御嵩町長襲撃に関する要望書
                        1996年11月1日
  岐阜県知事 梶原拓様
                くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク
                      
 私たち、“くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク”は、10月30日、御嵩町長・柳川喜郎氏が暴漢に襲われ重体に陥るという事態が起きたことに、非常に衝撃を受けています。同時に、就任以来一貫して住民の立場に立つ柳川氏が標的にされたということは、民主主義と住民運動を封殺することを目的としていることであり、このテロ行為に対して、強い憤りを感じます。
 私たちは、今までそれぞれの地域の問題に取り組む経過の中で、嫌がらせや脅しなどの理不尽な暴力を受け続けてきました。また、岐阜県政からも不当な扱いを受け続けてきました。柳川氏襲撃事件は、この岐阜県の状況の中で、起きるべくして起きた暴挙と言わざるをえません。
 従来より、御嵩町周辺では、産廃問題だけでなく、ゴルフ場問題などの住民運動に対して脅迫、暴力的威圧、危被害などが加えられて“住民運動つぶし”が行われ、これらに対して、所轄署が適切、十分な対処、再発防止策を取って来なかった歴史があります。私たちは、この許しがたい暴挙の背景には、行政・議会・住民の意志を無視して、巨大産業廃棄物処理施設を建設しようとする勢力が存在すると、確信しています。
 この間、岐阜県は、御嵩町の産業廃棄物処理施設計画を業者とともに強力に推進する立場をとり、御嵩町政に圧力を加え続け、御嵩町行政や住民に不安と混乱をもたらしてきました。
 この岐阜県の姿勢が、柳川町長を襲うという暴挙に、間接的に影響を与えているという可能性は決して否定できないことに、深く憂慮いたします。
 私たち“くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク”は、産業廃棄物問題に慎重な姿勢をとる御嵩町政、議会を支持し、御嵩町の住民グループを全面的に支援するとともに、このような暴力を決して許さないために行動するものです。
 知事におかれましては、民主主義を尊重し、このような暴力の再発を防ぎ、暴力の影におびえることなく県民が自由にものが言える岐阜県政を実現していただきたいと切望いたします。
 同時に今回、所轄署の初動捜査の遅れが指摘される中で、この暴挙に対し、一日も早い真相究明に、最大限の努力をされることを強く要望いたします。

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                             1996年11月5日
 岐阜県警本部長  中村正則 様

                 くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク
             要 望 書

 貴職におかれては、日頃より県民の生命と財産を守るためにご活動頂きありがとうございます。
 過日、御嵩町長・柳川喜郎氏が暴漢に襲われ重体に陥るという事態が発生しました。この事件について、早期の犯人逮捕及び事実関係の解明を求めて、捜査機関への期待が日ごとに高まっています。 従来より各地で、いろいろな「計画」「できごと」などに関して、地域の住民が疑問、異議を唱えて、事業者(予定者)らと対立する局面が多々発生して来ました。これが大きな地域運動に発展することも珍しくありません。これは、もちろん、岐阜県だけのことではありません。
 私たちは、このような時に、関係者らに『いやがらせ』が行われることを、頻繁に聞きます。
 『いやがらせ』とは、おどし、威嚇、脅迫、物損、いやがらせ電話・手紙、無言電話、盗聴、生命や身体的な危害への予告的なものなど、様々です。これらを受けて、行動や発言を控えたりというケースも少なくありません。
 本島前長崎市長襲撃以来の、国内での首長襲撃である今回のテロ事件は、県民に深い衝撃を与えています。市民運動体・個人のネットワークである当会の関係者も、強く憤っています。同時に、深く反省しています。その反省は、私たちが、そして県民自身が、自らの地域、周辺の人達、県内各地での『いやがらせ』に対して、ひとつずつ解決、対応することを怠り、時に甘受し、結果としてこれを容認することも多々あったのではないか、ということです。
 私たちは、この反省に立ち、とりあえず、別紙のように緊急集会を持ちます。
 つきましては、当該担当行政当局及び捜査、警備当局におかれては、県民の具体的な『いやがらせ』実例の報告をお聞き頂き、もって、今後の「県民の生命と財産を守るための職務」遂行のご参考として頂くために、是非とも、この集会にご臨席頂けることを、切に要請いたします。尚、皆様のお立ち場は十分理解いたしますので、会場で発言を要請することは致しません
 また、併せて、今後、住民からの危被害への不安の申し出、通報などがあった場合には、従来を増してより迅速、適切な対応をして頂けること熱望いたします。                               以 上


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 御嵩町長襲撃に抗議する緊急ぎふ集会

    私 た ち は 暴 力 を 許 さ な い   

 県民の皆様・思いを同じくする皆様へ

      御嵩町長・柳川喜郎氏襲撃は、断固許すことはできない。
        この卑劣な行為に、私たちは黙ってはいられない。

      11月6日(水)

  午後7時半〜9時半
  岐阜市民会館 別館1F第7集会室(рO58−262−8111)

      緊急集会 「私たちは暴力を許さない!」

   10月30日、御嵩町で、何が起きたのか。
    御嵩町からの報告を受け、県内各地の住民運動のメンバーが、自らの体験と思いを語ります。

  長崎・本島市長襲撃以来の首長をねらったテロが、岐阜県で起きてしまった。 この卑劣なテロ行為に、心から怒りを感じる。同時に暴挙はなぜ防げなかったのか。県民自らに、このようなテロを容認する土壌があったのではないか。悔やまれてならない。
 このような暴挙を、二度と起こさないために、私たちに何ができるのか。
 今こそ、断固、テロや暴力を許さない、という毅然(きぜん)とした態度をひとりひとりの県民が表そう。