新しい風ニュース  127号(通巻159号)
 たかとみの環境とくらしを考える会
  岐阜県山県郡高富町西深瀬208  TEL・FAX 0581-22-4989
  《なんでも相談》  どの政党とも無関係の寺町 ともまさ発行
       E-mail tera-t@ktroad.ne.jp 2000年2月5日発行

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   高富町12月議会一般質問から(12月18日)  


   お年よりや弱者への取り組みは? 

◆《問・寺町》 政府が突然、実質的な介護保険料の徴収延期をきめて、自治体に混乱を呼び、担当者の皆さんの心労は大変なことです。町の保健福祉計画の中で、介護保険を念頭におきながら、来年度から町が予定しているサービスはどのようですか?

《答・保健課長》 独居老人・高齢者夫婦の生活支援策として、配食サービス、ホームヘルプ派遣事業、緊急通報システム、とじこもりがちな老人には生きがい活動支援事業(ミニデイサービス)、ねたきり老人に対してはおむつの助成、布団乾燥事業の対象者の拡大など支援していこうと考えています。

◆《問・寺町》 介護保険では、利用者と介護サービスの事業者とが《利用契約》を結ぶことになっていますが、契約について、何を事業者に求めているのでしょうか?

《答・保健課長》 現在、山県保健福祉事務組合では居宅介護支援事業者、居宅介護サービス事業者協議会を作り、事業者と利用者との契約について先進地の契約の案など紹介しながら重要説明事項等の指導をしている、とのことです。

◆《問・寺町》 認定やサービスでの苦情相談制度の必要性が強く指摘されています。

《答・保健課長》 介護サービス事業者に関する苦情処理につきましては各事業者内において体制等について検討、当町においては保健課を窓口に処理していく予定です。内容によっては、県の介護保険審査会や国保連合会への照会もしていきたいと思います。また苦情処理の内容分析などをしながら住民の皆様が安心できるサービスの提供体制を考えていきます。

◆《問・寺町》 介護認定の経過を情報開示することについては?

《答・保健課長》 認定にかかる経過について本人への情報開示は、町の情報公開条例の施行と同時に実施していきたい。

◆《問・寺町》 成年後見制、地域福祉権利擁護事業の制度の普及と徹底は?

《答・保健課長》 介護保険は自己責任でサービス事業者と契約しますが、自己決定にあたっての判断能力や意思能力が低下した人への支援がまず必要です。それに応えるのが「成年後見制度(せいねんこうけんせい)」で、専任した後見人に財産管理や身上監護に関する契約書等の法律行為をしていただいたりする制度です。
 また、完全に判断能力や意思能力が低下してしまっているわけではない方たちへの支援の方策として、県社会福祉協議会へ委託しているのが地域福祉権利擁護(ようご)事業で、相談助言、連絡調整、代行といった行為を実施して頂く制度です。
 そのためには、第三者による評価システムや各サービス機関の内容をきちんと明記していく必要があります。
 今後サービスを使っていただく高齢者や福祉サービスにたずさわる関係者などに制度の趣旨等を学習してもらうと共に町民にピーアールしていきます。

◆《再質問−1・寺町》 いずれにしても、来年2月から具体的な契約が始まります。「契約」に不慣れなお年よりの皆さんにとって親切な契約書が必要です。
 高富町が組合に対して、契約が成立する前に、事業者から契約の見本書を取り寄せて、適切な内容になるようなアドバイスをしていだきたい。

《答・保健課長》 町民を守る責務を有する立場として、納得かつ安心してサービスを受けることができるよう、契約などについて、単純に当事者だけで片付けるだけでなく、行政からの指導をお願いするよう、組合の方に働きかけていきたい。

◆《再質問−2・寺町》 日本弁護士会連合会では、訪問調査の記録、医師の意見書、コンピューターの判定結果、審査会の議事録などを公開することが必要であると具体的に示しています。高富町はどうしますか?

《答・保健課長》 当然、一次審査の判定結果及び主治医の意見書、若しくは二次判定、審査会での意見状況などについての公開が求められると思いますので、これらについても、前向きに検討していきたいと思います。

《再質問後・寺町》 権利擁護の制度が国によって作られたのは、実際に「お年よりが入院していて、なくなられた時、そのベッド横の机の中から一億円の通帳が出てきたということで、病院もその方を丁重に葬った。しかし残りのお金は国庫に入ってしまった」という具体的な事例、「お世話する人が通帳などを悪用してしまった」という例などがあるからです。そういう点を認識していただきたい。

【寺町のコメント】 介護保険は試行錯誤しながら進めるしかありません。住民の皆さんのために、現状をより的確に把握しつつ、行政も議会も自問しながら対応する覚悟が必要です。
 介護保険での疑問、トラブルなどお気軽にお伝えください。


      町の都市計画に住民参加を! 

◆《問・寺町》 町のインター周辺整備構想ができあがった、とされながら、いまだに住民の皆さんに説明されていません。高富町では、東海環状自動車道の計画が突然、具体的に明らかにされたとき、住民から猛反発がおきました。行政としての、その経験は極めて貴重なものですが、これが生かされていません。
 住民参加をすすめる意識が欠如しているのではないですか?   

《答・都市計画課長》当初より住民参加を前提にしていますが、住民参加の手法は多岐にわたり、その手法も確立されていません。9年度には間接的に民意を把握するために住民アンケートを実施、10年度は一部の住民代表ではありますが、まちづくり委員会等を開催、直接的な民意を構想案に反映できるようにしました。
 今後も住民参加を目指しますが、本来、「住民参加・まちづくり」というのは行政がおしつけるものではなく、住民の皆様が主体となって、共に考え、将来の町の在り方やその責任を共有するものです。このような価値観を育てていくためには、ある程度の時間が必要かと思っています。

◆《問・寺町》 今後、どのようにしていくのですか?

《答・都市計画課長》 議会の皆様に説明した後に公表したいと考えています。

《問・寺町》鳥羽川改修(富岡排水機場より上流部分)の計画の具体的な内容は?

《答・都市計画課長》 鳥羽川改修についてですが、現在、県が設計している河川断面は、護岸ブロック積みによる5分勾配です。都市計画課としては、鳥羽川を親水公園ゾーンという位置付けをしておりますので、堤防のノリ面勾配を二割程度とし、多自然型河川工法を取り入れた河川公園となるように、関係機関と協議を行い、現在計画図を作成している段階です。河川堤防の勾配をゆるくしますと、必要となる用地が増えてまいりますので、地権者の皆様のご理解が必要です。詳細は、本年度末までには、議会及び住民の皆様に説明いたしたいと思っています。

◆《問・寺町》 具体的にどのように住民参加を推し進めて行くのですか?
《答・都市計画課長》 鳥羽川改修と256バイパスの建設は関連がありますので、同時に説明会並びに設計協議を実施し、この中で、住民の皆様に面的な整備のご提案を申し上げ、これらのことを協議する「まちづくり協議会等」を発足していただきたい、と考えています。

◆《再質問・寺町》 答弁の中で、共有する価値観を育てるためには時間がいる、とのことでしたが、そうではない。必要なのは時間じゃない、10年たっても、100年待ってもだめなんです。必要なのは、共有する場です。
 役所と住民が一緒に考える場を、是非、早く作っていただきたい。

【寺町のコメント】 時々、行政や議会関係者の集まる場で、『そんなことを住民に知らせたら蜂の巣をつついたようになる』、ものごとによっては、『住民はバカだから』という発言まで飛び出します。「価値観を育てていくためには、ある程度の時間が必要」という答弁は、ひとつまちがうと、これと同様の、昔ながらの役所にありがちな《愚民思想》にもなります。 (愚民=「おろかな人民」。三省堂・国語辞典) 今まで、ほとんどの公共事業が、一部の有力者らで決められ、その後に形式的に住民に示される、というパターンで進められて来ました。それに対する反省が、情報公開を進め、意識的に住民参加を取り入れようということです。例えば、何かをするとき公募で参加者をつのり、計画を練(ね)り上げて行くやり方です。これをキッカケに、多治見市などは、たった数年で市民参加が格段に活発になりました。ゼロから作り上げたり、市の原案修正なども当然です。思い切って多治見市に研修に行っては? 住民参加というのは、一緒に、試行錯誤しながら、悩みながら、笑いながら、ケンカしながら・・・そういう積み重ねです。「行政が住民を育てる、待つ」というのでなく、行政は場をつくり、そこでともに議論し、ともに学ぶ、その認識が必要です。 計画が「一部有力者の意見」を基に進められるのか、「ふつうの住民の声」を基に進められるのか、「まず議会に説明してから住民に」と何度も答弁されながら、いつまで待っても住民に説明されない計画に、不安を抱くのは私だけではないでしょう。 都市計画という自治体の10年後20年後を常に念頭において仕事をし、県が仮に示してくれた5分勾配の設計案を、少し待ってもらい、多自然型工法導入を目指している都市計画担当の進め方に期待しましょう。