1994年11月8日
建設大臣  野坂浩賢  様
岐阜県知事 梶原 拓 様
高富町長  玉井治郎市 様
                   岐阜県山県郡高富町西深瀬  
                      東浦自治会国道対策協議会
                      東浦自治会

            要 望 書 

 当東浦自治会及び東浦自治会国道対策協議会は、10月31日以来、東海環状自動車道の地元説明会の延期を要望して参りました。しかし、その要望が聞き入れられず、本日、地元説明会が開催されることは、誠に残念なことです。

 都市計画法第16条に基づくこの地元説明会は、住民の意見を反映させる手段と位置づけられています。しかしこの説明会で提示される案について、県は「住民の意向が反映された案であり、ルートとして最適である」としています。これに対し、高富町長は「今年9月20日に初めて地図をみせられた、町も説明会の日にしか詳細がわからない」との主旨を議会で答えています。
 また、地元住民も事前に何ら協議を受けておらず、これらから、地元住民の意見が今回の原案に全く反映されていないことは、明らかです。

 今回発表のルートに関し、高富町を含む岐阜北部の通過地域及びインターは、あえて住宅地の中を通過するなど都市計画道路として、他の区間と比べて非常に問題の多い設定となっています。
 岐阜県第5次総合計画において、岐阜地域の基本方向として「快適さとゆとりのある創造的なまちづくりを目指す」とされています。また、高富町の北部には、企業立地など面的にも経済的にも効果的と考えられる地域(高富町大桑、桜尾)があります。一方、高富町第3次総合計画において富岡地域の中心部は都市地域に指定されており、今後もさらに良好な住宅地として発展していく見込みの地域です。この地域を本線が通過し、インターを造ることは都市計画の目的及び基本的理念に全く反するものです。

 さらに当東浦地域は、とくに岐阜市のベッドタウン化しており、住環境について極めて安住の地となっています。今回発表の計画において、当自治会地内では、インターの予定地の道一本横には、約60軒の新しい団地ができています。また、20数軒に及ぶ住宅が立ち退き、さらに多数の地権者が水田、山林等に関して深刻な影響を受けることになります。
 当地域は地盤が軟弱であり、日常的な湛水地帯である上に“洞”を形成しており、大気が停滞し、音が反響し且つこもりやすい地形です。この自治会の地内を、東海環状自動車道が通過し、さらにインターが設置されることは、工事中の様々の被害に加え、工事中の地下水の汲み上げによる地盤沈下、家屋倒壊などが予想されます。さらに、将来にわたって良好な住環境を破壊し、毎日騒音、振動、排気ガス、夜間照明などに悩まされることは火をみるより明らかです。
 以前より計画中の256号バイパスは、アクセス道として4車線に拡幅されて縦断し、さらに東海環状自動車道が横断することは、自治会を4分割することになり、コミュニティの破壊に直結します。また、富岡小学校の北100mを本線が通過する計画ですが、児童生徒の登下校の安全確保、健康、教育環境の悪化などにも強い危惧を抱きます。

 これら以外を含め、詳細な理由については後日文書で提出致しますが、都市計画の目的と基本理念に合致し、悪影響が極力少ないルートがあるにもかかわらず、集落や住宅の上や真横を通過していくことは人格権、環境権を著しく侵害するものであり、とうてい容認できるものではありません。

 以上のことから、東浦自治会(185世帯)及び東浦自治会国道対策協議会は、東海環状自動車道について、今回の計画案を白紙に戻し、最も望ましいルートを選定されることを強く求めます。
 また、自治会署名簿(    人分)も併せて提出いたします。

 そして、高富町第3次総合計画においては「山県郡の拠点として、教育、文化、産業、医療の都市機能の充実化を中心に都市圏住民のレクリエーションの場として望まれている。」「農工業商一体の都市近郊型農業地帯として開発を促進し、その主体性を堅持しつつ、その役割を果たす」とされています。

 このような観点からすれば、高富町中及び南部地域は岐阜市のベッドタウンとして快適な住環境の整備、商業圏の育成が図られ、北部地域においては、岐阜市の三輪テクノピア、網代ハイコンプレックスタウンなど基本構想との関連も図りながら、農工業の基盤整備、拡充が図られるべきです。