1996年9月11日
国土庁長官 鈴木和美 様
                   くらし・しぜん・いのち 県民ネットワーク
       《事務局》    寺町知正
                       岐阜県山県郡高富町西深瀬208
                        Tel・Fax 0581−22−4989

首都機能移転名目での公費乱用の是正を求める要望書

 貴職におかれては、日頃より、国民の生命や財産を守るために、ご尽力いただいていることに、感謝致します。
 私たちは、岐阜県内に住み、地域や県内でのいろいろな環境、教育、人権の問題やまちづくりなどに関する活動(いわゆる市民運動)を行っているものが集まり、本年4月に発足したネットワークです。各地の個人や市民団体関係者、地方議員などが担っています。
 さて、首都機能移転は、東京の閉塞状況を改善し、かつ行財政改革による地方分権・規制緩和を進めて行こうという目的で提案されています。そして、全国で幾つかの地域が誘致活動を進め、その誘致活動は、国会等の移転に関する法律の成立を受けて、さらに熱を帯びて来ています。
 首都機能の移転に当たっては、国民的な合意形成が重要であり、且つ、直接関係する地域や住民の合意も重要であることは、言うまでもありません。
 しかし、いくつかの地域では、誘致合戦にエネルギーを費やして、合意形成の努力を怠っているようです。「首都機能」「行財政改革」「地方分権」「規制緩和」などについて、どういうことかを考え議論するための、住民(国民)への情報や話題の提供が欠如しています。

 岐阜県の「東濃」地方も、候補地として手を挙げている地域の一つです。現在、岐阜県行政が中心となって誘致活動を進めています。岐阜県の誘致対策費は、二億九千万円以上であり、今後もさらに出費が上乗せされることは確実です。これは他の候補地に比べて、数倍〜二十数倍(例:八年度当初予算での比較:静岡県は一千五百万円・栃木県は三千万円・福島県は一千万円・宮城県は五千六百万円・茨城県は一千百万円・岐阜県は二億五千六百万円)になります。しかし、この岐阜県予算のうち約一億九千万円が新聞全面広告代金で、その他約五千万円は、看板やのぼり、広告塔などの代金や委託料です。これは、誘致対策費として全く意義の無いものです。
 そこで、私たちは、岐阜県民として、首都機能移転にかこつけた税金の無駄遣いを見過ごすことはできないと、地方自治法第二四二条一項の規定により、本日9月11日付けで、「約二億四千万円は不当な支出であり、知事は返還すべき」との住民監査請求をいたします。

 不適切な予算措置は、特に岐阜県において著しく、一部他の候補地でもみられるようです。このような状態がこうじていけば、関係地域ひいては国民全体に、首都機能移転による諸問題解決への期待と、冷静な判断や合意形成を遠のかせることは間違いありません。
 貴職におかれては、首都機能移転を所轄する長(庁)として、関係地域での、無意味な誘致対策費の計上、執行に対して、事実関係を至急調査の上「早急に改善するよう」厳しく指導されることを、切に要望致します。
                                       以 上