東海環状自動車道・共有権トラスト運動の会
          東海環状自動車道・共有権トラスト運動の会  事務局長
                岐阜県山県郡高富町西深瀬208  寺町知正 
                    п浮eAX 0581−22−4989

 現在計画中の東海環状自動車道のルート素案の内、岐阜北部一体が非常におかしなルート選定になっています。岐阜市では、大学(病院)の真横にインターをつくり、団地が中腹まで延びている非常にもろい山をトンネルで抜き、住宅街を真横に寸断します。高富町では約60軒の新興団地の真横にインターを設置し、このアクセスを含めてインター周辺で30軒位の立ち退きがあります。土岐から関、岐阜から養老間に、このような所は全くありません。基本的には、山岳がちの岐阜市以東はおおむね山の中を通し、平野部の岐阜市以西は水田や畑の中を通しています。どこも、本線、特にインターは極力立ち退きが少なくなるようにルート選定されていることが、ルートの現地調査から明らかになりました。
 私たちは《東海環状と256バイパスを考える会》及び《たかとみの環境とくらしを考える会》という市民団体として、先月以来、この問題を検討して来ました。過去の様々の行政対応の経験やゴルフ場の運動の積み重ねから、常に先手を取って行かないといけないとの認識に立ち、当面、次のような計画を考えています。

        基本的認識
◆東海環状自動車道建設そのものについての基本的認識
  道路建設反対ではなく、岐阜北部に関しては、利用価値として大差がなく、しかも 最も悪影響の少ないルート(現在よりさらに北の山間部を通るルート)が可能であり、 ルート変更を求めて行く

        現素案の主な問題点
◆騒音、粉塵、振動、地盤沈下、夜間照明、水害などの悪影響は確実【人格権、環境権】◆ルーズな環境アセス準備書案=有効な反論のための自主的な調査予測の実施【アセス】◆実質的には、住民の意見を反映させないという手続きの進め方【都計法・地方自治】◆不適切なルート選定=南部住宅地より北部地域が産業立地の可能性高い【都市計画】◆高地価、立ち退き費用が膨大、高架でさらに高額な南部ルートより、
            低地価の北部ルートが予算的にも望ましい【事業費】
◆市や町の議決を経て決定した第三次総との不整合=地方自治の侵害【地方自治】 等
        住民としての対応
 このように問題多き計画にもかかわらず、国や県は「可能な限り影響の少ないルート」「ベストなルート」「ベターなルート」だとしています。この計画が住民と何ら協議されておらず、素案発表=説明会を延期し、合意形成を図ってほしい、万が一説明会等が強行されたら、共有権トラストを敢行せざるを得ないと、11月1日、2日に、国と県に要請しました。しかし、説明会及びそれ以降の経過を見る限り、行政にルート変更の姿勢は全くみられません。そこで、私たち住民としては、ルート変更を実現させる最も強力な手段として、止むに止まれず、共有権トラストを開始せざるを得ないと判断するに至りました。
 知事の都市計画決定の一年以上前の今の段階で、今回発表のルート素案にかかる土地に関してトラストを行って行きます。

        共有権トラストとは
  例・地権者Aさんの100m〓の土地について、90人が1/100ずつの持分を 買い受けると、Aさんは1/10の持分、他の90人は各自とも1/100の持分と して、登記簿及び権利書に全員の住所・氏名が標記される。これで共有が確定した。 共有地の賃借や売買には、地権者全員の同意を必要とします。“明確な意志”をもった共有地権者が数十人、数百人になった場合、その同意の獲得は実質的には不可能です。 単筆の場合は強制的に収用される可能性がゼロではありません。しかし、予定ルート上で転々とトラストの土地があった場合、収用はありえません。弁護士、司法書士の見解でも、同様です。また、過去に共有地に収用法が適用された前例はありません。
 共有権トラストはナショナルトラスト、一坪地主に比べて、資金が僅少で済みます。また立木トラストに比べて、権利確定の手続きが容易かつ権利が確実に安定しています。
        今後の展開 
 私たちは本日から、山林、原野、宅地(将来は水田・畑等農地も)について、所有権の共有の契約締結などの手続きに入り、2週間後位には、第一回の登記を行う予定です。 共有権トラストは、道路工事が始まり、さらに共用開始になったら、さまざまの被害を最も多く受ける直近の住民の人達はもちろん、岐阜県内だけでなく広く全国の人達にも募って行きます。
 また、アセスが不十分のようなので、専門家の協力を得て自主調査も行って行く予定です。更に国、県、市町の行政や議会、都市計画審議会への働きかけも行って行きます。それでも、万が一、現計画で知事決定された場合、決定取り消しの行政訴訟にならざるを得ません。従来は、何につけ“単なる周辺住民”ということで適格なしとされてきた最も被害を受けるであろう隣接住民が、共有権トラストにより対抗要件をもち、確実な原告適格を有することになります。新しい展開となります。
 また、道路建設に関して共有権トラストは全国初であり、その意味でも、現在すでに、各方面から注目されています。
 かつて、岐阜県から始まった立木トラスト運動がたちまち全国に広まり、現在40県約120ケ所で行われています。共有権トラスト運動は今後、全国の問題ある公共事業に対抗する、住民の強力な武器として、あっと言う間に全国に広まるのは確実でしょう。
       公共事業の進め方の見直しを
 そのことは、道路建設ひいては公共事業の進め方、即ち、国が線引きや立案し、県や市町村に半ば強制的におろすというやり方の変更を求めて行くことでもあります。住民の意見の反映だけでなく、地方分権の促進、地方主権の確立にも寄与するでしょう。
 このような観点から、本日の県及び国、町への文書提出をもって、この会を発足させることになりました。尚、学識経験者らで世話人会を構成して頂き(世話人の代表は決めない)、またいろいろな面で法律との絡みが密接な展開になることは確実なので、法律顧問団も構成して頂き、確固とした態勢でスタートいたします。

   共有権トラストの申し込み、問い合わせは事務局へ
共有希望者は 共有土地代金 一口5千円 維持運営費負担5千円 の合計1万円必要   また、この運動に賛同する方のカンパを募ります。
       事務局    岐阜県山県郡高富町西深瀬208  寺町知正 
                   п浮eAX 0581−22−4989