《解説》(当時、町が誘致しようとした大規模産業廃棄物処分場計画の立地と目される土地の取得の問題)
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土地売買に関する覚書
・土地売買について、次のとおり覚え書きを交換する
・甲は平成11年3月31日までに売買することを約し、乙はこれを買い受ける ことを約するものとする
・価格は1u当たり12800円とし、時価修正を行う
平成6年12月24日
甲 高富町大桑
○○○○○ (個人)
乙
高富町土地開発公社
岡田秋夫
地 番 面 積
○○○○○○ ○○○○○○○○
◆上記の文面でかつて、地権者と将来の買い上げを約束していたことで、高価に買い取るとの議案(まずは、土地開発公社への債務負担という手段で)に反対をした討論。
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一般会計補正予算案・反対討論98年12月22日
・今回の債務負担行為が議案となってきたのは、大桑の椿野地域一体で福祉関連事業を推進するために、高富町土地開発公社が94年、平成6年12月24日に地元地権者と結んだ覚書が原因となっています。その内容は「平成11年3月31日までに売買する。価格は1u当たり12800円とし、時価修正する」というものです。公社は、地権者の代表らから、覚書のとおりに、期限までに購入するように、強く求められています。
そこで、今回、第一として、高富町が公社に対して、覚書にかかる土地の先行取得業務を委託するとともに、
第二として、土地購入資金を公社が銀行から借り入れる際の損失を補償するとの約束を明らかにするために、債務負担行為の議決を必要としているものです。
しかし、この議案には、次の問題点がいくつもあり、私は反対致します。 一般的に、契約行為においては、当事者の責任に因らない特別の事情の変化のある場合、とくに今回のように契約の時期と、契約書に定められた履行期限が長く隔たっている場合(今回は4年以上)は、事情の変更による契約の解除や変更が認められていおります。これは、学説上も、判例上も確定していることす。
しかし、今回、これらの事情の変更を考える事なく、ただ、覚書どおりに契約しようというもので、あまりに安易に提出された議案、といわざるを得ません。
(1)事情が変わったことについて
まるごと福祉健康村構想は、当初、岐阜県が積極的に事業を推進するとの前提のもとに計画されたものです。これは、例えば、岐阜県議会平成5年第4回定例会での山田県議の一般質問(9月29日)に対する、岐阜県知事の答弁にハッキリと示されています。
知事の答弁は「県にとっても、積極的に取り組むべきものである。」「山県郡だけでなく、あるいは岐阜地区だけでなく、岐阜県全体のための全県民の福祉向上の大きな拠点として積極的に対処してまいりたい」というもので、民生部長も「今後、積極的に支援、協力してまいりたい」と答弁しています。
誰もが、県が施設の建設や運営を行い、あるいは財政支援をしてくれるものと思ったのは、当然の事であります。この県の姿勢を前提に、積極的に土地を提供、取得しようと、先程の覚書が結ばれた訳です。
ところが、その後、岐阜県が、福祉は地域ごとに、という方針に転換したことで、山県郡単独での事業を進めるしかなくなった、つまり財政的にも、政策的にも大きな事情の変化がおきてしまった訳です。
(2)土地の価格の変化について
地下の下落はどこも共通であり、今回の土地代がu12800円という単価、つまり坪当たり42240円という当時の価格は、現在では、通用しません。現地に詳しい人に聞けば、u9000円、つまり坪当たり3万円程度と見るのが妥当のようです。周辺では、覚書の半値でよい、という人すらいるといいます。
さらに、地価は、今後も、現状維持か下がることは確実です。
また、覚書には、土地の価格については「時価修正する」と明言されています。
以上、二点から、明らかに事情変化が認められる場合に該当します。それにもかかわらず、覚書にそのまま従った今回の議案は、不誠実で、あまりに、安易な内容の提案であります。
(3)自治体への財政負担があまりに大きい
議案は、77人の地権者のもつ、68筆で合計58619uに対して、7億6471万2000円の土地代を支出する、というものです。この際、公社は、金融機関に対して、年間1,3%の利息を支払う予定であり、土地代金の利息だけで、1年間で約1000万円にもなります。
一方、まるごと福祉健康村事業の着手は未だに何ら具体的なメドがありません。
つまり、行政が公社から買い上げる時期が、議案で規定する5年で済むとは到底考えられない訳です。土地代の利息だけでも5年なら5000万円にもなるということです。
このような段階で、土地を公社が購入することは、あとで買い取る行政にとって、あまりに大きな負担の増加で、しかも税金の無駄使いです。まさに、住民監査請求の対象になる事案ということです。
(4)三町村の負担割りが保証されていないことについて
まるごと福祉の用地の買い上げは、起債や補助を前提とするので、事業の進行に応じて一年毎に、山県郡の三町村が応分の負担をして行くことになるとの説明が、総務文教委員会でありました。しかし、美山、伊自良が、確実に応分の負担をする、という確約はどこにもありません。そればかりか、三町村の負担割合すら協議されておらず、地元の責任として、高富町が全部負担する可能性を否定する根拠はどこにも、見いだせません。
(5)そもそも、高富町からの先行取得の業務委託もないままに、7億6千万円にも達する額の土地の取得を、しかも4年も前に、公社が勝手に覚書を結んだこと自体が、公社の業務、そして高富町の裁量権を著しく逸脱した違法行為と言わざるをえません。
◆公社も高富町も、覚書の金額や期日、内容の変更、あるいは解除について、見直すことが可能であるにもかかわらず、その検討や努力を怠り、安易に、非常に高額な財政負担を強いる本議案は撤回されるべきである。この議場にも、この段階での議案には本当は賛成しかねるが、執行者から提案された以上、同意せざるをえない、という方も少なくないようです。
ともかく私は、以上述べたように、不合理な債務負担行為補正を含む本件補正予算案に反対いたします。