質問書  
                        1996年3月1日
建設大臣
中部地方建設局 
岐阜国道事務所長  様
岐阜県知事                             
高富町議会議長
                     東海環状と256バイパスを考える会  

 94年2月に発表された愛知、岐阜、三重を結ぶ東海環状自動車道(一般国道475号)の関・養老間44.2kmのルートがについて、同年10月以降、関係3市8町で説明会が開催されました。しかし、高富町や岐阜市で、ルート位置や環境影響評価の在り方、内容などに関して住民の理解が得られず、説明会が混乱しました。
 それにもかかわらず、手続きが強引に進められたきました。昨年6月8日の参議院建設委員会の質疑で、建設省の近藤都市局長は「現在都市計画決定の前で・・・一般的にも、日頃から地元町そして地元市町村、それから関係の地域住民の十分な理解のもとに進めるよう強く指導している・・・案を詰める過程において、十分地元市町村、知事の決定案件においても基本的には地元市町の意向を十分ふまえるということを指導している、それからまた関係地域住民の理解を得るよう実効ある住民参加の手続きをとるよう指導しているところでございますので、この問題についても、そういった方向で的確に指導しているところでございます」「都市計画決定の内容としては、ルートだけでなく構造も当然その内容に入る訳でございます。従いまして都市計画決定の案をつくる過程において、いろいろ住民等の意見、市町村との調整がされる訳でございますので、現段階として、トンネルがいいのかどうかについて国としての発言は差し控えたいと思いますが、都市計画の内容の一環としての構造ということになりますので、十分住民の理解が得られる形で案がつくられるよう、指導していきたいと思います」と答弁しています。 この直後の県議会で知事か都市計画の手続きを凍結を表明し、岐阜市御望山の調査を行ってきました。私たち高富町に暮らす住民として、この計画に不安を持ち、2月末に関係各機関に質問書を出そうと準備を進めて来ました。
 そんな折り、2月  日、突然に都市計画手続きの再開が発表され、驚いています。 今回の計画の内容は、憲法に保障された私たち国民の権利であるところの、健康で文化的な生活を侵害し、脅かすものであることが明瞭であり、現在の案の変更を求めるもので、貴職の見解を以下のようにお尋ねするものです。。

             記

◎ 都市計画との不整合、不適合
 1987年に策定された高富町第三次総合計画の計画書にある用途地域計画図は三次総の年度の中で実現する内容を示しています。これによると、インター予定地周辺及び西側トンネル付近は第二種住居専用地域とされ、本線の通過する町内中心部は住居地域とされています。現在の東海環状自動車道の計画では、三次総に沿って実施された諸施策が無に帰する事になってしまいました。国、県によって町民の意志が(議決を経ている)踏みにじられるのではないか。地方自治の精神に反していませんか?

◎ 現ルート案による高富インターの位置は、山県郡全体の利便性が考えられていないのではないか。美山町からは西関インター、伊自良村からは岐阜インターの方が便利であり、高富インターのメリットが低くなってしまってるのではないでしょうか?

◎ 地盤について
 現ルート案は、高富ルートの大部分が105年前の濃尾震災で大陥没した超軟弱地盤地帯であり、また活断層上を通過します。阪神大震災では、被害が軟弱地盤に集中し、高架橋の安全性など構造物や地盤の強度などが問われています。現ルート案の安全性をどのように確保するのですか?

◎ 高速道は学校、文化施設から遠ざけるとされていますが、現ルート案では、富岡小学校、中部保育所敷地の50m北を通過することとなっています。子どもたちの安全、健康、教育環境はどのように守られるのですか?

◎ 事業費高騰の合理性について
 環境影響評価準備書案・アセスのあらましではルート選定の前提として「軟弱地盤を通過しない」とされているが、高富ルートの大部分が超軟弱地盤地帯を通ります。この地域に高速道を建設する場合、その対策に莫大な費用を要する事となります。しかし、仮に慎重、強固な工事を行ったからとて、確実に安全とはいえません。
 また、住宅地域であり騒音などの対策費も大きくなります。地価も上昇し続けている地域でもあります。さらに、他のインターと比べて、住宅密集地や既存集落への近さ、インター及びアクセスのための用地の広さ、立ち退き件数の多さなど、極めて特異的かつ不合理な設定です。
 以上総合して考えると、建設費用の高騰は目に見えています。財政赤字が言われている折り、このような計画が許されると考えますか?

◎ 共有権トラストの実施
 多数の地権者(68人)がインター予定地内の土地について共有権トラストを実施しています。地権者の不売意志は固いものです。日本で、過去に共有地について、収用裁決の前例はないとされています。現ルート案を強行すれば、全くめどのない長期的膠着状態に陥ることは明瞭であり、本来の事業目的である東海環状自動車道の建設、開通そのものが見込みの無いものとなります。このこについて、どのようにかんがえますか?

◎ 用地取得の公金支出の違法について
 用地取得の公金支出の違法事由として都市計画決定の違法が主張できるとされています(別紙)。不合理なルート選択による諸経費の高騰、トラストによる用地取得の困難なども、当然争われます。このこについて、どのようにかんがえますか?

◎ 都市計画審議会について
 都市計画審議会における審議手続に審理不尽等の違法がある場合、それに続く収用決済は違法であるとされています(別紙)。トラストなどの問題も、正式の議題に挙げられ、審議されることが必要です。となれば、現ルート案では容易に都市計画決定に至るとは思えません。このこについて、どのようにかんがえますか?

                    以 上