1987年3月23日
岐阜県議会議員 殿
農薬と暮らしを考える会
小川泰
農薬空中散布をやめてほしい人の集り 寺町知正
公開質問状
岐阜県下では、昨年、松くい虫防除のためとして、農薬の空中散布が20市町村、約3,000ヘクタールで実施されました。
国や県は、マツノザイセンチュウという虫が松を枯らすので、このマツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリを駆除すればよいとしていますが、松枯れの原因には諸説があり、農薬散布によって防げるというのは安易な考えです。
マツノザイセンチュウが原因とする学者の中にも、農薬の空中散布でマツノマダラカミキリを駆除することは、ほぼ不可能という説もあります。散布後の松林で死んだ昆虫を調べたら、年毎に昆虫相のバランスが崩れ、一方、マツノマダラカミキリは皆無に近かったという報告もあります。昆虫だけでなく、他の動植物にも影響を及ぼし、自然生態系を破壊します。
現在使われている殺虫剤の多くは、神経系に障害を与えて殺虫効果を発揮するものです。空中散布用の農薬スミパイン・セビモールは、神経毒性の他に、発ガン性・再奇形性・突然変異原性が指摘されています。このような恐ろしい農薬が、住宅・学校・公園・道路などに隣接する松林に無差別に空から散布されています。
昨年の散布前、県は散布区域の外には絶対に飛散しないから安全だといいました。が、私達の調査では、対象区域から800メートルのところでも、1,000メートルのところでも農薬が検出されました。
これに対して県は、今度は、農薬が原因と立証された人体被害がないかぎり問題ないと答えました。重大な健康被害が出てからでは遅いと、私達は心配しています。
すでに各地で、養殖カキ・エビの全滅、天敵昆虫の減少、空中散布後の害虫の異常発生、鳥の繁殖停止、魚やカイコの奇形など、とりかえしのつかない影響が出始めています。生命を育む自然界に有害な農薬をまき散らし、私達の生活だけでなく、子供達の未来までも脅かす農薬空中散布を認める事は出来ません。 私達は、昨12月議会に「農薬空中散布に関する請願」を提出、12月、2月議会いづれも継続審査となりましたが、任期切れに伴って審議未了となってしまいます。
県は、今年の空中散布面積を昨年の約半分1,500ヘクタールとし、被害木の伐倒を中心にしていくそうです。空中散布面積が減ったことは、地域住民にとって喜ばしいことです。しかし、今年散布予定の地域の住民からは不安の声も出ています。
私達はこのような思いにより今県議会議員選挙に際し、下記の質問をいたします。住民の健康や安全を守る事が、県政の重要な課題であることを充分ご理解のうえ、誠意ある回答をしてくださいますようお願いいたします。
記
1.あなたは、農薬の空中散布に賛成ですか、反対ですか。
2.その理由をお聞かせください。
以 上
ご多忙中とは思いますが、回答は、3月31日までに文書で下記へ郵送して下さるようお願いいたします。
山県郡高富町西深瀬208
寺町知正 方
「農薬空中散布をやめてほしい人の集り」
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会 員 各 位 87年4月9日
農薬と暮らしを考える会 小川
泰
農薬空中散布をやめてほしい人の集り 寺町知正
農薬空中散布 公開質問状 回答
2月の話し合いで決まったように、県議会議員候補者73名(3月20日時点)に、公開質問状を3月23日 発送しました。回答希望日は3月31日としました(告示 4月3日)。
4月9日現在、以下の回答がありました。
☆ 候補者名(選挙区・所属会派・新現・発信日もしくは消印日)
☆ 1.あなたは、農薬の空中散布に賛成ですか、反対ですか。
☆ 2.その理由をお聞かせください。
(原文に忠実に記しました。)
渡辺儀造 (多治見・社会・新・3/26)
1.反対です
2.ご高説に全く同感するが故です
みどりの快適な生活環境を守ることは私の公約の1つでもあります
小石敏則 (岐阜・無所属・新・3/30)
1.条件付反対
2.農薬散布の安全性についてなお不確定要素がある。
片桐義之 (岐阜・共産・現・3/30)
1.農薬の空中散布だけに依存することには反対である。
2.自然生態系に否定的な影響をおよぼし、人体にさまざまな障害を与え る危険がある。
鈴木栄代 (大垣・共産・新・3/30)
1.農薬の空中散布だけに依存することには反対である。(下記理由などの場合は、反対である)
2.自然生態系に否定的な影響をおよぼし、人体にさまざまな障害を与え る危険がある。
不破照子 (大垣・無所属・新・3/30)
1.「農薬の空中散布」には反対です
2.昆虫の減少等被害が認められているものを容認することは出来ません。また人体に多少なりとも影響があると心配されるものは特に慎重に対処しなければならないと思います。
中村利兵衛 (吉城西・自民・新・3/30)
当地域は御承知の通り山林国である為、寒冷地で松食虫の被害は皆無で、現在より三十五年前に水稲の稲熱病(?)に空中散布の経験はあるも、以来散布は無いので、山林に対する、散布のコメントは不勉強で、解答出来ませんので恐縮ですが、御承知頂きたい。
伊藤薫 (恵那郡北・自民・現・4/1)
1.人畜に有害ある農薬の散布は反対である。
田口昭 (可児・共産・新・4/1)
1.農薬の空中散布だけに頼ることには反対します。
2.自然生態系に否定的な影響をおよぼし、人体にさまざまな障害を与える危険性がある
木股米夫 (土岐・自民・現・4/1)
日本の山林に欠くことの出来ない松林が、枯れている現実を直視するとき、抜本的な対策の確立を希望するのは、だれしも同様だと考えます。
農薬の空中散布も賛、否、両論の中で、農林委員会に所属致した委員の一人として現事点で結論を出すのは、まだまだ資料が適切でないとの結果、継続審査となったものであり、私としても現在では賛成と か反対とかコメント出来る段階ではなく今後共充分賛否両者の意見を拝聴する必要があると考えます。
国も今後の具体策を検討して居り、県もそれに応じて空中散布面積の半減、被害木の伐倒の推進等今迄以上にその対策の確立をめざして居り、これが万全だとは云えず、私も農薬の被害についても、もっと現実的な資料を提供していただき判断のもとにして行きたいと思います。
佐藤光司 (中津川・社会・新・4/3)
1.反対
2.ベトナム戦争での枯葉剤使用でも理解できるように、人類に与える影響は確実にある。
馬淵武臣 (岐阜・民社・現・4/6)
農薬の空中散布には反対です。理由は、貴会の主張しておられる主旨に大概賛成できるからです。