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 2005年6月21日
質問番号 2 番  答弁者 市長 
質問事項     入札額吊り上げによる市の損害の回復を怠る事実について 
《質問要旨》
  旧高富町長の収賄事件と言うことで昨年も質問した。今回も市の損害として質問する。
 私は、常々、過去の汚職を反省し、再発防止のために、厳しい再発防止策をとるべきであると主張してきた。
 2002年の自治体合併前の高富町長の汚職事件は、事件発覚から3年以上が過ぎた。
 山県市が昨年9月に入手した元町長の刑事事件の判決には非常に興味深い点が記録されている。私は、本年3月に、住民訴訟において、被告の退職手当組合から提出された判決書という文書を初めてみて、正式に次のことを確認した。

 この判決が認定した罪となるべき事実を引用すると、「選定したこと及び同工事の予定価格の目安を教示してもらったことの謝礼並びに今後も有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら」と判決書で認定されている。
 さらに事実認定の補足として説明した部分は、「本体工事の設計業者から入手した情報に基づき、高富町の入札予定価格を推定し、それとの比較から、2億3000万円で本体工事を入札しようと考えたが、本体工事の入札日の前日ころ、最終的に入札価格を2億3000万円とすることを決定」、「入札前日か前々日の同月20日か21日ころの朝、被告人宅(元町長宅)に電話をかけ、『うちの札値は2億3000万ですが、どうですか。』と、入札価格を伝えるとともに高富町の入札予定価格の目安を確認し、被告人は、『そんなに低くない。1000万円くらい上げた方がいい。』などと答え、高富町の入札予定価格が2億4000万円を上回ることを教示した。」と認定されている。「本体工事の入札日である同月22日、入札の約30分前に、被告人は、歩切りを97パーセント、すなわち入札予定価格2億4180万円を選択してこれを指示した。2億4000万円で本件工事を落札した。」と判決文にしっかり書かれている。

 これから見て、この業者の入札予定額に理由なく町長の一声で「吊り上げられた1千万円」は、明らかに、町長の誘導に基づく旧高富町(現山県市)の損害である。だから、市は当人に損害賠償請求して、市に補填させるべきお金だ。この損害を放置している山県市の現状は違法で許されない。そこで、質問する。

(1)山県市は、この判決文の内容を知って、市長は、この元町長によって吊り上げられた1000万円は山県市の損害だと、考えなかったのか?

(2)この質問通告を受けた今、どう考えているのか?

(3)地方自治法第242条の1項で規定する「怠る事実」の法文解釈として、今回の場合「入札額吊り上げ」事案に関しての損害賠償請求権の不行使状態について、山県市はここでいう「怠る事実」に該当すると考えるが、市長はそう考えないのか。

(4)この事件は一種の官製談合、というべきだ。住民訴訟の判例をみると、刑事事件で談合が認定されているなどの証拠がある場合は談合の歴然とした証拠(事実認定)があるからこそ、住民側が勝訴すると言うことが分かる。逆に、それら確定した証拠がない場合は住民側が敗訴している。
 ところで、住民監査請求には、1年ルールというのがある。市の公金の支出から1年を過ぎたら、住民監査請求はできない、となっている。しかし、これが、ある場合は違うことが、3年前に最高裁判所の判決がだされて、ある場合には、1年が適用されない、という風になった。期間制限がないということが、具体的に示された。

 この観点からすれば、山県市の市民は、今の段階で、「市長は、元町長に速やかに損害賠償請求せよ」との主旨で住民監査請求すると、1年は過ぎているが、適法な請求になる。 結局、今回は、談合事件ではなく、刑事事件の判決文のとおり贈収賄の一環として1000万円の吊り上げが事実認定されている以上、住民監査請求、住民訴訟と進んだ場合、住民は、業界の談合という風にとらえたら請求は認められないが、元町長への損害賠償請求を求めると訴えるということなら認めれる、ということになる。

(5)この損害賠償請求権は、市民や議会ではない、「山県市長」固有のものである。この怠る事実(損害賠償請求権の不行使)も間もなく来年の5月には時効になる。今、市長が直ちに、1000万円の損害賠償請求すべきではないかと考えるがどうか。

●[答弁者] 市 長
 寺町議員の「入札額吊り上げによる市の損害の回復を怠る事実について」のご質問にお答えします。
 山県市の損害かどうかということについては、この判決書を入手してから内容を検討しておりますが、この工事は指名競争入札により請負業者を決定し、正式に請負契約を締結しております。そこで、元町長の「1000万くらい上げた方がいい。」という一言だけで、市に損害を与えたということ、端的に言えるかどうかには、疑問があります。なお、市が、元町長の教示があったことを知ったのは、判決後のことであり、この工事を契約した行為は、正当な事務であったと認識していいます。
 また、地方自治法第242条第1項で規定する「怠る(おこたる)事実」に該当するかどうかということについては、先に述べましたように、教示したことが直ちに損害と言えず、元町長に対する損害賠償請求が可能であるか、疑問がありますので、「怠る事実」に該当するとは現在では思っておりません。
 しかしながら、損害賠償請求すべきではないかということについては、元町長が入札予定価格が2億4000万円を上回ることを教示したことと、教示を受けた業者が他の指名業者に同金額以上で入札するよう根回ししたことにより契約額が高くなり、市に損害を与えたと言うこともいえる、そういう損害を与えたという面も言えるかと思います。市が業者と元町長の両者に共同不法行為による損害賠償請求をできるかどうか検討しております。 なお、市が損害賠償訴訟を提起することになれば、地方自治法の規定により、議会の議決をお願いすることになります。
 いずれにしましても、その辺のことを十分に検討しまして、今後の方針を決めてまいりたい。以上で答弁と致します。

《再質問・寺町》
 市長は一言で答えられたが、要は「怠る事実に該当するかどうかは不明」であるという。最終的に、市が元町長と業者を共同不法行為によって訴えるかどうかを現在検討中であるということは、答えられた。
 私も、共同不法行為については考えたんですが、これが談合ということの前提で公正取引委員会あるいは警察が摘発したということであれば、業者側の責任を問うことは容易なんですが、贈収賄が原因ということですので、やはり損害の賠償は元町長に絞り込むのが一番分かり易い形態ではないか、ということでこういう質問をしている。その点、改めて、共同不法行為なのか、単独なのかお答えいただきたい。

 それから、もう一点、先程読みあげた中で、「本体工事の設計業者から入手した情報に基づき、高富町の入札予定価格を推定した」と、当然これは、警察や検察がいろんな関係者を呼んで調べた結果、刑事事件で勝つために最も確かな証拠として出したものを裁判所が証拠として認めた訳だ。
 とすると、この「設計業者からの情報」というものが非常に大きなポイントになっている。この額の決定に関して。ここに、私は自治体としての責任と疑問を感ずる。
 ここの設計業者は、「大建設計」という県内大手の設計会社である。ここからの情報をもらいに行って、もらって、予定価格を算定していくというのが通常の業界だということがここで分かる訳だ。
 例えば、合併後の高富小学校の14億円だとか、あるいは20数億の高富中学の工事、設計は大建設計なんですね。この受注の同じころにこの判決が出た。ということで、市は、この大建設計だけではない、市の公共事業に関して、入札参加業者と設計業者の、入札後は積極的に接触しなければいけないが、「入札前は絶対に接触してはいけない」ということを明確にうたうべきではないか、ということをこの判決から感じたんですが、市長としてはその点、いかがか。

●再答弁・市長
 1点目の問題ですが、いろいろ問題点もあろうかと思っています。そういう意味で、ある程度慎重に、時間もかけて、しっかりと精査をしましてそういうことに踏み切ると、いうことになになろうかと思っていますので、そういう風な判断をもっていることをお伝えします。
 今の建設設計業者の件ですね、当然、そういうことはあってはならんということですが、これは、設計業者と業者の間の問題かと思います。その辺のことは当然あってならんということでございますが、そう言った面についても、どういった方法がとれるかということも、今後また、検討課題になろうかと思います。私は、そういった問題がないと思っていますし、今後もあってならんと思っています。そういった点に付きましても、この入札制度は非常に難しい問題でございます。そう言った面も全体を眺めながら検討してまいりたい。

◆《再々質問・寺町》
 入札の設計業者との情報提供、これについて、事業者間のことだ、それは無いものと信じているとのこと。確かに、市長の信念からすれば無いはずだが、現実にはいつも汚職は起きている。この高富で、10数年に3回もそうった不正なことがあった。ですから、業者を指名したらその発注の仕様書なりに、「絶対設計業者と会ってはならない」とうたえば済む、そのことを求めている、それで彼らには十分抑制がかかります。そういう風に仕様書に一行書く、それについていかがでしょうか。
 もう一点ですが、先程、下水道のことで部長にお聞きしましたが、浄化センターは部長が今後まだ検討するという。私は、市長には、市全般の公共事業の発注に関して、契約の時に損害賠償の条項を盛り込む、さらに、そこには加算金も事情によっては有り得るということを加えてはどうかと思います。
 先程、水道部長は、住民訴訟の判決は5%から7%の判決と言われましたが、確かに過去そういう時代がありましたが、最近、判決で15%もでるようになったとう流れもありますので山県市も、十分に考えて欲しい。

●再々答弁・市長
 まず、1点目の設計業者と業者との関係ですね。そう言った面には、さき程答弁したとおりだが、業者に対してそう言った指示、指導ができるかどうか含めて検討したいし、そう言ったことができれば積極的に盛り込んで行きたいとおもっています。
 下水道の関係の10%がいいのか7%がいいのかと言う話だが、この辺も下水道事業団でいろいろ進めていると思うが、20%がいい、10%がいい、いろいろ段階があろうかと思いますが、その辺についても、市が損害を被ることのないよう十分配慮したパーセントにしていきたいと思っている。