刑罰とは性質を異とするため、議員の品位を傷つけるような行為のあったこと等、議会の運営と関係ない議員の議場外における個人的行為は懲罰事由とすることができない」(昭和28年11月20日最高裁判決)、「全員協議会や代表者会議等はたとえ定例会及び臨時会の会期中であっても懲罰の対象とはならない」(昭和39年10月25日福岡高裁判決)、「議員の会期外の行為でも、議会の開閉を阻止し流会に至らしめるような議会運営に関する行為は懲罰事由となる」(昭和28年10月1日最高裁判決)。

 よって、市長への義務規定である法第176条の第4項「議会の瑕疵ある議決又は選挙に関する長の処置」の定めにより、議会の招集権を有する市長に再議に付すことを求め、本件申立をします。
 なお、再議の時期に関しては「法第176条の第1項の場合には執行後においては再議に付し得ないが、第4項の場合においては執行後でも再議に付し得る」(昭和23年9月22日行政実例)、「長により、再議に付され、再議決により除名処分が取り消された場合も同様(当該処分は当初よりなかったことになる)」(昭和24年2月21日行政実例)とされています。

 以上、山県市の行政と議会の対応が、新市としてはあまりにふさわしくないと市民を失望させることのないように願いつつ、次の3点を求めます。

@ 市長は、上記懲罰議決にかかる違法を是正するため、法第176条の第4項で長に課された義務の履行として、直ちに再議に付すこと。
A 議長は、市長に協力し、直ちに議会の違法の是正をはかること。
B 前記2項についての方針あるいは結果につき、来る1月20日までに、申立人に文書で回答をすること(本件については、03年12月21日付け「新しい山県市に選挙公報を実現する会」のニュースで指摘・周知されていることから、通常に必要とされる検討期間を十分に満たしている)。
                               以 上