ゴルフ場問題のネットワーク （寺町知正）（消費者リポート原稿）
私の住む、岐阜県高富町では、今年９月にゴルフ場がオープン、更に二つが計画中です。ゴルフ場は、なんとなくイヤなんだけど、まだ良く分からない、という思いで、１１月５日、国民生活センターで行われた、第一回ゴルフ場問題全国交流集会に出かけました。車中、ふっと、三つのゴルフ場の面積を合計して町の全面積と比べてみて、がく然としました。何と１２％にもなるのです。
当日は、全国から約２００人の参加者があり、その熱気に終日身が引き締まりました。
午前中は四人の問題提起がありました。山田国広氏（大阪大学）は、“山林”が、そこにあるだけで絶対的価値があること、ゴルフ場が出来ても、地元の財政は潤わないこと、続いて、中南元氏（環境監視研究所）からは、山林原野が一転して「農地」とおなじになること、奈良・山添村での残留農薬のデータの解説があり、有機物汚濁は、データでも目でも分かる、との指摘がありました。
さらに、加藤龍夫氏（横浜国大）は、自治体は、ゴルフ場に「地方の活性化」を託す、しかし、何故「不活性」なのか。それは、農林業に未来がないからで、その対策を、国も地方も放棄しているとし、金子美登氏（有機農業生産者）も、農業に希望がない人はゴルフ場を喜ぶと述べていました。
事務局からは、ゴルフ場は「山の原発、町のリクルート」つまり「山では環境汚染源、町では不透明な金の流れ」との評もありました。
午後は、二十にのぼる各地からの報告が続き、村長選挙で勝った所、環境アセスがゴーサインのために使われた所、土砂崩れを実証したゴルフ場がある所などなどや、リゾート法の三種の神器は、ゴルフ場・スキー場・テニスコートで、そこに宿泊ホテルが加わること、従来は、開発の歯止めだった国有林が逆に「リゾートに、国有林の活用をはかる」（リ法）となったという説明もありました。
そして、横の連絡を取り合って地域で輪を広げながら、その積上げとして来年の春に国との再交渉と大集会を行おう、事務局から提案がありました。
この日は、岐阜からも六人の参加があり、会場で知り合い、県レベルの連絡会を作って、地域の情報交換と共同行動のネットを作ろうという話しが出ました。じゃぁ、今日の熱気が醒めないうちにという事で、とんとん拍子に話しが進み、はや二日後には、
日時 十二月三日（土）
会場 土岐市文化会館、
講師 山田国広氏（阪大）
で結成集会を開くことが決まりました。
そして、至急連絡を取り合って、ゴルフ場問題岐阜県連絡会(仮称)には、とりあえず、十三市町村から十八人と全県的な自然保護団体から三人が呼び掛け人となりました。その後、下流住民として愛知県からも呼び掛け人の申し出がきています。
その後の会合では、県下各地の情報の他、「ゴルフ場問題」だけでなく環境全般の視点を持つこと、“無公害ゴルフ場”という宣伝があるが農薬を使わなければいいのか立場をはっきりさせよう、という声もあり、「ゴルフ場は、もうこれ以上いらない」ということを共通認識とすることになりました。 そして、それぞれの地元の運動が一番大事で、その次に連絡会を位置付けて、
★ 分かりやすいパンフレットのモデルを作成、詳しい資料も準備して、要請があれば、提供していくこと。さらに、
★ @ゴルフ場建設は、現状で凍 結すること
A既存のゴルフ場についても、“環境保全型”に改造（垂れ流し の排水処理施設の大幅改善、生 態系を配慮した設計・運営など） していく対策を求めること
の二点を県議会に請願する、
という当面の岐阜県連絡会の運動方向が合意されました。
“より良いゴルフ場”なんて在り得ず、反対を唱えることも必要ですが、次善の策を考えざるを得ない程に、ゴルフ場が存在しています。既存のゴルフ場の改善を求めることは、今後、新たにできるゴルフ場の“在りよう”を規定していくことにもなります。
また、ゴルフ場の計画の凍結を主張をすると、駆け込み申請が増えることは確実で、業者はもちろん、何より行政をしっかり監視していくことが必要になってきます。 どのような結果になるかは、行政や開発会社と住民のパワーの関係です。
個別のゴルフ場と対するとともに、ゴルフ場の凍結・改造をあなたの地域でも訴えませんか。そして、全国的な動きになれば、きっと国も動くでしょう。
従来の組織や運動は、縦の糸が強く、結果を重んじたり、個人がおろそかにされたり、ということが少なくなかったと聞きます。 これからは、一人一人やそれぞれの地域を尊重し、その活動や考えを基盤にして、つながれるところは縦横自在につながっていきましょう。そして、できる人がやりたいことをする、やる人の足を引っ張らない、参加しない人を批判・強制しないことを前提に、どんどんネットワークをつくっていきませんか。
ゴルフ場問題岐阜県連絡会（仮称）連絡先
岐阜県山県郡高富町西深瀬２０８ 寺町知正