高富町の合併についての意思を問う
   住民投票条例制定請求書

1 請求の趣旨
 高富町では、2001年(平成13年)8月1日、市町村の合併の特例に関する法律に基づき「高富町・伊自良村・美山町合併協議会」を設置し、2003年(平成15年)4月1日の合併を目指して各種協議が進められています。2002年(平成14年)8月頃の三町村の合併協定締結が目標とされています。
 一方、住民の間には、「まだ判断がつかない」との意見もあります。住民が合併の是非を判断するために必要な情報が十分に開示されていないのです。
 高富町には、住民に、「伊自良村・美山町と合併する」「市町村合併しない」「岐阜市と合併する」などの各種可能性についての具体的なメリット・デメリットなどの情報を示し、民意を尊重し、民意の求めるところにより方針を決定すべき責務があります。
 法定の合併協議会について、「合併の是非も含めて合併に関するあらゆる事項の協議を行う組織」(国の解説)、「合併に関する協議とは、そもそも合併を行うべきか否かの協議も含む」「当該合併をしないとの結論もあり得る」(県の見解)とされ、「逐条解説 市町村合併特例法」(市町村合併研究会)も同様です。 町民の中に多様な意見がある以上、合併協定締結の前に高富町民の意思を確認し、もって高富町の方針とすることが不可欠です。
 このまま、三町村の合併が強行されると、人々の心に大きな溝をつくり、地域の将来や行政運営に多大な悪影響を生ずることが懸念されています。高富町の合併問題について、賛成・反対・その他の立場にかかわりなく「大事なことは住民自身が決める」という住民自治の基本として、住民投票により町民の意思の所在を明確にする必要があります。住民投票の実施は地域における住民自治の確立と行政の民主的な運営に大きく資するものなのです。
 市町村の合併の特例に関する法律は、従来より「直接請求による住民発議」を制度化していますが、本年3月の法改正で、「住民投票による法定の合併協議会の設置」を規定して、合併問題における住民投票を制度化しました。市町村合併の意思決定こそ、住民投票にもっともなじむ、と広く認識されているのです。
 間接民主制による地方自治行政の運営は、時として住民の意思から遊離し又は住民の意思に反して代表者の恣意・独断によって行われるおそれがあることから、この欠陥を補完し住民自治の理想を実現するために、地方自治法は直接民主制としての直接請求制度を第74条に定めています。
 よって、私たちは、高富町の合併についての意思を問う住民投票条例の制定を請求いたします。

2002年(平成14年)4月23日