1987年5月20日
  高富町長 玉井治郎市殿
             農薬空中散布をやめてほしい人の集り 寺町知正

             申し入れ書

 私共は、昨年来、松枯れ対策の薬剤空中散布に付いて何度か話し合ってきました。その結果、昨年は、当初569haの散布予定が405haに減らして実施されました。
 今年は町報4月号により、松喰い虫防除事業費27,438千円が計上されていることを知らされました。町産業課に問い合わせたところ、薬剤費などであり約300haの空中散布を計画しているとのことでした。
 その後、5月になって、高富町は「松くい虫被害対策特別措置法」による空中散布の対象とならず、空中散布は行われないだろうと聞きました。県林政部によると、市町村独自の予算若しくは山林所有者の自己負担による空中散布は可能であるが、ゴルフ場以外かつてそのような自主防除の前例はない、とのことでした。
 国では、本年度、空中散布を2割減とし、伐倒や造林の予算を増やしています。また、法改正の審議がされた3月の衆参農林委員会で空中散布用農薬の有害性が問題となりました。
 県では、「十年間空中散布をやってきたが、期待したほど効果を上げていない。」(別紙参照)として、今年、空中散布面積を昨年の半分の1500haとしています。
 また、岐阜市は、高富町の散布区域に隣接する北野地区200haの空中散布を今年から中止しました。
 「町報に予算が組んであったが、今年も空中散布をするのか」「新聞で今年は中止と出ていた」などいろんな声が聞かれます。5月14日、町産業課長に、空中散布が中止なのかどうかを尋ねたところ、対策会議(松くい虫被害対策地区推進連絡協議会と思われる)を行わないと何ともいえない、会議は今月下旬までには行うが日程はまだ未定、という散布時期を目前にしたとは思えない返事しか頂けませんでした。一般住民には不可解で、不安をつのらせるばかりです。
 私達は人体や環境に悪影響を及ぼす空中散布の中止を求め、本年度の松枯れ農薬空中散布に付いて、下記のように申し入れ併せて回答を求めるものです。

                   記

1、 町独自で空中散布を実施する予定がありますか。
 もし実施するなら、上記のような空中散布をとりまく状況の下で、敢えて独自に実施する根拠はなんですか。

1、 山林所有者などから空中散布の要望があった場合、上記のような空中散布をとりまく状況の詳細を知らせ、適切な指導をする必要があると思いますが、どうですか。

1、 今後の松枯れ対策をどのようにしますか。

 尚、以上に付きましては、5月25日までに文書にて回答をお願い致します。
   連絡先  山県郡高富町西深瀬208  寺町方  (0581・22・2281)