住基ネットに係る岐阜県の処分取消請求・違法確認請求の行政訴訟の判決について
2005年2月23日
くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
寺町知正
《状況》 2002年8月5日、国民に11桁の住民票コードが付番されました。 住基ネットには、個人情報保護の観点から各種問題が指摘されています。
私たちは、02年10月16日に知事に「岐阜県個人情報保護条例に基づいて本人の住基ネット情報の削除請求」を行いました。これについて県は、同11月8日付けで「当該訂正の請求は条例に基づく請求とは認められません」としてきました。しかし、条例解釈を誤ったものです。
これからの時代、県民の個人情報保護の根幹である同条例の解釈運用は極めて重要なことであり、看過できません。
さらに、2005年4月1日施行の行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第27条も同様の規定をしており、岐阜県民だけでなく国民の個人情報保護の根幹の一つである「個人の情報の削除や訂正請求」に係る法令解釈が明確にされる意義は大です。
◎個人情報保護制度(自治体の条例や国の法)における訂正や削除について
削除や訂正の請求の拒否回答に納得できない場合
→異議申立ができる → 長が審査会に諮問、答申を受けて再決定する
→納得できない場合 → 裁判所に権利の回復を求めて提訴できる
(ただし、他の法令に特別の手続きが定められている場合を除く)
→この但し書きを適用したとき、他の法令が裁判所の終局判断を求める手続きを定めている場合はともかく、そうでない場合は、権利が守られないおそれ
=例:住基ネットの規定
◆観点−1◆行政処分性について
行政法の重要性が高まっている。行政手続法や同条例が整備されているなか、「行政処分」の法律的整理の意義が深い。今回の岐阜県の対応が「行政の行為」として、法律的にどう評価できるかが明確になる
◆観点−2◆個人情報保護全般として
この「他の法令の特別の手続」をどう解釈するかは、個人情報保護全般として重要
◆観点−3◆住基ネット問題として
住基ネットの運動としては、住基ネット関連の訴訟が必ずしも明るい状況でない
◆観点−4◆岐阜県政に関して
全国知事会の中枢として、ITや住基ネットを推進してきた梶原前知事が、他方でした、全国に例のない岐阜県の「個人情報保護」の実態に対する裁判所の判断
以上