要 請 書
                             1992年4月20日
 岐阜県知事 梶原 拓 様
                    ゴルフ場問題岐阜県ネットワーク 
               《事務局》 寺町知正 永田智嗣 佐伯昭二 南修治

 貴職におかれては、日ごろより県民の生命と財産を守り、福祉の向上のためにご尽力いただいていることに感謝いたします。
 さて、ゴルフ場など大規模開発によって様々な問題が生じていることは、かねてよりご承知のことと存じます。
 私達は、地域や県内のこれらの諸問題に住民の立場で対応してまいりました。
 しかし、岐阜県における乱開発の進行に対して行政的な歯止めがかからない状況に鑑み、やむにやまれぬ気持ちから、ここに重大な決意をもって下記のことを要請いたします。
 真に誠意ある岐阜県の回答を心より願ってやみません。

                 記

@ ◇新規ゴルフ場計画の凍結 
→ 【本申請前(開発協議申請前、開発許可申請前)の計画は、すべて凍結する】

 岐阜県は北海道、兵庫、千葉、栃木、茨城、静岡についで全国第7位のゴルフ場密集県です。昨年中のオープンコース数は順に、茨城、栃木、北海道、兵庫、福島、岐阜とこれまた全国第6位です。さらに、第三セクターによるスキー場やゴルフ場などリゾート開発計画が北海道についで多い(地方公共団体出資率25%以上のものについて)が岐阜県の典型的な特徴です。
 本年4月1日に千葉県、4月10日に石川県、4月13日に宮城県がゴルフ場規制を実施・強化しています。このように現在、既に全国の35都道府県が何等かのゴルフ場開発規制を実施するに及んでいます。
 一方、岐阜県は、市町村の意向を尊重するという言葉のもと、いまだに全く開発規制をしていません。そして、第三セクターの計画に対しては、積極的に奨励しているかのようです。
 現在、岐阜県が積極的に進めているニュー・リゾート基地構想は、環境や地域を破壊する大規模開発容認の“隠れみの”という意見があるほどです。この批判に明確に答えるには、直ちに乱開発をストップすることが必要です。
 バブル経済に便乗し、バブルの崩壊とともに頓挫し始めた計画も少なくありません。トラスト運動など住民の根強い抵抗も各地で続いています。また、地域づくりのために、大規模開発に頼らず新しい方法を模索しようという動きが出てきています。今ゴルフ場を止めても地域づくりに全くマイナスはありません。
 環境を守り、地域の人達が安易なリゾート開発や第3次ゴルフ場ブームにおどらされるのでなく、真に地域の将来を地元の人達が熟慮するための措置としての新規ゴルフ場計画の凍結を、直ちに実施して下さい。


A 審査基準の強化・一本化
→ 【本申請中(開発協議申請中、開発許可申請中)の計画は、すべて新基準を適用し審査する】

 岐阜県の審査基準は緩やかです。例えば、調整池の設計基準で適用する水量に関する確率年は、岐阜県は30年、静岡県は50年、京都府は100年です。
 さらに、岐阜県では、89年7月、90年9月と二回の基準改正がされながら、未だに"古々基準"“古基準”が適用されて審査されている計画がいくつもあるという矛盾が起きています。
 本申請中の計画は数年前に申請を受け付けたものも含めて、森林法の改正(90年6月)の経過措置期間の終了する今年92年6月に、この際一律の基準に一本化・強化することが合理的であり、是非とも必要です。
 即ち、森林法改正にあわせた90年9月改正(昨年9月から適用)の岐阜県の新基準《ex,コース間30m以上の残置森林・造成森林(残置森林は20m以上)、森林率50%以上(残置森林率は40%)、土砂移動量200万m2以下、・・・など》を適用することです。


B 会員権募集時期は 完成後に
→ 【現在、開発許可後に会員権の募集が認められているが、これを工事完了後からとする】

 茨城C・Cや真理谷など会員権問題が、年毎に大きな社会問題となってきています。会員権問題の一つの特徴は、ゴルフ場開発に当たって100〜200億以上必要とされる資金について、自己資金のメドがなくとも、開発許可直後から会員権を募集することによって、相当の資金調達を行いこれを開発資金とすることです。さらに場合によってはこの資金をもくろみ通り他へ流用するという、会員権募集を前提にした開発計画にあります。
 そして、関や瑞浪のイトマン絡みのゴルフ場開発(計画)は岐阜県の開発容認姿勢故に本県が狙われたとの指摘もあります。県下の他のゴルフ場計画においても、これの“会員権収入”を前提としていることを類推させる計画が、現在確認されているものもあります。 地域にとって一番重大な影響を及ぼすのは計画の中途挫折です。
 資金力の裏付けのない開発会社を排除するためにも、宮城、福島、茨城などのように会員権の募集開始可能時期を工事完了検査後とすることが必要です。


C 環境アセスメントの義務付け
→ 【ゴルフ場開発計画の申請に当たっては、環境アセスを義務付ける】

 大規模開発による諸問題の軽減の一つの方法として、全国には、環境アセスメントを義務づけているところがたくさんあります。
 岐阜県も、他県の例を参考に、環境アセスメントを早急に実施する必要があります。
 さらに、ゴルフ場開発による環境や地域、住民の暮らしへの悪影響を最小限にするために、現在申請中の計画にも適用する必要があります。

  以 上