要 請 書
1994年12月2日
建設大臣 野坂浩賢 様
岐阜県知事 梶原 拓 様
高富町長 玉井治郎市 様
東海環状自動車道・共有権トラスト運動の会 事務局長
岐阜県山県郡高富町西深瀬208 寺町知正
п浮eAX 0581−22−4989
貴職におかれては日頃より、住民の福祉の向上、生命と財産の安全の確保にご尽力いただき、感謝いたします。
さて、東海環状自動車道の計画について、11月1日2日、そして説明会において、国や県に対し「たかとみの環境とくらしを考える会」及び「東海環状と256バイパスを考える会」として、説明会の延期やルート変更を文書及び口頭で強く要請してきました。
しかし、これらの切実な願いは聞き入れられず、説明会が強行されました。そして、高富町においては、質問希望者が挙手を続ける中、説明会が打ち切られました。この説明会は県と市町の共催ですが、このことにつき、一方の主催者としての県の見解を、ここにお尋ねいたします。
現在計画中の東海環状自動車道のルート素案の内、岐阜北部一帯が非常におかしなルート選定になっています。岐阜市では、大学(病院)の真横にインターをつくり、団地が中腹まで延びている非常にもろい山をトンネルで抜き、住宅街を真横に寸断します。高富町では約60軒の新興団地の真横にインターを設置し、このアクセスを含めてインター周辺で30軒位の立ち退きがあります。土岐から関、岐阜から養老間に、このような所は全くありません。基本的には、山岳がちの岐阜市から東はおおむね山の中を通し、平野部の岐阜市から西は水田や畑の中を通しています。どこも、本線、特にインターは極力立ち退きが少なくなるようにルート選定されていることが、ルートやインター予定地の現地調査から明らかになりました。
北部の企業立地などの十分な余地があり、地理的にも地形的にも経済的にも効果的と考えられる地域(高富町大桑、桜尾)があるにもかかわらず、良好な住宅地帯として発展していく見込みの地域(高富町富岡)を本線が通過し、インターを造ることは都市計画の目的及び基本的理念に全く反するものです。
さらに、現時点において、市町村原案と位置づけられている計画は、地元に何ら協議もなく、説明会の公表をもって後は都市計画審議会の審議のみで原案が確定するという手続きは、あまりに非民主的な行政のありようと言わざるを得ません。
このように問題が多い計画にもかかわらず、国や県は「ベストなルート」「可能な限り影響の少ないルート」「ベターなルート」だと明言されてきました。私たちはは、説明会を延期し、合意形成を図ってほしいと求めてきましたが、説明会以後の行政の対応には、岐阜北部の住民切なる願いである、ルート変更の姿勢は全く感じられません。
そこで私たちは、以前お伝えしたように、ルート変更を実現させる最も強力な手段として、止むに止まれず、共有権トラスト運動を開始せざるを得ないと判断するに至りました。よって、ここに知事の都市計画決定の一年以上前の今の段階で、今回発表のルート素案にかかる土地に関してトラストを行っていくこととします。
私たちはこの運動を通し、今回痛感した行政の問題点、つまり国が線引きや立案し、県や市町村に半ば強制的におろすという、道路建設や公共事業の進め方の変更を求めていきます。また、住民の意見の反映を進めることや、地方分権の促進、地方主権の確立を目指していきます。
最後に、再び私たちは貴職に対し次のことを、要請いたします。
現在の素案の審議を一時停止し、都市計画上も最適で、住民への悪影響が最も少なく、経済的なルートの選定を、住民の合意形成を図りながら進めて頂くことを、強く要請いたします。
以 上
《補足》
会の一致点
基本的認識
◆東海環状自動車道建設そのものについての基本的認識
道路建設反対ではなく、岐阜北部に関しては、利用価値として大差がなく、しかも 最も悪影響の少ないルート(現在よりさらに北の山間部を通るルート)が可能であり、 ルート変更を求めて行く
現素案の主な問題点
◆騒音、粉塵、振動、地盤沈下、夜間照明、水害などの悪影響は確実【人格権、環境権】
◆ルーズな環境アセス準備書案=有効な反論のための自主的な調査予測の実施【アセス】
◆実質的には、住民の意見を反映させないという手続きの進め方【都計法・地方自治】
◆不適切なルート選定=南部住宅地より北部地域が産業立地の可能性高い【都市計画】
◆高地価、立ち退き費用が膨大、高架でさらに高額な南部ルートより、低地価の北部ルートが予算的にも望ましい【事業費】
◆市や町の議決を経て決定した第三次総との不整合=地方自治の侵害【地方自治】 等