1996年12月9日
岐阜県廃棄物問題検討委員会 
           委員 各位

くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク
               事務局 寺町知正 (高富町議)
                    小栗均  (御嵩町議)
                   三輪唯夫 (上石津町議)
要 望 書
 私たち、“くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク”は、県内各地の地域問題などに取り組む県民が集まった連絡組織で、本年5月に発足しました。
 この中には、廃棄物問題に直接取り組む人たち、地域も少なくありません。
 廃棄物問題が社会の関心を集めている中、本日「望ましい廃棄物政策のあり方等について検討する」との主旨で第二回の会議が開かれます。
 私たちは、以下の観点における問題への対応が岐阜県の当面の重要かつ緊急の課題であると考えます。
 是非本日の審議議題に加えて頂きたく、ここに要請いたします。
 記
ア) 岐阜県知事は、廃棄物の自県処理を進め、その後、他県からの持ち込み規制の条例などをつくる、許可には市町村長の同意を要件とする法改正を国に求める、などの方針を発表され、前向きの姿勢と評価されています。
 しかし、私たちは、以下の三点の理由で、御嵩町ほか県内各地で現在問題となっている処分場計画の問題点をごまかし、計画を容認する下地作りではないか、との強い危惧を抱いています。

《理由@》ゴルフ場開発が過去10年ほど、大きな社会問題になっていました。 これに対応して、法改正など全国的に開発規制が進められる中で、岐阜県は、開発行為に厳しくするといいながら、「経過措置期限内に手続きしたものは、なお従前の規定でよい」などとし、さらに、開発業者を優遇するなど、結果的に大部分のゴルフ場計画の許認可をして来ました(別紙資料)。その後、バブルの崩壊という経済事情で幾つかの計画が断念され、許可後、白紙撤回されたゴルフ場もあります。今、新規の計画は皆無に近い状態です。
 県の行政施策として、経過措置を設けて、実質的に計画中のほとんどのゴルフ場を受け入れ、その後は社会情勢に任せるという過去の事実を振り返ると、今日の産業廃棄物問題の県知事の対応も同様の手法が取られるのではないかと、強く危惧いたします。





《理由A》「国立・国定公園内には産業廃棄物処分場の設置は認めない」という1994年4月1日付けの環境庁通達が発せられました。しかし、岐阜県は独自の判断で、一年年も経過した95年3月20日付けで、やっと各県事務所に通知しました。さらに、これには「96年3月31日までに申請が出たものは適用しない」との経過措置がつけられていた。そして、業者とのすり合わせを進めながら、結果として、96年3月21日に久世村の計画が規制を免れるよう受理されました。御嵩や益田でも、まったく同様に規制の適用を免れるように申請が受理されました。県の業者寄りの姿勢・対応は明らかです。

《理由B》以前から今日まで、岐阜県関係者の見解では、「自県処理をどのように具体的に進めるか、実際のメドは無い」「他県からの持ち込み規制の条例などについて、内容や時期など全くのメドが立たない」等とされています。
 知事発言は、具体的な裏付けのないムードづくりを先行させ、住民、地域、市町村などの懸念や不安がうやむやにして、現在県内の各地の処分場計画を容認させる状況づくりのための発言ではないか、と疑念があります。

イ) 東洋一の規模といわれる御嵩町の廃棄物処分場計画について、私たちのところに、関係者から「計画中の御嵩町の処分場に入れられる廃棄物は、最終的には、ほとんどが県外のものの予定だ」との指摘が寄せられています。
 県担当者に尋ねると、計画段階では処分する物の排出事業者の予定は申請要件ではないので、排出元の割合などについては何も承知していない、との事です。 先の指摘は内部に詳しいと思われる人の指摘であり、自県処理の意味について、岐阜県は、認識を新たにし、事実を調べる必要があると考えます。

ウ) 貴委員会は、岐阜県が設置要綱を定めて運用しており、公式な岐阜県の機関です。一方、過日12月5日、県知事梶原拓後援会「未来の県政を拓く会」におきまして、館正知委員は、名誉顧問に着任されました。
 公職者の綱紀や倫理の在り方が改めて問われているおり、公正、中立な審議を進め、県民の信頼を得ることは、極めて重要なことです。

 以上のことから、本日の会議において、次の点を検討頂きたく要望いたします。
(1)自県処理や他県からの持ち込み規制等の条例制定、法改正が実現されるまで、御嵩町を含めて、現在の処分場計画の全てを凍結すること。
(2)前記同様に、処分場の新規計画の受理をしないこと。
(3)館正知委員は、委員を辞すべきこと。

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《別紙》
 岐阜県のゴルフ場の許認可、申請手続きにおける規制強化と経過措置等の概略

☆1988年7月1日、「開発行為に当たって《コース間に20mの緑地帯を残す》などの規制強化」。この際、《同年12月28日までに、許認可申請の提出されたものは、従前の例による」とした。大きな設計変更が必要となることから、10数件の計画が12月28日の直前に提出され、これによって、以下に示す、その後の何度かの規制強化も免れました。

☆1990年9月1日の改正は、「緑地帯を30mにする、残地森林(元の山のまま残す)40%、地域計画への位置づけ」などでした。経過措置の期限は《91年8月31日》でした。

☆1993年8月30日の改正は、「環境影響評価の実施、防災工事の基準強化」などです。経過措置は《95年10月19日までに許可を得て着工すること》というものです。

☆1993年5月19日までに許可を得ないと、会員権規制法の対象となって、実質的に工事が完了するまで会員権が売れなくなるという前日の5月18日にイトマン系のゴルフ場(瑞浪市)に開発許可を出しました。

☆1994年10月19日までに許可を得て着工していないと、環境影響評価の実施を義務づけられるという前日の10月18日にゴルフ場(高富町)に開発許可をだしました。

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岐阜県知事 梶原拓 様

   くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク
                      事務局 寺町知正 (高富町議)
                            小栗均  (御嵩町議)
                           三輪唯夫 (上石津町議)
         質 問 書
 貴職におかれては、次期知事選に立候補されるとのことです。
 付きましては、以下のことをお尋ねいたします。
 12月5日の貴後援会「未来の県政を拓く会」の総会におきまして、館正知氏が名誉顧問に着任されました。
 一方、氏は、本日第2回目の会議が開かれている、「岐阜県廃棄物問題検討委員会」の座長を努めておられます。当該委員会は、岐阜県が設置要綱を定めて運用しており、公式な岐阜県の機関です。 
 また、氏は、建設省の設置した「徳山ダム検討委員会」においても、岐阜県知事氏名の委員として委員長を努めておられます。
 公職に付く人たちの綱紀や倫理の在り方が改めて問われているおりから、先のように、公式に貴職が指名した機関の関係者、しかも座長等を努める方が、貴職の私的・政治的な後援会の要職に着くというこは、誰が見ても強い疑念を生ずるものです。
 
 館正知氏の岐阜県に関係する公職を解くか、貴後援会の名誉顧問であることを辞するかいづれかが必要と考えますが、いかがですか。今後の対応と見解を求めます。


岐阜県廃棄物問題検討委員会
座長 館  正知 様
   安江 多輔 様
堀内 孝次 様
六川 詔勝 様
青木 誠二 様

◆岐阜県知事は、廃棄物の自県処理を進める、その後、他県からの持ち込み規制の条例などをつくる、許可には市町村長の同意を要件とする法改正を国に求める、などの方針を発表されています。これは望ましい事として大いに評価されています。しかし、私たちは同時に、以下の三点の理由で、御嵩町ほか県内各地で現在問題となっている処分場計画を容認する下地作りではないか、との強い危惧をいだきます。

《理由@》ゴルフ場開発が過去10年ほど、大きな社会問題になっていました。これに対応して、法改正など全国で開発規制が進められる中で、岐阜県は、開発行為に厳しくするといいながら、常に《経過措置を逐次設定する》つまり「経過措置期限内に手続きしたものは、なお従前の規定による」などとして、ゴルフ場計画の許認可に極めて業者よりの政策を進めて来ました。換言すると、いかにも『岐阜県は規制を強化した』という体をとりながら、結局、実態としては、その時点の計画のほとんどを許認可にまで至らしめた、ということです。ただ、幸か不幸か、バブルの崩壊という経済事情が幾つかの計画を断念に至らせました。そして、今では、新規の計画は皆無に近い状態です。県の行政施策という意味では、当時のほとんど全てのゴルフ場を受け入れた手法が、今日の産廃対策において想起されます。

・1988年7月1日、「開発行為に当たって《コース間に20mの緑地帯を残す》などの規制強化」。この際、《同年12月28日までに、許認可申請の提出されたものは、従前の例による」とした。大きな設計変更が必要となることから、10数件の計画が12月28日の直前に提出され、これによって、以下に示す、その後の何度かの規制強化も免れました。
・1990年9月1日の改正は、「緑地帯を30mにする、残地森林(元の山のまま残す)40%、地域計画への位置づけ」などでした。経過措置の期限は《91年8月31日》でした。
・1993年8月30日の改正は、「環境影響評価の実施、防災工事の基準強化」などです。経過措置は《95年10月19日までに許可を得て着工すること》というものです。 また、
・1993年5月19日までに許可を得ないと、会員権規制法の対象となって、実質的に工事が完了するまで会員権が売れなくなるという前日の5月18日にイトマン系のゴルフ場(瑞浪市)に開発許可を出しました。
・1994年10月19日までに許可を得て着工していないと、環境影響評価の実施を義務づけられるという前日の10月18日にゴルフ場(高富町)に開発許可をだしました。

《理由A》「国立・国定公園内には産業廃棄物処分場の設置は認めない」という1994年4月1日付けの環境庁通達が発せられたが、岐阜県は独自の判断で、やっと一年年後の95年3月20日付けで各県事務所に通知した。しかし、これには96年3月31日までに申請が出たものは適用しない、との経過措置がつけられていた。この結果、3月21日久世村の計画が規制を免れるよう受理されました。御嵩や益田でも同様に規制を免れています。

《理由B》岐阜県関係者らの以前からの見解では、「自県処理をどのように具体的に進めるか、実際のメドは無い」「他県からの持ち込み規制の条例などについて、内容や時期など全くのメドが立たない」とされています。知事発言は、具体的な裏付けのないムードづくりを先行させ、現在県内の各地の処分場計画を容認させる状況づくりのための発言ではないか、との懸念があります。